1. 隠された記憶
《ネタバレ》 ハネケ作品だからまた何かしてくれるだろうと期待半分ビビり半分で見始めた。 ハネケの嫌がらせ、つまり見ている者を不快にさせるシーン(鶏の首をはねてその後鶏がのたうち回るシーンや団地に住む男が自ら喉を切るシーン)こそあったものの、ハネケによる本作での最大の嫌がらせは、ビデオを撮っていた犯人を明示しないというもので、わたしが期待していた嫌がらせとは質の異なるものだった。 [DVD(字幕)] 5点(2025-06-08 15:22:25)★《新規》★ |
2. 枯葉 ~夜の門~
《ネタバレ》 キャスティングに関して色々ゴタゴタがあったらしく、三番目にクレジットされているイヴ・モンタンが主役を演じている。 話は普通だが、運命と名乗る浮浪者の予知能力が凄すぎるのが難点。 [インターネット(字幕)] 4点(2025-06-07 13:23:25)★《新規》★ |
3. ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地
《ネタバレ》 英国映画協会(BFI)が選出した「史上最高の映画」で、市民ケーンや東京物語、そして七人の侍をおさえてベストワンに輝いた作品、ついに見ることができた。 主演は大好きな女優デルフィーヌ・セイリグ。 そう、ご存じ「去年マリエンバートで」の主演が印象的な絶世の美女だ。 そのデルフィーヌ・セイリグが中年になりおばちゃんになってから主演したのが本作。 静かなる狂気を描いた3時間超えの作品。 見たのは「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」という映画館で、渋谷の駅前という超一等地にありながらとても綺麗で新しい映画館だった。 (しかし客席はほぼ空席) 3時間超えだというのに途中休憩がなく、前半からミネラルウォーターをガブガブ飲んでいた影響で、わたしの膀胱は限界間近だった。 おっと、枕言葉が多過ぎて感想を書かずに終えるところだった。 見終えた後、膀胱の開放感と共に妙な後味が残った作品だ。 おそらくこれは唯一無二の後味。 デルフィーヌ・セイリグ演じる女性のすべてを見てしまったかの様な感触。 そらまあすごいよ、これは。 なんかじわじわ来るんだよ。 (追記) そもそもこの作品の題名をそらんじるまでに丸一日かかった。 [映画館(字幕)] 8点(2025-05-24 19:08:07)《更新》 |
4. オルランド
《ネタバレ》 かなりぶっ飛び過ぎの内容で好みではないが、ドレスを身に纏ったティルダ・スウィントンはスタイル抜群で魅力的だった。 最初、まともな伝記物かと思っていたので途中からアレレ?!となり、最後でずっこけた! [DVD(字幕)] 4点(2025-05-11 19:15:20) |
5. 美しき仕事
《ネタバレ》 説明は少なめながらストーリー自体はシンプル。 ドニ・ラヴァンの、その容姿をどう捉えるか。 彼を唯一無二の役者として評価するか、それとも彼を醜悪なものとして忌み嫌うか。 彼には好きな女性がいた、それから推察するにゲイではないっぽい。 つまりホモの話ではなく人間ドラマだ。 主人公は少佐から評価されたいと思っていて、言わば承認欲求の塊みたいな人。 だから少佐から可愛がられている若い兵士に嫉妬した。 承認欲求の負の側面を、男くさい中で描いた静かなる作品。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-05-11 16:41:25) |
6. グレート・ビューティー/追憶のローマ
《ネタバレ》 これは大マジのマジで凄い。 何が凄いか、それは説明ムリ。 本当に凄いものを見た時、その凄さを自分の持ちうる言葉で表すことは到底不可能だ。 まず映像面。 今まで見てきた映画の中で最も美しかった。 それはどちらかと言えば、芸術的な美しさというより技術的な美しさ。 いや、それら両面での美しさかも。 次に音楽面。 エンドロールで流れる曲、これがおそらくメインテーマ曲だと思われるが、この曲が劇中で何度か流れるたびに、なんて素敵な曲なんだろうと感動した。 なんだか涙が出てきそうな曲だ。 内容的には難解な部分もあるかもしれない。 難解な作品はあまり得意ではないが、それなのに心地よいから不思議。 難解だからこそ、また見て少しでも理解を深めたいという思いさえ出てくるからますますもって不思議な映画だ。 100歳超えの修道女がラスト階段を這い登るシーン。 なんたる神々しいシーンだろうか。 ほんとヤバいな、この映画。 [インターネット(字幕)] 10点(2025-05-05 17:57:52) |
7. ポトフ 美食家と料理人
《ネタバレ》 トラン・アン・ユン監督作の中で最低の出来。 あれだけ鮮烈な映像を撮り続けてきた監督なのに本作の映像は凡庸だし、相変わらず人が簡単に死ぬわ、しかもジュリエット・ビノシュの体型が気持ち悪いときている。 料理に関する鼻につく蘊蓄を筆頭に、嫌味で妙にイラつく映画。 [インターネット(字幕)] 2点(2025-04-22 00:24:58) |
8. 愛、アムール
《ネタバレ》 ミヒャエル・ハネケという監督は人間が見られたくないもの、見せたくないものを描くのが好きだよね。 悪趣味と言われてもおかしくはない。 ラストシーンは自分にとっては相当きつかったね。 父親を病気で失った身としては精神的に堪えるシーンだったし、涙が出た。 二度と見たくない映画だけど、低い点数は付けられない。 愛するからこそ介護をしようと決めたのだろうけど、愛する人だからこそ日に日に弱っていく姿を見るのが耐えられなかった。 おそらくそんな心境だろう。 最後、家を出た後トランティニャン爺さんはどこに向かったのかが非常に気になる。 [DVD(字幕)] 7点(2025-04-20 17:17:17) |
9. 黄金時代(1930)
《ネタバレ》 関連性のないシーンが続き、よく分からないなあと思いながら見てたらいつの間にか終わってた。 別に面白いとかつまらないとかの内容ではない。 意味が分からないだけだ。 1930年にこれだけ露骨な性描写をしたのは凄い。 それがとにかく凄い。 だからこそ物議を醸したのだろうけど。 これはオーパーツ映画だね。 こんなはちゃめちゃな映画が1930年に作られたなんて! さすがは『アンダルシアの犬』を撮った監督だあね。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-04-09 21:50:54) |
10. ニーチェの馬
《ネタバレ》 「映画はエンターテインメント」という、世間の大半の人が映画に期待するものに対して、真っ向から挑んだタル・ベーラの意欲作。 ストーリーはほとんどないに等しく、父と娘の生活が淡々と描かれる。 しかも同じシーンの繰り返しが多い。 ジャガイモを食べるシーンとか、父の着替えを介助するシーンとか、井戸水を汲みに行くシーンとか。 この作品を見ていて想起されたのはロベール・ブレッソンのモノクロ作品だ。 だけど残念ながら、この作品はブレッソン作品には遠く及ばない。 ブレッソン作品ほど映像に力も無いし、内容に感銘も受けない。 娯楽性ばかりに重きを置いた映画の在り方に一石を投じようとした姿勢は評価したいが、この内容だと高い評価も付け難いものがある。 (追記) 冒頭、馬が登場するシーンのインパクトが絶大。馬自体は汚れているのに画は美しい。その芸術性の極みにプラス1点。 [DVD(字幕)] 6点(2025-04-06 18:01:42) |
11. ナンバー・ゼロ
《ネタバレ》 眼があまり見えない70歳の婆さんが、自分の生い立ちを二時間近く延々と話す内容。 どうやらジャン・ユスターシュの祖母らしいのだが、この婆さんの人生に興味のない自分にとっては、まさに拷問の様な時間だった。 途中でリタイアしかけたが、どうにか根性で最後まで見た。 映画という趣味を嫌いになりかけた二時間だった。 [映画館(字幕)] 0点(2025-03-20 19:52:17) |
12. アリックスの写真
《ネタバレ》 自分が撮ったピンボケ写真について熱心に語る女性。 その話をただ聴かされる。 自分の写真に酔いしれた女性の話に付き合わされている感じがしていささか苦痛。 [映画館(字幕)] 2点(2025-03-20 19:47:31) |
13. 不愉快な話
《ネタバレ》 今日は早稲田松竹という映画館でジャン・ユスターシュの映画を4本見たのだが、これが一番マシだった。 女子便所を覗く話で、変態性もあって楽しめるのだが、同じ内容の話を2回繰り返す意味が分からない。 2回目はさすがに飽きた。 [映画館(字幕)] 6点(2025-03-20 19:43:29) |
14. 豚
《ネタバレ》 田舎の農村で豚を飼っていて、その豚を屠殺してソーセージを作るまでの過程を撮影したドキュメンタリー映画。 豚を屠殺しそれをさばく映像は他でも見たことがあるので、全く驚きも新鮮味もなかった。 [映画館(字幕)] 4点(2025-03-20 19:40:02) |
15. カルロス(2010)
《ネタバレ》 カルロスという国際テロリストの実話に基づく話を5時間かけてじっくり描き出す。 彼は何をした人なのか、何を成し遂げたのか、何をしでかしたのか、それが時系列で丁寧に語られる。 資本主義が跋扈する世界に革命を起こしたい、その一心で活動する人生には潔さがある。 (カルロスという人物が本当に女好きだったかは分からないが、性的なシーンが多すぎて辟易した。日本赤軍が出てくるのは興味深いが、使えない日本人扱いだったのには苦笑) [DVD(字幕)] 6点(2025-03-17 23:51:22) |
16. 牝犬(1931)
《ネタバレ》 ストーリー自体は相当良く出来ているのに、何故だか退屈感があった。 俳優たちも良い演技をしている。 それなのに退屈。 なんだか不思議、はんぶん不思議。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-03-16 13:28:23) |
17. 格子なき牢獄
《ネタバレ》 ネリーの若さあふれる肢体とスタイルに見惚れてしまった。 その魅力にやられるドクターの気持ちも分からなくはないが、婚約者が必死に仕事してるのにデートをすっぽかされたくらいで別れるとは情けない男だ。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-03-08 21:31:45) |
18. 熱波
《ネタバレ》 今はシワシワのお爺さんお婆さんでも若い頃があった。 若い頃はカッコよくて美しくて、それはそれは熱い恋もした。 そんな麗しき過去を回想する映画。 第一部は現在。 決して幸せには描かれていない。 ここを幸せに描いてしまうと、第二部で描かれる過去が大して輝かなくなってしまうので当たり前か。 他の作品でも同じことを書いたけど「老い=不幸」みたいに描く青春映画は嫌いではある。 第二部は美しい過去。 美男美女の恋絵巻が描かれるものの、不倫がらみで実はかなりドロドロしている。 好きな男と結婚したと思ったら、それ以上に好きな男に出会ってしまった女性。 その悩ましき状況が描かれる。 この作品全体に漂う幻想的とも言える空気感は好みなのでこの点数で。 [DVD(字幕)] 7点(2025-03-01 18:20:34) |
19. 悪魔が夜来る
《ネタバレ》 後半、題名通り悪魔が夜来るのだが、悪魔が夜来るまでがやたらに長く感じた。 悪魔が夜来た後は俄然面白くなり、その悪魔のオッサンの憎たらしさが物語にスパイスとして効いてくる。 悪魔が夜来る前は吟遊詩人とやらのジルがキザで嫌なくらい存在感があったのに、そのジルが小者に見えてしまうほどこの悪魔のオッサンの存在感が凄い。 しかし、その絶大なインパクトを持つ悪魔のオッサンさえも、アンナの若さと美貌の前には太刀打ち出来ず、しかもジルとアンナの愛に負けてしまう。 悪魔が夜来るまでが退屈なものの、永遠の愛を語らせたら映画史上でも随一だと思われる一篇。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-02-19 10:36:05)(良:1票) |
20. 我等の仲間
《ネタバレ》 宝くじという泡銭で得た幸福は、真の幸福ではないので成就しないという教訓なのかもしれないが、わざわざそこまで不幸のどん底に落とさなくてなぁという印象。 あの悪妻とその夫との関係、そして間男にあたるジャンの関係性は面白い。 あと銃を撃つ時のジャンの目に浮かぶ涙。 絶望とも言える男の哀しみを感じた。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-02-12 12:55:48) |