1. 白くまになりたかった子ども
筆書きみたいなやわらかい描線のほんわかしたアニメーション・・・。かと思いきや、結構重い内容ですよこれは。人間であることを完全に捨て去ることを望む主人公。子供を取り戻すことに全力を尽くすが,いざ取り戻したら鎖で繋ぐ両親。帰すべきだと分かっていながら,帰す事を頑なに拒み命をも失う母熊。う~ん、重苦しい。イヌイットの神話を元に、舞台を現代に移していますが,その必要性はなかったんじゃないかな。アレが昔ながらのイヌイットの村であったって、何の不都合も無かろうに。さて、全篇における花というべき存在は,山の精霊です。「まんが日本むかしばなし」のまぬけなお化けと水木しげる描くところの細密画風精霊の合体のような独特なスタイル。オープニングと劇中に登場する左右に走り抜けるアホみたいな精霊が、たまらなく素晴らしい。動物の姿を次々にとり続けるなど,アイディアも秀逸。精霊だけでも一見の価値あり。そして、全篇に流れる音楽。民族楽器を絶妙に取り込んだ見事なものに仕上がっています。 5点(2004-08-21 19:27:22) |
2. ブリキの太鼓
いやはや何と言うか、不気味であるが決して不快ではなく、奇妙に居心地が良かった。しかし、アレは3歳じゃなかろ。印象に残ったのはオカンをはじめとする大人がセックスのことしか頭にない中で、唯一プラトニックな存在だった(と思う)マルクスが死んだ時。「むかしむかし、太鼓たたきがいた。名はオスカル。むかしむかし、玩具商がいた。名はマルクス・・・」あのナレーション、子役とは思えん。凄い。 7点(2004-04-29 20:53:25) |
3. ウェイクアップ!ネッド
コメディとしては、ほぼ完全無欠と言ってもいいのではないかと思える面白さ。裸でバイクに跨るバカシーンから、感動的な葬式まで見所は尽きない。ラストシーンの空撮が特に好き。同時に流れる歌も映画の内容を凝縮していて好印象。 9点(2003-10-29 20:36:33) |
4. 永遠のマリア・カラス
マリア・カラスの事はな~んも知らなかった。CDすら聞いたことがなかった。だいいち、オペラを観た事が1度もない。で、まあ、観たわけですが。物凄く綺麗な声だと言う事は分かる。でも、私にはそこまで。よっぽど音楽のセンスがあるか、マリア・カラスのファンでないと一番良いところが楽しめないかも。でも、マリア・カラスを知らない世代でも十分楽しめる。感動できる。監督はじめ製作者と出演者に愛があるからでしょうね、マリア・カラスに。 8点(2003-10-18 17:41:42) |
5. ぼくの好きな先生
いいですね、素敵ですね、みんな。難しいことは考えずに(本当は少し考えた方がいいのだけど)、観ましょう。楽しいです。 9点(2003-10-13 16:15:09) |
6. ストレイト・ストーリー
ほぼ全篇、爺さんオンリー。これで飽きさせずに引っ張りつづけるこの存在感。年輪、です。 6点(2003-10-09 21:39:11) |
7. 人生は、時々晴れ
生活苦を絵に描いたような風貌、言動。嗚呼、ティモシー・スポール。彼の持つ「おっさんのリアリティ」はあまりにも見事すぎる。名台詞も多い。地味で陰気だけど、そんなどん底でも挫けそうで挫けない辺りがイギリスなのかな。アメリカだったら2人や3人自殺してそうだ。 7点(2003-07-14 21:58:45)(良:1票) |
8. 戦場のピアニスト
逃げ隠れするしかしょうがない。人にすがるしか生きる術がない。ドラマティックではないが、それが本当のところなんだろう。「ライフ・イズ・ビューティフル」の方が好きだし面白いけれど、あれは言ってみれば“お話”でこっちはほとんど実話だから。余談ながら、銃声がするたびに体がビクッとなるので戦争映画を観に行くといつも明かりがつく瞬間が恥ずかしい。 7点(2003-06-28 21:50:20) |
9. 愛してる、愛してない...(2002)
掛け値なしに面白い!しかし、「アメリ」を観てない人には面白さ半減かもしれません。前半のアンジェリクの可憐さはまさにオドレイ・トトゥの真骨頂ですし、後半の“ブチ切れ電波系妄想”も「アメリ」で見せた空想癖を土台にしているためか、やたらとリアリティがあります。こんな人いないだろうけど、いそうで怖い。観せ方が抜群に上手いので、同じ事象を視点を変えて2度描いているのに少しもくどくありません。むしろ、2度目の展開の方が観客を惹きこんでいくのではないでしょうか。「アメリ」とオドレイ・トトゥのファンなら必見です。「いい妄想」と「悪い妄想」の比較が出来て楽しいはず。 9点(2003-06-06 21:40:18) |
10. 小さな中国のお針子
旧弊は悪であり、文明こそが善である。とは言い切れない。青年二人はお針子を失い、村は思い出とダムに沈む。お針子に道を開き、山村に衛星放送をもたらす。紙の船に灯は燃え、水中でヴァイオリンが響く。 7点(2003-06-06 21:04:38) |
11. 8人の女たち
場面展開が限られてるからスクリーンよりも舞台に向いてるんじゃないかな、と観ながら思った。ミュージカルシーンは何か不自然だったし、謎解きもありきたり。ドロドロした人間味の噴出を描くためだけの設定だったような気がする。そんなに面白くなかった。 5点(2003-03-16 14:17:17) |
12. ル・ブレ
最初のカーチェイスに結構力入ってて、「おっ!」と思わせときながらその後はアホボケカスの連発。玉石混交のギャグの嵐。笑えるのも笑えないのも、とにかく次から次へと繰り出される。あのマジっぽいアクションはなんだったの?「何ぃ、観覧車ぁ?あんなもんただの掴みや、そんなことも分からへんのかドアホ!」という製作者側の意気込みがビシバシ伝わってきて愉快。 7点(2002-09-15 23:28:59) |
13. ノー・マンズ・ランド(2001)
「敵味方をこえて兵士同士が仲良くなる」などという設定は掃いて捨てるほど観てきたが、この映画はさらに踏み込んでいる。ラスト近くの銃撃は全く予想していなかったのでかなりビビッた。最初は時々ウケていた場内も後半はクスリとも笑わず、クレジットでは重苦しい雰囲気の中誰一人席を立たなかった。救いのないラストなので、オチに笑いがあった方が助かるのだが。 7点(2002-07-06 23:35:41) |
14. ロスト・チルドレン
「アメリ」の監督が前に撮った映画、位にしか思ってなかったが予想以上に面白い。庭石をひっくり返したら虫が大量に出てきた時に感じる“妙に嬉しい瞬間”の連続。その白眉は「涙の一粒が船を突っ込ませる」強引な引っ張り方。陰気でグロテスクで、観てるとなんだか元気が湧いてくる。ええなあ、こういうの。 8点(2002-06-08 19:41:50)(良:1票) |
15. 息子の部屋
淡々と。ただ、淡々と描くその姿勢がいい。大袈裟でなく、引き過ぎず。静かなシーンが多いので、台詞の一つ一つが深くこちらまで届く。観終わっても悲しい気分を引きずってしまうのが、ちょっと辛いけど。 6点(2002-06-08 19:32:58) |
16. 夏至
最初は幸せそうなヒトビトが、なんかドロドロした状況を呈していくのは観ていて少し辛い。ベトナムの町並みや風景、雨や風があそこまで綺麗に撮られていなかったら、かなり重くなってたのではないか。ストーリーは全体的に悪くはないが、中盤から終わりにかけてちょっと眠かった。 5点(2002-03-02 20:30:22) |
17. カンダハール
ドキュメンタリータッチでありながら、ヘリからパラシュートで義足が降って来るというシュールな虚構を取り入れることにより、事実よりもより一層生々しく“アフガニスタンの現実”が伝わってくる。内戦の悲劇を一歩引いた視線で捕らえ、淡々としかし目を逸らすことなく描く。この映画が9・11同時多発テロの前に撮影されたものであり、テロゆえに注目を集めたことも観客は忘れてはいけない。話題にして終わり、という扱いは許されないはず。 6点(2002-02-09 22:10:41) |
18. ジャンヌ・ダルク(1999)
見せ場は戦争シーンかも知れないが、なんか適当に撮ってる感じがしてマイナス。でも、後半のダスティン・ホフマンとのやり取りが面白い。慰めに来たのかいじめに来たのか救いに来たのか、さっぱり分からんところが良い。 5点(2002-02-02 20:18:19) |
19. 耳に残るは君の歌声
何を置いてもまずは音楽。全篇に溢れる歌と楽曲はじつに良い。それに引っ張られて良い印象を持つが、ストーリー自体はさほど面白くない。特にナチ侵攻以降は展開が早すぎて「あれ?あれ?」と思ってるうちにラストへなだれ込んでしまう。もうちょっとゆっくり長尺でやってくれればいいのに。劇中のタトゥーロの台詞ではないが「歌を聴きに行く」映画かも。 7点(2002-01-19 21:37:08) |
20. アメリ
ワカメちゃんカットのアメリがとにかく愛らしい。黒い瞳をいっぱいに開いたカメラ目線、空想にふける伏目がちな表情、お化け屋敷(スモークがカッコ良くてすごく入ってみたい)で見せる大人っぽい仕草、そして悪戯を仕掛ける時の茶目っ気たっぷりの笑顔。どのシーンでもきらきらと輝いています。悪く撮れば“ダメ人間大集合”になってしまいそうな濃い登場人物たちが暖かい幸福に包まれていくのを観ていると、こっちまでほんわかと幸せになれます。クスクス笑ってるうちに知らず知らず人生が好きになるような素晴らしい作品でした。 9点(2001-12-23 20:43:24) |