1. 家路(2001)
《ネタバレ》 歪だ。芝居の本番中にバックステージでうろうろする男たちを映したり、会話の声が聞こえてこなかったり、リハーサル中の演技は一切見せずに監督の顔だけを映したり。本来ならうろたえる主人公の姿を映したっていい。アンゲロプロス流のスペースオフを使ったスリリングな演出は好きだ。何が起きているのか観客に想像させる監督も好き。俳優人生の終わりを物語るミスの連続、「もう帰る」と言い家路につく主人公が名優だということに気がつかない歩行者たち。そしてラストの孫の怯えた表情が監督の死・老いへの価値観を見事に表現していると思った。観ている時はあんまりピンとこなかったけど、後でシーンを思い出しながら考えてみるとすごくおもしろい映画だったなぁ、と。 [DVD(字幕)] 7点(2015-06-29 08:44:02) |