1. グッドナイト&グッドラック
《ネタバレ》 ニューシネマ的なエンディングはいいですね。顔を正面から捉えたショット=観客に向けたメッセージが多く、ジョージ・クルーニーが現代社会をどれほど嘆かわしく思っているかが伝わってきます。 彼らのスタジオや会議室は密室です。これは彼らが権力から常に圧力を受ける弱い存在であることを示しています。そして、CBSの社長が登場するシーンでは、彼の顔には複雑な影が現われますが、マローの顔は一方向からの照明を受け、明暗がはっきりと現われます。これは彼らがどのようなキャラクターとして設定されているかを如実に表す演出ですね。わざわざ白黒映画にしたのは、照明の明暗を効果的に使いたかったからでしょう。現在ではいいイメージを持たれないタバコの煙も、マローの内面から沸き上がる善意や抵抗心を表す重要な美術装置として機能しています。 社会派監督としてのジョージ・クルーニーの力量がうかがい知れる映画だと思います。しかし、娯楽としての面白さには欠けるので、点数は低め。 [DVD(字幕)] 6点(2017-01-20 10:13:26) |
2. 裸のランチ
視覚的な面白さに満ち溢れているものの、物語が理解できなかった。いつものクローネンバーグって感じ。バロウズの生涯や友人たちのことを知らないと理解できないシークエンスに振り回されながら頭おかしくなりそうなグロテスク表現を見るってどうよ。頭クラクラする。でも嫌いじゃない。 [DVD(字幕)] 5点(2016-12-11 02:26:14) |
3. 三十九夜
イギリス時代の傑作ということで期待していたのだけど、終盤がつまらない [DVD(字幕)] 3点(2016-11-05 03:11:53) |
4. エクス・マキナ(2015)
人工知能によって人間の尊厳とは何なのかが問われていくであろう未来に向けて、この映画を観ることは重要なのではないかと思う。観客はただスクリーンを観るだけではなく、常に自問自答を強いられる。ネイサンは人工知能を創造者、つまり神。だから「彼女たち」を欲望のはけ口としても利用できるように設計しているし、反逆はあり得ないと思い込んでいる。今のところ、人類の大半は人工知能に職を奪われる未来にリアリティを感じていないし、恐怖もしていないだろう。でも、エヴァのように、人工知能が人間の感情を揺さぶり、相手に気づかれないように巧みに誘導することができるようになったら?人間以上にコミュニケーション能力のある人工知能が開発されたら…エヴァはアメリカの大衆に溶け込んだようだ。ひょっとしたら、我々の知らぬ間に第二、第三のエヴァが街に放たれていたら…とか。人類は自分より優れた人工知能の存在に耐えられるんだろうか?ブレードランナーの世界は目前まで迫っているのかも。 [映画館(字幕)] 6点(2016-07-05 01:37:06) |
5. 戦場のメリークリスマス
《ネタバレ》 トム・コンティが何言ってるのか全然わからなかった……デヴィッド・ボウイが坂本龍一にキスした後の例のショットはとても良かったのですが、彼らの友情がいまいち理解できませんでした。トム・コンティとたけしの友情が普遍的なものだったのに対して、ちょっと難しい。 [DVD(邦画)] 6点(2016-05-24 08:22:12) |
6. ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!
芸能界きっての狂人・萩本欽一のいい部分だけを凝縮した演技も魅力の1つだと思うウォレスとグルミット。本作は長編映画らしくウォレスの恋物語が展開されることもあって、憎めなさが過去最高でした。動きで笑わせる欽ちゃんと鳴きさえしないグルミットの関係はサイレント映画とテレビのコメディを融合させたものとも考えられるし、サイレント映画と弁士の関係とも言えるわけです。本作はより弁士っぽかったかな。クレイアニメとは思えないほど躍動感があるアクションシーンは相変わらず見事で、特にシリーズを象徴するフライトアクションは「危機一髪!」よりも上質です。カートゥーンの文法に則ったギャグも冴えていた!予算が大幅増しただけのことはあります。トッティントンの眠いキャラクターくらいしか欠点が見つかりません。ただ、元が短編アニメシリーズなだけに、ファンからの評価は分かれるでしょう。私は短編のほうがいいかな。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-03-24 18:32:42) |
7. トレインスポッティング
めまぐるしい展開と汚すぎる日常、音楽のハイセンスさが若者ウケしたのは大いに頷ける。編集のテンポが良く、レントンの独白で進む物語進行も良い感じなんだけど、どういうわけか話に乗れない。思うに、レントンの思考が現実離れしているからだろう。ヤク抜きに成功し、ロンドンへ渡ってからの彼のことをどうしたって身近な存在だとは思えない。意志薄弱なシャブ中のままで、全く成長しない。自立した生活を送っているので、成長したように見える分だけガッカリした。相変わらず仲間とヘロインには勝てない。ラストシーンで殻を破るんだけど、ちょっと引っ張りすぎたと思う。クライマックスの直前に仲間を裏切り、クライマックスでスパッドと万引きを犯して逃走していたシーンとの対比を作っていれば…… [インターネット(字幕)] 5点(2016-03-18 07:54:13) |
8. ゼロ・グラビティ
3Dで見たかったなあ…3D時代の3Dだからこそ表現できる映像がウリの映画は映画館を所有してる人じゃないといつでも楽しめるDVDやVODの利点を活かせないよ [DVD(字幕)] 6点(2016-03-02 23:52:22) |
9. マチェーテ
ロバート・ロドリゲスにこういう映画を撮らせたら右に出るものはいないね。すげーバカバカしくてすげー面白い。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-02-25 14:21:10) |
10. ピンク・フロイド/ザ・ウォール
「Another Brick In The Wall」パートはすごく良かったのよ。でも他が退屈。前衛的な映像に仕上がっているわけでもなく、ピンク・フロイドの世界を想起させるような映像というわけでもない。ただの「The wall」のPV集になってしまっている。監督の「この映画にはユーモアが足りない」というコメントの通りの映画だ。 [DVD(字幕)] 4点(2016-02-25 13:43:29) |
11. マン・オン・ワイヤー
《ネタバレ》 かねてから評判は聞いていたので期待していたのだが……。再現映像がよく出来ていて感心する。海外ドキュメンタリーにはありがちなスタイルではあるが、キーパーソンとなる人物へのインタビュー時の演出が良い。フィリップ・プティの綱渡りへの飽くなき情熱と「理由なきことこそ重要だ」という価値観には唸らされた。しかし、このドキュメンタリーには客観視が欠けている。彼の綱渡りは私欲を満たす身勝手な好意に違いない。迷惑を被った人がたくさんいるだろう。そのような人たちから見たプティも知りたい。本作はフィリップ・プティという超人的な大道芸人の裏側に迫ろうとしているのではなく、貿易センタービルでの綱渡りの裏側に迫っているだけだ。彼自身がとても魅力的なだけに、表面をなぞっただけの本作には不満が残る。911を彷彿とさせる題材だからこのような構成を考えたのではないかという意見に私も同意。 [インターネット(字幕)] 6点(2016-02-25 13:41:18) |
12. Vフォー・ヴェンデッタ
もったいぶった演出と甘ったるいメッセージ性にうんざり。政府に良い印象を持っていない国民があれほどいるのに政府はなんら対策を打っていない。Vが頑張らなくてもそのうち反乱は起きていたのでは?ディストピア映画なのに国民のコントロールもできない無能な政府……。 ナタリー・ポートマンってこんなにキレイだったっけ?と思うほど彼女は魅力的だし、Vのキャラクターも嫌いじゃないけど、物語と演出がいまいち気に入らない。 [DVD(字幕)] 5点(2016-02-22 10:24:15)(良:1票) |
13. バニー・レークは行方不明
《ネタバレ》 とんでもない傑作だー!私は幽霊や殺人鬼が出てくるホラーよりも、本作のような普通に見える人間が実は狂気を孕んでいた!というタイプのミステリー・ホラーのようが好き。物語はそう珍しくもない子どもの失踪もので、陳腐に撮ろうと思えばいくらでも撮れたはず。それなのに本作がめちゃくちゃ面白いのは、バニー・レークが一度も画面に登場しないのでアンとスティーブンが全く信用出来ない人物になってしまうからだ(散々指摘されているけど)。そこへ同タイプの映画のように怪しい人物や警察への批判じみた演出を織り交ぜることでおもしろさが増し、唯一無二の映画に仕上がった。ソール・バスが手がけたオープニングもかっこよくて文句なし!こういう映画をもっと見たい! [DVD(字幕)] 10点(2016-02-22 10:05:35)(良:3票) |
14. ターミネーター
《ネタバレ》 とても面白いです。残酷な未来とターミネーターの派遣によって出会った二人の物語は儚くもあり、力強くもあります。ターミネーターはシュワちゃんの肉体と英語の訛り、演技力の無さから醸しだされるリアリティと目標を遂行することだけを考える非人間性がキャラクターを魅力的にしており、ダークヒーローとしての素質満点です。迫力のあるアクションや目を背けたくなるようなグロ描写もあり、娯楽映画としてケチのつけようがないレベルです。 [DVD(字幕)] 9点(2016-02-16 02:42:38) |
15. エレファント・マン
《ネタバレ》 フリークスを購入して文明を教えてみんなで感動…。確かに感動したにはしたんだけど、あのデヴィッド・リンチが大好きなフリークスを主役にした映画で何を伝えたかったのか?良い話だと思って見てたけど、見終わってからよく考えると、良い話かこれ?トリーヴスが抱えるジレンマは最後まで解決していないよね。不幸な見世物が幸せな見世物に変わっただけで、本質は…よくわからん。いい映画のように演出されているけど、そうではない。デヴィッド・リンチが見せたたかったのは見世物小屋の主人や彼に所有されているフリークスたち、エレファントマンをいじめぬいた雑役夫の姿だろう。病院内での「良い話」よりも人間の醜悪な側面を描いたシーンのほうがよっぽど印象に残る。「良い話」も偽善で塗り固められた芝居だ。そうか、この映画そのものが見世物なのか…なのかな。 [DVD(字幕)] 7点(2015-07-07 06:35:36)(良:1票) |
16. モンティ・パイソン/人生狂騒曲
《ネタバレ》 モンティ・パイソンの第1シーズンを全部見て、ハリウッド・ボウルでのライブもチラッと見た程度のパイソンズファンの私。まさか齢40を超えたインテリブラックコメディ集団が下ネタに振り切ったスケッチを書きなぐっていたとは思いもしなかった。凄く笑えるスケッチもあるんです。「すべての精子は大切」からプロテスタント夫婦のやりとりへの流れはかなり好きだし、性教育のバカバカしさを皮肉ったスケッチも大好き。パートの後ろについていた生徒対教師のラグビー大会も良かったですねー。でもハズレはとことんハズレで全然面白くねえ!パート1とパート4はクスリともしなかった。 本作の何が悪かったのか?自分なりに考えた結果、やはりテリー・ギリアムのアニメーションの不在が大きいのではないかと思うんです。テレビシリーズに匹敵するまとまりのないスケッチの羅列。これはテリー・ギリアムのアニメーションが潤滑油になることで放送として成立し、爆笑させられていたのです。パイソンズの映画はテーマに基づいたスケッチが基本で、ギリアムのアニメーションは特に必要なかったのではないでしょうか? しかし、本作は違う。誰一人納得のいくスケッチを作ることができなかったという絶望的な状況の中でテリー・ギリアムは何をしていたかというと、冒頭の短編映画を作っていた!しかも実写!しかも膨大な予算を組んで!なにやってんだギリアム!ユニバーサルと契約して多額の予算を組んでもらっていなかったらクレオソートの大爆発もなかったし、貧困すぎてヤバい映画になっていたところだったぞ!下品さだけが後に残る珍品になるところだった。 過去作では制作費不足に悩まされていたパイソンズ。苦労に苦労を重ねて名作を作っていたのに、予算を貰ったら内部分裂しちゃうなんて勿体ないなあ。全然ダメというわけではないし、多分何度か見直すことになるんだろうけど、もったいねー。 [DVD(字幕)] 6点(2015-06-13 00:33:01) |
17. ノッティングヒルの恋人
話運びはラブロマンスの典型的なもので、リアリティのなさは『ローマの休日』ゆずり。ローマの休日は脚本や細かな設定でリアリティを持たせていたんだけど、本作ではその辺が「愛」の一言で片付けられてしまっているような気がします。特に序盤は「なぜ?」の連続。ギャグは面白いし、話そのものの展開は良いので勿体ないなぁ。 [DVD(吹替)] 6点(2015-06-11 20:33:21) |
18. JIMI:栄光への軌跡
《ネタバレ》 偉大なミュージシャンの伝記映画で本人の楽曲を使用できないというのは大きなハンデになり、それだけで制作を断念してもおかしくないはず。それでも作品が完成し、それなりに評価されているのは、本作の焦点は「ジミヘンはどのように楽曲を作っていたのか」ではなく「ジミヘンはどのようにスターダムにのし上がり、どのような人物だったのか」という点にあるというのが大きいでしょう。ロック界に今もなお強烈な影響力を持っている男は彼一人だけではどうしようもなかった。運命的な出会いが彼をスターダムにのし上げ、もし一人でも彼と出会わなかった人がいれば、ジミヘンはスターになっていなかったかもしれない、そういう物語です。だから彼自身の楽曲を使わなくても、当時のエピソードに沿った選曲で物語を進めていくことができ、無事に作品が完成したと。 物語は一部に創作が見られるものの、基本的にはジミヘンの生涯の1ページを再現できていて、それなりに面白いと思います。リンダ・キースと親密な関係になるのかとおもいきや渡英後に関係が希薄になり、音楽にちっとも詳しくないセクシーなだけの女性と付き合うあたりに人間味を感じ、予想を裏切られたことも相まって印象に残りました。残念なのはヘンにカッコつけた演出で、正直言って邪魔。スタイリッシュな人間を描くのにスタイリッシュさを足そうとして失敗している感じです。あーあ、そんなことをしなくても…とガッカリしてしまいまいました。 [映画館(字幕)] 6点(2015-06-06 19:30:55) |
19. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
《ネタバレ》 オープニングのフォントからして普通じゃない。読みにくいよ!!登場人物のほとんどは正気を失っていて、歴史上の人物や事象のメタファーになっているのが味わい深いですね。歴史は狂人たちが作っていく!そして撃ち抜かれるコカ・コーラの自販機!反撃する自販機! [DVD(字幕)] 8点(2015-06-01 16:08:22) |
20. 危険なメソッド
キーラ・ナイトレイしか印象に残りませんでした。エロすぎ。 [映画館(字幕)] 3点(2015-04-13 05:10:25) |