1. あなたを抱きしめる日まで
《ネタバレ》 飛行機にて鑑賞。これはすごい映画だ。おそらくこの映画を見た人は、まず怒りを覚えるだろう。それは、この状況を生んでしまった時代背景や、そして、あの修道院のシスターへの怒りだ。そして、その怒りは映画の終盤、いったんマーティンが代弁してくれることで昇華されるのだが、その直後に描き出されるのは、なんとフィロミナの許しであり、慈愛なのだ。その瞬間、観客にとって、怒りなどには意味がないことが明らかになり、そして残されるのは、決して取り返しがつかない、そういう途方もないやるせなさのみ。もちろん誰もが大人になれば、多かれ少なかれそういうやるせなさを知ることになるのだが、それを端的に表現しきったすごい映画だと思った。もちろん、ノンフィクションとしての力が背景にあるのだろうが、この映画はそれを超えた文学表現になっている。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2014-05-14 21:19:33) |
2. バベル
悲劇っていうのは、自分のものとして感じられてこそ、というのが第一の感想。バラバラと悲劇的なものを見せられても、自分には悲劇には感じられない。こういう複数の視点、いわば神の視点からストーリーが描かれるようになったのはいつからなのか素人の自分にはわからないが、幸せな景色を眺める目的ならばいざ知らず、悲劇を並べて眺めることの意味がわからなかった(もちろん微妙につながっていることに意味があるのかもしれないが)。これだったら、ドキュメンタリー番組でも見てるほうがよほどリアルで面白い。 [地上波(吹替)] 3点(2012-05-30 20:13:04) |
3. ロシアン・ドールズ
《ネタバレ》 まさかその後の彼らを見ることが出来ると思っていなかったので、期待してしまったが、ちと残念な出来。まあ、当時のようにみんなが生活を共にしているわけもないので、2時間でそれぞれのその後をきちんと描けるはずもなく、ちょっとした「同窓会」の感が否めないのは仕方のないことか。そこを割り切って、終盤グザヴィエとウェンディの関係を集中して見せたのは、悪くないと思った。それにしても、当時よりも増して、グザヴィエのダメっぷりが目立つ今作。最後ウェンディに'I love you, I've always loved you'と言おうと思いつつ、'You should say "I love you"'なんて言ってしまうグザヴィエは「相変わらずだな~」と楽しく思いつつも、男としては「そりゃ~いかんだろ」と思ったり。それでハッピーエンドになっちゃうんだから、女性というのはよくわからん。恋愛音痴な俺には、ちとレベルが高いよ、この映画。 [DVD(字幕)] 5点(2008-08-17 13:39:41) |
4. Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!
飛行機にて鑑賞。偏見かもしれないが、イギリス人の笑いは、誰かが不愉快になっていることが前提になっている気がして、どうも好きになれない。結果オーライなら、それでいいってもんじゃないだろ。そういう意味では、「大迷惑?!」とかってかなりこの邦題はイケてるが、それにしてももう少し、おおらかでハッピーな笑いが欲しい。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2008-01-21 00:46:45) |
5. 幸せになる彼氏の選び方 ~負け犬な私の恋愛日記~
《ネタバレ》 まず苦情なのだが、邦題がいけない。5つもオプションがあるんだから、彼女は「負け犬」ではないじゃないか。そんな文句もありつつ、恥ずかしながら楽しんで見た。主人公は見た目のほかは、ぶっちゃけたいして魅力があるわけではないが、誰にでも優れたところを見つけられる、その能力は、ちと尊敬。でもその長所ゆえに気の多い彼女。1時間半の間、そんな彼女の選択の行方に観客も振り回されるわけだが、最後に彼女がダグほど大人でもなく、ガブリエルほど超越した世界を持つわけでもなく、ボビーほど自信に満ちているわけでもなく、そしてルークほどいろんなものを持っているわけではない、ただの変人バリーを選んだことは、この手の映画の結末としては定石なのかもしれないが、ダメ男の俺としては福音にすら感じられるのだった。ルーシー、勇気をありがとう(恥)。 [DVD(字幕)] 8点(2007-02-11 21:18:38) |
6. ボーイズ・オン・ザ・サイド
人間のどうしようもない寂しさが描かれた、貴重な映画。そして、たとえばパズルのようにピタッと誰かが誰かを支えるなんてことはできないというやるせなさを前提にした上で、それでもなお人が人を思い合うことでかけがえのない関係を作れるのではないかという可能性を感じることのできる映画でもある。この感情をなんと呼ぶのかわからないが、ドリューが帰ってくるシーンで涙を流した。 [DVD(字幕)] 7点(2006-07-22 14:49:37) |
7. アンジェラ(2005)
リュック・ベッソン版「電車男」。思いっきりわかりやすい成長物語に、はじめはくだらないな~と思いつつも、いつの間にか主人公に自分を重ねて観ていた自分に気付き、一人赤面。エンディングは「フィフス・エレメント」よろしく仰天のハッピーエンドになっちゃっていて評価が分かれるだろうが、これはこれでよかったと思った。そうじゃなかったら、色々あっても主人公の人生は結局モノクロなまんまになっちゃうから。自信を無くしている時に、夜中にこっそり一人で見たい一本。 [映画館(字幕)] 7点(2006-05-26 21:42:56)(良:1票) |
8. 藍色夏恋
最近この手の青春映画が好きなのだが、それはたぶん俺がすでに違う世界に住んでいて、安心して遠くからその世界を眺められるようになったからだろう。主人公の揺れる思いを心から感じることはできなかった。それでも、そんなこともあったかもしれないという記憶のはじっこに触れてくる感覚があって、見ていて飽きなかった。「あと一言が足りなくてもどかしい」、そんな映画が好きな方におすすめの1本。 [DVD(字幕)] 7点(2005-06-19 20:18:42) |
9. ザ・インタープリター
テンポ良く進み、適度に頭を使う、良質なサスペンス。主人公の背景が少しずつ明かされていく過程で次々と起こる出来事にハラハラさせられ、飽きなかった。ただ、国連を舞台にしながらなんとなく話が小さくまとまってしまっていて、しかも頭使わせるわりにストーリーにメッセージがあるんだかないんだかわからないところに、小さな苛立ちを感じないこともない。娯楽作というには、主人公の背景は重すぎた。そういう意味では、少し中途半端な作品。 [映画館(字幕)] 6点(2005-06-01 18:10:32) |
10. バイオハザードII アポカリプス
《ネタバレ》 いきなりジョボビッチ、教会の窓からバイクで飛び込んできたりして、これってチャーリーズ・エンジェルだっけ??、って感じで笑ってしまった。前作の狭い空間での闘いとは一変、広いところでハツラツと闘うみなさんはたしかにカッコよかったが、緊迫感はなかった・・・。ストーリーもあってもなくてもいいようなものだったので、1時間半であっさり終わったところは成功だったかも。いずれにせよ、これを見るぐらいなら、前作を2回見たほうがよいと思った。 [DVD(字幕)] 5点(2005-05-29 16:09:57) |
11. スパニッシュ・アパートメント
主人公のグザヴィエは官僚を目指してしまうエリートのわりに、よく言えばおおらか、悪く言えばいいかげんなキャラクターで、時と場所と人によって違う顔を見せてしまう人物。ハリウッド映画を見慣れてしまうと、場面場面で違う顔を見せる主人公に違和感を感じるが、でも自分たちが住む世界を考えれば、人間、そんなものなのかもしれない。まさに、アイデンティティの共存。なにか高尚なものを与えてくれる映画では決してないが、リアルな世界をうつした映画であると言える。 [DVD(字幕)] 7点(2005-05-29 11:22:25)(良:2票) |
12. ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月
《ネタバレ》 期待していたのだが、残念ながらつまらなかった。よく考えたら、恋愛モノでしかも登場人物が同じ続編は、面白くするのは至難の業だろう。だって恋愛モノっていうのは、相手との出会いから始まり、相手のことを徐々に知って恋愛感情を抱いていく過程に醍醐味があるのであって、前作は2人の男とのそういう過程を描いていたからこそ、主人公の激しく波立つ感情を楽しめたのだった。ところが今回は、もはやキャラクターを知ってしまっている2人との別れ→浮気→復縁を描いていただけで、それはただ小さなエピソードで笑わせるコメディーとしか存立していないのだった。せめて浮気相手がヒュー・グラントでなかったら、もう少し面白くなっていたかもしれない。残念・・・。 [映画館(字幕)] 4点(2005-04-16 23:01:53) |
13. アメリ
いいなあ、これ。どってことないストーリーなんだけど、ストーリーのなさが逆にアメリのゆれている気持ちをクローズアップさせていて、すごくよく伝わってくる。幸せになるには、傷つくことを覚悟で勇気出さないといけないのね、って、アメリと一緒になって乙女のようにドキドキしてしまった(笑)。 7点(2004-02-07 23:08:13) |