1. ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
《ネタバレ》 秘書はリリージェームズだったんだ。花を添えていた。彼女無くしてでは、印象が全く異なる作品となっていただろう。 チャーチルと彼女との会話で、主人公の若干の弱さが描かれる。これが作品を引き立てたものと思う。 それにしても、連合国側にしても戦禍無視しての戦の進め方、戦前の軍国主義の日本と然程変わらぬところ、或る種発見でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-09 20:35:15) |
2. ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
《ネタバレ》 昔、ロバートレッドフォードとダスティンホフマンが同じワシントンポストの記者を演じ、ウォーターゲート事件を描いた、大統領の陰謀、なる作品があった。本作は、それに先立つベトナム戦争の実態隠蔽をやはりポスト紙記者が暴く作品。 但し、地道な取材を通じてでは全く無く、いわゆるタレコミ的な情報ソース提供の資料を掲載に踏み切るか否かの葛藤プロセスが克明に描かれる。 記者の奮闘というより、民主主義国家に於いて報道がなすべき責務を新聞社として如何に遂行すべきか、国家反逆罪扱いなのか報道の自由なのか、揺れる者達の群像劇の映画。 トム・ハンクスもメリル・ストリープも、本来の個性は打ち出さず、役に徹した演技、それはそれで熱演だが、に終始する。が、この映画の最たる見所は、アメリカが培ってきた、否、今も培いつつある、民主主義の危機に瀕したときの具現化を丹念に描いているところだろう。 どうしても今のこの時期、59期目の元首を選挙で選出している最中の今のアメリカと比較してしまう。 第45代大統領トランプのこの4年間と選挙敗戦に際しての見苦しいこと甚しい往生際の悪さを、相当数の有権者が受け入れてきたアメリカと、この映画で描かれたアメリカ、どちらも本当に同じ国家なのか考えさせられてしまう、そんな映画。 日本も国民の半数近くは今の政府のコロナ禍対策を一定評価していると云う。劣化しているのは世界的な潮流なのかも知れない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-09 20:24:47)(良:1票) |
3. イエスタデイ(2019)
《ネタバレ》 ビートルズの記憶を失っていなかったのは他に二人居て、その登場がこの物語の展開上、効いている。 70代で元気なジョンレノンが出てくるところ、ああ、この映画はファンタジーだったんだな、と思わせる。そこからラストまで、昇華される感じで観ていてとても気持ちが清々しくなった。 主人公を支えるヒロイン、とても魅力的、もうそれだけで君は十分、人生を謳歌しているじゃないか、と云いたいところ、それがラストで具現化される。 HeyJudeをBGMにエンドロールを眺め、元気をくれた、と貴女も貴方も思う筈だ。 [インターネット(吹替)] 8点(2020-05-06 11:30:04)(良:1票) |
4. スラムドッグ$ミリオネア
《ネタバレ》 二つの点で少し困惑した。 ひとつは、前半と後半のToneが異なること。前半、極めて過酷なインドの貧困が描かれる中、翻弄されながらも生きる術を得ながら、文字通り生き永らえる兄弟と女の子の生きざまが描かれるが、後半は前半以上にテンポアップするも、クイズ番組進行を中心とした、徐々にHappy Endを予感させる展開に急変していくところ。 ふたつめは、傑作な映画に共通な、各種エピソードが個々に完結していく例の通り、「Destiney(運命)」というKeywordが主題になってくるが、それは少し打ち出し過ぎではないか、ということ。 しかししかし、そんな困惑有ろうとも、率直、観て良かった映画だ。そう云いたい、これから観ようとする方々には。 主人公ジャマールの幼少の子役が素晴らしい。一貫して自分を押し通す頑固さと純粋さを捨てずに生きていく。前半、貧困の中で幾つかの数奇な体験を通じて、結果、2006年のクイズ番組に勝ち抜く知識を得ているのは、脚本の妙。この妙を、あの子役の秀逸が演技がとても自然に、観客には感じさせてしまう。ラティカ演じる女の子役もCuteで、観る者を引っ張る。 ラティカがクイズ最終問の答を知っていたら、もっと良かったのでは?と鑑賞中に思ったが、そうではない、ラティカが自分を観てくれていたのをジャマールが知り得たことで、彼の挑戦は一区切り付くのだ。その一途さは、幼少の頃から変わらない。 自分が忘れかけている「一途さ」、これを思い起こさせてくれる映画だから、観て本当に良かったと思えたのだ。 幾つかアカデミーを受賞した等、知っていたが、監督も役者達も、特に知識持たずに鑑賞したけれど、それも良かったのだろう。 久し振りにインド人の友人に会いたくなった。 [映画館(字幕)] 8点(2009-04-30 09:58:23) |
5. 第三の男
《ネタバレ》 映画という娯楽において、シーン/シナリオ/音楽/役者等々の素材が見事なまでにかみ合った秀作、というのが自分にとって変わらぬ印象です。 映画とはセンチメンタルだと思います。この作品がまさしくそうなのですが、それを実感出来る感性を持つ、持ち続けるのが、今の時代は難しくなっているかも知れません。 10代、20代の方々に、そのセンチメンタルを実感して欲しいなぁ、と思います。 冒頭、ハリーは俺を何故迎えに来ない? Speak English?のコットンの発音、ジープで追い越されるヴァリの哀愁漂う固い表情、Be Sensible, Martinのハワードのクィーン英語等々、巷で云われる以外にも、心に残るシーン満載です。 [映画館(字幕)] 9点(2008-08-15 08:10:03) |