1. ワウンズ: 呪われたメッセージ
《ネタバレ》 序盤から中盤ちょい前ぐらいまでは、不穏な空気間に満ちていて「一体何が起きるのだろう?」みたいな期待感をもって集中出来ましたが、チラ見せしておいて先に進まない感じが続き、主人公の行動や言動には全く感情移入出来ず、一連の行動や言動は既に邪悪なものに惹き込まれてしまったからなのだろうとは想像しつつもどうにも歯痒いばかり。 一体少年たちは何だったの?オカルト書籍を実践したら何かを呼び出してしまった?そして、その呼び出されたものがスマホを通じてウィルに取り憑いた?キャリーも取り憑かれた?エリックに至っては宿主にされた? これだから悪魔系の作品は煮え切らない。何でもありの存在で、作品の終わり方も何でもあり。あのトンネルみたいなのは何?魔界に通じる穴? 種蒔きだけして突然終了の感が強い作品。序盤が良い感じだっただけに余計に残念な後味が残りました。雰囲気だけは悪くなかったので甘めの4点献上です。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-01 23:57:13) |
2. ヘル・ディセント
《ネタバレ》 ナチスとか旧ソ連とかを持ち出した秘密の研究施設という設定はかなり使い古されている感が否めませんし、それが地下施設というのも定番。恐ろしい研究からマッドサイエンティストが作り出した怪物、というのも同じく定番ですね。 ただし、本作は地下から逃げ出すことが出来ないままに一人ずつ犠牲になっていき、最後は主人公と怪物の一騎打ち!みたいな定番スタイルではなく、一旦は襲われて負傷しつつも地上に脱出し、新たな仲間たちとともに地上戦を繰り広げる。そして、僅かな戦力となっても怪物の撃滅のために再び地下へと攻め入る、という3回戦マッチ的な展開はスリリングで緊張感が途切れることなく楽しめました。お約束的ではあるものの、きちんと人間ドラマが盛り込まれているところも好感です。6点よりの5点を献上します [インターネット(字幕)] 5点(2024-10-09 15:12:39) |
3. ノー・ウェイ・アウト
《ネタバレ》 前半から中盤にかけては、不法移民?密入国者?の貧しさ、逃れようのない苦しさがジワジワと画面から溢れてきて息苦しいような絶望感が伝わって来ました。終盤にならないとヒロインがメキシコでどんな辛い暮らしをして来たかが解らないのが少々残念。少しだけ頭出ししておいてくれればヒロインに感情移入しやすかったかも。 そして、このまま社会派風味のホラーの線で行くのかなと思いきや、冒頭の遺跡発掘シーンが繋がって来てオカルト風味に。あの「箱」の虜となった親子二代。更には何とか戦い抜いたかに思えたヒロインも結局は逃れられなかった、取り込まれてしまったということですね。折れていた足が突然治り、身体中に力が漲り、心も安らいで行く。それはある意味、彼女が求めていたものだったのかも知れません。バッドエンドなのかどうなのか?やっぱりバッドエンドなのでしょうね。 ありがちなシチュエーション、そしてプロットと言えるかも知れませんが、出演者の真に迫った演技と思いっきり不気味な演出、そして最後に登場する怪物なのか悪魔なのかそれとも人間の欲望の具現化なのか、いろいろ解釈出来そうなクリーチャーの気持ち悪さが相まって、短めの尺ながら見応えのある作品でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-09-02 16:53:07) |
4. aftersun/アフターサン
《ネタバレ》 あまりにも淡々と進む物語。ほのぼのとした父娘のヴァケーション。娘と二人きりでこんな風に仲睦まじく休暇を過ごすなんて何て羨ましい!などと呑気に眺めていました。 でも、何か引っかかるんですよ。時折挿し込まれるカット。父親の心の闇を映し出すようなカット。この平穏な時間、幸せな日々はある日突然崩れ去るのでは?という漠然とした不安。 ラスト近くのシーンでは、娘を置いたまま夜の海に走り出す父親の姿から「もう彼は帰らないのか?」とさえ思ってしまいました。一方、現在のソフィの表情からも不安しか感じられません。古のビデオの中に残る父の姿から彼女は何を見出したのか? 愛する父親との忘れ得ぬ幸せな日々。永遠に続いて欲しい濃密な時間。しかし、その裏側でじっと息を潜め続けていた父親の心の闇。思春期だった娘。そして今、その頃の自らの姿を見つめ直しつつ気付いてしまった父のもうひとつの素顔。 シンプルな構成の作品の中に塗り込められた人の心の在りよう。難解?或いは作品世界に入って行くにあたってのハードルの高さ?観る者を選ぶ作品?それとも観る者が選ぶ作品?個人的には余韻を楽しめる好きなタイプの作品ですが、賛否両論なのでしょうね。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-08-17 22:52:51)(良:1票) |
5. 夜の来訪者(2015)<TVM>
《ネタバレ》 原作や舞台、他の映像化作品は未読・未見です。てか殆ど予備知識なしに鑑賞しました。 濃密に絡み合った人間関係とそこから生まれる悲劇性。どことなく本邦の2時間枠TVドラマとの共通性を思わせる雰囲気ですね。「え¨~!そこで繋がる?!」みたいな意外性というよりお約束感に満ちつつも、決して破綻することなく展開していく物語には、約1時間半の尺とは思えない魅力を感じました。 物語の中心をなすグール警部。登場シーンから妙に謎めいていて、かつ威厳に満ちて誰一人抗うことを許さない姿には、途中から「この人は人間ではない?」という雰囲気を感じました。結局、人間ではないような?かと言って「神」とも思えず、いったい何者だったのか?謎です。強いて言うならば、この存在は若干反則的と思えないこともなかったりしますが。(悪魔やエイリアンが登場すると何でもありになってしまう物語と近しいものがあるかも) ただ一つ言えることは、警部は集まった者たちに自らの犯した罪を見つめ直し悔い改めることを促したのだろうということ。(実際、直接的に台詞にもありましたが)しかし、それは叶うことなく結局予言的に警部が示した悲劇は現実となってしまったということ。原作が生まれた時代であれ現代であれ、暗喩的に社会、或いは個々の生き方に対する何らかの警鐘を鳴らしているように思うところです。 何度もリメイクされていることを納得の作品(原作?)でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-07-25 16:24:48) |
6. バッド・デイ・ドライブ
《ネタバレ》 元ネタ及び英語版以外のリメイク版は未見です。 運転するクルマに爆弾を仕掛けられて脅迫を受ける、という設定自体は目新しいものではありませんが、特に恨まれるような覚えもなく(正確には覚えがあり過ぎて判らなくなってる?)、同僚を目前で爆死させられ、しかも後席には愛する子どもたちが同乗していて自分と運命をともにさせられているという緊迫した状態は、特に派手なカーアクションもないにも関わらずなかなかに見応えのあるものでした。(少なからずリーアムさん贔屓ということもあったりしますが) ただ、何にしても犯人にとって都合良く事態が進み過ぎたり(あらゆる事態にも対応可能なように準備して来たとか言っちゃってますが)、警察の動きも都合良過ぎたり(包囲網簡単に突破、大量のスナイパーが無力、ラストでは追跡さえしない?ヘリどこ行った?等々)、そしてミステリーサスペンスなのに真犯人が結構判りやすかったりと、脚本的には粗が目立つと言うか非現実的過ぎるというか。家族の絆的な部分も基本的な家族関係とかが殆ど説明されていないので感情移入は難しいところ。あと、ヘザーやユーロポールの捜査官の電話の声が妙に平板なのが気になりました。 エンタメ的に割り切れば退屈せずに楽しめる作品。深く考えると興覚めしてしまう作品。といった印象でした。古希を過ぎてもまだまだ若々しいリーアムさんに+1点の7点献上します。 ちなみに、邦題はミスリード目的のような原題よりは良いかも知れませんが、カーアクションが目立つ作品でもないので今ひとつかなと。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-07-09 10:33:48) |
7. デッド・アゲイン
《ネタバレ》 少々時間があったばかりに見てしまった作品。そう、見てしまいました。 これは語れません。一応はゾンビ映画の体裁を保っていますが、何故そんな事態になっているのか?(説明無さ過ぎ)町民のかなりの数がゾンビ化してゾンビだらけってぐらいにまで事態は進行しているのに、何故突然問題化したのか?何より何故その建物に籠っているのか?(武器を調達しに行って戻って来るぐらいならさっさと脱出しなさい!) ゾンビの出る作品を作ってみたかった。ただそれだけで作られた作品なのかなと。仮にそうだったとしても世間に公開するには何かひとつはアピールして欲しかった。残念ながら目新しさとか何も響かなかった作品でした。 (追記)各国首脳が出演者として紹介されますが、ニュース映像使ってフェイク挿し込んで出演者扱いってどうなんでしょうか?? [インターネット(字幕)] 1点(2024-06-29 18:35:16) |
8. FALL/フォール
《ネタバレ》 高所はあまり得意ではない私。アンテナ塔を登り始めた後は終始絵にかいたような「手に汗握る」状況でした。こんなに手汗を感じた作品は一体いつ以来だろうか?思い出せないぐらい久々の超緊迫感に包まれました。何だかベタ付くような嫌な汗。純粋に怖くて不純物が体内から流れ出したのかと思ったりして。運動したり辛い物を食べて噴き出す汗とは明らかに違う汗。観終わって一番感じたのはそのことだったりしました。 肝心の物語については、ベッキーのお父さん(相変わらずカッコいいジェフリーさんに出会えて嬉しいです)以外は感情移入できない登場人物ばかりで、アンタらいったい何やってんの?何考えてるの?みたいな行動・思考のオンパレード。どう考えてもあまりに非現実的な流れなので、リアル「手に汗握る」状況なのに基本的には終始傍観者のノリで「んなワケないだろ!」とかツッコミまくってました。 実は幻覚でした系の演出が途中に挟まる構成はちょっと異色で面白かったですけれど、基本的にはご都合主義ばかり。猛禽を素手で倒してナイフもなしに食っちまうというあり得ない演出には苦笑でした。いくら首を抑えても両足で切り刻まれてしまいますって。だいたいからして殺されたトリさんが可哀そう過ぎてヒロイン憎し。尚更に感情が離れてしまいました。 救出シーンの割愛はある意味正解かも知れません。おそらくヘリでしょうけれど、それを描いたらまたあり得ねー世界の追加になってしまったでしょうし。 不満点を挙げればまだまだ出そうですが、そのくせ眠気を感じることもなく観終わった私。楽しんで観ていたことは否定出来ません。なので点数的には5点献上します。手に汗握り過ぎて思考がとっ散らかってしまいました。 あ、蛇足ですがもう一つだけ追記。「取り残された」と何回かベッキーとハンターは発言してますが(原語では確認していません)、この状況はどう考えても「取り残されて」ませんから。梯子のせいにしてはいけませんね、言葉は正しく使いましょう。てか、あくまでも自ら招いた状況だということを理解していないというか…。益々感情移入不能になりました。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-06-19 14:49:30) |
9. アナイアレイション -全滅領域-
《ネタバレ》 原作は未読です。おそらくは、原作を読み込んだ上で原作の世界観に照らし合わせて鑑賞すれば、もう少し楽しめたのかなと思いました。 冒頭、灯台に激突する謎の光体。それ自体が生命体あるいは生命体以上の存在なのでしょう。灯台を起点として拡大する領域内では元々の存在を分解し再構築した新たな存在が生み出される。(どうやら100%ではないようですが)その結果、領域内は外部から見れば異世界の様相を呈している。(今ひとつ不十分に思える変異ですが)これはエイリアンによる侵略なのか?それとも、知的で意図的な行為ではなく、ウィルスなどによるより本能的な生命活動なのか? 変異した生物は様々な行動や現象を起こすものの、いずれも決して地球侵略を思わせるような能動的なものではない。地球の支配者層である人間についても、血液や細胞が変異したりクローン的存在が生み出されるたりするだけで、それによって何をしたいのかは全く解らない。これじゃヒロインや夫やドクター同様「分からない」ばかりでお手上げです。伏線回収も今ひとつ物足りないところですし。その割にはヒロインの浮気シーンとか挟んだりしてますが。 SFというジャンルは昔から好物ですが、哲学的なテーマなり冒険活劇的なテーマなり、何か明確なテーマを提示してくれないとどうも個人的にはスッキリしないと言うか、作品世界に没入出来ないです。 冒頭に書きました通り原作未読です。なのであくまでも本作のみの感想としてですが、今ひとつ楽しめないで終わってしまいました。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-05-20 13:50:06) |
10. 一分間タイムマシン(2014)
あまりに短い尺なのでネタバレなしにします。アイディア一発(誉め言葉です)のウィットに富んだ小粋な小品。たった5分余りの短な尺とは思えない濃さを味わえました。作り手のセンスの良さが光る佳作。ピンポイントで好みの作品に9点献上します。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-04-17 14:06:11) |
11. The Son/息子
《ネタバレ》 両親の離婚が一つの引き金になっているのかも知れませんが、現状に失望し将来に何一つ希望を持てなくなってしまった17歳の息子。自らの経験もあって旧態依然とした親子関係、父親のあるべき姿、息子のあるべき姿に捉われ続けることしか出来ない父親。只管に息子を溺愛することこそが母の愛と信じる母親…。 キャラクター設定はとことんベタです。ですから、その登場人物たちが織りなす親子のそして夫婦の愛憎劇もベタです。大いに既視感があり、特に斬新なドラマとは言い難い作品です。 なので、俳優陣の熱演が楽しめる良作(いろいろ言いつつも2時間超集中して鑑賞していました)とは思いつつも、殆ど感情移入出来ずに(反論する意味で逆に感情移入していたのかも知れませんが)終わってしまいました。ラスト近くの出来事も、その後父親の見る幻影も想定内、と言うかある意味予定調和的に受け止めてしまい、物語の落としどころ的にそれで良いのか?という疑問が残りました。ラストシーンも然りです。 前妻から主人公を奪い取った?今の妻の視点がもう少し欲しかったかなと思います。登場人物中(したたかささえ感じるぐらいに)最も冷静に3人の関係を観察していた人物。ラストシーンではすっかり傷付いているであろう前妻は姿を見せず、今の妻だけがクローズアップされます。その彼女の姿が、仕草が、言葉が意味するものは、果たしてこの物語を締めくくれるものなのでしょうか?ただただ疑問でした。 監督の前作が素晴らしかっただけに残念でした。「家族三部作」の残る一作の映画化に期待したいと思います。 ちなみに、私もドラム式洗濯機が一度ならず登場したことに若干の恐ろしさを感じていました。ホラーじゃないんだから大丈夫、と思いつつも杞憂で良かった。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-03-25 13:24:18) |
12. ワン・デイ 23年のラブストーリー
《ネタバレ》 ネットの動画サイトで本作を観て号泣する自撮りをアップすることが流行っているとの情報を聞き、どっちかって言うと感情移入して号泣しがちな自分的にも泣けるだろうかと思い鑑賞。しかし、裏切られた感じです。 まず第一に主役の二人にま~~~~~ったく感情移入出来ない。寧ろ嫌い。特に男の方は顔立ち、語り口、生き方等々どこを取っても嫌いです。そんな男に惹かれる女の方も必然的に嫌いです。二人ともズルい!いや弱い?良く言えば自分に正直過ぎ? なので、感動の物語との事前情報を聞きつつも気持ちが入らない。泣けることが期待出来ない。終盤に向けての衝撃的な展開も普通に先読み出来てしまったし、ラストシーンも想定内。何とも残念でした。 物語が毎年の記念日ごとに綴られて行くという手法、肝心な部分であっても他の時期に起きたことは割愛するというスッキリした演出、その時々の二人の関係やそれぞれの心境などが見事に演じ分けられていること、美しい街並みやドラマチックな抱擁シーン等々、作品としての魅力は沢山あるのに、肝心の物語の筋と主役のキャラクターが足を引っ張ってしまった感じです。 決して駄作とは言いませんし、これじゃ誰が観ても感動出来ないなどとは言いませんが、個人的には只管残念な作品に5点献上です。 (追記) 最初に書いた動画サイトでの話は最近のことなので、もしかしたら本作のネットフリックス版が対象なのかも知れませんね。最近のリメイクなので。でも、基本的に同様の内容のようなのでそちらは観ないと思います。15エピソードには耐えられそうもないので。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-03-21 12:51:32) |
13. ラストナイト・イン・ソーホー
《ネタバレ》 端的に言えば「ちょっと風変わりでお洒落なファンタジー・サスペンス・ホラー」とでも言いましょうか、結論から言えば気に入りました。ダブルヒロイン2人の魅力は勿論のこと、脇を固める出演者たちの存在感も半端ない。そしてカラフルで見事な映像とそれを盛り上げる音楽。大いに満足です。 評価点や疑問点は既に皆さんに殆ど語り尽くされている感がありますので、極力重複する部分を除いた自分なりの感想を以下に少々書かせていただきます。 エロイーズの「力」とは霊が見えるということなのでしょうか?郷里に居た頃のエピソードは特に語られておらず、彼女には鏡に映る亡き母の姿が見えるだけです。特に亡き母と語り合うこともないようです。 一方、ロンドンに来てからは夜毎いろいろと見えて来ます。見え過ぎちゃってタイムリープものかと見紛うぐらいです。そして、徐々に登場する助平オヤジたちは亡霊ですが、そもそも彼女を惹き付けたサンディは結局生霊だったのか?生霊となれば話が違う。生霊が夢に現れる?じゃ、サンディこそ強力な「力」の持ち主?だからオヤジ霊たちもサンディを恐れて祟ることなど到底出来なかったのかも。あんなにおどろおどろしくてエロイーズに物理的に接触するぐらい強かったオヤジ霊が、一転して無様な臆病者面になってしまうあたりは笑ってしまいそうでした。 また、考え方を変えればエロイーズの「力」の強さ故、階下に眠るサンディの悪夢を察して過去の物語を再現していたのかも。サンディが犯した罪を悔い無意識下で常に悔やみ続けていたのであれば、そこにエロイーズが入って行って過去の悲しくも忌まわしい事実を感じてしまったのかも。 結局サンディは今度こそ亡霊となってエロイーズの前に現れる訳で、とり憑いて悪霊化して欲しくはないところです。 それと、ジョンの叔母さんも「力」があるのですね。だからこそ彼は、自身は「力」がないまでもエロイーズの「力」を感じ接近して来たのかも。そして彼女の本質を理解出来るからこそ、殺されかけても近くに居続けてくれるのかも。ちなみに、彼が叔母さんを連れて来てエロイーズのピンチを救う、なんて月並みなオカルト物語にならなくて良かった。 それから、テレンスさん演じる謎の老人がジャックだとミスリードされることはなかったですね。彼が亡霊として登場していれば別だけれど、登場の仕方や雰囲気が基本的に善玉感ありありでしたし。まさか、サンディを救おうと声掛けした男だとは思いませんでしたが、後になって考えてみればそれ以外なしですよね。 戯言で失礼しました。 改めて感想を。古いビルに自らの人生を封じ込めざるを得なくなってしまったサンディが、期せずして現れた彼女の過去を視ることが出来てしまうエロイーズを、一度は消し去って現在の平穏を維持しようとしたものの、土壇場になって過去を悔い改め自らの全てを消し去る道を選んだということでしょうか。いずれにしても、ひさびさに満足できるホラーに出逢えました。8点献上です。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-03-13 14:29:37)(良:1票) |
14. MEN 同じ顔の男たち
《ネタバレ》 一見した限りでは所謂不条理系スリラーと言うかホラーであって、スクリーン上に展開されるヒロインが遭遇する出来事は全て事実なのかなとも思えるのですが、ヒロインが出会う男たちが皆同じ顔をしていて、にも関わらず彼女は(おそらく)それに気付いてはいないという状況を考えれば、男性に対する彼女の激しい嫌悪感(必ずしも夫に起因するものではないでしょう)が夫を除く全ての男性を「男なんて皆同じ」という認識に立たせていることを表現しているのかなとも思えます。 とすれば、元々なのか離婚問題によるものなのかは分からないまでも、全ては精神を病んでいるヒロインが感じ取っている事象、つまりは彼女の精神世界、端的に言えば妄想なのかも知れません。同じ顔の男たちを始めとして、トンネル、裸の男、タンポポの種、教会に鎮座している生贄台?等々、全てはヒロインの脳内においてシンボライズされているもの。そして作り手にしてみれば、それらをメタファーとして配置することで観客にテーマを伝えているのかも知れません。そう考えると結構スッキリします。ただし、言うまでもなく単純に個人レベルの即物的な性の問題ではなく、より歴史的であったり文化的であったりする性の問題がテーマなのでしょうけれど。 疑問は残ります。何故夫だけは違う顔、違う人種なのか?ラストシーンで来訪する親友は何故妊婦なのか?出産を繰り返す男たちの有する異質感と、訪れた妊婦が有している本質感の対比が意味するものは何なのか?そしてヒロインの晴れやかな笑顔は?どの疑問についても、答えが見つけられそうでいて容易には見つかりそうもない。難解です。難解モノは好物ですので7点献上します。もう一度見たら、良くも悪くもおそらく評価は変わると思いますが。 それにしてもロニー・キニアさんの怪演は見事ですね。微妙に嵌め込み感のあるモンローマスクの少年?も含め、とんでもなく自然な演技(メイクのおかげもありますが)で、始めは同一人物と気付かずに観ていました。でも、そのモロに同じ顔ではないところがミソなのかも知れません。もっとも、まるっきり同じ顔だったらコメディになっちゃうかも。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-03-07 13:34:42) |
15. 彷徨い
《ネタバレ》 裕福で社会的な地位もあって幸せそのものというヒロインの現況であるはずなのに、全編通じて重い空気感に満たされていてヒロインの不安感ばかりが前面に押し出されている感じ。どことなく観ていて気持ちが落ち着かない作品です。 冒頭のシーンから考えて、謎の黒人青年は彼女の過去を知る者であるというのは容易に想像がつきますし、妹とともにヒロインの生活圏内に入り込んで来ようとしているのも明らか。名前をタイトルにして章立てしている構成からも、解り易いストーリー。復讐譚であろうことは早々に察しがつきます。 ヒロインが夫の元から逃げ出すまで、黒人系の女性ということで周囲から差別的な接し方をされて来たようですが、生活エリアを変え名前を変え、裕福な夫と結ばれて申し分のない社会的地位までも手に入れながらも、自らの黒人的髪質を嫌いウィッグで縮れ毛を隠しながら何かに怯えて生きる姿には今ひとつ感情移入出来ません。そんな様子で18年間も生きて来て今の生活に辿り着けたのだろうか?みたいな。作品テーマのひとつは人種問題なのでしょうけれど、その部分で押して来そうでいて押して来ない感じ。 そして後半。ヒロインの実子兄妹が家宅侵入し「ファニーゲーム」さながらに傍若無人に振舞う展開になると、作品テーマは更にぐらついて来ます。あれ?メインテーマは人種問題じゃなくて日常に潜む狂気?良く解らなくなって来ます。 更にはヒロイン、今再び家族を捨てて逃亡。18年前とは形を変えているとは言え、ここでも彼女は逃げ出す訳です。否、逃亡ではないのかも知れません。警察に駆け込んだのかも。でも、だったら隣家に駆け込んだ方が早いかも。チャンスなんかいっぱいあった訳だから。何だか釈然としないエンディングです。少なくとも家族愛がテーマではないようです。 結局、全編通じて非現実感が先行し過ぎていることが、今ひとつ作品世界に入り込めない理由かも知れません。DV夫から逃げ切り、偽名で裕福な男性と再婚(離婚出来たの?内縁だったの?)、私立高校の副校長に就任、満ち足りたセレブ生活。無理でしょう、その生き方。破綻材料だらけです。だから、感情移入も出来なければワクワクドキドキも出来ない。常に不完全燃焼が維持されてる感じ。 ヒロインは冒頭から精神的にかなり不安定な様子で、それは裕福な生活になってからも変わらないようです。いっそのことセレブ生活は全て幻想だったみたいな夢オチ的物語の方が納得できたかもしれません。 何とも後味が悪く、と言うか後味が感じられず、さりとて面白くない訳でもなく(我ながら矛盾してますが)、迷った挙句4点献上します。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-11-30 14:26:51) |
16. ビフォア・マイ・アイズ
《ネタバレ》 タイムパラドクスもののショ-トフィルム。正直なところ、過去を変えることで最悪の事態を回避しようとする物語は既に数多製作されて来ており、何故今更これを、しかもショートフィルムという方法を選択して撮ったのだろうと思えてしまう作品。 ちなみに、縫いぐるみと着ぐるみで登場するキャラに随分と時間を割いていますが、このキャラは知りません。何か作品のテーマに通じる特別なニュアンスがあるのでしょうか?ただ、それがあったとしてもこの16分という限られた尺に差し込む意味があるのかどうか? 人生の最期の瞬間に人は走馬灯の如く人生を振り返ると言われているように、ヒロインもまた死の瞬間に人生を振り返る訳ですが、その走馬灯の一部にピンポイントで入り込んで時間を遡るという点が本作としてのアイディアなのかなとは思います。しかしながら、やはり敢えて製作した意味としては弱い上に、少々強引かなと思えてしまい、3点献上とさせていただきます。 [インターネット(字幕)] 3点(2023-11-09 16:16:16) |
17. 355
《ネタバレ》 豪華キャスティングによるスパイアクション。ただし、ストーリー的には特に斬新と言うこともなく、典型的と言っても良いような既視感溢れるストーリーです。正直言って意外性はゼロ、どんでん返し感は感じられません。 とは言え、2時間の尺がひとつも中だるみすることなくスピーディに展開。文句なしに楽しめることは間違いありません。けれど、その上で感じてしまうモノ足りなさは一体何なんでしょう? それはひとえにキャスティングなのかも知れません。豪華だし、魅力的だし、ビジュアル的にも申し分ないのですけれど、この人じゃなきゃダメ!みたいなベスト感溢れるキャスティングではないのです。具体的に誰がどうということではなく、それだけに「じゃあどうすればいいの?」といった問いに対する答えはありません。観終わった後、それがモヤついて堪らないのです。 面白いです。楽しめます。されど物足りない。なので甘めでも6点献上止まりです。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-11-06 20:12:46) |
18. ザ・デッド インディア
《ネタバレ》 (前作は未見です) 今や、やや古風とさえ思えてしまうオーソドックスなゾンビ作品。それは批判的な印象ではなく、あくまでも好印象です。 ノロノロと歩くゾンビ。初見で何が起きたか把握できない状況にでもない限り、急いで走ればかわせるし逃げ切れる。特殊メイクや効果はリアリティを追求した高度なものというより、生者と死者(感染者?)を明確に区別できる程度。それでも十分グロさは伝わる。グロはあってもサービスカット的なエロは皆無。実に好感が持てます。 そして、出稼ぎ的な米国人ニコラスが現地の女性イシャニと恋に落ち彼女は妊娠。彼女の父親は二人の関係を決して許さない。けれども、過去に類似の状況で躓き傷付いた経験のある彼は、米国に独り逃げ去ることが出来るにも関わらず、命の危険を冒してまで彼女を救いに走る。いいですね~、国籍や人種を超えた人間ドラマが真面目に盛り込まれている。恩人的な位置付けの少年ジャベド(この子役の自然な演技は好きです)との交流も良いです。彼の大切にしていた縫いぐるみエピソードもキッチリ回収してくれていますね。そこでお約束的に母子の感動の再会がないところも良いです。 そしてラストシーン(激しくネタバレですが)、ゾンビから逃れたニコラス、イシャニ、ジャベドの3人が、軍の攻撃によって地下に閉じ込められてしまう。バッドエンドなのか、それともかつてジャベドが教えてくれた伝説の如く、3人は(魂の世界でかも知れませんが)そこを抜けだし幸福になれるのか?単純に悲劇的な終わり方をすることなく纏めたあたりも好感が持てました。 B級ホラーと言えばそうなのかも知れませんが、昨今数多製作されるゾンビ作品の中では良心的な佳作と思われ7点献上します。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-10-23 10:05:35) |
19. リピーテッド
《ネタバレ》 ベースになっている身体状況等は様々ではあるものの、主人公が前日までの記憶を失ってしまうという設定の作品は、これまでにも複数ありました。本作もその1本ですが、事件発生時から後の記憶が消失しているのではなく、更に遡ってある年代から後の記憶が消失するという設定のためか、事件の発端やそれに至る経緯が省略されてしまっていて、話が進めば進むほど何となくご都合主義的に思えてしまいました。 朝目覚めると記憶がない。目の前に居る男性が誰なのか判らない。主治医を名乗る男性から突然の電話がある。デジタルカメラの動画記録を頼りに少しずつ記憶を積み重ねていく。それと同時に断片的に蘇る事件の記憶。夫、主治医、親友…一体誰を信じたらいいのか?あの日、一体何があったのか? こうやってプロットを書き連ねていくと非常に魅力的なサスペンス作品に思えるのですが、主演の二人、いや三人の演技に惹き込まれながらも、随所に見受けられる矛盾や不合理によって観ている側としてはトーンダウンするばかりです。 記憶障害と言いながらも殆どタイムループみたいな世界。かと言ってタイムループものにしてしまうと、ありきたり感が高まってしまいそう。スタッフ、キャスト、しっかり固めても、肝心のストーリーが弱い。惜しい作品だな、というのが第一印象でした。甘めに6点献上します。 ちなみに、題名は原題の方がお気に入り。邦題はストレート過ぎるような。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-10-19 23:19:43) |
20. キャッシュトラック
《ネタバレ》 無敵!死なない!ファンのお望みどおりのジェイソンが見られる本作。只管スカッとしたい人にはある意味お薦め。多少のあるある感は無視して、ただただ集中あるのみ。 ストーリー的にはクライム・サスペンスの王道を行くようなシンプルな構成。意外性はほぼありません。思ったとおりの展開というか実に想定内です。強いて言うなら、ジェイソンの正体がギャングのボスだったこと。この際、元特殊部隊員だろうがCIAエージェントだろうが武道の達人だろうがあまり関係ないのですが、被害者も悪党だったとは。そこは意外、というか残念でした。 それでも惹きつけられる。やはりその理由はひとえにジェイソン様々。カッコいいですよ、ホントに。いつかは衰える時期が来るかも知れませんが、脂の乗り切ったアクション俳優である今こそ、より多くの作品にチャレンジし続けていただきたいと願うばかりです。 ちなみに元ネタは未見です。ジェイソンが出ないこのストーリー。しかも仏映画。少なからず興味津々。しかも、元ネタの英題が「CASH TRUCK」なのですね。 [インターネット(字幕)] 8点(2023-10-08 22:48:21) |