1. サンシャイン 2057
《ネタバレ》 映像といい、話といい、一風変わった感じで、なるほどダニーボイル監督だなぁ という印象でした。 太陽に対する恐れと憧れ、宇宙船の中の閉塞感・外に出たときの圧倒的大空間への 恐怖など、映像的にはいいなぁと思えるシーンがたくさんありました。 でも、お話やキャラクターがそれについていってないというか、薄味すぎる 感じはありましたねぇ。なんでそんなに使命感に燃えてるのかがイマイチ伝わって こない為(地球のシーンがほとんどないため、地球滅亡が胸にせまってこないんですわね)任務の為仲間をすぐに「人減らしする計算」を始めたり、殺すことを決断できたりするこの人たちに、どうも違和感があるのは私が単にセンチメンタルなだけでしょうか??まあ、やらなくちゃ地球が滅亡するんだから、そりゃ、必死になるのは わかるんですけど、、その割にはうっかりミスが多かったり、危険予測が甘かったり のシーンが目立ちましたね。イカロス一号からの密航者がいることに気が付くのが 遅すぎませんかね・・・。というか、誰も見張ってなかったんかい!! 結局、みんな「死にたがり」なのかい?と思うくらい真田広之はじめあっさり自分の 命はあきらめるし、その辺がねぇ・・・・。地球を滅亡から本当に救おうとしている 人たちとしてはあまりにも、暗い人たちでしたねぇ・・・・。イカロス一号 の映像のフラッシュバックは本当に薄気味悪かったです。 [DVD(字幕)] 6点(2007-09-25 14:39:02)(良:1票) |
2. ブラックブック
《ネタバレ》 ヴァーホーベン監督の良い持ち味は、なんといっても「エグさ」と 「いい意味での常に客観的な視線」にあると思います。 戦争やユダヤ迫害を描いた映画はたいてい、よく言えば「感動」「生きることの素晴らしさとそれを奪われる理不尽な悲しさ」を描いたものが多く、でも、ぶっちゃけ「主観的すぎ」「子供とかだしてこられたら、そりゃ誰でも泣くわい!!」「テンポ悪い」等の感想を抱きがちでもあります。(日本の8月前後にわんさか放映される戦争ドラマがいい見本でしょう) この「ブラックブック」に関して言えば、とにかくものすごいテンポがいいです。 大変残酷なことが次から次へと起こるにも関らず、感傷的なシーンはほとんど ありません。その代わり、エロシーン・脱ぎまくりシーンは多いです(笑)そして、ユダヤ人・オランダ人(レジスタンス)・ナチス・英米軍、、 どの立場に対しても、必要以上に偏って味方をしている映画ではありません。というかみんなそれぞれ、嫌~~なやつと普通の人が混じってる。 この「公平さ」って単純にすごいなぁ~~と思いました。 「どこにだってワルはいるんだぜ。ナチスだけ、 戦争そのものだけ憎んでも戦争はなくならない。人間の中の悪がなくならない限り・・」というメッセージが明確にわかりやすく伝わってきます。 そして、ヴァーホーベン監督はこの映画でも、女性に対して、いつもの通り(笑) 脱ぎ散らかしまくり、下世話なシーンいれまくり、なのですが、 なぜかいつも、「この人ってもしかして、本当はフェミニストなんじゃないのかな」と 思わせてくれます。だって、監督の映画にでてくる女性は本当に、いつも、たくましく、強く、ずる賢く、本当の物事を見定める鋭い眼を持っていたりします。 エグイシーンのせいで、女性や良識ある男性からは 嫌煙されがちな映画かもしれませんが、生きることの本質的なものを本当にリアルに 描いていると思います。下の毛を染めているシーンに拍手です。染めなくても 手入れはみんなああいう風にしてるんだい!! [映画館(字幕)] 9点(2007-09-25 14:08:46)(良:1票) |
3. ハンニバル・ライジング
《ネタバレ》 あまり前作の「ハンニバル」の映画が好きじゃない私としては、この「ハンニバルライジング」の方が、原作や「羊達の沈黙」のレクター博士に抱いたイメージに近かったので、なかなか面白かったです。(脚本もトマスハリスなので、そのせいもあるのかな) もちろん、レクター博士の後々のあまりの怪物殺人者っぷり を考えると、この作品でのハンニバル君は、まだまだ、控えめ・初心者な部分がたくさんありますが、年齢や、人生で唯一「癒し&愛」を与えてくれたレディ紫の存在を考えると、この時期が最後の人間→←怪物期だったのかな、とそんなに殺人のぬるさに関しては気になりませんでした。完全に怪物化して、超人化したハンニバルよりも、 こういう人間らしい部分を残したハンニバルを見せてもらって、ますますレクター 博士の事が好きに、というか、気になります。 妹を食べられた過去については、あれが後の全てのレクター博士の素ではないでしょうね。ただ、、前に本で読んだのですが、レイプされた女性のなかにはその後、わざと 売春や援助交際などをして、自分の身を汚そうとする女性が居たり、虐待を受けて育った人間の方が、普通の人より自分の子供を虐待する率が高かったりするようです。 なので、必ずしも、人間は「やられた傷」を再生して生きていこうとするより、 深すぎる傷をうけた人は、その傷を自ら掘るような事をして、生きていくしかないという場合もあるようで、レクター博士は、確かに、人間であることをすて、 再生する道も捨てて生きていく道を選んだのでしょう。 レディ紫を演じたコンリーが大変魅力的で、ただし、日本テイストについては、 中国と混ざっていて、日本人からみたら違和感はありました。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-28 11:50:00)(良:1票) |
4. トゥモロー・ワールド
《ネタバレ》 感動した。自分が去年子供を産んだばかりという個人的事情 もあるのかもしれないけど、なんだか、全部、感動した。 この映画が「SFなのか?」って言われたら私はそっち 方面には詳しくもないし好きでもないけど、たぶん違うなぁ って感じなので、パッケージ・トレイラーはちょっと誤解を招きやすいですね。 設定は未来だけど、ものすっごい身近な話でした。 というか、これは基本的に「普通の能力しか持ち得ない人たち」 が困難な状況においてどう行動したか、の物語であって、ヒーロー・ヒロインたる人物はいない。特別な能力・魅力を持った人たちが未来社会で悪者を倒したり、世界を 救ったりする話では全然ないでしょ。だから、私は「設定の細かい所の謎・結局 何も解決してない終わり方」は気にならなかった。 えっと、、日本の第二次世界大戦時代を描いた映画とかドラマとかを見てる 感覚と結構似てた・・。「そっちに行くのは(トゥモロー号?)間違い かもね」とわかりつつも、「でも、この場合、そっちに行くしかないしなぁ」 っていう気持ちがすごくわかるというか・・・。普通の人が戦争時とか、 とんでもない状況にいたら、怪しくてもなんでも、たった一つの希望にすがってしまう だろうし、それは正しいと思う。消去法でアレなのよね。 不妊社会も本当にありそうだし、テロ社会も身近。こんなに身近な未来を見せられたら、子育てにも気合が入りなおしますって!。ベタなんだけど、赤をみて、動きが とまっちゃうみんなの姿に説得力があったなぁ。赤はみんなの宝なの。子供が 犠牲になる社会はクソ。そのことがちゃんと描いてある時点でこの映画はすごいです。 [DVD(字幕)] 9点(2007-03-31 13:37:20)(良:2票) |
5. ラビリンス/魔王の迷宮
《ネタバレ》 子供の頃の奇妙な夢をそのまま立体化したような迷宮が大好きでした♪ こんなラビリンスなら行きたい!!と熱望していたなぁ・・・。魔王はかっこいいし、 仲間達は最高にイカしてるし!大人になってあのかっこいいお色気魔王がデビッドボーイという人だとしり、実際のロックスターっぷりを目にして、「あのファンタジーに 魔王役で出演というお茶目っぷり・・・本物だわ(惚)」とますます惚れました。 ジェニファーの美少女っぷりも綺麗だし、なんていうか、これこそ私にとっての 正しい(?)不思議の国のアリスです。パペットたちの味のあること、あること、、 見事だし!!セットはさすがに、今見ると、舞台みたいだけどね(汗) 日本で魔王役をやるとしたら誰だろう・・(考える必要のないことを 考えるのがオバサン)やっぱ日本の誇る?ツンデレ王子、ガクト? ジェニファーの役は浅田真央ちゃんでいかがですか?(演技しないで素でいくしか ないけどさ) [ビデオ(吹替)] 10点(2007-01-05 23:38:05) |
6. レリック
《ネタバレ》 割と面白かったです。怪物があんまり強くないな・・・とは思ったけど。 もし、博物館がロックされてなかったら、簡単に軍が退治できてたレベルの怪物でしたね~。役者さんが渋い配役で、そこが普通のホラーとちょっと違う感じで好きです。 トムサイズモア、かっこよい!館長さんもいい味の人ですよね、この映画には もったいない気がしましたよ。 [DVD(吹替)] 6点(2007-01-05 18:08:29) |
7. キングダム・オブ・ヘブン
《ネタバレ》 結構グラディエーターと共通してるテーマの映画だと思いました。 主人公が王女とホイホイ結婚しないことがこの映画の一つのポイントと なっていると思うが、それについては「不倫はヤダ」という単純なキリスト教徒的 理由ではなくて(その前に既に寝てる・・)「アホ夫を殺して→王女と結婚して→権力を得る」っていう流れが、主人公の思う「妻を失い、司祭を殺した自分を償う道」と矛盾しすぎていて、そっちに流されなかったんだろうな、、と私は思いました。 バリアンという人は、女の色香には弱く、自殺した妻の死を侮辱されたからといって 司祭をうっかり殺してしまうし、「完璧な男」ではないわけですが、 それでもいっちょまえの「罪悪感」があり「誰かの為に自分をささげる場所を探している」という無欲な求道者な部分が、みんなを引き付ける、という設定なのかな、、と なんとなく。 リドリースコットはたぶん・・・ですが、イラク戦争についての批判的な意味も こめてこの映画を作った所もあると思え、あくまで、「権力を得る為(たとえそれが 防衛的な意味でも)に誰かを殺してのしあがる主人公」は描きたくなかったのかな。 権力欲のない主人公・・といった意味ではグラディエーターのときのラッセルと 同じだなぁと思いました。 まあ、どちらも、「お前が王女とさっさと結婚しとけば、国民の犠牲も もっと少なくすんだんちゃうんかい」というジレンマがあるわけですが、 でも、私も本当のヒーローって「自分は地位は要りません」的な人かなあ とも思うので、今回のバリアンもでしゃばらない部分はまあ好きですよ。 でも、オーランドくんにはやはりラッセル程の「ヒーローオーラ」が全くなく、 そのせいかストーリーがどうも淡々としてしまいましたね。 戦闘シーンも迫力があっていいし、敵役や脇役もとっても魅力があるのに、 どうも薄味な感じの主ストーリーが、それを生かせてなかったようです。 いっそのこと、エルサレムに着いた所からのストーリーにしてしまって (回想でなんとかする)、もっと王や王女や父親とのエピを濃いもんにしておけば傑作になったかも。惜しい感じ。 [DVD(吹替)] 7点(2007-01-05 18:01:54) |
8. ユナイテッド93
《ネタバレ》 9・11関連の物語は、あまりにもあの当時の衝撃がまだ強すぎて冷静には 観れなかった。ドキュメンタリー映画としては良い出来だと思う。必要以上に 登場人物の感情表現をしない所が、リアルに見える。テロリスト側の頼りない 感じや困惑も、現実っぽい。でも、現実っぽいからこそ、この映画は危険・・とも いえる。結局、ホントのホントの真実は闇に包まれている・・んだろう。 でも、テロリストも乗客もみんな亡くなった。それは真実。そのことだけでも 十分重い。本当に・・・・20年後、30年後も人類はこの日を忘れるべきでは ない、と思う。そういった意味で、この映画はずっと残って欲しい。たとえ描かれて居ることが全て真実ではないとしても。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-02 14:43:09) |
9. ディセント
《ネタバレ》 最初の夫と子供が死んでしまうシーンが意味も無くショッキングで印象が強く、 そこからこの映画にグンと引き付けられ、入り込めた。 地底に入ってからは、いろんな意味で画面もストーリーもイライラする。画面は暗くてよく見えないし、登場人物たちの要領の悪さがすごすぎるので。 まあ、これはホラー映画なんだから、そりゃ~、そんな簡単にシガニーウィーバーみたいなスーパーウーマンを出したらこの話、終わっちゃうし (地底人はとってもヨワ・・・なのでシガニーだったら秒殺出来るとミタ)おバカさんたちが次々一人ずつ殺されていくのがこういうホラーの醍醐味なんだとは思うんだけど・・・この映画、珍しく登場人物が、全員女性なんですよ。 なので、どうしても同じ女性としては「もっと、冷静にしっかりせい」と イライラは募る。まあ、要するに普通の人たちなんですけどね。 でも、映画を見終わっての感想としては、「あれ?この映画の狙いってもしかして、 地底人にやられる怖さじゃなくて、、女性だけで閉鎖的・絶望的状況に追い込まれた 時の怖さを描きたかったのかね?」と気が付いた。普通に考えて地底人に関しては スペックが弱すぎる・・・というか、何で目が見えないのに地上にでて?など突込み所が多い。だいたいヤツラ、素手でも倒せる程度の運動能力(笑) 要するに、この状況って、「全員どうしても助からない」と言い切れる程でもなかった。みんなで協力し合って、地底人と戦いながら上手く出口さえ見つけられれば、生き残れそうな状況。でも、それが出来ない女達。「地底人」は単なる道具であって、 この映画で本当に描きたかったのはやはり女性の「建前と本音が全然違う」「ヒステリー」「嫉妬」「見栄っ張り」みたいなことの怖さなのかも。ま、男性だってそういう 性質をもった人はたくさんいるけど、やっぱりこういう極限状況だと女性のそういう特質があらわになりやすく、最後まで結局本音で話し合うことなく死んでいく主人公達が 、、、ね。やっぱ、女だな、って思いました。友達の夫と寝といてその夫が死んだあとに、その友達と一緒に地底冒険に出ようとする、これって、地底人がいなくても既に ホラーだよ。 [DVD(吹替)] 6点(2007-01-02 14:05:45)(良:2票) |
10. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
《ネタバレ》 今までの007シリーズがあまり好きでは無かった私の理由としては、 「ボンド、スカし過ぎ・・」ということが挙げられるんですけど(笑)そういった意味では、今回のボンドはと~~っても、人間くさくて、スカしてない(というかスカせない)、不器用なボンドで、そこがかえってセクシーで魅力的に見えました。これで、次回作からもしスカしたボンドになっていても、過去がわかってるから違和感なく観ることができそうです。 恋愛映画としても結構説得力があって、今までのどこか薄っぺらいお遊び的なボンドガール達との恋愛とは違って、今回のエヴァ・グリーンとの恋は真剣さが伝わってきました。エヴァは本当に適役だと思います。あの、フランス女優独特の「脱がなくてもセクシー、脱いでも安くならない」という高飛車で気難しい雰囲気が、一筋縄では行かない感じで、ボンドとのセリフのやりとりも、見事はまってましたね。実はツンデレ?で 頼りない所が、初心者ボンドのツボにはまって、恋に落ちていくさまが納得。 この役は、相当の美貌と、繊細な知的さが必要なため、なかなか他の人でははまらなかったと思います。エヴァにとってはこのカジノロワイヤルは当たり役ではないでしょうか。それはダニエル・グレイブについても同じことで、彼の元々持つ、「原始人(笑)」的ルックスを上手く逆手にとって、今までのボンドとは一味違うボンドを 作り上げたと思います。そう、ある意味、今までのボンドじゃ、もう、つまらなかったと思う。ピアースブロスナン的、ショーンコネリー的、「スマート?にやけてる? やたらと万能ですね?」なボンドは時代遅れって事。 CGに頼り過ぎないアクションシーンも新鮮。走りまくるボンドが新鮮。 オールドスタイルに見えて、新しい映画。「初心にかえる」ってこういうことか。 [映画館(字幕)] 9点(2007-01-01 12:25:11) |