1. 真珠の耳飾りの少女
《ネタバレ》 全編を通じてにドラマらしい波風は一切なし、17世紀のオランダの庶民生活を淡々と描いた映画と言ってもいいとも思いますが、それがやはりドラマ仕立てで映画になっているのはやはり、わたしの前の方も書いておられるような押さえたエロティシズムの表現が十分ドラマとしての要件を満たすとプロデューサーが考えたからでしょう。ハリウッドばりの派手な映画がお好きな方には必ずしもお勧めはしません。前の方が触れられた、グリーダが髪の被り物を取る時のエロティシズムが脱衣に対応するなら、フェルメールがろうそくの火で消毒した針でグリーダの耳たぶに穴を開けるのは・・・説明するまでもない、非常にきわどい内容なのです。しかもフェルメールは妻との間に多くの子供をもうけていて、それが妻に対する愛情の徴だったとするならば、通常の意味では若い女の子に普通に手を出す必要は全くないわけで、グリーダとの関係や肖像画など、妻に対する世俗的でありきたりな愛情を超越した、光を求めた画家の精神世界でのエロチシズムに昇華された美への渇望だったのかもしれません。だったらこの作品は精神世界でのエロチシズムを描いていると言っても過言ではないでしょう。ところで、フェルメールがどんな顔だちをした人だったかは知りませんが、主演のコリン・ファースの顔は同じオランダ人で銅像が残されている、奇怪な絵を描いたことで有名なヒエロニムス・ボッシュに似ています。スカーレット・ヨハンセンの抜擢は実在の真珠の耳飾りの少女に似ているからでしょうが、ファースの採用もももしかしたらボッシュと関連あるかもしれません。 [DVD(字幕)] 7点(2009-09-27 04:25:10) |