1. やさしくキスをして
こんな事書くと「またか」と言われちゃいそうだけど(で、そう言われちゃったら「またです」って答えるだけだけど)、この作品、ほぼ同時期に作られ公開された「パッチギ!」と、驚くほど共通点が多い。「音楽」をきっかけに知り合う、文化も人種も異なる男女の恋、そしてそこから見えてくる壁、そして軋轢。このケン・ローチ作品は基本的に静かなトーンで「パッチギ!」ほどハデな展開はなく、また明快な「希望」も明示されることはない。ただ、カメラを通して伝わってくる登場人物への「まなざし」はあくまで優しい。「人種問題」という政治的なテーマを扱いつつも、単なるイデオロギー的作品に陥るのではなく、根底には「人間」に対する愛情と信頼が溢れている。9.11後(←という言い方は何だか陳腐で、頭の悪いニュースキャスターのコメントみたいではあるが)、日本とイギリスという離れた国で、このように共通のテーマを持った作品が作られたのは、決して偶然ではないと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2006-06-02 18:30:30) |
2. 息子のまなざし
ステゴザウルスの如く感性の鈍いワタクシは、どっちかというとこの手の地味で観る者の集中力が要される作品は苦手なのだけど、良い作品だと思いました。それで、えーと・・・こういう作品って他の方々がいいこと書いてるから、今更ワタクシ如きが付け加えることってあんましないんだよなあ・・・。そうそう、作品に出てくる「仕事を教える」というコミュニケーションの形を作り手が選んだということには、深い意味がある気がする。なんか、うまく言えないんだけれど、仕事、しかも大工の仕事みたいなのを教えるって、ただ単に「触れ合う」とかよりもずっと深いところで理解とか、共感が生まれるんじゃないかなあ、と思った。 8点(2004-11-23 22:39:53) |
3. ルムンバの叫び
【もっち~(←にょろ)】さんと同じく、僕もコンゴに関する知識は殆どないまま観てしまったのですが、欧米諸国の都合に翻弄された元植民地というのは、コンゴ以外でもアジア・アフリカ、あるいはアラブでも未だに引きずっている問題だと思うので、非常に興味深く観ました。日本だって坂本龍馬や勝海舟がいなかったら、おんなじことになってたかもしれないしね。 7点(2004-04-21 17:43:52)(良:1票) |
4. 24時間4万回の奇跡
先日「虎の門」の「こちトラ自腹じゃ!『息子のまなざし』編」にて井筒監督が「ベルギーていう国は時々とんでもない映画を作ってくれる」と仰っていましたが、これもなかなか不思議な作品。例えば「ミツバチのささやき」とか「黄昏に瞳やさしく(レビュー、増えないなあ・・・)」とか、最初の五分位観ただけでその映像に引き込まれてしまう作品が、僕の場合百本に一本位の割合であるのですが、この作品もその一本!99年の作品なのにモノクロなんで「おや?」と思っていたのですが、冒頭の女の子が下校するシーンを観て一発でヤラれてしまいました。「どこが良かったの?」と聞かれると「何だか分かんないけど引き込まれちゃうんだよっ!」としか言えないのですが・・・。ストーリーは、ちょっとヘンな父親が賞品の車欲しさから息子(映画オタクっぽい)に「ドアの開け閉め、二十四時間で四万回以上」という記録を出させるために猛特訓をさせる・・・というもので、これだけ聞くと何だかおバカ映画のようですが、不思議な事にしみじみ爽やかな気持ちになるんですよね。何というか、あまり豊富でない僕の映画ボキャブラリーで強引に例えるとジョン・アーヴィングの作品から悲惨さを抜いた感じ、あるいはアキ・カウリスマキから毒っ気を抜いた感じでしょうか。これ、先日BS-NHKで放映されたのを観たんですけど、あんまり良かったのでもう一回ビデオを借りて鑑賞する予定です。<追記>ということで、ビデオでも観てみたんですがBSで観た時とどこか印象が違う・・・と思ってハタと気づいた。ビデオ版は映画の画面の両側(何つうの?専門用語分かんないや)が切られて、TVサイズになっちゃってるんですよね。今まで他の作品ではあまり気にならなかったけれど、この作品で僕が「いいなー」と思っていた「構図」が乱されちゃってたのが残念。考えてみれば、横長サイズの映画を無理やりTVサイズに切っちゃうって乱暴な話だよなあ。絵画とかじゃ考えられんでしょ?きっと。プンプン(長井秀和のやるさとう珠緒風に)。 8点(2004-01-28 17:43:41) |
5. リサ
うーん、設定はユニークで面白かったんですけどね。主人公、失恋していきなりビル登ってるし(笑)。んでも新しい恋人のサムは何だかマザコンのお坊ちゃまにしか見えないし、後半の展開も「何で?ロッククライミング初心者のはずなのにいきなりマッターホルン登っちゃうの?それが愛の力ってこと?」って感じだったんでねえ。 5点(2003-11-16 20:09:29) |
6. イル・ポスティーノ
良質のイタリア映画を観たなーって感じでした。投げやりな生き方をしていた主人公が少しずつ詩心に目覚めていく過程が良かったです。ただ、主人公がヒロインに告白して、すぐ上手くいっちゃう所とか所々、話の流れが微妙にぎこちないような感じもしました。あくまで想像ですが、主人公役のマッシモ・トロイージ(病気を押して撮影に臨み、撮影終了10時間後に亡くなったそうです)の健康を気遣ったためにある程度撮影スケジュールが変更されたのではないでしょうか?とはいえ時に額に汗をにじませながら演技する彼の姿には心打たれます。何度も観たい映画ですね。 7点(2003-11-07 15:16:51) |
7. エブリバディ・フェイマス!
こういうこと書くと逆効果(?)かも知んないんですけど、結構「ゲロッパ!」との共通点が多いなあ、と感じました。父親の娘に対する情愛を描いている所とか、歌が重要な鍵になってる所とか、そういう目に見える部分だけでなく、社会に対する風刺の仕方とか、或いは(これは深読みしすぎかもしれませんが)自国の文化と他国の文化に対する見方とかも、実は井筒監督と近いように思えます。で、基本的にはドタバタコメディで冷静に考えると腑に落ちない所もあるんですけど、終盤で主人公の娘が歌う「ラッキー・マヌエロ」が流れるシーンでは不覚にもウルッときてしまいました(とはいえ、歌詞に拠る所が大きいんですけど)。「フル・モンティ」とかが好きな人にはお勧めできると思います。あ、そうそう、この映画観てて一つわかんない事があったんですけど「フラマン人」って何のことかご存知の方います?多分沖縄における「うちなんちゅー」みたいなもんかなーと思ったのですが・・・。 もしご存知の方がいらしたら、「小ネタ情報」の方に書いていただけると嬉しいです。<追記>【denny-jo】さんへ:ども、しょっちゅうHNを変更してる下の人でーす。「フラマン人」についてのご教示、ありがとうございまーす。 8点(2003-10-30 17:35:44) |
8. 彼方へ
ヘルツォーク(うむ、まるでヒーローものに出てくる悪の大幹部のような名前だ)の作品はこれしか観てないんですけど、なかなか見ごたえのある映画でした。登山家の話なんですが、映像が何と言うか、とってもストイックな感じで、観てるこっちも息をするのを忘れてしまうようでした。 7点(2003-10-07 14:49:29) |
9. ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
さかQさんに同感です。僕もあまりハマれませんでした。でもやっぱ「天国の扉」は名曲ですねー。ウルッときちゃいました。 6点(2003-05-06 17:35:46) |
10. ノー・マンズ・ランド(2001)
あの二人はきっと分かり合えるんだろう、と思ってみていたら・・・本当の意味での「衝撃のラスト」ですね。でも基本的に戦争映画にハッピーエンドってありえないんじゃないでしょうか?その意味では「正しい」戦争映画だと思います。余談ですが、この映画を喫煙者が観るとすごくタバコが吸いたくなります。 8点(2003-03-03 18:00:07) |