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1.  フライト・ゲーム 《ネタバレ》 
オープニングから酒を煽る主人公。フォーカスの定まらない彼の視点も、実は虚実だというオチの為の伏線ではないのか?とハナっから疑ってしまう演出。空港でNY市警のライリーがアラブ系医師の方を見ていたカットとか、探せば気付いたであろう何気無いけど怪しいシーンがとにかく観客を惑わせ、余計な考えを生ませる。配役的に怪しいキャストやその立場、上空の飛行機内という完璧な密室設定、一昔前では無かったであろう、無言のメールでの脅迫者とのやり取りとそのメール文字の画面演出が主人公、リーアム・ニーソンの表情演技と相まって非常に良い緊迫感を生む。正直、犯人が分かってからの展開やその動機なんかより、それまでの機内での疑心暗鬼ミステリーに、自分も乗客の1人として参加しているかの様な錯覚に陥れる前・中盤が最高に良く出来てます。同僚の航空保安官は多分、運び屋程度でそんなに悪い人ではなかった筈なのに、全くの無駄死にであまりにも哀れで仕方がありませんでしたが、後半は彼の事なんてこれっぽっちも覚えてない位の怒涛の展開運びの手腕は流石です。ジョディの『フライトプラン』同様、薄暗い密室機内のシーンが続く映画は、映画館内の暗さと同化して雰囲気は最高にマッチして良いですね。これは2度目の鑑賞がまた楽しみな作品です。
[映画館(字幕)] 8点(2014-09-30 16:32:28)
2.  スノーピアサー 《ネタバレ》 
先頭車両へと続く扉が開かれた瞬間、目に映るものは清潔感漂う涼しげな空間、そして耳にするのは流麗な『ゴルトベルク変奏曲』のアリア…。オープニングより見せられ続けた最後尾の不衛生で退廃した空間との対比、この緩急の差。車両の主が語るこの物語のオチは、閉鎖空間で人類が生き続ける為にはバランスが大事だという事。7分スピーチのシーンでの『片腕処刑』(僕はこのシーンが撮りたくて監督、氷河期と列車の設定にしたんでは?と思えた位、印象的で強烈なシーン)、突然目にする日の光と車両内から見る凍死した外界、反乱時の手ぶれ画面、多用されるスローモーション、U字カーブでの射撃の応酬など、『静』と『動』のカットやシーンのバランス、気を使った構図やアングルを見ても、作品としてのバランスも良く取れていて、おまけにどこか他とは一味違う感を味わえました。この映画の時間枠で様々な、いわゆるツッコミ所をあげればそりゃ出てくるでしょうけど、そんなのが気になる人はよっぽど繊細なのか、完璧を求めるんでしょうかね?鑑賞後しばらくなら分かるけど、観ている間は面白さと勢いで十分でした。ハリウッドで撮ったエンタメとすれば十二分だと思いますけどね。役者さんは割と地味目でクリス・エバンス、ソン・ガンホ、ジェイミー・ベルと、キャラも割と薄め。その中でやっぱりダントツはオスカー女優のティルダ・スウィントンですか!まぁ最初のスピーチシーンからアクの強い事!この人観るだけでも楽しめるし、価値あると思えます、僕は。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-07-04 15:12:49)
3.  グランド・イリュージョン 《ネタバレ》 
ラスベガスの会場でのマジックショーで、フランスはパリの銀行から大金を強奪するという、その大胆かつ魔法の様な華麗なるトリックとは?物凄く期待してたんですが、この映画は彼らが仕掛けたその強盗トリックを追い、解き明かすという映画では無いんですよねー。これ、第一のマジックですが、直ぐにネタばらししてくれるし、しかも分かれば「あぁ、その程度、ふーん…。」ってなカンジ。そしてどのマジックもあまりに映画的な視覚で、「そんなに上手くいくのかよっ!?」っていう疑念と、結局彼らがカッコ良く映る様に作られてる。彼ら4人は最初スカウトされるんですが、脱出マジックが得意なアイラ・フィッシャーなんて何の役にも立ってないんじゃ…。んで監督サンがルイ・レテリエ。この人力入れてるのは結局凝った格闘シーンと、トランスポーターばりのカーチェイスですか?メラニー・ロランなんてフランスよしみで参加させたのか、ってな位の存在感と演技力…。大掛かりなトリックに期待すると肩透かしを食らうかもしれませんし、ストーリーテリングもいまいちなんで、オチネタを聞いてもまた「ふーん…。」な程度。TVで気の合う仲間とワイワイ観る分には楽しいかも。その程度という事で。
[試写会(字幕)] 4点(2013-10-22 17:15:30)(良:1票)
4.  スプライス 《ネタバレ》 
『倫理』なんてものは何の歯止めにもならないという、エルサのマッドサイエンティストぶりをもっと強調して欲しかったが、彼女はそれに近い。人間、科学者、生物学者としてそれが可能なら、間違いなくやる。止めに入ったクライブも結局誘惑に負けたのだから。劇中で「結果を考えたか?」という台詞が出てくるが、これは皮肉と受け取る。これはまさにただ巻き添えを食ったが為の、自分の身を案じているだけの外野の意見。世紀の成功を目の前にした科学者、あるいはそう考えている人間は、そういう事を考えていても、やっただろう。それが『人間』というもの。そして招いてしまう、望まぬ結果も至極当然。ドレンに対するエルサの冷たい態度は、彼女の母に知らず知らず重なっているという描写であるが、それは案外どうでもよくて、この因果関係の最大のオチはやはり身ごもってしまったドレンの遺伝子。ドレンはエルサの遺伝子を受ける、いわばエルサの分身。その想像すら恐ろしい、禁断の種の芽生えが『倫理観』などいとも簡単にぶち壊す、ぞっ、とする ラストシーンにつながるわけだ。中絶をしないエルサとその子は、地球上において、唯一無二の存在になるのだ。この結果を見ずしては、彼女は真の生物学者とは言えないだろう。 自分の遺伝子を受精された卵子。人間の思いつきとは恐ろしい。そう、本当に恐ろしいのは生み出されたドレンではなく、それが出来て、実行してしまう『人間』である。
[DVD(字幕)] 4点(2012-08-23 17:13:44)
5.  アレックス 《ネタバレ》 
この映画の中の台詞で、「未来は決まっている」「正夢」「腕の感覚がない」など、『運命』を示す言葉が出てきます。『運命』とは既に決まっていて、避けようがない。不幸を避けて通れるなら、みんなそうしたい。時間軸が逆で、結果(未来)から始まるのは、今見ているシーン(最初の)は、後のシーンに上書きされる(最初に見たシーンの印象が薄れる)事を利用したものだと思う。最初に絶望的に打ちのめされ、復讐を果たし、カタルシスを得るストレートな作品とは真逆で、これは被害者の身近な人(家族や恋人)に、過去を振り返れば心を癒し、安らぎを得られると言っているんだと思いました。「時はすべてを破壊する」とは、明らかで残酷な事実かもしれないけど、未来から始まるこの映画は、同時に時(過去)は人の心を癒してくれるというメッセージを発しているんじゃないか?起きた結果を『運命』だから、と開き直れるか?自分のした事に責任を持ち、後悔を抱えて生きていくか?まさに人生がそうであるように。映像表現に賛否があるのはよく分かりますが、監督がこの様に表現・構成したこの映画は評価に値するとは思います。
[DVD(字幕)] 6点(2012-08-03 19:30:08)(良:1票)
6.  クロエ(2009) 《ネタバレ》 
いつでも、いつまでも美しくありたいと思い、願うのは女性の夢であり、本能だと思う。その「美しさ」を備え、必要とするエスコートガールとして「女」を仕事にしているクロエの官能的な美がスクリーンを隅々まで満たすOP。そんな若く、魅惑的なクロエを職場の窓から見つめていたキャサリン。面識のない彼女をどうして、思いつめた様に見つめていたのだろう?実年齢が2回り違う女優のキャスティングが絶妙で、物語っている。日々感じる老いと、美しさを保とうとする焦りと不安。私にもかつてあんな女盛りの時があったのに・・・、という羨望の眼差し。主婦として、婦人科医として成功し、リッチな家に住み、何不自由ない暮らし振りに見える女の悩みと孤独。キャサリンに扮するジュリアン・ムーアの、繊細で説得力ある視線と仕草、一つをとっても性と、若く美しい女性に対する男(夫)の態度に苛立ちを露にする様がひしひしと伝わってくる。対象的に、文字通りの小悪魔的でその特徴のある大きな瞳とその容姿。キャサリンに無い肉体的な若さと、表面的な美しさを強調しているクロエに扮するアマンダ・セイフライドの魅力。そんな2人を的確に象徴するかの様に、2人の手が触れ合い、同時に映し出されるカットが何度も出てくるが、どれもとても印象的で、2人の「差」を明確にしている。「自分」に自信を持てなくなったキャサリンが、エスカレートするクロエの「偽り」の告白と、思いがけないキスにより、ついに自らクロエの元に行ってしまったキャサリンは、クロエを通して夫・デビッドを感じたかったのか?それとも性の衝動を、今はクロエにしか求める事が出来なかったから?常に求められる側にいたクロエが求め、応じてもらえなかった。小さくても愛すべき「何か」を探し、応じてきたクロエ。彼女もかつて人を愛し、キャサリンの気持ちが理解出来たからこそ、その現実はあまりに辛く、苦しかったに違いない。穏やかで安らぎに満ちたクロエの最期の表情は、キャサリンの「夢」になれたから。2人だけの秘密は、秘密でなくなってしまったけれど、クロエはキャサリンの心の中で生き続けるんだという、ラストのかんざしのカットが、何とも言えない、喜びと悲しみの余韻を深く、深く残していく。兎に角、撮影、照明、アングルによる映像美が一級。主演女優2人が会うバーやカフェでのシーンが特に艶っぽく、何度でも見たくなる「逸品」だと思います。
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2012-07-17 10:04:30)(良:3票)
7.  ファニーゲーム U.S.A.
「不快極まる映画」そりゃそうでしょう。それが狙いなんでしょうから。「暴力をもって暴力を非難する」救われないこの家族に同情しろと?何を今更。他の類似作やホラー、サスペンス映画で今までどれだけの罪の無い人間が映画の中で殺されてきたか?麻薬、セックスに明け暮れるティーンが殺人鬼に殺されるシーンを見て同情するか?この映画の家族とどう違うのか?犯人である若者2人は他の映画の快楽殺人者と何が違うのか?何も違わないと思う。見ている我々を如何に不快にさせるか、その演出だけだろう。その点がこの映画は非常に優れている。それだけ。僕も含めて他の観客もきっと映画の中で人が余りにも残虐に殺されるのを安易に見過ぎて、見慣れていると思う。命の重さを気にしていないと思う。いや、イイんですよ、映画なんだから。映画だから楽しめばイイじゃないか。僕はそれで良いと思います。それが現実と虚構。虚構なんだからトコトン!不快に不愉快に。現実への警鐘よりも、この虚構はそのコンセプトを100%満たしている。「不快極まる映画」そう思われて100点満点でしょう、この映画は。なのでその道である「不快道」を極めているこの映画には10点以外付けようがないでしょう。「見て後悔した。」なんて言うのは人それぞれの感想ですからね。注・ナオミファンの方々は覚悟の上でご鑑賞下さいね。天国?or地獄?どっちだろうな?僕は五分五分でした。(笑) 
[DVD(字幕)] 10点(2012-06-03 18:58:42)(良:1票)
8.  ヒットマン(2007) 《ネタバレ》 
ティモシー・オリファントとオルガ・キュリレンコの2人の魅力に尽きる映画でした。声をかけてくれた女性に名前も名乗れず(「47です。いや、歳じゃなくて・・・。」とは流石に言えないだろうし、言ったら女性の怒りを買うだろうしなぁ)誘いも断る事しか出来ない孤高の暗殺者と、ロシア大統領の「所有物」として生き、人生の意義を見出せずにいた女が偶然に出会い、共鳴する。ニカの顔にタトゥーを見た47は殺さずに共に逃避行する事を選びます。僕はアクションシークエンスよりも、この2人が共に過ごす束の間の甘美な時間のシーンの方がとても好きです。恐れ、涙を流していたニカが次第に47と打ち解けて笑顔を見せ始める辺りに2人の恋の予感を期待させる。スキンヘッドのクールな暗殺者にちょっとビッチな可愛らしいニカの2人がレストランで会話する異色のカップルぶりもとても印象的。服を脱いで誘惑するニカに、養った自制心で決して下心を見せずに抱こうとしない47の姿勢も格好良い。ティモシー・オリファントは目や表情のちょっとした変化や仕草で全てを語り、伝える演技力が素晴らしく、繊細で説得力がある芸達者な役者さんですね。オルガ・キュリレンコは体当たり演技も辞さない、魅力的ルックスの女優さん。中指おっ立てたあの表情に僕はイチコロにやられちゃいました。「ブドウ畑」の伏線を最後に叶えてあげる、47が見守りながら自由を得たニカの喜ばしいラストが何とも微笑ましかったです。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-05-28 20:57:13)(良:1票)
9.  エスター 《ネタバレ》 
インモラルな悪夢の出産シーンから最後まで、実に退屈する事無く鑑賞出来ました。リメイク「蝋人形の館」でハリウッドデビューを果たした、「痛い痛い」演出をこれでもか!と見せつけてくれた監督ですが、今回は王道とも言うべきシンプルでオーソドックスな古典的演出に更に磨きをかけた手腕の良さが伺えました。やはりこうした退屈しない、惹きつけられる要素は演出、役者の演技、印象的なカット、でしょうか。今回印象的なカットはあまり無かった様に見えましたが、それにも増してエスターを軸に巻き起こる家族の崩壊ドラマが非常に見応えがあります。エスターの正体はネタバレまでははっきり言って「反則」だと思いますが、そこまでのストーリー展開が安易でなくしっかりしている。ケイトにはアルコール、ジョンには不倫と夫婦間のギクシャク問題を絡めエスターを疑えば疑う程孤立していくケイトの疎外感を強調し、夫に突き放され我慢してきたアルコールに手を出しそうになる。これだけでも立派なドラマが成立しそう。エスターはエスターで、実は成人した女であり、満たされない自己の欲求から苛立ち凶行に走る、言わば「呪い」によって苦しめられている様がリアルであり、見方によっては単純なホラーを超えた辛さや苦しみを感じる事も出来た。初登校時、その古風な服装をダニエルには笑われ、ケイトにまで指摘されたエスター。「人と違う事は悪い事じゃない、良い事だ。」これはこの映画の問い掛けであると同時にエスターの正体を密かに暗示してたんですね。心は大人でも外見が伴わないエスターがこの服装をするのは、外見を気にせず恐れないという意思の表れなんだけど、逆にそうするしか自己を表現出来なかったからなんじゃないか?そんな「自分」が人に受け入れてもらえない事から情緒不安定になり、凶暴になったとも推測出来る。だから実は不幸で可哀想な女の物語なんじゃないかな?そして何よりエスターの可愛らしいお子ちゃま的なビジュアルで凶行を行う様や、Fワードやダニエルに言ったすんごい台詞が強烈に良かった。そして伏線の回収もきっちりしていてスッキリ。前・後メイクも凄かったエスターを演じたイザベル・ファーマンの次回作が凄く気になりますが、きっと普通に見えちゃうんだろうなぁ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-05-26 21:02:20)(良:2票)
10.  ロード・オブ・ウォー 《ネタバレ》 
「武器商人」を正当化はしないものの、必要悪だとして締めくくるラスト。自分の様な平和ボケしている人間には、もしかしたら世の中ってそういう風に出来てるんじゃないのか?なんて思ってしまったワケで。この映画の構成を、ユーリーが武器商人として成長し、活躍する=70%、賄賂も受け取らない法を遵守する正義の捜査官、バレンタイン=10%、夫の仕事に気付き、血で汚れた金では生活出来ないという妻=10%、自分が売る武器の犠牲になる人々を目の前にして、良心が許さなくなった弟=10%と見たんですが、そうしたら後者の30%は非常に少数派で、果たしてそういう状況に遭遇したら人はその行動を取るのか?と。とても映画的演出なんですが、反面、人としてぜひその行動を取って欲しい、という監督の観客(人間)に対する願いでもある様な気がしました。ユーリーを演じたニコラス・ケイジの、自分の子供にはたとえオモチャの銃であっても持たせたくない、妻の最初の絵を客を装い購入したりと、とても家族思いであり、している事が完全悪では無いと思わせる繊細で説得力のある演技で惑わされるワケなんですが、実際、武器を供給はするんですが、それが個人の手に渡り人に向けて撃つ。銃を手にした人間の意思であり、責任でもあるような気もします。大きな問題提起であると同時に、とても見応えのある映画でした。
[DVD(字幕)] 8点(2012-05-20 20:35:18)
11.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
手持ちカメラのラフカットをめまぐるしい勢いで繋げたカット割りの映像を一つのシークエンスとして見せる演出。これぞグリーングラス監督の「ボーン演出」の真骨頂。それがもたらすものはリアリティよりも圧倒的な「臨場感」である。正に超一流の工作員であるボーンの本能で働く頭脳と無駄の無い行動が観客にビシビシと伝わってくる駅構内での追跡劇。それと並行して進むCIAの作戦室内での職員達の動き。彼らを捉えるカメラは撮影しているという印象を全く与えない、ライブ中継しているかの様な臨場感。デビッド・ストラザーンを筆頭に役者陣の見事な演技によるところも大きい。ボーンがロスを守って要員達を倒すまで、息つく暇も無い程の怒涛の展開に終始物語に引き込まれ、圧倒された。それはまるでパズルが一つずつはまっていくかの様な高揚感が得られ、計算し尽くされた緻密な演出にあると気付くのだ。CIA職員達の作戦に関わる姿はさながらモニター越しのシミュレーションゲームの様な冷淡なもの。暗殺さえ簡単に指示するだけ。ボーンとデッシュの工作員同士の現場の激しい格闘の熱は彼らには計り知れないだろう。その対比の描き方もボーンの手強さを強調している。また、この作戦が国益の為の必要悪であったり、ノアの言う様に「部外者が後から非難するのは簡単だ。」という台詞からも否定し難い部分もあるんじゃないか、と考えさせられもする。ボーンがビルから転落し遺体は発見されていない、というニュースを聞いて思わず笑みがこぼれたニッキーの表情が印象深い。水の中で目覚め、泳ぎ出すボーンの姿は母胎内の羊水から新たに生まれ変わる暗示の様である。再びマット・デイモンが演じるジェイソン・ボーンが見たいと思わせる、良いラストシーンだったと思います。 
[CS・衛星(字幕)] 10点(2012-04-25 21:07:51)(良:2票)
12.  ターミネーター2 《ネタバレ》 
暗く、ホラー色の強かった前作から、アクションエンターテイメント性と、少年ジョンとサイボーグの交流と絆を描いたドラマ性が大きく進化しました。見て分かる映像の進歩は素晴らしく、T-1000の液体金属の描写は圧巻。リンダ・ハミルトンは前作から180度変わって見事な女戦士ぶりを披露。サラはある意味、カイルから知らされたマシンとの戦いに備えて、ジョンを守る、というよりは死なせてはいけない、という使命感が感じられ息子であるジョンにやや冷たい態度です。一方、サイボーグであるT-800は、ジョンを守る事が使命で、感情の無いサイボーグであるにも関わらずジョンに対する姿はサラよりも優しく、暖かく見えます。夕暮れの中、ジョンとサイボーグが戯れる姿を静かに眺めていたサラ。二人の対比が上手く描かれていたとても良いカットだと思います。それ故、ラストの溶鉱炉での別れは非常に切なく、涙を誘いました。エンタメ性と感動のドラマをここまで見事に描いた、他に類を見ない傑作です。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 10点(2012-03-25 16:25:41)(良:2票)
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