1. 過去のない男
「過去の記憶を全て失ってしまった」という、ストーリー展開を膨らませやすい設定を得たからといって安易に物語的なプロットで固めていくと単なるB級娯楽作品に成り下がってしまいます。本作品は設定からの誘惑に引きずられることなく淡々と地に足をつけて、主人公の行動を追っていきます。面白いセンスの音楽とユーモアで彩りを添え、良質で個性的な作品に仕上がっています。全体的に控えめでありながらもところどころコントラストの強い色調が飛び出す画面は印象に残ります。賛否両論を呼ぶ大根演技は、作品の雰囲気作りに一役買っていると思うんですが、どうでしょう? 7点(2004-03-11 20:40:43) |