1. オールド・リベンジ ~やられたらやり返せ~
《ネタバレ》 滅茶苦茶ひどい目に遭って身近に犠牲者まで出てついに堪忍袋プッツン。虐げられし弱き者は反撃し敵を容赦なく皆殺し。まぁリベンジものの鉄板的展開です。皆殺しにされる側はまるっきり同情の余地のないヤツラだから、観ている者は普通だったら胸がすく思いで少々血生臭くても後味爽やかです。 が、本作はちょっと違うのですね。被害者側はか弱きシニアなんだけど、主人公夫婦は少々曲者。冒頭からイマイチ感情移入出来ない。でもって加害者側は超胸糞ワルイ奴らなんだけど未成年。警察も少々偏向気味ではあるものの一応は法を順守するスタンスで寧ろ悪ガキを擁護する。 ここでどう考えるか、どう受け止めるかによって本作の評価は分かれるところだと思います。散々な目に遭わされてて、やってることはモロに犯罪なんだから未成年だからって許されないでしょ派なのか、いやいや未成年は更生させなきゃいかんでしょ、未来があるんだから守って正してあげなきゃ派なのか。 正直なところ個人的には前者。なので本作の展開は胸がすく思いではあります。けれどもリベンジもまた犯罪。しかも倍返し。いやそれ以上に返してるし。なのでそれ相応の結果が伴わなきゃいかんとも思うのです。いくら汚職してるからって警官まで手にかけてるんだし。ハッピーエンドは如何なものか?まぁ現実的に考えれば、この夫婦が過ぎたことは忘れましょ♪みたいに余生を幸せにのんびり過ごせる訳はないだろうし、どこかで必ず報いを受けるんじゃないかとも思えますが。 要は、ある意味痛快な復讐劇だけれど後味は超が付くほどワルイという作品。もう一度観たいとは思えないかも。作り手のミスリードには引っかからないぞ、みたいにも思えたりして。(邦題もまた然り) ちなみに、冒頭で実話ベースみたいに紹介されますがホントかな?そうだとしても相当デフォルメしてますよね? [インターネット(字幕)] 5点(2025-03-18 21:28:28) |
2. ブリジット・ジョーンズの日記
《ネタバレ》 封切り当時に観たつもりでいたものの、改めて確認したら未見。今更ながら、とあるキッカケもあって観賞しました。 王道ですね、ラブコメの。洋画ラブコメのベスト10みたいなランキングでは間違いなく入って来る作品なので当然といったところかも。ラブコメの帝王とまで言われるヒュー・グラントさんが出演してるって点でもまさに鉄板的ラブコメ作品と言ったところでしょうか。 何気にレネー・ゼルウィガーさんがピンポイントで好みの女優さんということもあって、終始楽しんで観られました。まぁ、好みの女優さんがあられもない姿で幾度も登場したり、グラントさんにイイように扱われてる感があるのは必ずしも嬉しがってばかりはいられなかったところですが、彼女の魅力を最大限に引き出している作品という見方をすれば全部アリかなとも思えたりして。 基本、あまりラブコメ系の作品は観ないのですが(何故って感情移入してしまい過ぎるタチなので)今回改めて未見だった有名ラブコメを観賞してみて、やっぱ感情移入(今回はコリン・ファースさんに)し過ぎてしまいラストには涙ぐんでしまいました。いくつになっても単純すぎる自らを反省しつつ、高評価させていただきます。 [インターネット(字幕)] 8点(2025-03-09 12:00:21) |
3. ベニー・ラブズ・ユー
《ネタバレ》 期待以上でした。何を期待?と問われれば言葉に窮してしまいそうですが、でもやっぱ期待以上でした。 チャッキーを始めとする(否、もっと歴史は古いかな?)殺人人形モノは当然の如くもっとおどろおどろしいし不気味。おおかたは「呪い」がかかっている。ところがベニーを突き動かしているものは「呪い」ではなく「愛」です。あ、殺人人形モノで「愛」で動いているものが過去にあった気がしないこともないですが、兎にも角にもベニーはジャックへの愛で動いているのですね。配給元のキャッチコピーだったかどなたかの紹介文だったか失念してしまいましたが、確かに「大人のトイ・ストーリー」なのかも知れません。 ただし、エゲツなさまで期待以上でした。個人的にスプラッター系は元々好きではないので、いくら人形の所業とは言え(否、人形の所業だからこそ)ヤリ過ぎ。ここには命の尊さは無縁です。存在しません。全てはベニーの価値観。気の向くまま。それって実はジャックの思い?ではないと信じます。あくまでもファンタジーホラーコメディですから。だいたいからして、考えてみればジャック以外の登場人物は悪人もしくは何も考えてない人々。あ、恋人のドーンも善人ですね。だから、ベニーが殺しまくっても全然同情しないで済む感じ。(ダメ?) なにはともあれ、本作から何か重要なメッセージとかテーマ性とかを受け取る必要はないかと。可愛くて「抱っこして♪」しか喋らないベニーが、無感情に血まみれで暴れまわることを「爽快」と受け取らない方は見ない方が良い作品でした。 ちなみにラストに再登場すると予感していた通り、エンドロール後にジャックの元カノが再登場。死ぬ前に出て来いって!と思わず同情。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-02-06 15:42:36) |
4. インフィニット・ストーム
《ネタバレ》 実話ベースと聞いてビックリするばかり。まさに決死の下山。てか生きてるのが不思議なほどのダメージに次ぐダメージ。個人的に登山の趣味がないので解りませんが、人間はこんなにも強いのですね。 そして明かされるヒロインを襲った過去の悲劇。なんとなく悲劇の内容は予想出来ました。冒頭、愛娘たちの愛くるしい姿に何故かうなされる彼女。寒風吹きすさぶにも関わらず窓を少し開けて寝ている。あぁもしかして火事かガス漏れか。予想させられるカットはありました。 一方、ジョン(仮)の胸に抱いた悲しみも予想出来るものでした。最愛の人を失った。自分も彼女のところに行きたい。迎えに来て欲しい。吹雪の山頂に軽装で佇み下山を拒む姿から見て取れました。 きっと二人は命からがら下山し、お互いの哀しみを語り合うことで前向きに人生を歩んでいくのだろうな。そんなことを思いながらの鑑賞でした。 つまりは、基本的には想定内に展開していく物語。そういう意味では「面白さ」には欠けるのかも知れません。ただし、これは実話だと言う。決して手に汗握る山岳アクションアドベンチャーフィクションではない訳です。だからこその感動でした。 ヒロインのナオミさんの演技は今更言うまでもなく、今回も素晴らしいものでした。少々年齢を感じさせるようになった風貌は年輪を重ねて魅力的ですし、命からがら帰宅して冷たいピザをビールで流し込み全裸になってバスタブに浸かるシーンは命そのものを感じさせてくれるものでした。そしてジョン(仮)役のビリー・ハウルさんもいいですね。死にたいけれど生きていたい、生きたいけれど死んでも構わない、そんな矛盾する心の動きが息も絶え絶えの表情の中に表現されてました。 少々地味な作品ではありますが、見応え十分の感動作でした。 [インターネット(字幕)] 8点(2025-02-06 13:59:06) |
5. 彼方に
《ネタバレ》 まさか!と思いつつも、短編作品だけにその一瞬はあっという間に訪れてしまいました。 理不尽な事故や犯罪によってもたらされる悲劇は途絶えることなくニュースから聞こえてきますが、この作品を観る直前にも連続してそのような事故・事件が起きました。それだけにリアルに映像化された悲劇は衝撃的です。主人公を襲った哀しみと喪失感は到底想像出来ません。 そんな絶望の淵にあって、家族との別れを契機にそれまでの生活に別れを告げながらも、新たな職としてタクシードライバーを選んだダヨは、人との触れ合いだけは失いたくなかったのかも知れませんね。 そして、結果としてその職業を選んだからこその出会いを果たす。それは自らの家庭には決してなかった家族関係。否、あったのかも知れない。見えていなかっただけかも。更には見ず知らずの彼に助けを求める少女。泣き崩れるダヨ。 彼はこれからどうやって生きて行くのか?好ましからざる家族関係を見せつけられた彼は、自らの幸せだった日々を思い出さずにはいられないはず。それは彼に未来を見せるのか?それとも更なる喪失感をもたらすのか? 鑑賞後、様々考えさせられた佳作でした。ただし、実際にこのような事件に出遭ってしまった人には、冒頭の悲劇シーンは厳し過ぎる気がします。他の演出はなかったのか?そこも考えさせられました。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-02-06 12:08:34) |
6. プー あくまのくまさん
《ネタバレ》 発想としては「本当は怖い〇〇童話」みたいなノリかなと。著作権OKだからヤッチマッタ感のみが感じられる作品。 じゃ、原作へのリスペクトのひとつもあるんかな?と思ってみても無駄。そもそもプーさんってぬいぐるみじゃなかったけか?原作をキチンと咀嚼してこそのパロディ。これはプーさんみたいなマスクを被った変態による猟奇事件ってだけです。 そうなってくると、個人的にはスプラッターやらスラッシャーは元々好きではないので登場するおバカキャラ(ほぼ全員)への感情移入の欠片も見当たらないおバカ作品としか見えず、何だか関係ないエピソードが無駄に盛り込まれてたり、とは言えその手のホラーのセオリーだけは辛うじて踏み外していないようにも思え、百歩譲って(譲る必要はありませんが)まぁ話題性優先のみで一発勝負のイロモノとしては成立しているかなと。 兎にも角にも一発勝負なんだから続編作るなよと言いたくなる超ヒマつぶし向け作品でした。(続編観ちゃうかも知れない自分も情けないが) あ、邦題は馬鹿らし過ぎて好きです。 [インターネット(字幕)] 2点(2025-01-31 09:45:36)(良:1票) |
7. 聖なる証
《ネタバレ》 ホラーかなと思い観始めたらサスペンス?ミステリー?観応えのある1本でした。 ただし、実はこれ、時代背景を現代に持って来たら全然違う作品になってしまうというか、1860年代のアイルランドがどういう社会だったのか、英国との関係はどうだったのか、恥ずかしながらほぼ何も知らないままに観たので、実は半分も理解出来ないままに観てしまったのかも知れません。 何より、宗教的視点に欠けている自分。母親が何故にそんなことをしてまで娘を尋常ではない状況のもとに生活させたのか。おそらくは(間違いなく)娘より深い愛情を注いでいたであろう失った愛息への思いにオーバーラップする母親の宗教観。否、実のところは彼女の宗教観は自らの感情を封印するための手段に過ぎないのかも。 歪んだ愛情。地域社会の求める宗教観。合理的で科学的な思考に基く倫理観で対峙する看護師。とは言え人間的な弱さに脆さを隠し切れない看護師。そして、何より誰より主人公の少女。純粋に信仰心のみによって事態を受け入れているとは到底思えない辛い過去。登場人物の一人ひとりが丁寧に描かれていきます。 ラスト。純粋なハッピーエンドとは少しばかり、否、大いに違いますね。この3人を待っているのは新天地での幸福に溢れた生活なのか。3人それぞれの思いはこれで全て切り替えられたのか。残された者たちはこれからどんな思いで生きて行くことになるのか。考えさせられました。 [インターネット(字幕)] 8点(2025-01-25 10:29:52) |
8. グランド・ブダペスト・ホテル
《ネタバレ》 評価が大きく分かれそうな作品。好きな人は好き!嫌いな人は嫌い!といった感じが皆様のレビューにも明確に出ていますね。 私は大いに気に入りました。色彩、セット、衣装、登場人物の魅力、豪華な出演者、そして肩の凝らない演出とスピーディな展開。どれをとっても文句なしでした。 最近観たアンダーソン監督の作品と共通しているところですが、登場人物の飄々とした多弁ぶり、二次元的で平板とも言えそうなカメラワークから不思議と感じられる奥行きの深さ、随所に辛辣で過激ささえ感じられる悲喜劇が敢えて感情を抑えているかの如く勢いよく押し進められていく。惹かれます。 特に注文なしということで満点献上します。 [インターネット(字幕)] 10点(2025-01-03 15:37:40)(良:1票) |
9. カンダハル 突破せよ
《ネタバレ》 アメリカ万歳的なヒーローものなのか?今も続く紛争とそれによってもたらされる悲劇を描いた社会派アクションなのか?アフガンの混乱の背景を描くポリティカルアクションなのか?物語の背景といい登場人物の関係性といい、複雑すぎて観ていてなかなか集中出来なかったと言うか、テーマを絞り込めなかったと言うか。観終えてみれば「何だったの?」という心境になってしまったと言うのが正直なところです。 確かに悲劇の連続。それは直接作品で描かれている具体に限らず、その前もその後も始まりも終わりもない世界。絶望しかないような世界に思えてしまいます。更に、終盤救援に来た人物の死は何だったのか?正規の手続きなしに迫り来る追手を爆殺した判断は正義なのか?主人公は娘と会えて良かったね、なのか?何かモヤモヤとしたものが残ってしまい、作品中で描かれてきた悲劇が薄まってしまったというか、何とも消化不良で結局アクションシーンだけが印象に残った作品でした。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-12-24 14:47:35) |
10. ロックド・イン/囚われ
《ネタバレ》 ひとことで言えばドロドロ。いかにも本邦の2時間TVドラマにありそうな愛憎劇。 本心がイマイチ解りにくい女主。その女主を幼少期から慕い続ける養女。その養女に依存し続け、今や夫婦となった女主の亡夫の連れ子。ヤブなのか野心家なのか単なるエロオヤジなのかいずれにしても只管怪しい医者。そして、瀕死の重傷を負った女主から事の真相を聞き出すべく私立探偵ばりに活躍する看護師。登場人物が多彩です。 そんな登場人物が織りなす物語がシンプルな訳がない。けれども、意外と解りやすく物語は展開します。つまりは観ている最中は結構楽しめる。そこそこツッコミどころもありますし。されど、観終わった傍からあっさり忘れ去ってしまうような薄い物語。 特に深いテーマ性があるとは思えません。典型的な?エンタメ作品です。深く考える必要はなく感情移入も不要。決してツマラナイ訳ではありませんが、重苦しい雰囲気の割には印象の薄い作品でした。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-12-12 21:05:04) |
11. ワウンズ: 呪われたメッセージ
《ネタバレ》 序盤から中盤ちょい前ぐらいまでは、不穏な空気間に満ちていて「一体何が起きるのだろう?」みたいな期待感をもって集中出来ましたが、チラ見せしておいて先に進まない感じが続き、主人公の行動や言動には全く感情移入出来ず、一連の行動や言動は既に邪悪なものに惹き込まれてしまったからなのだろうとは想像しつつもどうにも歯痒いばかり。 一体少年たちは何だったの?オカルト書籍を実践したら何かを呼び出してしまった?そして、その呼び出されたものがスマホを通じてウィルに取り憑いた?キャリーも取り憑かれた?エリックに至っては宿主にされた? これだから悪魔系の作品は煮え切らない。何でもありの存在で、作品の終わり方も何でもあり。あのトンネルみたいなのは何?魔界に通じる穴? 種蒔きだけして突然終了の感が強い作品。序盤が良い感じだっただけに余計に残念な後味が残りました。雰囲気だけは悪くなかったので甘めの4点献上です。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-01 23:57:13) |
12. ヘル・ディセント
《ネタバレ》 ナチスとか旧ソ連とかを持ち出した秘密の研究施設という設定はかなり使い古されている感が否めませんし、それが地下施設というのも定番。恐ろしい研究からマッドサイエンティストが作り出した怪物、というのも同じく定番ですね。 ただし、本作は地下から逃げ出すことが出来ないままに一人ずつ犠牲になっていき、最後は主人公と怪物の一騎打ち!みたいな定番スタイルではなく、一旦は襲われて負傷しつつも地上に脱出し、新たな仲間たちとともに地上戦を繰り広げる。そして、僅かな戦力となっても怪物の撃滅のために再び地下へと攻め入る、という3回戦マッチ的な展開はスリリングで緊張感が途切れることなく楽しめました。お約束的ではあるものの、きちんと人間ドラマが盛り込まれているところも好感です。6点よりの5点を献上します [インターネット(字幕)] 5点(2024-10-09 15:12:39) |
13. ノー・ウェイ・アウト
《ネタバレ》 前半から中盤にかけては、不法移民?密入国者?の貧しさ、逃れようのない苦しさがジワジワと画面から溢れてきて息苦しいような絶望感が伝わって来ました。終盤にならないとヒロインがメキシコでどんな辛い暮らしをして来たかが解らないのが少々残念。少しだけ頭出ししておいてくれればヒロインに感情移入しやすかったかも。 そして、このまま社会派風味のホラーの線で行くのかなと思いきや、冒頭の遺跡発掘シーンが繋がって来てオカルト風味に。あの「箱」の虜となった親子二代。更には何とか戦い抜いたかに思えたヒロインも結局は逃れられなかった、取り込まれてしまったということですね。折れていた足が突然治り、身体中に力が漲り、心も安らいで行く。それはある意味、彼女が求めていたものだったのかも知れません。バッドエンドなのかどうなのか?やっぱりバッドエンドなのでしょうね。 ありがちなシチュエーション、そしてプロットと言えるかも知れませんが、出演者の真に迫った演技と思いっきり不気味な演出、そして最後に登場する怪物なのか悪魔なのかそれとも人間の欲望の具現化なのか、いろいろ解釈出来そうなクリーチャーの気持ち悪さが相まって、短めの尺ながら見応えのある作品でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-09-02 16:53:07)(良:1票) |
14. aftersun/アフターサン
《ネタバレ》 あまりにも淡々と進む物語。ほのぼのとした父娘のヴァケーション。娘と二人きりでこんな風に仲睦まじく休暇を過ごすなんて何て羨ましい!などと呑気に眺めていました。 でも、何か引っかかるんですよ。時折挿し込まれるカット。父親の心の闇を映し出すようなカット。この平穏な時間、幸せな日々はある日突然崩れ去るのでは?という漠然とした不安。 ラスト近くのシーンでは、娘を置いたまま夜の海に走り出す父親の姿から「もう彼は帰らないのか?」とさえ思ってしまいました。一方、現在のソフィの表情からも不安しか感じられません。古のビデオの中に残る父の姿から彼女は何を見出したのか? 愛する父親との忘れ得ぬ幸せな日々。永遠に続いて欲しい濃密な時間。しかし、その裏側でじっと息を潜め続けていた父親の心の闇。思春期だった娘。そして今、その頃の自らの姿を見つめ直しつつ気付いてしまった父のもうひとつの素顔。 シンプルな構成の作品の中に塗り込められた人の心の在りよう。難解?或いは作品世界に入って行くにあたってのハードルの高さ?観る者を選ぶ作品?それとも観る者が選ぶ作品?個人的には余韻を楽しめる好きなタイプの作品ですが、賛否両論なのでしょうね。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-08-17 22:52:51)(良:1票) |
15. 夜の来訪者(2015)<TVM>
《ネタバレ》 原作や舞台、他の映像化作品は未読・未見です。てか殆ど予備知識なしに鑑賞しました。 濃密に絡み合った人間関係とそこから生まれる悲劇性。どことなく本邦の2時間枠TVドラマとの共通性を思わせる雰囲気ですね。「え¨~!そこで繋がる?!」みたいな意外性というよりお約束感に満ちつつも、決して破綻することなく展開していく物語には、約1時間半の尺とは思えない魅力を感じました。 物語の中心をなすグール警部。登場シーンから妙に謎めいていて、かつ威厳に満ちて誰一人抗うことを許さない姿には、途中から「この人は人間ではない?」という雰囲気を感じました。結局、人間ではないような?かと言って「神」とも思えず、いったい何者だったのか?謎です。強いて言うならば、この存在は若干反則的と思えないこともなかったりしますが。(悪魔やエイリアンが登場すると何でもありになってしまう物語と近しいものがあるかも) ただ一つ言えることは、警部は集まった者たちに自らの犯した罪を見つめ直し悔い改めることを促したのだろうということ。(実際、直接的に台詞にもありましたが)しかし、それは叶うことなく結局予言的に警部が示した悲劇は現実となってしまったということ。原作が生まれた時代であれ現代であれ、暗喩的に社会、或いは個々の生き方に対する何らかの警鐘を鳴らしているように思うところです。 何度もリメイクされていることを納得の作品(原作?)でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-07-25 16:24:48) |
16. バッド・デイ・ドライブ
《ネタバレ》 元ネタ及び英語版以外のリメイク版は未見です。 運転するクルマに爆弾を仕掛けられて脅迫を受ける、という設定自体は目新しいものではありませんが、特に恨まれるような覚えもなく(正確には覚えがあり過ぎて判らなくなってる?)、同僚を目前で爆死させられ、しかも後席には愛する子どもたちが同乗していて自分と運命をともにさせられているという緊迫した状態は、特に派手なカーアクションもないにも関わらずなかなかに見応えのあるものでした。(少なからずリーアムさん贔屓ということもあったりしますが) ただ、何にしても犯人にとって都合良く事態が進み過ぎたり(あらゆる事態にも対応可能なように準備して来たとか言っちゃってますが)、警察の動きも都合良過ぎたり(包囲網簡単に突破、大量のスナイパーが無力、ラストでは追跡さえしない?ヘリどこ行った?等々)、そしてミステリーサスペンスなのに真犯人が結構判りやすかったりと、脚本的には粗が目立つと言うか非現実的過ぎるというか。家族の絆的な部分も基本的な家族関係とかが殆ど説明されていないので感情移入は難しいところ。あと、ヘザーやユーロポールの捜査官の電話の声が妙に平板なのが気になりました。 エンタメ的に割り切れば退屈せずに楽しめる作品。深く考えると興覚めしてしまう作品。といった印象でした。古希を過ぎてもまだまだ若々しいリーアムさんに+1点の7点献上します。 ちなみに、邦題はミスリード目的のような原題よりは良いかも知れませんが、カーアクションが目立つ作品でもないので今ひとつかなと。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-07-09 10:33:48) |
17. デッド・アゲイン
《ネタバレ》 少々時間があったばかりに見てしまった作品。そう、見てしまいました。 これは語れません。一応はゾンビ映画の体裁を保っていますが、何故そんな事態になっているのか?(説明無さ過ぎ)町民のかなりの数がゾンビ化してゾンビだらけってぐらいにまで事態は進行しているのに、何故突然問題化したのか?何より何故その建物に籠っているのか?(武器を調達しに行って戻って来るぐらいならさっさと脱出しなさい!) ゾンビの出る作品を作ってみたかった。ただそれだけで作られた作品なのかなと。仮にそうだったとしても世間に公開するには何かひとつはアピールして欲しかった。残念ながら目新しさとか何も響かなかった作品でした。 (追記)各国首脳が出演者として紹介されますが、ニュース映像使ってフェイク挿し込んで出演者扱いってどうなんでしょうか?? [インターネット(字幕)] 1点(2024-06-29 18:35:16) |
18. FALL/フォール
《ネタバレ》 高所はあまり得意ではない私。アンテナ塔を登り始めた後は終始絵にかいたような「手に汗握る」状況でした。こんなに手汗を感じた作品は一体いつ以来だろうか?思い出せないぐらい久々の超緊迫感に包まれました。何だかベタ付くような嫌な汗。純粋に怖くて不純物が体内から流れ出したのかと思ったりして。運動したり辛い物を食べて噴き出す汗とは明らかに違う汗。観終わって一番感じたのはそのことだったりしました。 肝心の物語については、ベッキーのお父さん(相変わらずカッコいいジェフリーさんに出会えて嬉しいです)以外は感情移入できない登場人物ばかりで、アンタらいったい何やってんの?何考えてるの?みたいな行動・思考のオンパレード。どう考えてもあまりに非現実的な流れなので、リアル「手に汗握る」状況なのに基本的には終始傍観者のノリで「んなワケないだろ!」とかツッコミまくってました。 実は幻覚でした系の演出が途中に挟まる構成はちょっと異色で面白かったですけれど、基本的にはご都合主義ばかり。猛禽を素手で倒してナイフもなしに食っちまうというあり得ない演出には苦笑でした。いくら首を抑えても両足で切り刻まれてしまいますって。だいたいからして殺されたトリさんが可哀そう過ぎてヒロイン憎し。尚更に感情が離れてしまいました。 救出シーンの割愛はある意味正解かも知れません。おそらくヘリでしょうけれど、それを描いたらまたあり得ねー世界の追加になってしまったでしょうし。 不満点を挙げればまだまだ出そうですが、そのくせ眠気を感じることもなく観終わった私。楽しんで観ていたことは否定出来ません。なので点数的には5点献上します。手に汗握り過ぎて思考がとっ散らかってしまいました。 あ、蛇足ですがもう一つだけ追記。「取り残された」と何回かベッキーとハンターは発言してますが(原語では確認していません)、この状況はどう考えても「取り残されて」ませんから。梯子のせいにしてはいけませんね、言葉は正しく使いましょう。てか、あくまでも自ら招いた状況だということを理解していないというか…。益々感情移入不能になりました。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-06-19 14:49:30) |
19. アナイアレイション -全滅領域-
《ネタバレ》 原作は未読です。おそらくは、原作を読み込んだ上で原作の世界観に照らし合わせて鑑賞すれば、もう少し楽しめたのかなと思いました。 冒頭、灯台に激突する謎の光体。それ自体が生命体あるいは生命体以上の存在なのでしょう。灯台を起点として拡大する領域内では元々の存在を分解し再構築した新たな存在が生み出される。(どうやら100%ではないようですが)その結果、領域内は外部から見れば異世界の様相を呈している。(今ひとつ不十分に思える変異ですが)これはエイリアンによる侵略なのか?それとも、知的で意図的な行為ではなく、ウィルスなどによるより本能的な生命活動なのか? 変異した生物は様々な行動や現象を起こすものの、いずれも決して地球侵略を思わせるような能動的なものではない。地球の支配者層である人間についても、血液や細胞が変異したりクローン的存在が生み出されるたりするだけで、それによって何をしたいのかは全く解らない。これじゃヒロインや夫やドクター同様「分からない」ばかりでお手上げです。伏線回収も今ひとつ物足りないところですし。その割にはヒロインの浮気シーンとか挟んだりしてますが。 SFというジャンルは昔から好物ですが、哲学的なテーマなり冒険活劇的なテーマなり、何か明確なテーマを提示してくれないとどうも個人的にはスッキリしないと言うか、作品世界に没入出来ないです。 冒頭に書きました通り原作未読です。なのであくまでも本作のみの感想としてですが、今ひとつ楽しめないで終わってしまいました。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-05-20 13:50:06) |
20. 一分間タイムマシン(2014)
あまりに短い尺なのでネタバレなしにします。アイディア一発(誉め言葉です)のウィットに富んだ小粋な小品。たった5分余りの短な尺とは思えない濃さを味わえました。作り手のセンスの良さが光る佳作。ピンポイントで好みの作品に9点献上します。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-04-17 14:06:11) |