1. 鉄格子の彼方
《ネタバレ》 中年期に差しかかったジャン・ギャバンの演技が光る恋愛もの、というか親子もの? 殺人の罪で逃亡中の男がイタリアで下船し給仕の女性と恋に落ちる。男の正体を知った娘は彼と距離を取ろうとするが嫌いにはなれず、迫りくる警察の追手をなんとか知らせようとチョークでメッセージを残すが、結局捕まってしまう。 あれだけ警戒していたのに愛ゆえに盲目になりメッセージを見落としたりという失態や「これでいいんだ」と逮捕される件は決してハッピーエンドではないけれど、静かな余韻があってよかったですし、戦後間もないイタリアの庶民たちの貧しくもありそれでも助け合って生きていく姿に人間的な力強さを感じました。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-05-28 00:11:48) |
2. ウイークエンド(1967)
《ネタバレ》 自分がバカなせいでさっぱり意味が分からなったのですが、後期の作品よりはだいぶまし。 それより前半の長い渋滞で「いったい何があったよ?!」という感じの長回しや、道中の出来事などそれ自体はなかなか面白かったです。主人公たちもメタ的な表現が多くて、これはそういう映画だ、と考えを切り替えて楽しむのが正解だったのかなと思いました。再見すればより楽しめるのかもしれません。しばらくしないと思いますが。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-12-04 20:02:17) |
3. 女は女である
《ネタバレ》 子どもが欲しい彼女と子どもが欲しくない彼氏の痴話喧嘩を延々見せられる映画、と書くとなんだそりゃ?という感じですが、ストーリーそっちのけで爆音で鳴り響くBGMだったり突如挿入される違うシーンだったり、斬新なオープニングだったりと「そういう演出」を楽しむ作品という印象を受けました。 「Rの発音ができないくせに!」とかフランス着わかってないとピンとこないやりとりとか、「口聞かない!」と言って本の題名でひたすら会話するくだりとか、ラストの「え!?それでいいん!?」な展開含めて、ゴダールの難解さもなく理屈で観ちゃいけない作品と思って観るとなかなか楽しかったです。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-11-10 01:27:23) |
4. 大頭脳
《ネタバレ》 大頭脳ってどういうこと?(笑)って思ったら、天才ゆえにブレインとあだ名されている泥棒というくだりでなんとなく納得。 「情人よりも脳の質量が多いので頭が片側に傾いてる」そんなバカな!(笑)と思った次の瞬間本当に傾いて、あ、これってそういう類の作品なのね、とさらに納得。 とてもこいっくチックな脱獄のシーンや、真っ二つになる車、空に舞う札びらなど、後世の作品でさんざん見ることになるシーンばかりですが、どれも面白く、またオープニングやエンドロールに流れるテーマ曲もなかなか癖になるものでとても面白かったです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-09-30 21:43:21) |
5. 荒野の1ドル銀貨
《ネタバレ》 マカロニウエスタンらしく、ガンファイトだけじゃなく肉弾戦も豊富。銃身の切られた銃や1ドル銀貨などが物語進行のいいスパイスになっていて、単純な勧善懲悪ものなのに単調ではないいい味付けになっていました。 主演のジュリアーノ・ジェンマも、前半までの髭ぼうぼうから一変、髭を剃り落とした後のハンサムな顔立ちといい、銃の腕といいとても良かったですし、アニメ長のオープニングなども今観てもとてもおしゃれで格好良かったです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-08-19 14:27:52) |
6. スリープレス
《ネタバレ》 アルジェント印のジャーロ。全盛期よりも殺戮描写はおとなしめですが。それでも相変わらずクオリティは高いですし、ゴブリンンの音楽も最高です。 ストーリーも、「それ無理じゃね?」というのはあるものの、完成度はとても高いと思いますし、犯人に至る伏線もしっかり張ってあったり、昔気質の元刑事対現代の刑事、という新旧の構図と操作方法の対比、そのやり取りがしっかりラストに活きているあたりもよかったです。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-31 00:57:03) |
7. 4匹の蝿
《ネタバレ》 サスペリア、だとかフェノミナだとかインパクトのでかい作品から比べると及第点、と言った感じ。まあアルジェント初期作ということで、まだゴブリンも発足していないし、原色バリバリだとかド派手な殺戮方法は少し控えめ、とはいえ目を引くショットもちらほら。 ジャーロらしく犯人の動機が八つ当たりを超えてトバっちりなのと4匹の蝿という割にはあまり蝿が絡んでこなかったり(冒頭のあれは伏線じゃねーのかよ)とかはあれど、まあそれなりに楽しめる。 今際の際の映像が網膜に映る、というのは後年にロボコップのテレビ晩でも使われてたし、映像業界では忘れられてるようで忘れられてないい設定なのだろうか?(笑) [DVD(字幕)] 5点(2022-02-26 17:44:44) |
8. 1900年
《ネタバレ》 まあとにかく景色というか自然が綺麗。 そしてカット割を細かくするのではなく長回しで役者と背景をじっくり撮ってくれてるので、奥行きや季節の空気感など非常に感じられて見ていて楽しいです。 地主と百姓の息子。立場は違うけど奇妙な友情、時に衝突しながら、最後は共に天に召される展開は、時代が違えばもっと違った形の友情を育めたのではないかと思うばかり。原題の「20世紀」の犠牲になった若者たちという感じです。 まあ、現代からすれば、社会主義も大概じゃね?とは思うばかりですが、それはやはり自分の住む国を基準に考えてしまうからでしょう。 長らくDVD化されませねしたが、確かにこれは児ポ法に引っかかってもおかしくない描写もあり、非常に複雑な立場だったんだな、とは思いますが、残虐性や卑猥さもこの作品には必要だと思います。20世紀を生き抜いた彼らの証として。 5時間越えの作品ですが、内容も濃く、長さを感じさせない作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2022-01-07 02:19:01) |
9. 戦争と平和(1956)
《ネタバレ》 オードリー・ヘプバーンにヘンリー・フォンダをはじめ出演陣がとにかく豪華。特にオードリーの、前半の尻軽女っぷりから徐々に芯のある女性へと変容を遂げるシーンを始め、愛らしいと頃はとことん愛らしい表情などで、3時間半、意外と観られてしまいます。後半の戦闘シーンなども、膨大なエキストラやらでとにかく数の勝負、臨場感もありますし、ティベレ川の岸沿いに作られたというモスクワ市内のセットは素晴らしいの一言。 ただ、原作が原作だけにどうしても「戦争メロドラマ」のような安っぽさは拭えず、、、それから3時間半あるのにここまで長くてもまだ「ダイジェスト感」が拭えないのも、まあ仕方ないことなのでしょう。 本家が7時間かけて映像化してますし。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-14 15:53:07) |
10. たそがれの女心
《ネタバレ》 冒頭のクローゼットのシーンでの流麗な動き、社交界での幻想的とも言えるダンスシーン、そして何度も手元に戻ってくる宝石の不思議なめぐり合わせ。 宝石商が4度目に将軍のところに宝石を持ってきた時の将軍の「いい加減にせんかい!」というやりとりは笑っててしまいました。 コロコロと言葉を変えるルイーズの女心といい、ラストの感じといいいい感じなのですが、個人的にはちょっと肌に合わない作品でした。 [DVD(字幕)] 6点(2021-09-26 17:14:17) |
11. ルチオ・フルチのマーダロック
《ネタバレ》 フルチ爺にしては案外まとも(失礼)な展開。だけどジャーロなので真面目なミスtれリーカと言われればそうでもないという作品です。 そもそもジャーロなのにインパクトのある殺人シーンが皆無。細長いピンで心臓をひと突き!という必殺仕事人も真っ青な殺し方で、刺す瞬間は確かに痛そうですが非常に「コレジャナイ」感満載。フルチ爺のトレードマークともいうべき「残虐描写をとにかくねちっこく、ディティールまでこだわって!」というのがないのでちょっと残念なところ。 職人監督なので、それなりの作品は撮れるのですがやはりフルチ節を観たい者にとってはちょっと肩透かし、といったところでしょうか。 音楽がキース・エマーソンというのはよかったです。イタリアン・プログレじゃないけど。 [DVD(字幕)] 5点(2021-09-20 17:35:44) |
12. マンハッタン・ベイビー
《ネタバレ》 冒頭の墓の中のショットや、円状階段のようになってそこにおもちゃが均等に敷き詰められている演出、壁に血溜まりができてそこからミイラ化した肢体が出てくる、などといったように、印象的なシーンも結構あって、雰囲気的にはそれなりにいいな、と思うんですけど、肝心の話が 全く意味がわからない(笑) 一応、深読みすれば、なんとなくわかる、ような気がするけど、突如として部屋が異空間になったり全然関係ない人が死んだり、いきなり訳知り顔の人ができてきたりするので「どういうことだよ!?(笑)」という感情が先行してしまいます。 ようやく終盤にフルチらしいゴア描写が少し出てきますが、それと同時に「説明してもわからないだろうからしない」という居直りによる強引な展開も、ある意味フルチらしいというところ。それにしてもサントラ使い回しすぎ(笑) [DVD(字幕)] 5点(2021-09-20 12:27:51) |
13. 悪魔の美しさ
《ネタバレ》 ゲーテの「ファウスト」を下地にした作品ですが、遅おそらく全然違うのでしょう。ですが、メフィストフェレスのひょうきんとした立ち位置や道化師然とした振る舞い、ひょっこり「呼んだ〜?」といわんばかりにファウストのそばに現れる様は滑稽でありながら、人々を堕落させる悪魔という感じが出ていてよかったですし、彼のマスターに願いを乞う際の演出もなかなかハッタリが効いていてよかたです。 最後はまさかのうっかりで自滅、というあっけない最後、原作と違ってファウストが生き残るエンドですが、これはこれで面白かったです。 多分、自分の中でルネ・クレールの作品が一番肌に合うように感じるからかもしれません。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-30 23:46:36) |
14. 嘆きのテレーズ
《ネタバレ》 亭主関白ヅラしてほぼ何もできないマザコン旦那や意地悪な姑、間男、地文のつ後のいいことばかり宣う恐喝野郎と確かに、共感できる人がほぼいない(笑) だけど確かに、全員悪人という訳ではなく、現状を打破したいともがく人々。恐喝野郎も出てきた時は「何こいつ?」でしたが、ホテルの子にず文の行末を話すときなど、完全な悪と描ききっていないのでなんだかんだ全員憎めない(笑) そして全員不幸になって終わるというある意味突き放した終わり方。因果応報というか、やっぱり悪いことってしちゃいけないんだって思わせてくれる映画でした。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-12 17:40:29) |
15. 夜ごとの美女
《ネタバレ》 現実世界では鳴かず飛ばずの作曲家、友人にはからかわれ、作曲は騒音で邪魔され、ピアノは持って行かれようとしている、そんな主人公が見た夢はまさに逃避。ある時は有名作曲家、ある時はアラブの軍人、またある時はフランス革命時の音楽教師、、、 ってな具合で現実と夢が怒涛のごとく展開するので気をつけていないといつの間にか夢や現実、はたまた違う夢に飛ばされてしまっているのですが、これがどうして一つ一つ見ていくとしっかりとストーリーがあるのでそれぞ見応えがあります。 特に、最後の、オーケストラの中でちゃっかり近所の連中が混じって掘削機やバイク、掃除機をかき鳴らしているシーン、石器時代まで戻ってしまった夢を、現代に戻ってくるまでに車で疾走、過去が次々に追いかけていくシーン。荒唐無稽でありながら、確かに夢ってこんな感じだよね、という妙なリアリティがあります。 その他でも、郵便配達員との会話を意図的に遮る音など、随所に面白い点が多々。とても面白い作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2021-08-12 00:58:39) |
16. ローマ法王の休日
《ネタバレ》 邦題からはもう少しほのぼのとしたふヒューマンドラマを想像。しかし実際には法王に選出されたがその重圧に耐えられず逃避してしまう1人の老人の等身大のお話でした。 ミオシェル・ピッコリの「もう無理!」という演技や思い悩む表情、ローマの市井の人人の雰囲気、中世から飛び出してきたかのような枢機卿たちや衛士の服装や突如としてバレーボール大会が始まる感じなど個人的にはなかなかよかったです。 しか市ラスト、ちょっと皮肉が効きすぎて余韻を感じると言うより「え、このあとどうすんの!?」と言う感情が先行してしまったので、もう少し「その後」を描いて欲しかったと言うのが正直なところです。 ですが全体t歴にはそれほど悪い作品ではありませんでした。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-07-28 20:05:54) |
17. 新エクソシスト/死肉のダンス
《ネタバレ》 大体言いたいことは↓鱗歌さんが言ってくれています笑笑 下は同じ映画ながら編集と再撮影でここまで違う作品になるのだなぁというのを痛感。一応悪魔?ことエレナがなんでそうなったか?ということを丁寧に語ってくれたり、あのおっさん誰だよ?というのを回想を含めてマネキンだったのでは?ということを示唆していたりするので元の作品から比べれば随分親切設計です。 ただ元の映画の話と並行で悪魔祓い話が描かれますがぶっちゃけ「いや結局だからなんなんだよ?」というチグハグさが感じられてしまうのは否めないのと、オリジナルのあのわけの若らに不気味さが減っているので、そういう部分ではマイナスかな、と思います。 ただ作品のテンポはこちらの方が上なので手軽に観ることができますが。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-07-22 01:16:07) |
18. リサと悪魔
《ネタバレ》 トランプをめくりながらのオープニング・クレジットは個人的に結構オシャレ感があって好きです。 全体的にふわっとした作りで、なんだかよくわからないうちに道に迷い込み、なんだかよくわからないうちに人が死に、といった感じで終始モヤモヤする作りではあるのですが、屋敷内の不気味な雰囲気や追いかけられている際のカメラアアングル、ラストの飛行機内での演出などなど雰囲気出てるな〜と思えるシーンがたくさんあったり、実はミイラ化した死体だった!なオチのつく元妻のくだりなどなかなか不気味に思えるシーンもあったりしたので、おまけして6点。 追記で、何度もダンナを弾き続けるあのシーンは最早ギャグの域に達していると思います。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-07-22 01:09:47) |
19. 花咲ける騎士道(1952)
《ネタバレ》 冒頭のナレーション「戦争なんて後の教科書に載れば理由なんでどうでもいいのだ」というのが非常に言い得て妙。そしてこの作品の雰囲気を物語っていました。 戦争だとか歴史だとかそんな固いこと言わずに純粋に楽しめる剣戟コメディ。だけどアメリカやイギリスのコメディと違いナンセンスや下品さといったものがあまりないのもフランス映画の特徴。そのギリギリのラインが非常に心地よかったです。 主人公ファンファンも、女たらしで大胆で強引、普通なら嫌味なヤツ、という印象ですが自然とそれがない。演じるジェラールが爽やかな美男子なだけあってか自然と惹きつけられる魅力があります。 そして剣戟、アクションにしても今の作品と比べても褐色のない迫力。その中で随所に挿入される笑いの要素。絞首刑の時の「枝がボキ!」だったり、恋敵?との決闘でも決着がなんとも情けないものだったりと、さらりと挿入してきているので作品のテンポを崩さずよかったですし、敵の陣地占領の場面でも、そんないい加減でいいの?(笑)と思いながらも、ファンファンの強運さを強調していてとてもよかったです。 ラストも、そうきたか!という感じ。なんで急に養女になってんの?とか思いましたが、娘にだったらビンタされても面目は潰れない、という判断だったのかな、と解釈しています。 なかなか強引な終わらせ方ですが、そんなのも笑って許せる痛快な作品でした。 それにしても、「1万人の死者はどうした!?」「それはまた次の機会に、、、」が最高に戦争を皮肉っていてよかったです。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-11 13:55:16)(良:1票) |
20. 怒霊界エニグマ
《ネタバレ》 「怒霊界」とはまた凄まじいタイトル。 フルチ御大晩年期の作品なのでゴア描写はあれどちょっと控えめ。 殺人シーンは幻覚が主なので仕方ないけれど、フルチ御大のゴア描写を目当てに観るとちょっと肩透かし。 だけどそれぞれのシーン、というより件のカタツムリのシーンはやはり特出していて、ちょっと夢に見るレベルです。 ストーリーに関しては相変わらず「展開早くね?」だったり「さっきと言ってること違くね?」だったり「一体どういうこと!?」みたいな感じで、語りたいことはわかるけどなんだかかよくわからない支離滅裂な部分が多いのですが、それを言ってはフルチ作品は観られないので気にしたら負けということで。 しかし、ストーリーを差し置いてもあり余る魅力的なゴア描写が少ないので、そこが残念な部分です。 [DVD(字幕)] 5点(2021-06-17 02:28:08) |