1. ハンニバル・ライジング
《ネタバレ》 あまり前作の「ハンニバル」の映画が好きじゃない私としては、この「ハンニバルライジング」の方が、原作や「羊達の沈黙」のレクター博士に抱いたイメージに近かったので、なかなか面白かったです。(脚本もトマスハリスなので、そのせいもあるのかな) もちろん、レクター博士の後々のあまりの怪物殺人者っぷり を考えると、この作品でのハンニバル君は、まだまだ、控えめ・初心者な部分がたくさんありますが、年齢や、人生で唯一「癒し&愛」を与えてくれたレディ紫の存在を考えると、この時期が最後の人間→←怪物期だったのかな、とそんなに殺人のぬるさに関しては気になりませんでした。完全に怪物化して、超人化したハンニバルよりも、 こういう人間らしい部分を残したハンニバルを見せてもらって、ますますレクター 博士の事が好きに、というか、気になります。 妹を食べられた過去については、あれが後の全てのレクター博士の素ではないでしょうね。ただ、、前に本で読んだのですが、レイプされた女性のなかにはその後、わざと 売春や援助交際などをして、自分の身を汚そうとする女性が居たり、虐待を受けて育った人間の方が、普通の人より自分の子供を虐待する率が高かったりするようです。 なので、必ずしも、人間は「やられた傷」を再生して生きていこうとするより、 深すぎる傷をうけた人は、その傷を自ら掘るような事をして、生きていくしかないという場合もあるようで、レクター博士は、確かに、人間であることをすて、 再生する道も捨てて生きていく道を選んだのでしょう。 レディ紫を演じたコンリーが大変魅力的で、ただし、日本テイストについては、 中国と混ざっていて、日本人からみたら違和感はありました。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-28 11:50:00)(良:1票) |
2. ショーガール
ヴァーホーヴェン監督好きの人には、ニヤッと笑える上になんとなく 励まされる(?)気にもなれる、いい映画だと思います。 ラジー賞を本人が受け取りに行っちゃったエピも含めて、私の中では「下品も突き詰めると粋になる」そんな見本の映画です。脱ぎまくり、やりまくりですけど、あんまりエロくもグロくもないですよね?かえってさわやかな気がするくらい(笑)のポロリっぷり。。主人公のたくましさには日本のヤンキーママにも通じる、微笑ましいような、アホやな~と思うような、それでも「勝てないわ」と思えるような、図太さを感じる。大阪的な部分、あるなぁ、これ。でも、ある意味フェミニスト映画だと思うんだ(友達レイプされるけど)。女性ってほんとはか弱くもないし上品でもないし、情緒とか無いと思う(わたしゃ女です)。ほんとは強くて、単純で、明るい女性が理想だし、原点じゃない?だから、うるさくって、本能だけで生きてて、友情には厚くて、たくましいノエミは、ある意味正しいゼ。男性の作る映画って、幻想の女ばっかり出てくるから、イライラしちゃうんだけど、ヴァーホーヴェンの映画の女性はある意味リアルですね。ノエミって案外いい妻、いいお母さんになると思うわ。そういう問題ではない? [DVD(字幕)] 7点(2007-04-12 03:51:22)(良:1票) |
3. ハイテンション
《ネタバレ》 とにかく前半、いきなりその名の通り、ハイテンションな殺戮が始まりだしたあたりは 本当にウキウキわくわくwするのに、あ~あ、最後がねえ・・(泣) 製作者側の気持ちはわかる、というか「一味違う、スプラッター映画」 にしたかったんでしょ?ある意味、まともって言えばまともな?オチなんだけどぉ。 今の流行にムリヤリ合わしてきた感じがして、そこだけつまらない。 この映画の前半の魅力にやられた人にしてみれば、そのまま訳のわからない 熱にうなされたかのように、後半もつっぱしって欲しかったハズではないでしょうか。 犯人が誰だろうと、主人公がレズだろうと、友達がブスだろうと、どうでもいいのさ。せっかくあれだけの田舎の静かで奇妙な「なにかが起こりそうな感じ」を出せてるんだから、気が狂ってるような終末まで行き着いて欲しかった。ハイテンション→ローテンション。だけど、前半本当に楽しかったので、良かったとしよう。 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-16 02:35:54)(笑:1票) (良:1票) |
4. キングダム・オブ・ヘブン
《ネタバレ》 結構グラディエーターと共通してるテーマの映画だと思いました。 主人公が王女とホイホイ結婚しないことがこの映画の一つのポイントと なっていると思うが、それについては「不倫はヤダ」という単純なキリスト教徒的 理由ではなくて(その前に既に寝てる・・)「アホ夫を殺して→王女と結婚して→権力を得る」っていう流れが、主人公の思う「妻を失い、司祭を殺した自分を償う道」と矛盾しすぎていて、そっちに流されなかったんだろうな、、と私は思いました。 バリアンという人は、女の色香には弱く、自殺した妻の死を侮辱されたからといって 司祭をうっかり殺してしまうし、「完璧な男」ではないわけですが、 それでもいっちょまえの「罪悪感」があり「誰かの為に自分をささげる場所を探している」という無欲な求道者な部分が、みんなを引き付ける、という設定なのかな、、と なんとなく。 リドリースコットはたぶん・・・ですが、イラク戦争についての批判的な意味も こめてこの映画を作った所もあると思え、あくまで、「権力を得る為(たとえそれが 防衛的な意味でも)に誰かを殺してのしあがる主人公」は描きたくなかったのかな。 権力欲のない主人公・・といった意味ではグラディエーターのときのラッセルと 同じだなぁと思いました。 まあ、どちらも、「お前が王女とさっさと結婚しとけば、国民の犠牲も もっと少なくすんだんちゃうんかい」というジレンマがあるわけですが、 でも、私も本当のヒーローって「自分は地位は要りません」的な人かなあ とも思うので、今回のバリアンもでしゃばらない部分はまあ好きですよ。 でも、オーランドくんにはやはりラッセル程の「ヒーローオーラ」が全くなく、 そのせいかストーリーがどうも淡々としてしまいましたね。 戦闘シーンも迫力があっていいし、敵役や脇役もとっても魅力があるのに、 どうも薄味な感じの主ストーリーが、それを生かせてなかったようです。 いっそのこと、エルサレムに着いた所からのストーリーにしてしまって (回想でなんとかする)、もっと王や王女や父親とのエピを濃いもんにしておけば傑作になったかも。惜しい感じ。 [DVD(吹替)] 7点(2007-01-05 18:01:54) |
5. サイレントヒル
《ネタバレ》 ゲームはやったことないのですが、この映画の雰囲気や画像は単純に好きです。 目に残る・・・というか、とても気持ち悪いけどどこかうっとりするような 画が多かったかな。私が悪趣味なだけかもしれないけど、三角頭?が女の子を引き裂く ところとか、良い警官さんが焼かれる所・・・とか、すごくおぞましいけど、ついつい うっとりしてしまいましたよ(汗)。ストーリー的には観終わっても謎がいっぱい、 というか、「突っ込み所はいっぱいあるな」って感じなんですけど、ま~、この映画の場合、「生理的な気持ち悪さ」を製作サイドが狙ってるような気がして、ストーリーは2の次・3の次でいいように私は思いました。まあ、オチも弱いですしね。 でも、主人公の旦那さん役の人はなかなか良かったなあ。お父さん役のハマる人ですね。彼が主人公で2を作ってくれたらまた観たいと思います。たぶんあのヒステリー妻 (主人公)から、謎の「たすけて」手紙とかが来て、サイレントヒルにのこのこ出かけていきそうな予感・・・(笑) 雰囲気に酔わせてくれるホラー映画が好きなので点数は甘めにつけてます。 [DVD(吹替)] 8点(2007-01-02 14:58:34) |
6. ユナイテッド93
《ネタバレ》 9・11関連の物語は、あまりにもあの当時の衝撃がまだ強すぎて冷静には 観れなかった。ドキュメンタリー映画としては良い出来だと思う。必要以上に 登場人物の感情表現をしない所が、リアルに見える。テロリスト側の頼りない 感じや困惑も、現実っぽい。でも、現実っぽいからこそ、この映画は危険・・とも いえる。結局、ホントのホントの真実は闇に包まれている・・んだろう。 でも、テロリストも乗客もみんな亡くなった。それは真実。そのことだけでも 十分重い。本当に・・・・20年後、30年後も人類はこの日を忘れるべきでは ない、と思う。そういった意味で、この映画はずっと残って欲しい。たとえ描かれて居ることが全て真実ではないとしても。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-02 14:43:09) |