1. ノー・マンズ・ランド(2001)
中間地帯の塹壕での人間模様が、このボスニアの紛争、いや戦争というものの縮図を表しているような気がしました。傷を舐め合う両者と、地雷を背に身動きの取れない兵士。この兵士はさしずめ一般市民のような気がしました。何もできずにただ苦しみに耐え抜く、そして最後は何も残らない…という。国連防護軍は結局ちょっかい出してただけでした。戦場で痛みを知らずも高い地位からながめているだけのキャリア官僚のようなもんですかね。私のように捉える人は稀かもしれませんが、このような視点から捉えると、この作品がグッとリアルに戦争というものの非常さを感じることができました。 7点(2004-02-20 22:47:29) |
2. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
《ネタバレ》 非常に美しい世界観があふれた作品。懐かしい白黒映画がともす光と一瞬訪れる影(闇?)、その中で目に浮かぶ涙が光る演出。カメラワークの勝利でもあると思う。キャストがみな表情豊かで素晴らしい。特に少年時代の子。3代続く物語なので、3時間という長い時間もトトの成長段階で一区切りつくので、気分を入れ替えながら見れたのであっという間だった。彼の成長、そして時代の変遷とともに変わる街並み、人。いろんなことが同時進行しているにも関わらずいつまでも変わらないエレナへの想いを持ち続けている姿は中年期のトトの含みを持たせた演技にも分かるように、純粋で印象的。アルフレードの忠告は、少し腑に落ちない部分もあったけど、自分の映写室での孤独感を、トトには味合わせたくない、もっと広いところで自由に羽ばたいて欲しいという願いがあったんじゃないかなぁ。 7点(2003-12-29 23:27:56) |
3. ライフ・イズ・ビューティフル
《ネタバレ》 ナチの描き方は人それぞれだろうけど、「戦場のピアニスト」を見た後だっただけに生ぬるく感じた。 まぁ、基本が家族愛なのでナチは演出の一部分だったんだろうけど。イタリア語とドイツ語が混じって言い争いのシーンなんかは分かりづらかった部分はあった。 やっぱりロベルト・ベニーニがコメディ出身なだけにこんなに明るい(しかし裏を返せば非常に悲しい)映画ができたんだと思う。 必死に子供に恐怖心を植え付けないため、ユーモアのある手振りを交えてゲームの説明をする姿… 瞬時の発想力は普段から開放的に、自分の流れるままに生きてきた主人公だからできた芸当だと思う。 本当は恐くて、つらくて、悲しい末路が待ち受けていることを知りながら…そういう気持ちを汲み取ると、グッとくるものがありました。 6点(2003-12-06 01:31:29) |
4. オープン・ユア・アイズ
こういう現実と虚構の世界を描いた作品はあまり見たことなかったので、オチにはちょっと驚いた。酔いつぶれて路上に倒れてからが夢の世界で、最後までそこがストーリーのターニングポイントになったのか分からなかったので、どこがキーになるのか探っていくのが難しかったけど、結局分からずじまい。だからこそオチには「そんな…」という思いがあった。夢の登場人物の中でもヌリアの幻影が消えず、自分を見失いつづけている主人公には同情すらできない感覚に襲われた。 6点(2003-10-21 14:50:44) |
5. 海の上のピアニスト
ピアノがなんて心地いいんだろう。彼はどうやって独学であれだけの演奏を身につけたのかな。競争の最後で演奏した曲は彼のオリジナルでしょ?また、1900とコーンの別れる時の一つ一つの言葉のやり取りに純粋に感動した。彼にとって、大きいもの、終わりが見えないものが無限の海であり陸地であり、すべてだったんだろうな。確かになぜ彼は大戦中廃墟の中でまだ生きようとしたのか、タラップから戻った時点で自決の気持ちというのは起こらなかったのか。最後にコーンが合いに来てくれると信じて2年も待っていたのか…よくよく考えると不可思議なところが多いですけどね。 6点(2003-10-15 18:34:39) |