1. 魂のゆくえ
《ネタバレ》 宗教的要素に環境問題が織り交ざっている。主人公の一人称で淡々と物語は進むものの、抑制の裏に葛藤と苛立ち、苦悩を体現したイーサン・ホークにのめり込んで飽きません。主題はなんでしょう。結局は、まじめに神につかえて生きたものの、子供も家族も失い、さらには自分も死に対面する。そんなさまざまなしがらみを疎みながらも、どうしようもできないジレンマではなかったかと思います。その鬱憤を晴らそうとするとも、叶えられず終わります。強い権力、世の中の流れ、そして運命には誰しも抗うことができないという現実が突きつけられます。しかし、エンディングはハッピーエンドです。あまりに唐突なラスト、これは幻想なのだと思いつつ、映画はそういうものだという感動も与えてくれました。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-04-23 21:12:54) |
2. エイリアン:コヴェナント
《ネタバレ》 「コヴェナント」は良くも悪くも、エイリアンシリーズの原点回帰である。1、2作の見どころを集めた作りで、新しい驚きや緊迫感はないがそれなりに楽しめる。「コヴェナント」を見ることで、肩透かし感のあった「プロメテウス」が、実はヴィジュアル、サウンドともに優れていたのだと思い直した。 [映画館(字幕)] 7点(2017-09-24 11:30:49) |
3. ニュースの真相
《ネタバレ》 公開当時は目立たない作品だったが、ブッシュの軍歴詐称疑惑を巡る実話作品で俳優陣も豪華である。誤った報道に対して、誰がウソをついたかではなく、ジャーナリズムの在り方に話が進む。突っ込み方が中途半端な印象はあるが、報道関係者や視聴者にとって考えさせられる部分は大いにある。 [DVD(字幕)] 6点(2017-07-30 13:36:36) |
4. ハクソー・リッジ
《ネタバレ》 前半は、暴行や告訴を受けながらも、頑なに銃を取ろうとしない主人公に焦らされる。宗教感のない日本人にとっては、そこは少しだけ信念を曲げて周りへの迷惑を考えてあげるべきでは、と思ってしまう。この違和感を救ってくれるのは、父親の存在だ。戦争を経験した苦しみから湧き上がる、妻や息子への歪んだ愛情に、場面場面で泣かされる。後半は、凄惨すぎる戦場シーンと、人殺しを拒んだ主人公が人を助けるドラマに一気に惹き込まれた。特に、沖縄戦が舞台になっていることは日本人にとって考える部分が大きいのでは。ハリウッド映画でありながら、予想したほど日本側を邪険に扱っていないのは好感が持てた。解説をみると、メル・ギブソンの宗教感が全体に現れているらしいのだが、それを加味せずとも、見応えのある作品です。 [映画館(字幕)] 7点(2017-06-30 19:25:02) |
5. ウォルト・ディズニーの約束
思ったより楽しめました。ねちっこい嫌味なオバサンを、エマ・トンプソンがうまく人間味をもたせて演じているからでしょう。物語はもっと深堀りできたのでしょうけど、もう一人の主役であるディズニーを描くことで明るく仕上がっています。 [DVD(字幕)] 6点(2015-06-20 22:35:48) |
6. マッドマックス 怒りのデス・ロード
《ネタバレ》 物語の背景説明はそこそこに、冒頭からマッドな世界観に入ってしまうとあとは一直線。映画のほとんどはカーアクションだが、狂気と化した改造車とキャラクターの応酬に飽きることなく楽しめました。J・ミラーが作り上げた世界観をとことん貫き通していただけただけで満足です。逃げた女性たちはこれでもかと美しく、男たちはみんな野生的、というか野獣です。そんな中、本来はヒロインとして美しさを前面に出してもいいはずのC・セロンが丸刈りで戦う。そう、この映画の主役は間違いなくC・セロン。マックスは引き立て役となってしまいましたが、ヒーローとして輝く彼女を是非映画館で。 [映画館(字幕)] 9点(2015-06-20 22:31:22) |
7. 幸せのレシピ
意外にキャサリン・ゼタ=ジョーンズが良かった。艶やかで強気な役柄だけでなく、こういうしっとりした役も似合ってました。 全体的にほんわか映画で、落ち込んだ気分も明るくなります。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-02 21:23:25) |
8. 英国王のスピーチ
《ネタバレ》 題材はとてもおもしろい。英国王と言語障害を治す専門家との交流が主軸になっている。最後のスピーチはとても感動的だ。 けれど、よくできた映画なのにどこか物足りなさを感じた。なぜか。「エリザベス」や「クイーン」では、皇室に反発する側と主人公との対立が主人公の苦悩となって映画のおもしろさを際立たせていた。けれど、「英国王のスピーチ」に出てくる人たちは皆いい人なのだ。常に夫を支える王妃、物分かりのよい娘たち、いつも皇室に忠実な首相。唯一主人公を苦しめるのは自分勝手な兄くらいで、吃音以外に英国王に差し迫った問題が描かれていないのだ。 それだけに、主人公の兄を演じたガイ・ピアースが印象深い。ジェフリー・ラッシュと同じくオーストラリア出身のピアースだが、オーストラリア人役のラッシュと違い、声のトーンを変えてアクセントの強いイギリス英語で話しエドワード8世を見事に演じていた。ピアースは「ハート・ロッカー」でも冒頭で死ぬ印象的な役を演じており、オスカー作品に2年連続で出たことになる。作品選びがうまい俳優ですね。 [映画館(字幕)] 6点(2011-03-04 17:52:18) |
9. シャーロック・ホームズ(2009)
娯楽性は高い。ロバート・ダウニーJrとジュード・ロウのコンビはとても魅力的。サスペンス、推理ものとしては期待できず。ガイ・リッチー作品として見ると・・・肩透かしかな。ガイファンは「ロック・ストック」「スナッチ」の興奮からなかなか抜けられないのです。 [映画館(字幕)] 7点(2010-03-29 21:48:55) |
10. インベージョン
ハラハラ感を得ることができて、サスペンスとしてはうまくまとまっています。ヘンに音響で盛り上げすぎることなく、静かに襲ってくる恐怖が良かったです。ダニエル・クレイグのキャラは、もっと活かしてもよかったかも。 [DVD(字幕)] 6点(2008-07-13 21:14:23) |
11. ラッキー・ユー
《ネタバレ》 ポーカーをよく知らないと楽しめない映画。腕はいいが攻撃的な賭け方で失敗している主人公が、父親との確執、正直に生きる女性との出会いで変わっていく。ストレートなストーリーだが、話があまり進まず、ポーカーのシーンでも心の高揚を得られなかった。ロバート・ダウニーJrなど、出てくる必要があったのかどうかという感じでした。 [DVD(字幕)] 5点(2008-04-27 12:44:08) |
12. ゴーストライダー
《ネタバレ》 不思議な映画でした。心地よいダークさも、迫力の映像も、手に汗握る緊迫感もなく、主人公も別にカッコよくない。なのに、なぜか最後まで見れました。B級テイストに徹している感があったからでしょうか。馬までが炎と化すとは、ですね。 [DVD(字幕)] 5点(2008-01-12 14:16:54)(笑:1票) |
13. ブレイブ ワン
《ネタバレ》 ジョディ演じる主人公の行動は、世間の目からみてどうというのではなく、自身の心に素直に従った結果なのでしょう。被害者として、犯罪者として生きることになる彼女の背中が印象的でした。テレンス演じる刑事の行動も、法に従うといくら考えていても結局は感情の中で裁きをつけてしまう人間の行動のひとつを反映したものでしょう。物語は重いですが、ニール・ジョーダンの落ち着いた演出で満足できる映画でした。 [映画館(字幕)] 8点(2007-11-11 13:54:44) |