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1.  いのちの食べかた
まずこれは映画なのかという点。ナレーション、台詞、BGMの類は一切なく、鶏、牛、豚、リンゴ、キャベツ、トマト等の食材が機械的に加工される様子を幾何学的なショットを意識して録りまとめた一連の映像は、映画といえるのか。普段では目にできない食品加工業者の裏側を効率よく見られるようになっていて、ベルトコンベアーで箱に振り分けられられるヒヨコや一瞬で屠られる牛の姿に、日々食卓に並ぶ他の生物のかけらへの想像力の欠如を補ってくれるのですが、それだけ。映画的演出といえば従業員の食事シーンがお飾り程度に挿入されているくらいで、映画として面白いものではありませんでした。
[DVD(字幕)] 3点(2011-08-19 13:50:35)
2.  ヒトラーの贋札
ユダヤ人収容所で贋札作りの強制労働が行われる様子を描いたテンポのよい佳作です。生き長らえることと、自己犠牲を伴う正義を貫くこと。前者は生きとし生けるものの根源的な欲求であり、後者は死後も続くこの世界を思う人間的な感情で、優劣をつけられないものです。明日も生きているかわからない日々の中では生きのびることが最大の目的になるのは自然でありながらも、正義を貫く者の姿も併置することで均衡を保ち、なかなかの作品に仕上がっています。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2011-04-17 21:29:08)
3.  恋人までの距離(ディスタンス) 《ネタバレ》 
連れ合いお気に入りのごひいきの映画、と聞いてとても真剣に観ました。が、ダメでした。会話主体の進行は良かった。「質問タイム」や「仮想電話ごっこ」などは、初対面同士を掘り下げる効率的な手法であると同時に、お互いの何に期待して何を言うのだろうという穏やかな好奇心を誘うものがありました。ウィーンの町並みも美しい。しかし致命的であったのは、「ナンパもの」であったことでしょうか。映画開30分でキス。オヤ? そろそろお芝居を見に行く時間やで何してんねんと思いきや、ド忘れしてスマートボールを興じているところでアレ? 船の上で一夜限りの出会いを楽しむ約束をした直後、誰もいない日の出前の公園でチョメチョメ。 アレレ! 予想した展開であるものの、イーサン・ホークの会話も行動も、結局は最後までいくための雰囲気作りに消費されてしまったものに見えてしまったのでした。お互いが徐々に惹かれあってゆくのではなく列車を降りる時点で惹かれあっているので、この男女関係にはサスペンスがないことが問題、と思いました。
[DVD(字幕)] 3点(2010-12-11 13:38:44)
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