1. ホテル・ルワンダ
このルワンダの大虐殺は世界史の授業でもあまり触れない。資料集や用語集に載っていても、最近の出来事すぎてそこまで授業が進まない。僕も事件については知っていたつもりだったが、ツチとフツを混同してしまっていたりとその知識はあまりに曖昧であり、この映画はとても勉強になった。この映画を見て思ったこと。それは第一に軍事についてであり、第二にアメリカを初めとした世界の有力諸国についてである。第一についてだが、この94年の大量虐殺はもちろん植民地支配化で根付いた民族対立を背景に起こっているが、集団ヒステリーの如く民兵の武装によりなされている。そして国軍もそれをバックアップしている。これは武力がなければ起こらないことなのである。では世界から軍事力をなくせばよいのか。しかし、全ての武器を世界からなくすなど不可能であり、もしこのような虐殺が起こった場合、必然としてそれに対抗する圧力は必要なのである。(国連軍や平和維持軍は無力だったけど)そのジレンマをまず考えさせられた。第二にこの事件当時、諸外国もマスコミも非常に冷淡だった。国連の職員が世界はルワンダを見捨てたと言っていた。ルワンダを仲裁しなかったアメリカは民主主義の拡散を口実にアフガン・イラクに侵攻したが、ようは金になるかならないかであるということがよく分かった。人道的な介入とはこういうときこそ必要ではないの?結局、有力国の思惑で国際社会が左右される。この事件がそれを象徴している。まあ、そういうことを考えさせられた映画ということで、お薦めの映画である。(自分も友人に勧められたんだけどね) [DVD(字幕)] 7点(2007-03-30 22:39:36) |
2. ラストエンペラー
《ネタバレ》 映像もストーリーも壮大かつ豪華なのだけど、感動という面では弱く評価はとても難しい。清朝皇帝、満洲皇帝として屈折した人生を歩んでいく溥儀の心の揺れ動き、改心していくさまは痛いほど伝わった。しかし、彼の改心は中国共産党の思想改造の結果でもあるという点は留意する必要があるのではないか。 [ビデオ(字幕)] 5点(2007-02-01 21:29:03) |
3. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 スリリングな中盤から後半、そして完全犯罪成功?と思わせつつのあのラストがいい。淀川さんの「トムはフィリップに恋してたの」という趣旨の評をどこかで読んだことがあるけど、映画を見る限りそんな感じはしなかった。(原作小説がそうなのかな?)もう一度見たときに確認してみよう。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-01-20 19:00:17) |
4. アポロンの地獄
《ネタバレ》 面白かった。あまりギリシア神話を知らなかったので、終盤のどんでん返しに意表を突かれた。でもやっぱりパゾリーニの映画は難解。なぜ現代にタイムスリップしたのか分からなかった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-12 21:08:18) |
5. 薔薇の名前
映像的には不気味だけど、ミステリーとしては物足りなかった。もう一度観たら見方も変わるかも。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-01-07 12:22:11) |
6. ふたりのトスカーナ
《ネタバレ》 前半部分はけっこう退屈。のんびりと時間が流れていくような感じで戦争の匂いはあまりしない。でもかなりラストは衝撃的。数多くあるユダヤ人迫害をテーマにした映画の中でも、ここまで直接的な描写をした映画はそうないと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-06 11:45:34) |
7. 愛の嵐
男に従順、でも隙をついて逃げようとする女性の姿が猫に暗喩されているのが印象的だった。奇抜な設定ではあるけど、あえてナチを背景にする必然性はなかったように思う。ある程度想像できてもラストは衝撃的。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-01-04 16:32:01) |
8. 永遠のマリア・カラス
オペラが心地よくて眠気を誘う。もっと元気があるときに再見したい。 [DVD(字幕)] 5点(2007-01-04 15:40:08) |
9. 道(1954)
《ネタバレ》 ジェルソミーナもキ印もかわいそうだった。ザンパノはジェルソミーナを捨てるときに初めて人間らしい優しさも見せるけど・・・。サンパノはジェルソミーナが自分にとっていかに大切な存在だったか気づくのが遅すぎると思う。 [ビデオ(字幕)] 6点(2006-12-31 11:06:23) |
10. 鉄道員(1956)
《ネタバレ》 心温まる映画ですね。最後お父さんが亡くなった後、子供を送り出すときのお母さんの疲れたような表情が切なかった。お父さんが自殺を図った青年を不注意でひき殺してしまったときその責任が飲酒運転に向かなかったのは、まだ飲酒を規制する政策罰が法定されていなかったからだろうか?今なら大問題になってると思うが・・・。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-31 10:13:56) |
11. カンタベリー物語(1972)
笑えるといえば笑えるんだけどねぇ。あのパゾリーニ監督が作った映画という先入観で見ると・・・。自分の笑いはどちらかといえば(つ∀`)って感じの笑いだった。 [ビデオ(字幕)] 6点(2006-12-31 00:10:21) |
12. 気狂いピエロ
死から自由へそして自由から死への流れが、現実逃避して遊び呆けた浪人生が試験でつきつけられる現実みたいな悲哀を感じた。 [DVD(字幕)] 6点(2006-12-30 00:12:40) |
13. 自転車泥棒
地味だけど良い名作ですね。自転車も買えない時代から比べて今はなんと恵まれていることか。物は大事に大切に使いましょう。 [DVD(字幕)] 7点(2006-12-29 23:53:50) |
14. 地獄に堕ちた勇者ども
見ごたえのある映画だった。鋼鉄一族が欲により落ちぶれていくさまが、ナチスの権力闘争と絡み合ってとても面白く観ることができた。ただ突撃隊と親衛隊・国防軍の対立や「長いナイフの夜事件」について知らないと訳がわからないかも知れない。同時に三島由紀夫の「わが友ヒットラー」を読むと楽しい。 [DVD(字幕)] 8点(2006-12-28 22:31:27) |
15. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
《ネタバレ》 完全版のほうが50分長いが、その長さを感じなかった。劇場公開版のほうは感動できるように編集されているが、こちらはトトとエレナが再開することを良しとするか否かで好き嫌いが分かれるように思う。自分はこちらの方が濃密だと思うので、少しだけ高く評価した。 [DVD(字幕)] 9点(2006-12-25 16:51:46) |
16. ニュー・シネマ・パラダイス
まさしく「青年は荒野をめざす」といった感じの映画。感動する要素がいっぱいつまっていて言葉に表せない。音楽が秀逸。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-25 16:45:42) |
17. ドイツ零年
《ネタバレ》 あのナチ先生も本気で父の殺害を指示するつもりはなかったのだろうが、先生がなんとなく言った一言で、少年は実の父をあやめてしまった。そこに弱い者の抹殺を厭わないナチ思想の根強さを感じた。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-25 12:04:38) |
18. ライフ・イズ・ビューティフル
前半のコメディ展開が後半の暗い話を引き立てている。父が必死で息子を守ろうとする姿には感動した。初見のときはよく判らなかった前半部分も二度目以降はさまざまな伏線が張り巡らされていることに気づきとても好きになった。 [ビデオ(字幕)] 9点(2006-12-25 11:46:43) |
19. ソドムの市(1975)
4人のファシストの大統領、最高判事、大司教、公爵と奴隷少年たちはそれぞれ政治、司法、宗教(キリスト教)、階級の権力と抑圧される労働者階級、社会的弱者を象徴しているのだと思う。奥深い映画だとは思うけど、悪趣味なので高い点数はあげられないな。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-12-25 11:32:27) |
20. 暗殺の森
《ネタバレ》 ファシスト批判というよりは、一人の人間の正常と異常の間の葛藤を描いた映画のように思う。男が子供のときに男色行為を強要され、そのトラウマから自分は異常者なのではないかと真剣に考えるようになり、正常性を求めてファシスト新体制に順応していったものの、体制は崩壊し、それまで正常だと思っていたものは一夜にして異常なものとなってしまう。男は恩師や恋した娘を犠牲にしてまでファシズムに帰依してきた。それが最後の悲痛なラストに繋がるのではないか。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-25 10:56:07) |