1. バイオハザード(2001)
げーむの映画化ってつまらなくなるよなー。 4点(2005-01-22 15:46:15) |
2. さすらいの二人
けっこう印象的なセリフが多い映画です。「全てから逃げている」、「想像してたよりも世界は貧弱だった」、「世の中はおかしいわ」、などなど、何かを求めつつもそれがわからないロックと、無理に大人っぽく振舞う女が告白する言葉の数々、悲しみと虚しさを象徴する言葉の連続だった。また、ロックの奥さんがロックの同僚に性的なものを求めてしまうシーンも印象的で、肉体と精神のズレみたいなものを感じてしまった。だが、所詮、現代の世の中なんてそんなもん、満たされることなんてあるのかよ?というアントニオーニの問いかけを勝手に聞いてしまった気がした。それから、ラストシーン、長回しでゆらりと撮った映像であるが、精神的な砂漠、乾いた心をを表現したシーンとして衝撃を受けた。砂漠にオアシス、つまり、心の充足を見つけ出すのはなかなか難しいものであると感じ、我々にも共通する問題だと思った。 9点(2004-02-19 19:19:23)(良:1票) |
3. 自由を我等に
脱獄に成功した男が会社の社長となり、「刑務所」というべき会社を経営しているという皮肉がまずおもしろい。「自由」というものはなかなか易々と答えを見出せない言葉であるが、この映画では本当の意味での自由とは何かということを問いかけているような気がした。そういった意味で、ラスト、唄を唄いながら歩く主人公二人は刑務所から出て初めて、自由を手にしたように思えた。しかし、この自由に対する投げかけは、決して説教臭くなく、コミカルに社会を風刺しながら自由を唄っている点がなんとも気持ちよく、この映画を、ましてや、ルネ・クレールを好きになった一つの要因といえよう。サイレントとトーキーの絶妙なバランスと勇気と希望を与えてくれる音楽も大好きである。 9点(2004-02-16 15:18:07) |
4. 巴里の屋根の下
まず、何より音楽が素敵だ。巴里の下町を舞台としてユーモラスに温かみもあるが風刺も利いているという絶妙なバランスのフランス映画であるが,主題歌がこの映画の雰囲気とベストマッチしていて実に気持ちがいいのである。演奏をうるさがるおっさんなど、コミカルな脇役も好きだ。しかし、なんといっても、アルベールが逮捕されている間にポーラがアルベールの相棒とできてしまい、最後、ポーラの元から離れていくアルベールがなんとも切ないわけだが、その後に再び流れる主題歌が、その若者達の恋の行方の切なさを唄い流すというか、若者達を、そして、巴里の下町の人間を暖かく包んでくれているような気がし、なんとも印象的だった。 10点(2004-02-15 17:21:38)(良:1票) |
5. 新学期 操行ゼロ
子供の気持ちを実にうまく表現した作品。ジャン・ヴィゴのセンス、人間の描き方がうまく表されているなーと驚嘆してしまった。子供なら誰でも持っている反乱の心、決してシリアスなものではないその心を温かく描ききるとこはさすがの一言、映像も高いセンスが随所に散りばめらていて、観ていて飽きることがなかった。若干29歳で死んだ非凡の才能の持ち主、ジャック・ヴィゴという監督が世に送り出した作品は、いまでも色褪せることが泣く、私の心を捉えた離さないのである。 9点(2004-02-14 23:06:53) |
6. 山猫
ルキノ・ヴィスコンティを語る上で外すことができない大変重要な作品である。ネオリアリズムを描いてきたヴィスコンティがデカダンスを全面に押し出して貴族の崩壊を描いた力作である。バート・ランカスター演じるファブリッチオがタンクレディに未来を託し、自らは貴族社会の崩壊、終焉が来たことを実感するわけだが、これは貴族出身だったヴィスコンティの貴族に対する愛や別れを意味するものだと感じた。デカダンスを描いた最初の作品であるが、この後の作品になるにつれ、後姿や、視線のズーム、深層と表層の対比といった主題は強まっていくのである。 8点(2004-02-08 21:15:40)(良:3票) |
7. 巴里祭
観終わった後の気持ちよさ、なんともいえないものがある。モーリス・ジョーベールの音楽も素晴らしいの一言、若い二人の運命の恋を綺麗に歌い上げている。ジャンとアンナをはじめ、酔っ払いの金持ち紳士、タクシー運転手と、あのなんともかわいい犬、いたずら好きの下町の子供達、アパートの住人、教授とその家族、ポーラ、ポーラの仲間、などなど、この映画に出てくる登場人物は憎めない存在である。一つ一つの行動や言動に温かみがあり、観ていて飽きさせない。それでいて、ただ面白いだけではなく、しっかりと社会や大人に対する風刺もこめられているとこが素晴らしい。ラストシーン、口論の途中、雨が降り、教授の家の前でジャンとアンナがキスをして終わる場面が爽やかで温かみがあリ、大好きである。あの雨を観ていると、なんだか温かい雨、幸せを降り注ぐ雨に観えてきた。二人の新しい船出、未来へと降り注ぐ雨、なんともロマンチックである気がした。 最高の映画であるでしょう。 10点(2004-02-08 18:07:26)(良:2票) |
8. 太陽はひとりぼっち
ミケランジェロ・アントニオーニが醸し出すこの雰囲気、やられてしまった。現代社会がもたらした現代人の空虚感がこの映画にはプンプン漂っている。乾いた映像(特に飛行場のシーンや、ラスト五分くらいの映像)、「分からない」を連発するモニカ・ヴィッティ、機械的な音響など、惰性で生きているとしか思えない現代人の心のむなしさ、愛の不毛を完璧に視覚化している。まさに神業であるといえるでしょう。愛し合うこともできない人間、その苦しさは半端ないものだと思う。 STING大好きさんが言うように、アントニオーニの映画に出てくる登場人物は怖いほど背景と同化してしまっていると感じさせられた。その証拠に、この映画にはアラン・ドロンが出ているが、そのかっこよさが十分に際立つわけでもないのだ。不思議な感じがした。ミケランジェロ・アントニオーニは奥が深い。深すぎです。 10点(2004-02-06 22:41:44)(良:2票) |
9. アタラント号
ジャン・ヴィゴの愛に包まれた作品であると思った。なんといってもジュールというおっさんがミソでしょう。彼のやること全てが観ていて楽しかった。ジュールがいるからこそ、ジュリエットが輝いて見える気がした。最後、ジュリエットをジュールが見つけて旦那のとこに連れ戻し、二人が抱き合うラストは、綺麗で爽やかな感動を私にもたらしてくれた。旦那がやけになり、飛び込んだ河の中にいる花嫁姿のジュリエットなど、幻想的なシーンも愛に包まれていて好きだ。音楽もまた、この映画の幻想的な空間を作り上げるのにうってつけの音楽だ。爽やかな、そして、愛と夢がある映画である。 9点(2004-02-06 22:11:22)(良:2票) |
10. 若者のすべて
ヴィスコンティのネアリアリズムの大傑作でしょう。しかし、この後の「山猫」からはじまるデカダンス映画の要素も先取りしていることも家族の崩壊というテーマから伺えます。バロンディ家は悲しいほど、どん底へと堕ちていく、この厳しくも辛い現状をヴィスコンティは入念に描き切っている、これはほんとにすごいことです。クラウディア・カルディナーレ アランドロンという一流スターが素晴らしい演技をしているとこも好きです。 そして、ヴィスコンティ一流の映像もまだ完成段階ではありませんが、気合が入っています。 10点(2004-02-06 00:24:30)(良:1票) |
11. 現金に手を出すな
フィルムノワールの大傑作である。決してハリウッド的ではないとこがいい。それを証明しているのがなんといってもジャン・ギャバンでしょう。フランス人のエスプリを体現する男である。この男が出ているだけでも見る価値があるといえよう。 8点(2004-02-06 00:16:36) |
12. 白夜(1957)
色の使い方、入念なセット、カメラワークが素晴らしい。特に白と黒のコントラストには美しいの一言しかない。そして、最後のマルチェロ・マストロヤンニの後姿はビスコンティ初期の作品とはいえ、ドイツ三部作やイノセントのラストにみられる後姿とかぶるとこがあるように感じた。 9点(2004-02-03 18:18:11) |
13. サクリファイス
タルコフスキーの映画は過去、現在、未来という三つの次元のうち、とりわけ過去の次元の表現に焦点が置かれているのはいうまでもないが、「サクリファイス」においては、未来の次元を強く志向しているといえる。この映画において「水」という視覚的主題はついに未来の次元に流れ込み、タルコフスキーの時間の映画は完成されるのだ。郷愁の象徴としてや、時のリズムを表すために用いられてきた「水」は、「サクリファイス」では、水溜まりのシーンや家の前の湿地のシーンなどで、死を表す視覚的主題として使われているところが他のタルコフスキー映画と一線を画していると思われる。しかし、驚くべきことに、最後の海のシーンで奇跡が起きる。オープンニングでは死の水であった海が青さを放ち、波が振動し、時のリズムが奏でられるのだ。ここで観る物は確かな未来を感じずにはいられないのである。また、「サクリファイス」における空中浮揚はまさに圧巻である。世界の破滅からの救済という主題が最高の形で視覚的に表現されているのではないか。まさに恐怖からの解放である。アンドレイ・タルコフスキーの放つ映像芸術、もっと見たかった。この映画で最後とはなんとも残念である。 9点(2004-02-02 22:23:57)(良:1票) |
14. 赤い砂漠
月光城月麻呂さんがおっしゃるようにアントニオーニの映像センスはやばすぎます。色の使い方、無機質な映像と幻想的な映像の組み合わせが絶妙です。月光城さんも指摘していますが、登場人物が一瞬、霧の中に消えるシーンにはゾクっときてやられてしまいました。人間の不確かな内面性、物質主義が作り出した空虚感、脱力感が見事に表現されており、真実っていったい何?と深く考えさせられる映画であります。主演の女性も心に不安を抱える役をうまく演じていると感じました。アントニオーニの愛の不毛の物語はほんとに奥が深い、深すぎます。 10点(2004-02-01 22:53:09) |
15. トラフィック(1971)
ユロ氏はやっぱりいいねー。いやらしくないけど上品で皮肉たっぷりの笑い。定職に就いてるユロ氏にはびっくりでした。犬と毛皮のいたずら、運転中に鼻くそ掘ったり、あくびしたりしている人々、そういう行動ってある意味万国共通っぽいですなー。親近感を覚えました。スクラップの車と新車の車、こういう皮肉をすっきり、温かく描き出すジャック・タチには脱帽ですよ、ほんと。特に好きなのは映画前半でトラックの空気を入れてるとこ、かっ飛ばしてる車にぶつかりそうでぶつからないとこがかなり笑えました。 ほんと、いいですねー。 9点(2004-01-31 21:24:09) |
16. 夜
社会の堕落を淡々と、無機質に描くミケランジェロ・アントニオーニ。ジャンヌ・モローの徘徊やラストに手紙を読み上げるとこなんかは特に現代人の空虚感がひしひしと伝わってくる。また、他の方が言っているように音楽の使い方、構図、影の使い方などが無機質な感じで社会の堕落、愛の不毛を強調していると思います。このクールさがたまりません。 10点(2004-01-25 17:28:33) |
17. 昨日・今日・明日
デ・シーカの温かみが映画全体を包み込んでいる気がする。社会の実情をコミカルに軽く描いているとこが皮肉っぽくてグッドです。しかし、マルチェロ・マストロヤンニという俳優、観れば観るほど、魅力が出てくる。なんともいえない官能性があるんだよな。それとこの映画ではお茶目な部分もでているし、深いぜ。マストロヤンニ! 8点(2004-01-24 23:34:10) |
18. ぼくの伯父さん
絶妙な映画ですな。ユロ氏の演技、監督の細かい演出、セットとほんとに絶妙なんですよ。現代文明に対する風刺ですが、表現方法が媚もなければ、いやらしさもない。のほほんとした笑いに終始している点が社会風刺を逆に際立たせている。魚の噴水、ユロ氏のアパート、こどものいたずらなどが、なんともいえない笑いを作り出す。ほんとに素晴らしい映画であると思います。 10点(2004-01-21 21:23:58)(良:2票) |
19. サテリコン
歴史物だが現代に通ずるものがある。欲望、快楽、退廃、こういった要素はいつの時代にも必ずあるものだし、異色作に観られがちだがフェリーニ作品の根底に流れるものは変わらないと思った。特に、宴のグロテスクさ、派手さは快楽の象徴のようであった。フェリーニのインスピレーションに敬意を表したい。 9点(2004-01-20 19:43:35)(良:1票) |
20. イノセント
役者陣の視線の演技を観ているだけでも恐れ入る。貴族の崩壊がテーマであることはいうまでもないが、演出が超一流であるが故、だれにもまねできない作品になっている気がする。最後の愛人の後姿がなんとも言えず、幻想的な映像とともに目を奪われてしまった。 あの後姿はヴィスコンティが映画業界から去っていくこと、貴族社会や家族の崩壊に対する別れの歌を意味することの暗示といっても過言でない気がした。 9点(2004-01-20 18:41:53)(良:1票) |