1. アイ・アム・マザー
《ネタバレ》 スリットから胎児が3つ抜き取られている。主人公のシリアルナンバーはAPX03であることから、過去にロボットに育てられた人が2人いたとわかる。うち一人は、冒頭で「絶滅から13867日」とあり、およそ38年にあたることから、ヒラリー・スワンク演じる女性だと思われる。彼女はおそらく、基準に満たないという理由で殺されると察知し、脱走したのだろう。 ロボットたちは、人類がまだいたとき、劣悪な人間どもを滅ぼし優秀な人間だけで新しい社会を築くようプログラミングされている。ロボットたちはまるで、聖書の神のようだ。神はその目にかなっていない人を、容赦なく殺す。しまいには、ノアの一家を除き全人類を滅ぼして、人類の再生さえ企図した。 主人公はたった一人の人間で、孤独だっただろう。仲間が欲しかったに違いない。待望の男の子が生まれるが、基準に達しなければ「母」によって殺される。主人公は男の子と、全胎児・全人類を守るため、「母」を殺す。この物語は、母性と父性の対立であり、情と理の相克である。そうして「母」を殺した主人公は、自らが男の子の母になり、「母」から聞いた子守唄を歌う。それから保管庫に向かい、保管された多数の胎児と向き合い、新しい人類の母になることを決意する。 子守唄は、ディズニー映画「ダンボ」で使われた"Baby Mine"である。ダンボが耳が大きいせいでからかわれると、母が怒って暴れてしまい、監禁小屋に幽閉される。ダンボは母恋しさに会いに来るが、母は鎖で拘束されていて、窓から鼻だけ出してダンボを抱く。そこには、どんな子であっても愛する母の情がある。 [インターネット(字幕)] 9点(2023-10-10 07:22:21) |