1. エレニの旅
今観てきました。凄いです。レビューはアタマ整理してから改めて書きます。観終わって1時間たった今も気を許したら泣き出してしまいそうです。 ///<追記>↑【彦馬】様ご指摘の通りテーマ曲がいつも途中で中断されてしまうのが印象的でした。風に揺れる木の葉のように無力で歴史のうねりに飲み込まれて行く難民の悲劇。登場人物達は人間であり、同時に世界そのものをも表現しているようで、哀しみに沈むこの世界の流す涙が観ている私の胸にも押し寄せ、外に押し流さなければとても耐えられなかったです。難民は今も溢れていて、世界は今も痛みに呻いています。「川の始まり」はどこなのか?・・・この日私は、まさに映画でしか表現できないアートを体験しました。 [映画館(字幕)] 10点(2005-06-10 23:11:21)(良:3票) |
2. 木靴の樹
重厚な純文学を読んでいるような映画。小作人の日々の暮らしを実に丁寧に淡々と描いています。一日中やることが山のようにあるのだなぁとつくづく思いますね。その暮らしは貧しくて厳しくて、実際には日々すり減って行くだけの人生かもしれません。けれど一方で、ただ純粋に「生きる」事以外にも理由を見つけなければ生きて行けない、彼らとは対極にある現代社会の悲しみも同時に感じました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-05-24 19:32:04)(良:1票) |
3. コーヒー&シガレッツ
なんとも言えない気まずい雰囲気に見ているこっちのお尻がムズムズしてくる感じが、ジャームッシュらしくていい。で、画面から居なくなったヤツがまた可笑しいのよ。バイクで来たイギー、ヘンなものひっぱってるから犬に吠えられちゃってるジャック・ホワイト等々の姿を思い浮かべてニヤニヤ。そしてラストエピソードの「Champagine」で流れるマーラーで我々はやっとジャームッシュに許してもらえるのだ(笑)「世界はひとつの共鳴体」か・・。構えたりしないで、心を開いて観たい映画。 [映画館(字幕)] 8点(2005-05-18 21:29:56)(良:1票) |
4. 鉄道員(1956)
この映画の家族、すごくありそうな家庭です。それ故共感する所も多い。よかれと思ってやった事が悪い結果を呼ぶ。軌道修正できないままにどんどんと別の方向に走り続けた列車はいつしか本来の場所から遠く離れてしまう。そんな大人の意地の張り合いを幼い少年の純真で素直な目を通して見せることによって優しく戒めています。色んなものを得て、失って、それでも人生は続いて行く。優しくて美しいラストに涙。 8点(2005-01-21 12:55:16)(良:2票) |
5. 花咲ける騎士道(1952)
「国王様大事なお願いがあります」「国家の危機に関わることか?」「いえ、愛に関わることです」って国家と愛が同じレベルで語られるあたりがフランスっぽくていいですね。ファンファンは危ない人ギリギリな感じで私としては引いてしまいましたが、凄くハンサムで魅力的ではあります。【キリコ様】ご指摘のさながら「駅馬車」シーンは迫力あって見応えあります。ある意味チャンバラ時代劇とも通じる楽しさはあるのですが、流れにのれなかったので途中でちょっと飽きてしまいました。 6点(2004-12-27 11:24:31) |
6. ぼくは怖くない
もっとささやかなお話だと思っていたので、みなさん同様ちょっとビックリ。確かに映像はポスターみたく美しいのですが、その何処かジュネを思い起こすような作り物っぽい加工具合が私の趣味ではないので、最期までなんとなく話に入れませんでした。主人公の少年にとっては大切で優しい大人が一方で残酷な事をする。言いたいことは分かるのですが私にはあまり実感として伝わって来ない映画でした。 5点(2004-10-25 14:42:36) |
7. 顔のない眼
《ネタバレ》 怖いと言うよりどこか乙女チック(今や死語か?)な、昔の少女漫画のような映画でした。楳図かずお的だと聞いた私は(確かに初期楳図かずお風ですね【皮マン】さん、そしてやましんさん)、顔の皮を剥ぎとられた少女が実は死んでなくて墓の中で息を吹き返し、美貌を手に入れた主人公の少女を徐々に追いつめて(もちろん「ミイラ先生」の如く顔は包帯ぐるぐる巻き)最後にはその恐ろしい姿をさらしながら自分の顔を取り戻すべく、主人公の顔の皮を剥ぐ!と言うストーリーに違いないと途中勝手に深読み。そんな悪趣味ではなく美しくて悲しい映画でした。 7点(2004-07-12 13:56:31)(笑:1票) (良:2票) |
8. 王妃マルゴ
《ネタバレ》 本のページをめくるとき指をなめちゃダメなんだよなぁ。「薔薇の名前」見てればねー。それにしても顔面から血吹き出してるジャン・ユーグ見て「あぁステキ」とかウットリしてる私ってヘンですか? /<7月6日追記>↓やっぱヘンですかぁ・・。イヤ!きっと誰かが分かってくれるハズ。求ム同志!年齢性別不問! 7点(2004-07-02 23:58:52) |
9. ギャング・オブ・ニューヨーク
こっちが恥ずかしくなっちゃうような、学芸会みたいな映画だったなぁ。この映画にメチャメチャ金かかってるんだと思うとしみじみしてしまう。けど、アメリカ人は今も昔もやってる事はあまり変わらんね。この映画の世界に広告代理店が絡めば現代のアメリカ政府の出来上がりって感じすかね。 4点(2004-05-17 14:59:44) |
10. 地下室のメロディー
ストーリーは犯罪モノの良くあるパターンだし、確かに「何故あのタイミングであんな所にカバン持ち出すよ?」とは思うけど、それを補って余りあるあのラストシーン。あんなにクールで美しいラストシーンは見たことないです。ドロンのホテルでの振る舞いにも憧れるなぁ。お金の使い方とかお酒の頼み方とか仕草とかね。それにスマートで分かりやすい犯罪計画と言うスパイスが利いて、エンターテイメントとしてもしっかり成り立ってる。素晴らしいッス! 9点(2004-05-11 10:56:40) |
11. 親愛なる日記
「親愛なる日記よ、この世には僕の大好きなことがある!」という出だしで始まる今作は3つのエピソードからなる日記風の作品で、出演はモレッティ本人。第1話「ベスパに乗って」は彼が観光地ではないごくごく普通のローマの町をベスパで移動する話し。最後はパゾリーニの殺害現場に到着して終わる。第2話「島めぐり」では静かなところで仕事をする為にTVドラマ中毒の友人とイタリアの島々を回る。第3話「医者めぐり」ではある日突然原因不明の激しいかゆみに襲われたモレッティが医者から医者へと渡り歩き、様々な薬にまみれる話しで、これは実話。全編ユーモアと風刺に溢れているのだが、ネガティブなところがあまり無くてどこかすっとぼけた雰囲気がとても楽しい。そしてちょっと切ない。イタリアの内情に詳しければもっと何倍も楽しめるんだろうなぁ。この人の独特の映像センスというのは私にはかなりツボで、ベスパを後ろから追うカメラの距離、その速度、風景、音楽、絶妙の間、何から何まであつらえたようにしっくりくるのだ。「ジャック・タチとウディ・アレンを足してイタリアで割ったら全然別なモノが出来た」そんな感じでしょうか?と言ってもまだ2作しか見ていないので見当違いならご免なさい。 8点(2004-03-18 17:29:31) |
12. 道(1954)
《ネタバレ》 BSで放映したので久しぶりに見たら、昔見た時よりザンパノに感情移入してしまった。ザンパノは果たしてそんなに酷い男か?財産も家もなく天涯孤独なザンパノは、教養もなく自らの身体を痛めつけることによってしか生活の術を持たない。そんなバックグラウンドを持つザンパノの一連の行動を批判できる程、自分は慈愛溢れる人間だろうか?精神を病んだジェルソミーナに途方に暮れ、面と向かって別れもいえず、寝ている間に置き去りにするザンパノの混乱が手にとるように分かる。大事なものを凝りもせずに失い続け、後悔にまみれながら人生を送っているダメな人間の私には、ラストのザンパノの悲痛な叫びに胸が張り裂けそうだった。 9点(2004-02-09 14:14:59)(良:4票) |
13. 遙かなる帰郷
アウシュヴィッツから生還した科学者プリーモ・レーヴィが、故郷イタリアへ戻るまでを記した実話の映画化作品。ユダヤ人強制収容所関連作品の多くが連合軍によって解放された所で終わるのに対し、本作は解放された時点から物語が始まる。ナチからは解放されたものの彼らはあっさり家に帰れたわけではないのだ。途中でソ連軍の捕虜となって強制労働させられる、裏切り、猜疑心、飢えや寒さ。そして失ってしまった人間としての魂の輝き。8か月の旅の末に故郷に帰りついた所で映画は終わる。映画全体のトーンは悲惨さを強調したものではなく非常に静か。実際のプリーモ・レーヴィはその後作家として活動したが87年に自殺した。 7点(2004-01-20 17:46:12) |
14. ルートヴィヒ(1972)
まさにヨーロッパらしい熟しきった甘い腐敗臭に酔いしれる作品。病みやつれて無精ひげをはやしていても気品漂うヘルムート・バーガーは「ルードヴィッヒを演じるのはあんた以外ありえない!」と思える程のはまり役。この映画を見ていると、最近世の中何もかもあまりにも幼稚じゃないかい?と思ったりする。 8点(2003-11-07 19:59:33) |
15. 8 1/2
この映画のレヴューを何度も書こうとして挫折した。凄すぎて言うことが思い当たらないのだ。私みたいな凡人の中の凡人がぼんやりと感じているが言葉やカタチにすることのできない何かが、完璧に表現されている奇跡のような映画。 10点(2003-11-05 17:33:26) |
16. 息子の部屋
静かな映画ではありますが、私には十分ドラマチックに思えましたし、心がヒリヒリ痛んで何度も泣けてきました。大きな悲しみと喪失感、「あの時こうしておけば」と何度も何度も繰り返し襲ってくる後悔。それでも時間は流れて行き、残されたものたちはなんとか日常に戻ろうと努力するが、その都度もう二度ともとに戻れないんだと思い知らさせる。そうやって行きつ戻りつしながらも少しずつ進んで行く登場人物達の心が映像によってひしひしと伝わってくる、とても良い映画でした。 8点(2003-09-09 11:51:16)(良:1票) |
17. 汚れなき悪戯
子供の頃TVで見て以来、常に私の好きな映画ランキングのトップに位置する作品。一体何度繰り返しこの映画を見ただろうか。見る度に心が洗われる気がします。ラストのシーンはいつ見ても号泣してしまうのですが、神父達の悲しみに共感すると同時にマルセリーノには「憧憬」のようなものを感じます。この辺には多分に自分の中の宗教的な見解が影響しているのかもしれません。エリック・サティの音楽と古いモノクロ作品特有の光と影が、なにやら夢で見た世界のように思え心にしみます。 10点(2003-06-18 12:44:43)(良:1票) |
18. ひまわり(1970)
これぞ映画の王道!何度も見ているのにTVでやっているとまた全部見てしまい、号泣し、スパニッシュオムレツをつくってしまうのだった。 8点(2003-05-07 17:13:24)(笑:1票) (良:1票) |
19. サスペリア(1977)
子供の頃凄く流行ったのだが、当時は怖くてみれなかった。冒頭に主人公の女の子がタクシーに乗るシーンがあるが、あのタクシーの中に幽霊が写っている!と言う噂が巷では有名でした。少し成長してからTVで見たけど、思ってた通り怖かった。とにかく緊張感があります。ちなみに幽霊に関しては?でした。 (追記)先日TVで見たら「昔のホラー好き」さんの言う通り確かにタクシー運転手の首にハッキリと男性の叫び顔あり!ビビった~! 7点(2003-02-19 13:03:00) |
20. 海の上のピアニスト
良い音楽に出会うことに歓びを感じている監督の作品は、見ていると「この人音楽好きなんだな~。」とその思いが伝わってくるのですが、私にはこの作品からそんな思いは感じられなかったです。だから演奏シーンが退屈で、故に全体的に退屈でした。「ニューシネマ・パラダイス」もそうですが、どーもこの人の作品は「仏像作って魂入れず」って感じがするんですよねぇ・・。 4点(2003-02-03 11:19:16) |