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1.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 
愛情を渇望する十二歳の少年が非行に走り、両親の愛を失うという喪失の物語。 少年は一人っ子で、両親は共働き。母親は子を産みたくなかったが、産んで祖母に預けていた。父親は継父。夫婦仲は悪く、少年はしばしば二人の諍いを聞きながら眠りにつく。 書くことは他者との重要な伝達手段だが、少年はこの能力に欠けている。試験の場面から物語が始まる。少年は成績が悪い。運悪く廻って来たグラビアが先生に見つかり、立たされる。その不平を壁に書くと、文法がでたらめとなじられる。文法の宿題ができなかったので、学校をずる休みすると、それがばれて父親から大喝される。母親から作文の成績が良ければ小遣をあげると言われて気張るが、文豪の文章を剽窃してしまい、先生から批判され、これが家出の契機となる。食うためにタイプライターを盗んで少年鑑別所送りとなる。父親に酷い手紙を書いて愛想を尽かされ、遂に母親からも見捨てられる。 孤立無援となった少年は鑑別所を脱走する。少年は家庭や学校では居場所が無く存在感が薄いが、外では生き生きとしている。向った先は母なる海。そこには建物でごった返した都会と違い、自由に開かれた茫漠たる空間がある。自由にあこがれて海に辿りついた少年だが、同時に母親の愛も渇望している。「母が死んだ」という嘘は、母への愛情の裏返しだ。タイプライターを盗みに入ったのは父親の会社で、これは無意識にわざと捕まって問題を顕現化させ、両親との関係を修復しよういう心理が隠されている。 海に出たものの自由は扱いづらいく、手に余り、途方に暮れるしかない。まだまだ親の庇護を必要とする年齢だ。やがて目線は写真機の先にある観客に向けられる。観客は、少年と子供の頃の自分とが重なり、動悸が激しくなるのである。 本作での母親の愛情は「条件付き」だ。「云う事を聞けば」「成績がよければ」愛するのである。それでは本当に愛していることにはならない。少年は母親を嫌悪しているのではなく、よい子になりたいと願うし、不倫にも寛大で、性的魅力も感じている。少年が中年女の出産談を聞いて気分が悪くなるのは、自分の出生に負い目を感じているからだ。自分が生まれて母親を不幸にしたいう罪悪感がある。複雑なのだ。そんな思春期の少年の複雑な心の揺れをみずみずしい感性で描いた作品である。少年は完全に孤独ではなく、無二の親友ルネがいるのが救いだ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-12-08 16:38:18)(良:1票)
2.  王妃マルゴ 《ネタバレ》 
16世紀の仏国、カトリック対ユグノーの宗教対立を緩和すべく挙行された王妃マルゴとナバル王アンリの政略結婚とその直後に発生した「サン・バルテルミの虐殺」を題材にしている。 宗教戦争と王家の権謀術策を扱っているので、ある程度の流血場面は予想していたが、常識を越えた血なまぐさい場面の連続には辟易させられた。国王シャルルがヒ素を盛られて血の汗を流すが、ありえないことだ。陰影に富んだ絢爛な映像が見られるだけに残念だ。 史実では、結婚時の年齢はマルゴ19歳、アンリ18歳で、役者の実年齢と大きく隔たる。史実に忠実に描くのではなく、小説「王妃マルゴ」に忠実に描くという姿勢だ。 現代と中世では倫理観が違うのは承知だが、あまりに乱れているので感情移入ができない。最終場面はマルゴが、処刑された恋人ラ・モールの首を抱えて馬車に乗り込むという哀切凄愴たる場面だ。だが向かう先は夫の元なのだ。マルゴは性的に奔放で、新婚初夜に夫を避けて恋人ギーズ公アンリを寝床に呼ぶが去られ、ほてった体を持て余して町に出て男を漁る。その相手がラ・モールだ。他に愛人は沢山おり、兄弟達とも近親相姦の関係にある。「淫婦マルゴ」を強調しすぎている。そんなマルゴとラ・モールの関係を純愛として描いても純愛には見えない。ラ・モールの売った本が偶然に母后の手に渡り、暗殺の道具として使わるなど偶然すぎる。 同じく新婚初夜に、男爵夫人シャルロットがアンリを誘惑するなど、理解に苦しむ行動が多い。主要登場人物の誰もが異常といっていい。倫理や正義の中核となって他者を鏡として映し出す人物が不在なのだ。だから外国のゆがんだ夢物語としか思えず、現実感がないのだ。描く視点が定まっていない映画では感情浄化が得られない。 
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-05 03:21:31)
3.  大いなる幻影(1937) 《ネタバレ》 
戦争によって分断される人間を様々な側面から描いた人間劇。異色なのは滅びゆく貴族同士の絆と悲哀を描いている点。独軍のラウフェンシュタイン大尉と仏軍のボアルデュー大尉の交情は我々の予想を超える。飛行機で撃墜した敵将を食事に招き、捕虜収容所ではお茶に招いたりと厚遇する。最後は脱走しようとする敵将の腹を撃ち抜く。脚を狙うつもりだったと謝罪すると、いいんだよと友人に声をかけるように許して死んでゆく。ボアルデュー大尉は自らを犠牲にして二人の将校の脱走を助けた。「戦争が終われば自分も滅ぶ運命だ」独軍将校は愛育していたゼラニウムを剪って供華とする。最も美しい場面だ。 マレシャルと敵国の未亡人との恋が後半の核となる。女は夫と兄弟三人を戦争で亡くしている。喪中に敵国の逃亡兵を愛せるものか甚だ疑問だが、「家の中で男の人の靴音を聞く幸せがどんなものかわかる?」と訴えられれば納得するしかない。 「国境は人間が引いたもので自然は同じ」「国に帰ってもまた軍人で同じことの繰り返しだ」「戦争なんてこれで終りにしたい」「幻影だ」含蓄のある会話で映画が締めくくられる。国境を憎みながら、国境に救われるところは風刺が利いている。 他に、少年兵を見た老婆が「あんな子供まで」と嘆く場面や、独軍の気のいい監視兵や、脱走した二人が喧嘩別れしてから和睦する場面など印象深い場面がいくつかある。 内容は素晴らしいが、見せ方は未熟だ。冒頭マルシャルの連呼するジョセフィーヌ、偵察機の撃墜場面、三人の捕虜の脱走未遂場面、これらを省略しているので繋がりが悪い。最も盛り上がるべき城塞からの脱走場面でもサスペンスに欠ける。笛を用いての脱走だが、笛はボアルデューが自国から取り寄せたものだ。捕虜なのに自国から荷物が届き、ドイツ軍より良い食事をしているなど理解に苦しむが、それはさておき、笛を取り寄せるなど甘い設定だ。知恵を絞って、そこにあるもので何とか間に合わせてこそ、感情移入できるというもの。祖国からの新聞によりドゥーモン城塞奪回を独軍より早く知るなども有得ないし、テニスラケットを持って捕虜収容所に向かう米兵などの描写も不必要だろう。やはり戦争映画は厳しさがないと締まらない。煙草吸って、酒飲んで、女装して踊って歌ってというのではしっくりこない。戦争や捕虜に対する考え方が日本と違うのを痛感させられた。
[DVD(字幕)] 7点(2014-05-19 15:03:58)
4.  男と女(1966) 《ネタバレ》 
低予算で作られた映画。片乗せカメラしかなかったので、揺れ動く映像に。カラーフィルム代が無かったので室内を中心に半分はモノクロに。撮り直しできなかったので、カメラにゴミが付着したまま。こういった状況を逆手に取り、斬新な”映画詩”が出来上がった。流麗な音楽、顔と手のアップの多用、不安を煽る下からのアングル、ガラス越しのカット、他愛もない会話、どれも研ぎ澄まされたように感覚的だ。全てが主人公二人の感情のゆれ動きを表現している。共に子持ちで、若く無い二人。子供が同じ寄宿学校で、配偶者を亡くしたという共通点が親密さを深める。男は初対面で女に恋をする。男は亡き妻に関しては心の整理ができており、恋人もいる。浮気者であるが、うぶなところもある。女は夫の思い出の中に生きている。突然現れた男に心が大きく揺れる。夫はスタントマンという危険な職業で、スタント中に事故死。男もレーサーという危険な職業。夫と男が重なる。事故続出のレース展開に、どれだけ男のことを案じただろうか。男が完走したと聞いて、思わず「愛している」と早まった告白電報を出してしまう。男は有頂天になり、車を飛ばして女の元へ。恋の手管をあれこれ思案しながら運転する楽しさ。昂ぶる心を抑えきれず、いざベッドイン。だが女の心に火はつかない。まだ夫の影を引きずっているのだ。頂点から失意のどん底へ。電車で帰る女。急ぎ過ぎたのか?反省する男。そうではない。女が自分を愛しているのは確実だ。大いなる愛で女を受け容れ、女が過去と決別するのを気長に待とう。男は車を飛ばし、駅で待ち伏せ。男を見た女は満面の笑みを浮かべて、その胸に飛び込んでゆく。危機を乗り越えた二人。愛は人間より強いのだ。男と女は理由なく魅かれ合う。たとえ自分が傷つくことがわかっていても。それがこの映画の主題だろう。それを言葉ではなく、音楽と映像で描く。雨降りのお花畑のような、明るいアンニュイの漂う恋愛詩。それまで誰も試みたことがない野心作だ。今後二人はどうなるか?男がレーサーを辞めるまで女の葛藤は続くと思います。あと夫が歌うところだけミュージカル仕立てだったのが気になりました。
[DVD(字幕)] 8点(2009-09-29 09:00:26)(良:3票)
5.  王と鳥 《ネタバレ》 
画質の荒いオールド・アニメ。へたくそな作画、動きになめらかさがなく、どのシーンでも間合いが悪く冗長、音楽ともシンクロせず、退屈。原作はアンデルセンの「羊飼いの娘とエントツ掃除人」。原作では磁器の人形ですが、ここでは絵の中の人物になっています。これに鳥と王を付け加えてなんとか物語にした代物。やぶにらみの王様は絵から飛び出た肖像画の王様に抹殺されますが、後にフォローもありません。これでいいんでしょうか?孤独で人間嫌いの王様が最後に人間らしさを取り戻すと要素があれば感動できたはず。太陽の当たらない「下層市街の市民」がライオンたちと一緒に地上に出てきますが、こちらもフォローなし。いいかげんな脚本です。国王の横暴から人民が立ち上がり、自由を取り戻すというサブストーリーはどこへやら。兵士と闘う場面があれば共感できました。小鳥たちと王の愛犬はかわいらしいですが、ストーリーにはからみません。鳥は妻を殺され、小鳥が殺されかけたこともあり、王様を憎んでいます。一方掃除人は小鳥の恩人なので二人の味方です。肖像画の王様は、巨大ロボットを操って二人を捕まえます。が、最後は逆に鳥がロボットを操り、城は必要以上に破壊し尽され、王様は追放されます。地下のライオンたちや市民を開放したのも鳥。鳥がこんなに活躍していいんですか?ここは娘と掃除人が活躍しなければだめでしょ。二人の恋が成就する物語なのですから、自分たちの力で解決すべきでした。二人は逃げ惑うだけ。せめて兵士や警察と戦いましょうよ。最後城ばかりではなく、町までも廃墟にしてしまったのはやりすぎ。誰も幸福にはなれないバッドエンド。人間には住む場所がないし、鳥の巣も崩落。結局鳥によりロボットが暴走しただけですか?何もかも放りっぱなし。心の浄化や成長といった要素がないと物語はつまらなくなります。鳥には王様に逆らうだけの気骨があり、知恵があり、口達者だというだけの話ですね。でもよく考えれば、鳥が憎んだのは暴君の王様であって、肖像画の王様ではないのです。別人ですよね。絵の王様は恋に盲目なだけ。王様を倒したという点では鳥の味方のはず。所詮鳥も愚か者。独自の世界観?とくにユニークさは感じませんでした。ロボットのデザインのセンスのなさには苦笑。社会風刺?皮相さしか見えてきません。この映画を推奨する高畑監督はセンスがないですよ。 
[DVD(字幕)] 5点(2009-09-04 00:49:30)
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