1. ヴェニスの商人
シェイクスピアのユダヤ人に対する無知、というより当時のキリスト教社会の価値観が作り上げたと言える原作。これがなぜ「喜劇」なのかはよく分からない。これをユダヤ人シャイロックの悲劇と涙を流したハイネの解釈がこの映画のベースになっている。周囲の理不尽さに打ちのめされた孤独な男をアル・パチーノは上手く演じている。裁判の場面で跪いて咽ぶ姿に思わず涙が出てしまった。余談だが、利息を取ることよりも人の弱みにつけこんで贖宥状なるものを売りつけたローマ・カトリック教会の方がよっぽど質が悪いと筆者は思うのだが。テレビに消費者金融のCMが垂れ流しになる昨今の日本を見てシャイロックは「ほれ見たことか」とほくそ笑んでいることだろう。 [映画館(字幕)] 8点(2005-12-31 08:32:04) |