1. アイアン・スカイ
月の裏側に隠れていたナチスが地球征服に攻めてくる、思いっきりバカそうな内容とあのポスターですが、やっぱ扱う題材がナチスだけに(そしてハリウッドでもアジアンでももちろん邦画でもなく)ヨーロッパ映画であるからにはただのオフザケにするわけには行かなかったんですね。 ★観る前はパーカー&ストーン(真性オチャラケ)かバーホーベン(SFの名を借りた暴力&風刺)か、というのを想像してたけど、意外とまともな風刺映画でした。 ★各国集っての防衛会議での痴話喧嘩も笑ったけどやっぱ本家アメリカこきおろしまくりです。戦争の政治利用、資源の独占、あからさまな黒人差別(結局今でもそうなの?)なんかそれに比べればナチスのプロパガンダのほうがマシに思えてきてしまうからコワイ(いや冗談じゃないよね)。 ★アドラーとレナーテの演説で流れるワーグナーのタンホイザー序曲、思わずかっこいいなあと、ああ怖い!!(もっともタンホイザーっていう歌劇の筋自体はナチスの好むとこなのかどうかはちと疑問だが) ★なお科学考証は思い切り無視ですので、気になるヒトは予め分かってたほうがいいかと。当時(その後も)品質で鳴らしたドイツの科学技術が、半世紀他国から隔絶されてスチームパンク的な発展を遂げたものが現代科学と対峙するって、実はSF的にはすごく面白い題材だと思うんだけど、そういうのは(最後のお決まりのドンパチ場面くらいしか)ほとんどないです。 ★あんまりまともな風刺劇だったんで、最後のオチが予想付いてしまったのがちょとなんだったかな。でもこういう映画、久しぶりなので面白かったです。 [映画館(字幕)] 8点(2012-10-07 23:43:21)(良:1票) |
2. シャーロック・ホームズ(2009)
★ぼくも「シャーロキアン」ではありませんが、ホームズ・ワトソンのコンビはおそらく詳しい人から見てもなかなか上手く原作のキャラをアレンジしてるんじゃないかと思います。 ★だらしないホームズが、かっこいいワトソン博士に精神的に頼ってる図ってのもなかなか日本のアニメっぽい設定です。そういやホームズはどうしても最近作の「戦うCEO」氏がアタマに浮かんじゃうのが難ですが。あの社長も執事に怒られてたっけ(笑)? ★昔のロンドンの薄汚さ、異国趣味雑多な感じは面白かったです。あと作りかけのロンドンブリッジ?なんてのはCGの発達した今じゃなきゃ見れない光景なんで、こういう使い方はいいですね。 ★イギリス民謡・舞曲を思わせる音楽もいい。ただあれはイングランド?なんとなくアイルランド系の音楽に聞こえるんだけど(すいませんよくわかってないです。頓珍漢な指摘だったらごめん) ★ストーリーはそこそこ。どうして映画になると起こる事件って、みんなあんな大げさになっちゃうんでしょうね。普通に、貴重な宝石強奪!とか政府の高官暗殺!とかそれくらいでいいじゃないですか(普通じゃないか)。しかもいろんな人物の視点からどたばたどたばた、おかげでこの映画、推理モノじゃなくてただのアクション映画に少々の推理をくっつけた、それこそよくある映画になっちゃった。 ★せっかくホームズなんですから、次回作、作っていただいてけっこうですので、そのへんの正統的面白さも加えてください。あの尺ならもう少し無駄な部分削って出来ると思う。 [映画館(字幕)] 6点(2010-03-22 23:14:04)(良:1票) |
3. スピード・レーサー
★自分もあの極彩色の予告編と、評論家の低評価を見て不安を感じた一人です。しかし、見てよかった。ほんとによかった。 ★まるでこまねずみのように縦横無尽に走り回り、バッタのように跳ね回る超トリッキーなレースシーンにアドレナリン出まくり!この感じ、多分ロボットアニメとかの戦闘シーン(特に板野サーカス系)によく似ている。つまり非現実なことは分かりきってるんだけど、それを補って余りあるスピーディでスタイリッシュな映像に酔わされるってやつ。(この点、前の席で見すぎた人は気の毒。ほんとに酔っただろうな(笑)) ★そして静止画で見ても、マッハ号の造形はほんとにほれぼれするほどかっこいい!(特にあの前後フェンダーラインとホイールアーチが絶品!)余談だがぼくは車の価値は絶対デザインだと思っている。そして今現在売られている車で、価値のある車など皆無だ。ぼくが今までに欲しいと思った車は、トヨタ2000GTとこのマッハ号だけ! ★わざと現実感をなくしたアニメっぽい背景、日本人キャストなど思いつかないくらい原作のイメージにはまりまくった各キャラ、タツノコっぽいギャグ、何もかもグッド。 ★物語は少年アニメが原作だし当然シンプルのきわみだが、家族愛や巨大企業が牛耳るレース界への反体制の勝利など日本のドラマだったらことさら臭くこねくり回すとこも、いやみなく自然に盛り上げてくれててよい。そうそう、幼なじみのトリクシーが小さなころから「奇行な」スピードを見守ってて、自然に彼の家族に溶け込んでいるのがほんとに好印象。 ★エンディングにちゃんと湾コーラスやってくれなかったのは減点だが、音楽も自然なアレンジングでよかった。よく見たらマイケル・ジアッチーノ(Mr.インクレやレミーだね)、またいい仕事しましたね。 ★なんにせよ極端な作風の映画だから、たぶん巷でもあまり人気は上がらないかもしれない。車好き、原作好き、な人は終わっちゃう前に早く見に行こう。ただし体の調子の悪いときはやめましょう。あと前で見過ぎないこと(笑)! [映画館(字幕)] 8点(2008-07-16 00:44:58) |
4. バイオハザードIII
★たいした映画じゃないとわかってるのに、時々意味なく見たい映画ってあります。これもそのひとつでした。 ★かっこいいミラ嬢を見るためのパート3。クライマックスの戦いも、オチも期待通り。まったくこわくないゾンビ映画という致命的な問題点はあるが、だいたいゾンビ映画自体出尽くしの感があるし、真昼間のゾンビってのも映像としてはなかなか新鮮で(新鮮じゃないよ、ゾンビは)いいです。 ★パート4もあるみたいですが、はっきり言ってもういらんです。あのオチのあとは、想像して楽しんでるくらいがいいんじゃないでしょうか。 ★でも、でもそれにしてもポール・W・S・アンダーソン(印)の映画って、どうも気になるんですよね。安っぽいことわかってるのに。SF作家大御所のポール・アンダーソンを連想させるとこも気になるし(笑)。この調子でAVP2ものこのこ観に出かけそう・・・・ [映画館(字幕)] 5点(2007-11-12 00:15:39) |
5. ハッピー フィート
《ネタバレ》 ★前半と後半で話が違いすぎ!まあダンスでつながってることは確かなんですが。★で、マンブルと人間との出会いからラストまでは、ほぼSFになっちゃってます。2001年?未知との遭遇?E.T.にAI?★意外と雰囲気自体が最初から暗めなので(ほぼ氷の世界一辺倒だし、異端児差別みたいな話だし)、さらにダークな方向へ進んで行くのに結構本気ではらはらしました。普通あの状況でハッピーエンドってご都合主義以外の何物でもないんだけど、ぼくは本気でハッピーエンドになってくれればいいのに、と思いましたよ。★まああのラストを批判するのは簡単なんだけど、ぼくはやっぱり「映画で説教垂れるんじゃねえよ」なんてうそぶいてる場合でもないかなあと思うんですよね。★マンブルたちは、図らずも新しい生き方に適応して生き残る道を見つけたんですよね。でもそれは人間という上位者があればこそでもあった訳で。★ではぼくら人間自身はどうすればいいんでしょうか。ETにでも助けてもらいますかね。タコ踊り踊って。ほんと、こんな映画見てのんきにしてられるのも今のうちかも・・・ [DVD(字幕)] 7点(2007-09-29 23:33:54) |