1. オルカ
ちょっと哀愁漂うパニック映画という意味では異色の作品。シャチを理性的な動物として扱い、感情を持たせて復讐劇にしたところがこの作品のキモなんだろうが、そこに賛否があるのかもしれない。良くも悪くも「ショー」で見慣れた動物なので、飼いならされているイメージもあるが、他方ドキュメンタリー等々では狂暴な印象もあるので、実際に襲われたらどうなんだろうという気にはなる。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2023-08-04 14:06:21) |
2. 無防備都市
各登場人物にはモデルが居るようだが、ローマカトリックはファシスト政権とは良好な関係にあったわけで、本来イデオロギー的にも対立関係にある共産党系レジスタンスを支援する司祭というのはかなり異色な存在であることには留意すべきだろう。とはいえ、人間とはグレーな存在であり、ナチスに協力するイタリア人もいて、人間の行動は白黒がつけにくかったりもする。よって、司祭の中にもナチスに協力的な人もいたはずで、その辺キリスト教とファシズムの関係性についての描き方は一方的で弱かったように思う。かなり共産党イデオロギー色の強い作品ではあるが、そういうことを割り切って類似的な事象があったと想像して見るならば、ひとつの歴史的事柄を描いた作品であるとは言える。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-06-27 13:02:20) |
3. 幸福なラザロ
ドイツ統一後には東ドイツの人々は前の方がよかったと嘆いたという話を聞いたことがある。どんな社会が「幸福」かなんてのは相対的なものでしかないのかもしれない。描き方が極端ではあるが、実話をベースに寓話的に資本主義批判をしている展開には興味深いものがある。ただし、オチは少々ヤリスギかなと。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-04-26 11:55:24) |
4. イングリッシュ・ペイシェント
善良に生きたカップルには未来があり、不倫カップルは自業自得で地獄に落ちるという因果応報的な対比にはなっているが、その陰でマジメに生きている何の罪もない人々が不倫カップルによる影響を受けて不幸になっていったという点が蔑ろに描かれいるように思える。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-04-06 12:53:52) |
5. パパが遺した物語
《ネタバレ》 ラッセルクロウを早々に殺すわけにもいかないせいか、時間が行ったり来たりするので背景が説明不足となり、結果的に娘の心情もわかりにくい。セックス依存に陥る原因も家庭環境と考えればわからないでもないし、東電OL殺人事件を考えても日常生活は普通におくれるんだろうが、それにしてもねえ。克服する過程もなんだかなあという感じ。 [CS・衛星(吹替)] 3点(2022-12-09 10:25:51) |
6. ある天文学者の恋文
内容的には覚悟していたものの、映像と音楽に期待して見たがそれも不発。そもそも「カミカゼ」を茶化す西欧の価値観が受け付けなくて全然ダメだった。オルガ・キュリレンコだから最後までどうにか見られたが、老人教授と女子学生の不倫モノを永遠と見せられるたのはツラかった。こんなアナログでクドイ事するぐらいならAIとして知能だけが生き続けるってした方がまだマシだったのではないのかと。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2022-12-03 17:45:17) |
7. フレンチアルプスで起きたこと
《ネタバレ》 安倍元首相が銃撃されたが、1発目の銃声で驚いてしまい身をかがめてしまって、結果的に2発目への対応が遅れたことが指摘されている。それなりの訓練をしていると思われるプロであっても咄嗟の出来事で身の危険を感じたらこうなってしまうものなのかと思い知らされる。ましてや、子供とゲームをする時にインチキをしてしまうような父親では尚更だろう。が、正義感が強く潔癖な妻はそれを許さない。しまいには夫を試すような行動までする。「男のクセに」ってのも昨今のジェンダー平等からは憚れるセリフではあるが、男女の違いなのか単なる人間性の違いなのか、それとも人間の本能的なものなのか、答えがわからないまま終盤のシーンになるわけだが、バスの中で騒ぐのも乗客の中では妻ただ一人。身の危険を感じる状況ではあるが、銃撃や雪崩のような咄嗟の行動が求められるわけでもないので比較は難しいところ。そしてラストはタバコを我慢させられてきた夫の悲哀で終わる。疲れる相手と結婚しただけの話と言えなくもない。要するに相性が悪かったということなんだろうが、なんだか救いのないラストで放り出される感じではあるが、後味は悪くはないし、男女の違いや夫婦関係について色々と考えさせられる。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-07-15 23:00:26) |
8. ヴェニスの商人
原作未読。法か正義(慈悲)かという裁判シーンは中々見ごたえがあったが、恋愛要素が加わったせいでなんだか中途半端な作品に終わってしまった印象。とはいえ、話としてはよくできている。ユダヤ人への差別等々現代的な価値観で見れば受け付けないところもあるだろうが、古典に過度なツッコミ入れても仕方ないのでそういうものとして見るしかないでしょう。アルパチーノはさすがの存在感だがちょっと貫禄あり過ぎて悲壮感がやや欠けてたような。リン・コリンズの2役?も中々頑張っていたように思う。ちなみに吹替で見たのだが、声優の声色の使い分けもよかった(それで演技がよく見えたのかも?)。尚、TVの2時間枠で見たので賞味100分程度であり40分程度カットされたものを視聴。編集が上手かったのか特に問題なく見られたが、完全版をみたら印象は変わるのかどうか。 [地上波(吹替)] 6点(2022-06-08 14:28:07) |
9. NINE(2009)
ミュージカルに中身は期待してなかったが、それ以上だった。雰囲気は悪くはないんだろうが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2022-06-05 00:50:26) |
10. アラン・ドロンのゾロ
アラン・ドロンはどちかというと好きな役者ではあるが、こういうコスプレ系の作品は合わないな。そもそも覆面被ってる場面が多し、顔を拝みたいファンが見ても物足りないのでは? [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-12-04 13:04:36) |
11. レッド・サン
《ネタバレ》 1870年頃の設定のようなので既に明治である。にもかかわらず、使節団が丁髷と羽織袴姿で刀振り回すというのはちょっと変な気もする。また、そういった外見だけではなく、武士道等の精神面もすんなり理解しちゃうブロンソンも、あくまでも現代人感覚であり、当時の人間にはなりきっていないように思える。と、アレコレ変な所があるのは娯楽作品だから仕方ないとしても、女性を登場させてしまったせいで、締りのない冗長な作品になってしまったのは残念。とはいえ、世界のミフネが名優相手に堂々と演技しているという点では貴重な作品ではあるので、そこだけを楽しむ分にはいいのかも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-22 02:43:06) |
12. 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗
《ネタバレ》 宝探し系の物語でロードムービー的な要素もあるし、登場人物も3人に限られるのでストーリーにも締まりがあって、前作よりもいい。ただし、正味100分程度の放送だったので、80分程度カットされているようであるが。尚、線路で手錠を切断するというのは『網走番外地』に同じシーンがあったように記憶しているが、製作はこっちが後なのでパクったのだろうか? [地上波(吹替)] 5点(2020-10-14 16:13:59) |
13. 沈黙 ーサイレンスー(2016)
《ネタバレ》 原作は中学時代に読んで、まったく理解できず挫折。で、映画でリベンジ。尚、近年の教科書では「踏み絵」(板)と「絵踏み」(行為)は用語として使い分けられている事に留意する必要がある(原作は仕方ないが、台詞や字幕は工夫できたのではないか)。 序盤で日本人が「モノ」を求める事を神父が懸念する場面がある。これは偶像崇拝につながるからだろう。であるならば、「踏み絵」も単なる偶像崇拝に過ぎないと考えれば、絵踏みをする事にはそんなに躊躇はないはずである、という話は時々耳にする(カトリックとプロテスタントの違いはあるだろうが)。逆に日本人はモノに神が宿ると考えるので絵踏みには躊躇があるだろう。が、そもそも絵踏みをしたところで棄教したとは言えないし、こんなのは「形式的」な儀式に過ぎない。また「信仰を捨てた」と白状したとしても、本当に棄教したかどうかはわからない。なぜなら「内面の自由」は誰にも侵すことはできないし、他人の心の内などそもそも誰にもわからないからである。終盤までそういった事はうまい具合に映像表現されていたように思うが、その分ラストの「手の内」の映像は余計だった。「心の内」では心許無いので最後の最後で映像による「偶像崇拝」の誘惑に負けてしまったようにも思える(これが映画の限界なのかもしれないが)。あとは皆さん仰るように英語を流暢に話す江戸時代の日本人と「神の声」も難点ではあるが、概ね違和感なく見る事はできた。 遠藤は日本にキリスト教が「根付かない」理由としてローカライズ(日本化)に失敗したからだと述べていたと記憶している(デウスを大日如来とするのはどうかと思うが、こういう「勘違い」で広まった側面はあるだろう)。なら、沼に生える「麦」を蒔けばよいわけだが、禁教であった近世日本においても数百年間隠れキリシタンとして信仰を守ってきた事実をどう考えるべきか。16~17世紀に渡ってきて殉教した宣教師達はある種の「一粒の麦」になりえたと言えるのではないか。他方、当初は「普遍」や「真理」にこだわっていた宣教師達が「転んだ」後はある意味日本流に信仰を守り抜いたという点ではローカライズを体現したと言えるのではないか。遠藤の本作に込めた真意はわからないがそんな印象を持った。ただし、ローカライズというのも信仰スタイルの問題ではなく「原始仏教→大乗仏教」のような教義的な事が言いたかったのかもしれないし、遠藤としては人口の1%に留まっている日本の信者数への不満はあるのだろう。その起源や原因をどこに求めるのかは人それぞれではあるが、本作で描かれたような歴史を認識しておく必要はあるだろう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-24 14:55:38)(良:1票) |
14. バラキ
公開当時は新鮮だったのかもしれないが、その後量産されるマフィアものを見慣れてしまうと新しさはない。どちらかと言うと暴露話の回想シーンよりも、終盤で描かれる裏切り行為である暴露そのもの(公聴会開催)の過程やそれに伴う立法・行政、マフィア等々関係各所への影響・反応・思惑の方に興味がある。もしリメイクするならそっち中心(政治・法廷モノ)でやってほしいが。 [地上波(吹替)] 6点(2020-09-20 16:31:50) |
15. ニキータ
女の生きる世界の厳しさと男のノーテン気な性格のギャップがこの作品の面白さだと思うのだが、もっと過剰にしつこくやってもよかったような。でも、これ男女が逆転してたら男の方は癒されるで済んでしまうだろうなと考えると、女の弱さが出てしまっているとも言えて、警官殺しまでする女がある意味改心したって事になるのかもしれないが、その辺の成長過程・心情変化の描き方が少々弱いので、いつからこんなにヤワになったんだ?という疑問が生じる部分はある。結局、訓練によって身体的には向上しても精神的にはダメになって冷徹さがなくなったという事になるんだろうが、ならメンタルトレーニングに欠陥があったという事だろうな。 [地上波(吹替)] 6点(2020-08-28 12:06:22) |
16. 天地創造
原作未読なのだが、話が断片的で少々わかり難い。元々そういうものなのかもしれないし、聞いた事ある話が映像化されるとこうなるのかなあという印象。旧約のお勉強的に見るのはいいのだろうが、1本の映画として面白いかと言われると疑問もある。 個々の話は断片的とはいえ、総じて富や権力を巡る争いや欲望等による堕落を戒める事の繰り返しで、こういう因果的思考が天譴論につながるのかなと。ただし、昨今の自然災害多発や今日の感染病の蔓延をそう考えてしまうのは、あまりにも安易で短絡的だとは思うが、そう考えるとラクになれる人もいるのかもしれない。ただし、それはある種の思考停止でしかないとは思うが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-08-16 09:49:18) |
17. 夕陽のガンマン
吹き替えで見たのはよかったのか悪かったのか。 ルパンと次元と五ェ門と銭形の争いになってるし。 結果、粋とおバカは紙一重という作品になってしまったような。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2020-08-13 18:43:05)(笑:1票) |
18. グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札
どこまでが史実なのか不明だが、それなりの脚色はあるようである。とは言え、政治に翻弄される女優出身の王妃としての役割・苦悩みたいのは上手く描かれていて、中々興味深い作品。小国モナコの政治的立場については全く知らなかったので勉強にもなる。。日本には元外交官の王妃が居るが、これまでは当初の目的が果たせず色々と思うように行かず病んでしまったようである。日本の王室は役割としては「国際親善」であり、王国の「外交」との違はあるものの、今後は自身の役割や振る舞いについては模索しながら最適解を見つけていくのだろうか?となどと比較しながら見てしまった。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-08-05 12:22:36) |
19. ラストエンペラー
期待しすぎたか。エピソード省きまくりだし、所詮エンタメ的な仕上げになっており、落胆が大きかった。これなら竹之内豊と常盤貴子の溥傑と浩のドラマの方が面白いような。溥儀の生涯には非常に興味があるので大河ドラマで1年かけてしっくりと描いて欲しいが(無理か?) [CS・衛星(吹替)] 4点(2019-01-03 21:15:56) |
20. ブラザー・サン シスター・ムーン
《ネタバレ》 思ったよりも軽かった。戦争で病んじゃって回心したという事なのだろうが、信徒が集まる過程は説明不足。で、教皇は役者か否かが問題。そんなキレイな話でもないような。 [DVD(吹替)] 5点(2017-07-27 10:27:37) |