1. ロシュフォールの恋人たち
《ネタバレ》 「シェルブールの雨傘」と「雨に唄えば」と「ウエストサイドストーリー」が合体してました。それでもの凄くいいのかというとそこはハテナです。普通によくある「幸福感に満ちたミュージカル」でした。音楽やダンスよりも色遣いの方が気になって気になって。地色を白に統一してあります。建物の外壁、内装、ズボン、車の色など、白が基調になり、そこに、light, soft という色の配色。しかも、模様はかなり排除されて(ネグリジェくらい)無地。細かい所まで気を配ってあります。洋服だけではありません。例えば、広場の向こうの建物の鎧戸の色、売店の風船の色、町の消火栓の色、棚にある本の色、等々、隅から隅まで。フランス映画って、色を大事にしますが、ここまで徹底しているのは、執念だなと思いました。それから、ドヌーブは同時期に「昼顔」も撮っているのですね。こっちの少女少女したお色気と向こうの耽美的なエロチックと女性の魅力の双極を演じているのは、なんかスゴ過ぎませんか? [DVD(字幕)] 7点(2013-01-14 14:36:19) |
2. デリカテッセン
《ネタバレ》 悪趣味、悪夢、悪食、のアートな絵巻。細部まで徹底している。ダークな色調に閉塞感(縦方向しかない)。カニバリズムのタブーの戦慄があるが、死の意味の軽薄化と変人のオンパレードで喜劇を演出している。そして、水のイメージで不快な湿気感も与えている。どこまでもが、作った側のセンス。見る者はそれを楽しめるかどうか、だ。一度でも、自分なりに悪夢の意味を考えて、それを空想でも実際でもいいが、イメージしてみたことがある人は、そして、自分の想像力の無さに失望した人なら、この監督を天才と評価すると思う。 [DVD(字幕)] 8点(2012-06-02 17:02:39) |
3. 穴(1960)
脱獄映画の傑作ではなく、映画の傑作でしょう。あんな音を立てて、との意見があるが、昼間の刑務所内はうるさい事は最初の方に提示してありますよ。別の部屋でとんとん音を立てて、トイレかなんか修理しているシーン。さて、見る者をすぐに釘付けにするのが、最初の穴を開けるところ。編集もCGも無しで、本当に最初から最後まで俳優が穴を掘って見せる。すごい。ポルノ映画を除いて、最初から最後まで一つの行為を完全に見せるものはないのではないか?ここにこの映画の剛速球がある。その後のディテールは言うまでもない。最後の方なんか、映画ファンの中には、すぐに先読みにして、「裏切るような演出だが、実際はその反対か、または、違う人が裏切る」、なんて思うのだが、その読みの反対で、普通のラスト。(でも、私は監督はそこらへんも計算しているような感じがするけどな)。私は、だから、驚いた。そして、さらに、監督は最後にもう一つ仕掛けをしてますよ。普通に空き部屋があったんですよ。さぁ、みなさん、偶々でしょうか、それとも……監督と勝負させられますね。 [DVD(字幕)] 9点(2012-05-20 13:13:54) |
4. ゴーストライター
《ネタバレ》 「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 」を見て、ならば、似たような話を、私が「チャイナタウン」風に作りましょうって、ロマンスキー監督。音と映像は任せなさい。後味の悪い感じに仕上げましょうか。えっ?良さそうな人が悪い奴、悪いような奴が実は良い人だったりするって、ミステリーファンにはバレバレ?あ、ならば、少し俳優さんにがんばって演技してもらおうか。特にヒロインの貴女、貴女次第だってばさ。やっぱ、「チャイナタウン」風ってことを意識して、アジア人も入れときましょうね。ちょっと、見ている人には、これなんかあるんじゃないって、思わせる効果もあるし……って感じの映画でした。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2011-11-05 10:36:18) |
5. バベル
《ネタバレ》 四つの話が、密接に繋がってないところがミソで、そうなるとどこか作って「お話」的になってしまう。ほんの少し掠る程度で、繋がっていることで、四つの話を一つの話に入れる契機としているだけ。この監督は、「不可避的、運命的出来事に押しつぶされる人間とそこからの再生の可能性」を歌っている。テーマを一般化するために、四つの話を並べているだけである。「バベル」というタイトルを付けたのも、言語は違うけど、人間同じなんだ、という人間の性を一般化したい監督の意図が伺える。最後のうまさは、見ている人は、「女の子」死ぬんだと思わせて(彼女は死に場所死に方を探していたのでしょう。その前に、アレを、ってことですね、最後に分かります)、実は、「救いの手」を差し伸べた点、ある意味、どんでん返し。監督の人間性を信じる姿を感じる。メキシコのおばさんが救われないのもワザとらしくなくていい。むしろ、ラストのどんでん返しの布石になっている。刑事さんの手紙は、きっと「私、死ぬのを辞めます」だったはずだ。 [DVD(字幕)] 8点(2011-01-02 19:58:59)(良:1票) |
6. 去年マリエンバートで
《ネタバレ》 映像が物の客観を伝えるもの。しかし、事柄は、各人格の主観のからみでしか、浮き上がらせることはできない。男の主観が語る、女の主観が語る、現在を描写する客観が挟まる。その客観をカメラが補足する、もう一人の男の話が客観として割り込む。そういう構成で、作者は考えた。後は、どう組み合わせるか、この組み合わせのはめ込みに、工夫を懲らそうか、む、それが芸術だねって感じでおしゃれに行こうか。ばらばらにはめ込んでね。時間という客観を破壊しなきゃ。舞台が同じだから、過去と現実をちょっといじくってみようか、ほら、過去の回想場面に現在の会話をいれるとか、その逆だとかおもしろいんじゃない? マイナーな役の人は、ちょっとじっと静止してくれない。そうすると、ほら、なんかマネキンを配したみたいに、映像に立体的な感じが出るし、全く本件に関係ない外野って感じもでるし、思考が回る瞬間の一瞬を表していそうで、頭の中がくるくる回るって感じが出るでしょう。それに、フランス語の語感も、なんか、アンニュイな感じ、これを繰り返すと、不思議だが、心の苦しみの感じでたりしてね。バラック風なBGMも苦悩を表現するのにいいよね。画面のシンメトリーも映画自体が細かく作られていることを表すのにいいよね。または、人間心理の構造を示しているし、心理主義かって…… なんて、考えて作った映画なのじゃないかしら。話は、三角関係でどっちを選択するのかって、単純なんですけど。でも、最初は、男性の妄想と、女性の恋に対する、恐ろしいばかりの、忘却、って、平行線で最後までいくのかな、とか思ったら、(そこら辺を「羅生門」を参考にしたんでしょうけどね)、それなりに、女性の葛藤があって、普通のエンディングになりました。平行線のままのほうがよかったりしてね。 [DVD(字幕)] 9点(2010-05-05 22:30:17)(良:1票) |
7. 桜桃の味
《ネタバレ》 おじさんが道を教える。荒れ地の道と人生の道と。見ている方はその二つの意味にああそうだなとか単純に思う。そう世の中には美しいものがあるから生きるんだよね、とそんな映画だと思わせる。最後の月とか雷とか、そんなこと言ってるんだろうとか感じさせる。ところがどっこい、最後には、「なーんちゃって、たかだか映画、ちょっとシリアスに考えた、はははは」という、すっごい肩すかしが待っている。あれっと、思いつつも、でも、やっぱりおじさんの桜桃の味の話をみんなに聞かせたいんだと思う。そう、真面目すぎたこと言ったもんで、照れてるんですよ、監督は。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-04-07 22:29:06) |
8. 8 1/2
《ネタバレ》 作家の苦悩が映像に映し取られているという表現の凄さ。映画とは外面を切り取るだけのものです。人物の内面を表現するなら、演技表現はもとより、夢や妄想という頭の世界かメタファーを配置するしかないのでしょう。これはその映像表現の頂点と言える作品。おそらく、幾万の映像作家が挑んだテーマなのでしょうが、タルコフスキーやベルイマンあたりを除いて自爆したのではないでしょうか。難解な映画?、いえいえ、そんなことはないですよ。心の中の苦しみ、を丁寧に拾って見てもらえれば、だんだんと周りの人物もが疎ましく思えるようになってきますよ。そうなると、どうにも救えない映画なのですが、ラストでちょっと光を与えてくれます。喜劇なトーンを見せてくれました。私たちはこの映画は「人生は祭りだ」そういう事が分からない男の喜劇なんだと少し安心したりする訳です。 [DVD(字幕)] 10点(2009-03-31 11:46:01)(良:1票) |
9. 突然炎のごとく(1961)
《ネタバレ》 愛の形を教えよう、とこのフランス人監督。唯愛主義というのかな。カトリーヌの自分の心に忠実な、心がころころ変われば愛のベクトルも変わる、その心のままに愛を貫く。ジュールはただ愛すために愛する人を自由のままにさせる。複雑な愛が存在する。ジムは考えて考えて常識的な愛を求める。妊娠だの、友情だのを気にしている。私達が知っている愛は、否定されているようだ。人間の形を借りて、愛というものが、縺れ合うのを見せる映画なのか。人間よりも抽象的な「愛」である。映像にどこか夢のような、実態の無い、浮いたような感じがある。ニュースの映像を入れたり、空撮を入れたり、一瞬のストップを入れたり、早い展開……人間という物質の重さを排除し、実態の無い愛を表現するための工夫かもしれない。音楽はただただ明るい。安物の紙芝居に会いそうな、なんの象徴にもなっていない音楽。これも妙に人間の無化に役立っている。映像はお洒落だ。紙に火をつけて服が燃えたシーン、突然河に飛び込んだシーン、戦場が墓地に変わってそこを歩くシーン、この三つがラストシーンにつながっている。この監督、映像の詩人でもある。 [DVD(字幕)] 9点(2008-03-17 22:52:43) |
10. イル・ポスティーノ
《ネタバレ》 自然と歴史。人間の力が抗い用もないこの二つに、小さな人間は時には従順に時には抵抗し、生きる。海の綺麗な漁村、共産主義運動の高まり……二人の交流は言葉であった。郵便配達人は言葉が書いてある手紙を運ぶ。詩人は詩という言葉を配達人に教える。貧富名声地位国籍を越えた、一つの魂と一つの魂の交流。海と空は二人には何も語らず、むしろ、二人がそこに何かを見つける。時代が二人を引き寄せ、二人を離す。最後、時代は彼を死に追いやる。残された者はその思い出をその変わらぬ風景の中懐かしむ……フェリーニの「道」もそうだが、途中経過を飛ばしたいきなりの主人公の死、イタリア映画は時に反則だ。見る者の眼から涙を絞り取る。 [DVD(字幕)] 8点(2008-02-11 14:25:56) |
11. たそがれの女心
《ネタバレ》 ダイヤモンドはくるくると同じ買い手に戻る。二人はくるくると踊る。女の言葉もくるくると変わる。ただ、将軍だけがじっと立ち止まり苦悩している。恋は流れだ、人生も流れだ、しかし、同じ所を回るものだ。そう彼女のロングドレスのように翻りたまえ。華麗に踊りたまえ。ただ、それは、言っておくが、マリア様は許さない。祈っても駄目だ。そういう結末を見る。だが、しかし、それは、恋する二人には本望か? いや、恋自体の運命か? 運命に引き寄せられる者は美しい……冒頭の宝石装飾品あふれる中で主人公、聖書を落としてまう。そんな映画なんだ、と思っているとそんな映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-02-11 13:07:25) |
12. アタラント号
《ネタバレ》 川は「人生」の例えか? 老水夫の眼が二人の人生を優しく追う。無邪気な、かつ、人智に長けた、仙人然としている。人生訓を吐き、二人を見守り、二人と戯れる。いくつかの夢のような愛の表現。霧の中の妻、それを探す船長。寂しさと愛の対象の焦点化。嫉妬あり。妻はパリに恋した。船長はパリに嫉妬する。だから離れる。妻は泥棒と失業のパリに失望する。だから後悔する。苦しむ船長は川に飛び込み、妻を見た。そう、妻が「水の中には愛が見えるのよ」という言葉通り。離ればなれ、それぞれベッドの上で悶えるような寝姿二つ、官能的なシーン。老賢人の優しさで二人は戻る。再開に言葉は必要なかった。ラスト、映像は川を上から映す。やはり、川は「人生」の象徴か?二人の人生を明るい音楽とともに祝福する。 [DVD(字幕)] 8点(2008-02-10 14:30:21) |
13. 甘い生活
《ネタバレ》 この監督は、映像にメタファーを散りばめているんですね。ストーリーなんか二の次。真の映像作家。そう思えば、難しくもなんともない。一シーン、一シーン、あ、これはそうだ、あれはこの例えだ、と勝手に思えばいい。冒頭のキリスト像の宙づりから、あ、もう、宗教をコケにしているな、と思うし、それが、ローマの街だと思うから、ほほうって、そういうことね。トレビの泉のシーンも、ベッドシーンの代わりと思おうが、歴史を無視している現代性と思おうが、それも自由。パパラッチ(この映画からこの言葉は出たのかしら)なんて、腐った物(退廃した貴族とインテリ)にたかる蠅とでも思えばいいし、主人公のお父さんも、善人を狂わせる街ローマって言いたい材料かもしれない。そんな街早く逃げなさいって、ね。ひっきりなしにアメリカへの傾倒があるが、どこか明るいアメリカをローマの対照物と出しているような感じ。最後の魚、それは、主人公の姿でしょうし、最後の少女、健康的な正常な世界へ戻る差し伸べられた救いの手、正常になる最後のチャンス。それに背を向けた。夜の世界でしか生きられない。踊らないと生きられない。酒だ、女性だ。そして、この監督、横の動き、横長に人物、物を配置する構図が好きですね。それに横といえば、行列好きだなぁ。アメリカ女優で一回、田舎の屋敷で二回、最後のパーティ退場シーンで三回、もっとあったかな? この行列になんとも哀れさと滑稽さを出すのを発見したんでしょうね。8 1/2 でもやってたなぁ。この退廃映画、不思議なのは、こんな不道徳いかんと思うのではなく、どこか憧れてしまうんですね。映像の魔力ですよ、きっと [DVD(字幕)] 9点(2008-02-06 22:31:42)(良:1票) |
14. 天井桟敷の人々
《ネタバレ》 あ、いかん、他の映画に10点つけてしまった。11点は無いのか、11点。高校生の大昔見たときは、ただの長い映画でした。歳を重ね、映画の本数を重ね、再見してみると、あら、大変、凄い映画じゃないの。最初から最後までうっとりしてしまいました。そんな映画はなかったなぁ。メタ映画というか、劇中に劇があるというか。しかも、その劇中劇以外の部分も演劇的にしている。閉じられた空間ではなく、開かれた空間で、演劇を見る感じ。映画が演劇に勝負しようとしているのか。恋愛を語るならフランス人には勝てない、って言いますが、その感じそのままの台詞、台詞、台詞。悪党もいる、狂言回しもいる、決闘なんてものもある、古典的恋愛ストーリー。演技をするのを演技するという役者。たくさんの、たくさんの人。天井桟敷の人々は映画の中では劇を見る人々。私達も映画を見ている天井桟敷の人々。映画の中で天井桟敷の人々を愛すべき人たちのように描いていました。だから、この映画は見ている私達を愛してくれている、という暖かさも感じさせてくれました。 [DVD(字幕)] 10点(2008-01-26 14:40:37)(良:3票) |
15. 死刑台のエレベーター(1958)
《ネタバレ》 ワンナイト。一人は歩く。一人は閉じこめられる。二人は走り回る。それだけの話。殺人事件の話は、バックグランドでしかない。完全犯罪のための話など必要ない。この監督の言う「生きる」は、倦怠を抜け出すことか。人生の目的を、ヒューマニズムに置かない。小市民が大事にする日々の人間の匂いがする目的とやらにも価値を見出さない。人を殺す限界的状況で、倦怠の肌触りが浮き上がってくる。人を殺しても、そこに罪悪感があるわけではない。恐怖があるわけではない。ただあるのは、倦怠。もしかして、少しの虚構の愛。倦怠から脱したいのに適わなかった。倦怠に落とし込んでくれた人生に恨むように、マイルス・デイビスのトランペットが代わりに泣いてくれている。 [映画館(字幕)] 7点(2008-01-23 22:19:21) |
16. ラストタンゴ・イン・パリ
《ネタバレ》 もう長い死でしかない。時間をかけた自殺といってもいい。それを縦軸に、変態が妄想する最高の変態の具現が横軸に、話が進む。この映画のエロスに人間の中身なんか必要ない(名前を言わない事が象徴、鏡が汚れているのもそうか)。愛が必要ないといってもいい。外見の格好良さもいらないだろう(男はおじさんだし、女は滅茶苦茶美人という訳でもない。部屋にインテリアはない)。ただただ純粋なエロスの姿。若い方がこの映画を分かろうっていっても無理。分かった方も分かったような自分に酔っているだけ。中年以上の、自分の人生の先が見え、しかも、変態の男しか、分からないのだと思う。どうも、私はそうであるようだ。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-21 22:32:48) |
17. アレックス
《ネタバレ》 下手なホームビデオを見ているようで気分が悪くなるが、まさに酔いそう。でも、それは作り手の作為。映画を見る者を神に、超越者に、してしまった。神は、未来を知っている、その辛さが体験できる。「こいつ後で不幸のどん底に落ちるんだけどね」。時間を超越する神だが、しかし、どうやら、普通の人がその超越を味わうには、スパイラルなトンネルを経験しなければならないようだ。それを体感させるために、車酔いしそうなグルグルな映像。トンネルのメタファー。「2001年宇宙の旅」のラストのまねのラスト。そして、「見る」者は、どんな事にも目を背ける事も許されない。そのため、性も暴力も映し、長い長い長いカットを用いる。残酷な事にも超越して見る者は堪えよ、という具合。今時点では、ほとんどの方には不快な映像でしょう。しかし、数十年後、時代を先取りした映像という評価になる可能性も少し有り。映像にどっぷり浸かり、少々の刺激では喜べない、未来の世代が待っている。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-21 22:21:27) |
18. ゲームの規則
《ネタバレ》 私達貴族って、何と申しましても優雅ですわ。人間の品とでも申しましょうか。美しくあらねばなりませんもの。お金もかかりますけども。えぇ、そのとおりでございますわ、中身なんてそんなものは、どうでもいいのですのよ。どんな方でも同じでございましょう。人間の欲望なんて皆同じですわ、どこをどうしても喜劇にしかなれませぬもの。喜劇、ですわ。あなたも目撃なさったでしょう、この喜劇。カモなみに人が撃たれましてよ、でも、喜劇。恋は盲目、ここは悲劇かしら。追いかけっこの茶番。こう見えて貴族をやっていくのも案外大変なのよ。え?、何?、没落の始まり?、だから何なのよ。人生は喜劇って今言ったばかりじゃないの。お分かり下さるかしら…… [DVD(字幕)] 10点(2008-01-15 20:55:23) |
19. 大いなる幻影(1937)
《ネタバレ》 貴族社会の崩壊、「この戦争で誰が勝つのか私には分かりませんが、誰が勝とうと結局我々貴族の最期となるのは確かです」。国境のあることの無意味、「国境なんか人間が作ったもの。自然にとってはどうでもいいこと」。金持ちの実態、「寛大の裏側には必ず傲慢が隠れているんだがね」、親切の薄っぺらさ、「本を焼くなんて残酷だ」「本を送る方が残酷だろ」。全てが大いなる幻影か? ただし登場人物は全て誠実に生きている。幻影だと分かっても必死に生きている。この人間を見る目の暖かさ、素晴らしい……… [DVD(字幕)] 10点(2008-01-15 20:35:49) |