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 > アラジン2014 さん
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プロフィール
コメント数 731
性別 男性
自己紹介 ソフト化されたタイミングでのレビューが中心です。2008年、子供の頃から夢だった自宅シアタールームがついに実現しました。(100~110インチ程度、音響2.1ch)できるだけネタバレせずに書いていますので文章がおかしい場合もあると思いますが、暖かい目で見守ってやってください。(2014初登録)

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1.  スノーピアサー 《ネタバレ》 
マッドマックスのジョージ・ミラーがいかに天才かよくわかります。本作もマッドマックスのようなリアル志向のデストピア系作品ですが、設定をリアルにしてしまったが故にそれを具現化する術を持ち合わせていない監督の力量不足が目立ってしまったように感じます。まあ、原作・脚本・監督がご本人さんなのでお好きにどうぞって感じではあるのですが。  いえ、プロットは素敵なのですよ。しかし一年かけて列車で世界を周回しているのはあまりにも無理がありすぎるしそもそもその行動原理がイミフ(止まっているほうが絶対安全だし暖も取りやすい)。後ろの住人は労働させられるわけでもなくタダ飯だけ食わされていて、これもいったい何がしたいのか全く理解不能。そもそも論、このカースト(ピラミッド)の理論がよく理解できないのでどう考えていいものか。その他、無数にある無理やり設定が頭の中を支配してしまってベースにある素敵なプロットを楽しむところまでいけません。 水族館や娯楽施設の車両も無理が多すぎるし、ステーキってあんたら牛もどこかで飼育してたんかい?ラストも子供に歯車の代わりをさせていたとかもう失笑もんだし、脱線して普通に外にでちゃってるしw 7分で凍る設定は一体何だったのか。本作を楽しむためには無数の違和感や矛盾を封印するしかありません。ゲーム「フォール・アウト3」のシステムのほうがよほど説得力があって無理が無かったように感じます。  超豪華出演陣には驚きますが、個人的にはポン・ジュノ監督はあまり好きではありません。前述の通りリアルな設定をおざなりにしておいて、シレっとリアルそうな流れを作ろうとする無理感というか、、説明が難しいのですがなんか違うのですよ彼の作品の作り方は。 この世界観を楽しむにはあまりにも大人になり過ぎた私は話半分くらいしか楽しめませんでした。大人も子供も有無を言わさず楽しませる勢いを持ったジョージ・ミラーはやはり偉大でした。個人的にはティルダ・スウィントンじゃないほうのふくよかな秘書さんにはもう少し活躍していただきたかった。。
[地上波(吹替)] 5点(2024-10-10 17:25:50)
2.  ココ・アヴァン・シャネル
時間を気にすることなく映画に引き込まれました。そういった意味では意外と良い映画だったなという印象です。パッケージのオドレイ・トトゥが割と奇跡の一枚になっていて、本編では年齢(当時33歳)を隠しきれていませんでした。むしろもう少し年を取っている印象も・・ しかしながら、年齢不詳気味のシャネル本人とリンクするくらいにソックリで素晴らしい雰囲気を醸し出していましたので、そういった意味ではあっぱれでした。  物語としてはシャネルになる前の青春時代がメインで、全体的に情緒的でゆったり流れます。しかし実際のところは単純に「若い」+「女」を武器とした、割とありがちな娼婦ネタ(恋愛とは言い難い)でした。男性社会を意識しているのか、くわえタバコなど要所要所下品な描写もあって彼女の育ちが垣間見えなくもないです。 戦争はほとんど描かれませんが、アールデコ時代のヨーロッパの空気感は感じ取れる作りで周りの人達は優雅でオシャレ。貴族階級やそれに準じた人たちの世界ってこんな感じなんだろうなあ、という雰囲気はありました。反対に幼少期や少女期の極貧部分は基本的に描かれていません。  とにかくオドレイ・トトゥの目力が凄くて、私があの目で見つめられたら0.5秒で目をそらしてしまうと思います。台詞は少ないのにやたらと情熱的に見える彼女の演技は本当に素晴らしく、また、この雰囲気も相まって明らかに変人にしか見えませんが、変人度数の高さも大成する人物の必須条件なんだなあと、妙に納得してしまいます。  シャネルが生涯独身だったことは有名な話ですので情事の結末は判っています。彼女は女を最大限に利用しただけなのか、それともあくまで純愛だったのか・・ これは本人の考え方一つなので他人が決めることではありません。そういった意味ではもしかすると物凄く深い映画だったのかもしれません。彼女の表情から色んな感情が見て取れるラストカットは意外と嫌いじゃなかった。
[地上波(字幕)] 7点(2024-08-20 11:02:41)
3.   《ネタバレ》 
わざわざ元日にこんな重たくて暗い映画をTV放送する意味がどれくらいあったのか大いに疑問ですが、なんだか落ち着いてシッカリ鑑賞することができました。黒澤明だからという特別な気持ちは一切持っていませんが、なぜか黒澤映画は心に残るシーンが多い。本作に関してもやたらと印象に残る独特なシーンがあって妙に引き込まれました。 内容的にはよくあるシェークスピアをなぞっただけというありきたりな流れですが、元々リア王が手を加える部分が無いド定番の流れなので、やはりどこの世界でもいつの時代でも長男次男は愚かなものだと痛感させられます。  皆様同様、楓の方(原田美枝子)が素晴らしい。これと双璧をなすハズだった末の方(宮崎美子)の顔がアップにならないのは解せませんでした。しかも秀虎(仲代達矢)とのシーンでは表情に言及するのでなおさら見たくなりました。また、狂阿彌(ピーター)がかなり役不足で残念でした。いえいえもちろん頑張ってはいますが、明らかにスペックが足りておらず準主役といえなくもない大役を任されるにしてはかなり物足りない演技力だったと感じます。  良かった点は太郎次郎三郎で旗の色が異なる点は判り易くて良かったです。また血の色が妙に鮮やかな点も素晴らしかったです。まるでこの世の地獄がきちんと描けていました。これらはカラーならではの利点でした。随所に間延びする部分もちらほらありましたので少し厳しめの点数にしてありますが、個人的には傑作とは言い難いもののかなりの良作でした。
[地上波(邦画)] 7点(2024-01-04 14:43:21)
4.  クリムゾン・リバー 《ネタバレ》 
これは酷い。「以前、、見てないハズはないのだが・・」と見始めるも、やっぱり見てない。ビッグネームが二人も出ているのに見てなかったとは意外でした。でも30分も見てるともう割と退屈しちゃってダメですね。セブンとか羊たちの・・の雰囲気はあるものの、アレらとは明らかに何かが違うんですよねえ。。  まあ一応最後まで見ましたが、双子ネタはちょっと強引でした。全体的に上手くかみ合っていなくてネタが割れても大して楽しくならない映画でした。ちょっとこれは酷いですね。。大人気で続編が作られたそうですが、、それは嘘ですよね?
[地上波(吹替)] 3点(2023-12-16 22:25:53)
5.  扉の影に誰かいる 《ネタバレ》 
日本では「うーんマンダム」で国民的スターとなったブロンソンとその妻ジル・アイアランドの共演作。本作では実妻ジルはローレンス・ジェフリーズ医師(アンソニー・パーキンス)の妻役(やたらとキレイ)。物語の発想自体はとても面白いものの、オープニング映像からの15分間ほどは意味が判らなくて、観客サイドとしては非常に掴みが悪い作品と言わざるを得ない。ブロンソンも彼のイメージからはかけ離れた役柄で、全体的に何だかちぐはぐな印象ばかりが目立った導入部でした。  しかし話が飲み込めてくるとコレがなかなか面白く、ローレンス・ジェフリーズ医師の微妙にネジがズレた感じが絶妙で面白い。アレですよアレ、、この医師は「サイコ」のアノ人なので、どうしてもサイコパスかもしれないというバイアスが働きます(オープニングの意図も何となく理解)。勝手な意見ですが、この映画をサスペンスの名手(例えばヒッチコックなど)が監督していればもっと面白くなったと思われます。そういった意味では非常に惜しい、本当に惜しい作品です。 ストーリーは非常に凝った作りで、”本番”が始まるまではハラハラさせられますが、その後終盤に向けては何となく別のベクトルの生々しい感じの流れになります。これは夫婦共演ならではといった流れで、個人的にはウハウハでしたし1973年当時としては結構衝撃的だったかもしれません。  最終的には良くまとまっていて悪くはないのですが、前述の通り、サスペンスの名手(例えばヒッチコックなど)が監督していればもっと面白くなったかもしれないという惜しい感が残りました。あと、他の方もご指摘ですが音楽がちょっと合っていません。
[地上波(吹替)] 7点(2023-10-23 10:59:53)
6.  インドシナ
時代背景もあまり知らずに何となく見てしまいました。「愛人/ラマン1992」に非常に良く似た時代背景の作品で、ラマンよりは大分時代劇風にはなっていましたが、でもそれが面白さにはあまり繋がっていない印象でした。1930年代といえばアメリカではグレートギャツビーの時代、日本では昭和初期、第二次世界大戦前で二・二六事件などがあった物騒な時代です。  劇中で連呼されるジャン=バティスト(ヴァンサン・ペレーズ)が良い思いをし過ぎですが、実質的な幸せには全くつながっていないのが気の毒。また長尺な割りに大事な部分は割と端折っていて要所要所が都合よく流れていきます。色んな事がよく判らないまま終盤1954年のジュネーブ協定で映画は幕を下ろします。 とにかくどこにも感情移入できる人物がおらず、終始他人事として話は流れます。ラストに吐露する孫の感情を聞いても「フーン、残念だったね」くらいにしか思えず壮大な物語を見たという印象はありませんでした。  しいて挙げればこの後すぐにアメリカに小突かれ、ベトナム戦争の悲劇に見舞われる訳で、つくづく不運な国だなという印象ばかりが募ります。2023年現在、日本には沢山のベトナム人の交換留学生などが来ていますが、皆さんとても優しくて素敵な人ばかり。日本人とは非常に相性の良い国民性だと思います。気の毒だなとは思いましたが、映画としては色んな意味でちょっと疲れる作品でした。
[地上波(字幕)] 6点(2023-10-12 14:23:58)
7.  クリフハンガー 《ネタバレ》 
ほとんど30年ぶりに再見しました。イメージ的にはスタローンのPV的な印象を抱いて30年経ちましたが、いま改めて見返してみると結構凝った映画だったんだなという印象です。凝った映画=高評価ではなく、単純に苦労して作ったんだろうなという意味ですが、この時代あたりから急激にCG技術や合成技術が進歩してリアルな映像が見られるようになりましたね。本作もやたらとリアル。  序盤からご都合主義でツッコミどころは満載ですが、80年代スターを筆頭に80年代を引きずった映画なので致し方ないかなといったところ。特にオープニング、この可愛いらしい美女がまさかの転落死なんて、掴みが大事とはいえ結構残酷です。また、この美女の恋人で主人公の親友(ハル=マイケル・ルーカー)もご都合主義であまりにもワガママで笑っちゃいます。素人美女を連れてきた自分のプロ意識の低さを棚に上げ、親友を責めるなんてどんだけ・・ 現金強奪はやたら凝ってる割りに準備はバッサリ割愛。で、まさかの不手際から墜落、ついにこの映画のメインステージに上がる流れは一見自然なようで実はかなりご都合主義。また、金を一人で取りに行かせておいて銃乱射→雪崩の流れも雪崩を見せたかっただけの演出にしかなっていないのが稚拙すぎて半笑いです。(Tシャツでクライミングするスタローンも)  無駄に人数が多くてモブキャラらしきも数名混ざっていますが、ジェシー(ジャニン・ターナー)はあの時代特有のボーイッシュな可愛さを演出してくれているし、クエイルン(ジョン・リスゴー)&クリステル(キャロライン・グッドオール)も下品な悪の親玉としてなかなかの存在感を放っています。しかし、超絶強いカイネット(レオン)は最後まで見せ場は無いし、ヘリの操縦士フランク(ラルフ・ウェイト)もあまりにも勿体無さすぎる存在感のまま、意味の分からない最期を迎えます。  サラリーマン風情で鍛えもしていない悪人たちが普通に極寒の雪山を征服していたりと、ツッコミ所は多いものの最後までバランス良く中だるみが無い流れは救いでした。スマートにそつなく悪役を倒して、恋人を亡くした傷心の親友の前で自分たちだけイチャついて映画は綺麗に終わります。(その傷心の親友は無線で「悪役?あいつは谷底だぜ!」は悪ノリしすぎ)色んな意味で悪くはないものの、お手軽映画の典型でした。序盤に転落した美女に免じてこの点数です。
[地上波(吹替)] 6点(2023-08-17 12:18:33)
8.  007/ムーンレイカー
昔、子供の頃に見たと思いますが、先日TVで4K放送されていたので今回落ち着いて見てみました。結論から書くと、、まあ・・ ねぇ。といった作品でした。  何が酷いかって、まずはロジャー・ムーア。当時52歳のおっさんが20代のモデル風美女にやたらとモテるのは明らかにオカシイ。しかも手の出し方がキモくてなんか嫌でした。あと、ここに突っこむと作品自体を全否定してしまいますが、、宇宙が酷かった。ツッコミどころが多すぎてどこに突っ込んだらいいのか判らないくらいに、、全体的に半笑い。  ファンの方には申し訳ありませんが私には007は合いません。いや、私の中でピアース・ブロスナン以外のボンドはちょっと受け付けない感じになっています。合唱。
[地上波(字幕)] 3点(2023-07-16 14:53:08)
9.  コーダ あいのうた
TV放送で見ました。今に始まったことではありませんが、こういう作品がアカデミー賞を三つも受賞してしまうあたり、アカデミー賞の安易さというか、忖度、世間体、闇を感じますね。 物語は極めてありきたりで簡素。予定調和的だし話もシンプルすぎてあまりにも子供向けな作りです。もちろんシンプルなのが悪い訳ではありませんが、もう少し主人公の深い葛藤や特異性を描いてほしかったです。これではまるで某24時間系番組の偽善ドラマか再現ドラマ程度にしかなっていません。話自体(内容)は絵に描いたように素敵だっただけに非常に勿体無いと感じました。  助演男優賞受賞のお父さん(トロイ・コッツァー)は確かに惹きつけられる演技でした。他に目立った出演作も少なく、調べてみるとご本人さんは本当のろうあ者だそうで。演技じゃなくて本物だったわけね。ルビー役のエミリアも本物の歌手・俳優だそうで、確かに歌は惹きつけられるものがありましたが演技のほうは、、まあ普通に上手い程度でした。兄や恋人候補の演技もとても良かったと感じましたが ”その他 略” 的な扱いになってしまっていて残念でした。結局、詰め込み過ぎの弊害が出ちゃってますよねこれ。  こき下ろすだけじゃなくて良かった点も書いておきます。娘の発表会に耳の聞こえない家族がきちんと出席した点は素晴らしい。またその際の彼ら耳の聞こえない家族の視点からコンサートが表現されていた点も素晴らしかったです。耳が聞こえない事の異常性にハッとさせられますし、これの伏線回収として試験の時の手話付きの歌は非常に感動的でした。(先生がわざと間違えるのも胸アツでしたが、濃いキャラでラストに出てきたわりには印象が弱くて非常に残念な先生でした)  結果的に演者はとても良い演技をしているのに一体何がイマイチポイントだったのか?やはり脚本と演出の安易さでしょうか。デュエット=恋人役の彼も完全にモブキャラ化してた割に水泳のシーンは妙に長いし、反面、先にも書きましたが兄とその彼女の関係はもう少し見たかったのに完全スルーでした。まあ確かに主人公の少女に焦点が当たるべきなので兄の件などは仕方ないと思いますが、それでもイマイチ焦点が定まらなかったように感じました。まあでもこれ脚色賞を取っているんですよねぇ・・ うーん、やっぱ、、アカデミー賞の謎ですよねぇ。
[地上波(吹替)] 4点(2023-06-26 16:41:36)(良:1票)
10.  デリカテッセン
ウィキペディア(Wikipedia)によるとデリカテッセンという言葉は、サンドイッチや持ち帰り用の西洋風惣菜を売る飲食店である。とのことです。この作風からは美味しそうに見える食材などは見当たらず、どういった意図でこの作品名を付けたのか大いに興味が湧きます。(まあ、暗に示されてはいますが・・) また本作はいくつかの賞を受賞したそうですが、その辺りも日本人の感覚からはちょっと理解しがたいものがあります。  さて、ジャン=ピエール・ジュネ監督の作品といえば「アメリ」「エイリアン4」ともに大好きです。この作品、本作デリカテッセンの特殊性?というかジュネ監督の本来の姿らしい、という噂は聞いていましたが、まさかここまで特異な作品だったとは・・ 「アメリ」「エイリアン4」とあまりにも違い過ぎていて驚きました。 正直、全く好きな作風ではありませんでしたし、物語自体も全く面白いとは思いませんでした。途中で見るのをやめようかと思ったくらいです。しかしついつい見てしまい、結局はラストまで見るに至りました。この作風なのに見るのをやめさせない力があったことにはとても驚きました。他の皆さま同様、ベッドの軋みネタが二回とも面白かったですね(笑)そのベッドの持ち主であったカリン・ヴィアール嬢ですが、この映画の当時25歳で、口はかなり下品ですがフランス女性らしい美しい美貌を披露しています。エロ目線では一応見るべき点です。  ゲテモノ作品ですが、確かに映像的・カメラワーク的にはかなり凝っています。映画通を自称する方は一応見ておくべき作品なのかもしれません。(アメリのほうは非常に清潔かつ洗練されていますので、あちらも併せて鑑賞すべきです)
[インターネット(字幕)] 4点(2022-09-13 12:19:43)
11.  チャーリー(1992)
私の個人的な感覚でいえばロバート・ダウニー・Jrといえば性格俳優の趣きが強く、そういった意味でもチャップリン役は彼に最も適した役だったのではないかと思います。実際彼の役へのなり切り具合はとても素晴らしいものでしたがストーリーがそれに見合っておらず、どうにも軽い作品に成り下がっています。喜劇俳優を描いているにもかかわらず大して面白くもなく、また心に響くような深い映画にもなっていません。そもそも論ですが世界で最も有名な喜劇俳優かつ監督、いわゆる偉大な芸術家であったチャップリンの一生をたった2時間半で描こうとしたのがそもそもの間違いで、ガンジーのようにせめて3時間、いや3時間半でも良かったかもしれません。  幼少期も青春期も青年期も全てが早歩き過ぎて、見ている私たち観客の心には何も響きません。ロリコン気味の彼の女性遍歴も何となく早歩きで軽く紹介しただけで終わっています。更に成功期から晩秋期においてはアンソニー・ホプキンス(ジョージ・ヘイドン記者)が妙に幅を利かせてきて要らぬ存在感を放ちます。意味深なセリフも目立っていて妙に映画が散漫になっているのです。何か哲学めいた雰囲気からのあのイメージビデオのようなラスト。他の方もおっしゃっている通り、キャップリンの人となりを知りたかったら「街の灯」を一本見るだけで十分に彼のことが理解できるでしょう。 2時間半の伝記映画にするにはあまりにも偉大すぎたチャップリンの紹介映画は、それを作ってしまった時点で蛇足以外の何物でもなかったという感想です。ただし、早歩きでざっと彼の人生を見渡すにはよく出来た作品ではありました。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-09-13 11:28:04)(良:1票)
12.  アザーズ 《ネタバレ》 
この映画は二回目の鑑賞のほうが断然面白いです。初回ではどうしてもグレース(ニコール・キッドマン)の美しさばかりが目立ってしまって映画に集中できない問題があります。また、最後の最後まで答えを見せない作風であるにも関わらず、序盤から伏線が多いので意味が判らないようなシーンも少なくありません。 しかしオチを理解した上でもう一度同じシーンを見返してみると、全く違った見え方になるのが素晴らしいです。なぜ娘(アン=アラキナ・マン)があれほど母を毛嫌いしていたのか?序盤は意図的に娘を悪者に仕立て上げる流れで、ミスリードのさせ方としてはちょっと悲しいですが、娘にしつこく朗読させていた聖書、最初に描いたアザーズの絵と彼らに出会った回数、ビクター(アレクサンダー・ヴィンス)との関係性、老婆になっていた件などなど、非常に丁寧かつ巧みに伏線が仕込まれています。(実際娘は悪くないし、母への不信感から悪態をついていたと理解できるラストも泣かせます) 三人のメイドのセリフや旦那(クリストファー・エクルストン)のセリフなども巧みで奥深く、とても上手にミスリードを誘っています。特に旦那(父)が出てくるあたりから幽霊オチ確定の雰囲気が漂ってきますが、しかしそれでもなお、まだ誰が幽霊なのか判らない曖昧な展開は本当に秀逸でした。  終始暗い話と神経質過ぎる美しい母のせいでうんざりするようなシーンも少なくありませんが、とにかくオチが素晴らしい。おそらく光アレルギーと掛けてあるであろう子供たちの顔色も、後から考えると悲しくも素晴らしいし、この作品で提示された新しい視点で考えると、途端にこの物語の全てがリアルに感じられてきます。逆転の発想とはまさにこの映画のこと。シックスセンスとは似て非なるもの、本作も複数回見たくなる非常によく出来た素晴らしい作品でした。
[インターネット(字幕)] 9点(2022-09-13 10:48:53)
13.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 
個人的には「海の上のピアニスト」は非常に良くまとまっていて素晴らしい作品でしたが、名作と名高い本作「ニュー・シネマ・パラダイス」(短い版)はまったく心に刺さりませんでした。もちろん随所に素晴らしいシーンや素敵なセリフ、映画愛に溢れたシーンは散りばめられていましたが、だからといってこの映画の教訓や哀愁が私自身に突き刺さったか?というと、そうではなかったです。  カットされていたラブシーンのことや99日で去ってしまった兵士の話、アルフレード(フィリップ・ノワレ)に感化されながら同時に教育も受けたトト(サルバトーレ・カシオ/マルコ・レオナルディ)自身の恋愛観や人生観は素晴らしいです。彼ら二人が培った生き方や友情物語はとても素晴らしく、トトの恋愛の行く末も哀愁を帯びていて悪くないものです。(初恋が成就しない人も多い中、トトは成就した訳だから良いほうではないかと) ラストもそつなく綺麗にまとめられていて、成功した(おそらく映画監督)中年期のトトと老いた母や町の人達との会話も意味深くて素敵でした。  全体的に音楽も素晴らしく作品としては本当にそつなく綺麗にまとまっていますが、だからといって高得点にはつながっていないような気がしました。個人的な意見ですが、コンパクトにまとまった凡作といった印象です。「ショーシャンクの空に」同様、世の中の高い支持が理解できない作品でした。いや、決して悪くはないのですよ・・  余談ですが、この映画を見て強く共感した点は”やはり映画は投影しないとダメだよな”ということです。私自身映画とは大画面であるべきなのは当然ですが、投影されているということが重要だと信じています。(自宅プロジェクター鑑賞、100インチ 2.1チャンネル)
[インターネット(字幕)] 4点(2022-09-09 12:15:23)
14.  ジョニー・イングリッシュ
アナログの逆襲は大好き!気休めの報酬はイマイチ・・ ということで、あまり期待せずに第一作目を鑑賞してみました。本作(一作目)は意外と真面目にエージェントしてるんだなという印象で、思ったよりシリアス風な場面もありました。 Tornというヒット曲が好きでナタリーインブルーリアのことは古くから知っていましたが、まさかローナ役として準主役で出ているのが同姓同名の別人でなくご本人だとは(笑)ちゃんと役者さんできていますが、他に目立った作品は見当たらないようです。  パスカル・ソヴァージュ(ジョン・マルコヴィッチ)はカツラですよね(笑)彼のシーンは全体的に結構笑えるシーンが多くて楽しめるのですが終始脱力系です。総合的には高評価は難しいですが並の上といった感じでした。個人的にはエージェント1号登場シーン、墓場のシーン(精神病の流れ)はかなり笑えました。総じて部下(ボフ=ベン・ミラー)が優秀だと生き残れるんだよなぁ、としみじみ感じてしまいました。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-08-25 14:47:48)
15.  ANNA/アナ(2019)
エンドロールで初めて監督名を見ました。この名前を見たらなるほど納得ですよね(笑)ある意味、誰が監督をやっているのか知らずに見たのが功を奏したようで、おかげで非常に楽しめました。(ベッソンだと判って見始めていたらきっと変な色眼鏡で見てしまったかもしれません)  他の方もおっしゃるようにニキータのセルフリメイク風ですねこれ。ご丁寧に活動拠点はフランス、指南役のおばさんや子守役のナイスガイまでいます。ファーストジョブも定番ネタなのに陳腐にならずアクションや表現もキレッキレで、見ていて気持ちが良いくらいの流れ(流儀?)が出来上がっていました。二転三転する謎もよく考えられていて、実は裏ではこうなっていたという種明かしも実にスマートで見ていて楽しかったです。モデル事務所に所属しているという体も大正解で、表向きの日常が非常に美しく目の保養ヨロシク、見ていて飽きません。ただ、作中でも言及されますが、若く美しい女性=ハニートラップやそれに準じた仕事しかできないのは仕方がない部分でしょうか。結局身体の関係ばかりなのはやはりゲンナリしてしまいました。  見たら忘れる巷の駄作ほどの軽さは無いものの、重厚な雰囲気も特になく、そういった意味でもベッソンらしかったかもしれません。ベッソン監督の集大成として考えれば大変素晴らしい作品でしたが、手元に置いておきたいというほどの作品でもなかったです。とても楽しめたので少し甘めの点数ですが、ある意味どうでもいい映画=ベッソンらしい作品でした。(皆さんおっしゃるように主演女優も素敵ですが、それよりも周りを固めている大物俳優陣の雰囲気がなかなかの見所)
[インターネット(字幕)] 7点(2022-04-21 13:20:56)
16.  ビューティフル・デイ 《ネタバレ》 
【若干のネタバレあります】 先日見た「マシニスト」は私の評価とは裏腹に世間の評価が結構低く、そして本作は私の評価とは裏腹に世間の評価が結構高かったりして・・ 価値観ってやっぱり判らないもんだなあと痛感します。  攻め気味の音楽や脚本はある程度評価できるものの、攻めすぎているような部分もあって凡人の私には意味が判らないところが沢山ありました。残虐でやり過ぎると評判の主人公ジョー(ホアキン)でしたが、ハンマーだけで売春斡旋組織や知事の邸宅に乗り込むのはちょっと無理があるのでは?と感じてしまいました。そもそも女の子のお父さんは何故投身自殺を図ったのか?知事の圧力?知事がロリコンなのはまあ理解できますが、そこらへんにある三流のアクション映画のように急にヒットマンが送り込まれてくるとか、リアリティが無さすぎて話がよく見えてきませんでした。(知事とマフィアがズブズブな関係なのが前提?)  ラストで女の子が発する「It's a beautiful day」も、あまりにも達観しすぎているというか大人びているというか・・ むしろこの女の子の映画が見たかったよね。というのが私の最終的な感想だったりします。よく考えたらタクシー・ドライバーも私の人生におけるワースト5に入っていますし、自分にはちょっと合わない、難しい映画でした。(皆さんおっしゃるように湖のシーンやお母さんとのシーンなどは素敵でしたが)
[インターネット(字幕)] 3点(2022-04-21 13:06:56)
17.  愛人/ラマン
ロリータ(エイドリアン・ライン版)はなかなかドキドキさせられましたが、ラマンはちょっと退屈してしまいました。もっとこう、イメージ的に「青い蕾」感を期待しましたが、期待の仕方が間違っていたのかどうも淡いエロというものはほとんど感じられませんでした。(まあ、私の見方が悪いんでしょうねえ)  チャンスがあればもう一度見てみるかもしれませんが、前半はちょっとダルいし後半はなかなかヌルいしで、思った以上にメンドクサイ映画でしたから無理かも。
[インターネット(字幕)] 3点(2021-12-31 12:59:59)
18.  ランド・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
時系列的にロメロ版の続編としてきちんとつながっているので、できれば題名を「Twilight~」にしていただきたかったところです。私の大好きな前作「死霊のえじき(Day of the Dead)」で思考するゾンビの鱗片は拝めますが、まさか人間と共存する方向に持って行くとは驚きを通り越して呆れて・・。(自我に目覚めた黒人男性のゾンビはあり得ないし、単純につまらん)  まあゾンビな世界では世の中がああいった方向に向かうのはある意味必然なのかもしれませんが、かなり陳腐で80年代風の安っぽい感じに仕上がってしまっています。まあ作っている人間が70~80年代にピークを迎えた方なので致し方ないのかもしれませんが、これに関しては観る側(私)がウォーキング・デッドを知ってしまっていてハードルがダダ上がりしてしまっているということもあったかもしれません。  チョロ(ジョン・レグイザモ)もちょっとご都合主義的な行動が目立つし、ライリー・デンボ(サイモン・ベイカー)に関しては行動に一貫性がなく、何を考えているのかすら理解できません。個人的にはツインテール風のプリティー・ボーイ(ジョアンナ・ボーランド)がやたらと可愛いかったので帳消しにしておきますが、今作は見たら忘れる系の映画に成り下がってしまっていて、私としては「作らなければよかったのに」というの率直な感想だったりします。  シリーズものとしてロメロ大先生に敬意を込め、少し甘めの点数にしておきます。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-31 12:31:56)
19.  Swallow スワロウ
トライベッカや批評家から高い評価を得ているとのことで、一抹の不安を覚えつつも割高なレンタル料金を支払って鑑賞してみました。きっと大当たりか大ハズレのどちらかだろうと予想していましたが、それすらもハズレる斜め上をいった難しい作品でした。。(高評価も低評価も付けにくい感じ)  異食症の女性の話なのか、特殊な境遇(過去)を持った女性の話なのか、旦那に虐げられた女性の話なのか、間違いないのは女性の話であるということですが、イマイチどこに話が向かっているのかが理解できません。そこへもってきてフィンチャー的攻めまくった感じのオシャレ画風が追い打ちをかけていて、画面から俳優たちの気持ちを一生懸命くみ取るだけの映画になってしまっているような印象でした。 勿論機微を読み取るのはとても大切なことですし、飲み込む前の葛藤や全体的なトーンは非常に良く描かれています。しかし全体的にちょっと重たくノンビリしすぎていて娯楽性という意味では全く物足りませんでした。ハマる人はハマるのでしょうがそうでない人にはただただ退屈な映画、そういった印象が強く残りました。結末もあまりはっきりしないし、旦那のほうはそれなりに一生懸命頑張ったのに振り回されただけのようにしか見えないしで、結局終わってみたらなんかよー判らん映画だった。と、終始そんな感じです。(実際には旦那家族側は無自覚でかなりきついパワハラを行っていますが、ハンターのほうが変人すぎてそう見えないのは残念)  フィンチャーを意識したような洗練された作風でスリラー的なドキドキ感もありましたが、なかなか見る人を選ぶ作品です。もう少しエンタメ寄りのほうが気軽に楽しめたと思うので、そういった意味ではとても惜しい映画です。
[インターネット(字幕)] 5点(2021-05-08 00:01:21)
20.  ゴールデン・リバー
今最も脂がのった人気俳優を複数使ってこの程度の内容になってしまったのは、とにかく脚本家と監督の力量のなさでしょうか。大した抑揚も無いまま散漫で退屈な流れの後、ラストの「The Sisters Brothers」の文字に脱力感も半端ないものでした。  日本版の予告編が悪すぎましたが予告編だけが悪い訳じゃなくて、本編のほうもオープニングからあまり良くありません。いきなり真っ暗で何をしているのかよくわからない感じで激しい撃ち合いが始まります。その後は丁寧な説明と雄大な景色を織り交ぜて落ち着いた流れになるのですが、とにかく内容がどうでもイイ感じなのです。この「雰囲気重視路線」で行くなら登場人物4名のバックボーンをもっと深堀したTVドラマ化のほうがずっと面白かったのではないかと感じます。(裏を返せば良くなる可能性は十分に秘めている)  ただし、フランス人監督が西部劇を描いたわりには全体的な雰囲気はなかなかで、そういった意味では監督の力量も発揮されているといっていいでしょうか。(でもツマンネ) 点数はイーライ(ジョン・C・ライリー)の雰囲気と頑張りに免じて少し甘めにしてあります。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-04-29 17:36:32)
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