1. 厨房で逢いましょう
「料理には人を変える力があるのか」がこの映画のテーマだと思う。 映画だから味そのものは伝えられないのだけれど、料理の映像とそれを食べた人たちの表情にはそれだけの説得力があったように、僕には感じられた。 冒頭の、太ったコックが鴨の羽をむしり、その頭にいとしそうに話しかけるシーンからしてイっちゃってるけれど、映画のテーマをよく伝えている。この映画はほとんどそのコック(ヨーゼフ・オステンドルフ)と、彼の料理にほれ込んだ女性(シャルロット・ロシュ)の二人のやりとりだけで進むのだが、この二人の演技も見事で、通常ならありえなさそうな展開を「この料理ならそういうことも起こりえるのかも」ということを信じさせてしまう力を持っている。今調べてみたらこの女性は素人で演技の経験も何もなかったらしい。天性の才能もあったのかもしれないが、これだけの演技を引き出す監督はやはりすごい。これが三作目とのことだが、今後にも期待したい。 [地上波(字幕)] 9点(2010-03-16 23:25:25)(良:1票) |
2. コーラス
歌はきれいだけど、ストーリーに説得力があるわけではないですね。ふつうに楽しめるけれどそれだけ。似たようなノリなら断然スクール・オブ・ロックだなぁ。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-14 01:54:26) |
3. WATARIDORI
独特のジャンルなので、他の映画と比較して良いとかそういうことは言えませんが、鳥と一緒に飛ぶこの浮遊感は、他では宮崎アニメでくらいしか味わえないでしょう。メイキングの映像もとても面白かった。鳥の親になりきるって、そりゃあ並大抵のものじゃないんですねぇ。動物好きの両親をうちによんだとき、夕食の準備の間なごんでもらうのにとても役に立ちました。 [DVD(字幕)] 9点(2005-10-07 22:55:59) |
4. 恋人までの距離(ディスタンス)
続編ができたということで妻と一緒に改めて見直した。良い映画という印象は残っていたが、最初に見たときよりも一層深く感じるものがあった。 はじめて会ったときから不思議に話が合い、時間も忘れるくらい一緒に話し続けて、「好き」という気持ちがだんだんに高まっていくけれど、相手も同じように思っているのかわからなくて・・・、という不安と喜びに満ちた恋のはじまりの様子がとてもとても上手に描かれている。自分自身がそうした恋のまっただなかにあったときには、この映画は単にきれいな情景でしかなかったけれども、10年の時を経て見直すと、そうした記憶を強く刺激されるそんな映画に変わっていた。 僕の大好きな映画の多くは、心情の描写のために安易にBGMに頼ることをせず、その場の実際の音を効果的に用いながら、役者の演技にかけるという選択を取っているが、この映画もその代表例と言えるだろう。特にジュリー・デルピーの演技は映画的なドラマチックさとは別の意味での「恋の駆け引き」を見事に表現している。 また役者の演技にかけるという意味では、ひとつひとつには直接意味の無い会話を積み重ねることで、発言の内容よりも、発話行為そのものが伝える関係性に目を向けさせる技術も際立っている。イーサン・ホーク演じる男の「軽妙洒脱な台詞」も、そのように見ればかえってリアルである。 ウィーンを舞台にしながらも、あえて観光名所をはずしながらロケを行うことで、「どこにいるか」よりも「誰といるか」をこのうえなく重視させる恋愛の心理を表現するとともに、ウィーン的にはごく普通の石畳の風景のなかにその街の魅力を上手に生かし、自分のテリトリーの外での出会いという旅のエキゾチズムを演出しているところがいかにも粋だ。 これだけで完結したストーリーとしてあり、続編は不要だったように感じるが、作られてしまった以上、好奇心には勝てない。今からとても楽しみにしている。少し時間をおいて見てみたい。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-08-10 17:17:41)(良:2票) |
5. ベニスで恋して
2分に1回はちょろっとつっこみどころが用意されて、くすっと笑える、 そういうのが続きながら、ヒロインとそのまわりの人物がどんどん好きになっていく、 そして共感をひきこみながら、最後にはみんながハッピーなエンディング、と 地味に楽しい映画ですね。 映画館で他の観客の笑いに一体化しながら楽しむ、という、そういう意味でちょっと昔風な映画ですが、次はどうなるのだろう、という展開はとても個性的で新しもの好きにもきっとうけると思います。 イタリア映画って、舞台くさい濃ゆい演出のものが多くて、僕はどちらかというと苦手にしていたんですが、これはよかったです。 9点(2004-11-12 15:31:37) |