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コメント数 254
性別 男性
自己紹介 直接的に「内容」に向かうのではなく、「スクリーンへの現れ方」を語る言葉(技法論的な言葉)をなんとかめざしたい。

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1.  女ともだち(1956)
長回しという言い表し方では済まないような巧みな撮影・演出手法で、目まぐるしく動く人物たちが主体として浮上しては脇へ外れてゆく様を描き出す。けっして、人物たちの間に割って入って見交わしをモンタージュするようなことはないのは、ほんとうにすごいことだ。ほとんんど取るに足らない筋で不思議に充実しているアントニオーニ作品たち!
[ビデオ(字幕)] 9点(2022-11-13 23:06:25)(良:1票)
2.  アルファヴィル 《ネタバレ》 
いまとなってはゴダールにしては甘口である。が、我が国の国立大学を「役に立つ」学部のみにしていこうという例の「改革案」とかは、まさにアルファヴィル的だと思わせる作品。とりわけ、アルファヴィルでは深く問う概念というものがどんどん変更・抹消されていく、という設定に、ゴダールの真面目な主張が見える。
[ビデオ(字幕)] 7点(2015-08-28 23:48:45)
3.  ある女の存在証明 《ネタバレ》 
探し当てた彼女の窓を見上げる、と、彼女の側からのショットになり、窓のフレーム内に、こちらを見上げる主人公の姿がある。構図/逆構図がしばしば美しいし、ヴェネツィアの水面も美しいので6点献上。。
[DVD(字幕)] 6点(2015-03-11 20:11:36)
4.  素直な悪女 《ネタバレ》 
アクション繋ぎでメリハリをきかせる。男がブリジット・バルドーの乗っている自転車を唐突に止めた瞬間彼女とキスをするモンタージュ、このアクション繋ぎを長回しでやると効果は小さいというか、別の表現になってしまうだろう。
[DVD(字幕)] 5点(2015-02-02 10:40:37)
5.  暗殺のオペラ 《ネタバレ》 
「真実」を求めての異邦人モティーフ、といえばカフカ調で、しかも話は逆説的で、『城』の主人公Kがじつは「測量技師」ではないらしいのと同様に、この映画では責めがあるのは探す主体の側(「不当に」殺された父)であるという相対化が良い。映画語りとしては意図的に鈍いが、それが程よくリアルで、「退屈」に耐える云々というアリダ・ヴァリの台詞も効いている。多少うとうとしたが、それもふくめて楽しめる。ベルトルッチでは『殺し』に続くぐらいの良さである。
[ビデオ(字幕)] 7点(2014-01-15 20:28:43)
6.  万事快調 《ネタバレ》 
ゴダールの登場人物にありがちなカメラ目線の意味が、この作品ではなんとも判り易い、という感じ。人物たちはカメラ目線で観客に自分のモンダイを延々と(長い!)訴え、観客はずーっと聞き役、という感じ。しかしながら、撮影カメラの場所に観客は絶対にいないのだ、とはふとぞっとする事柄ではないだろうか。 つまり・・・コミュニケーションに向けるかのような人物たちのふるまいは、たんなるふるまいとして撮影カメラの前で凝固している、それだけのものにすぎない。
[DVD(字幕)] 6点(2013-03-25 16:02:51)
7.  ボローニャの夕暮れ 《ネタバレ》 
かつてのイタリア・ネオリアリズムの末裔という感じの、卑近な物語だ。何のためにこんな映画があるのか、誰かの特殊な人生を見守るために映画はあるのか、などと元も子もないことを考えてしまうところだが、そこに時代を絡ませる。ただし「時代」が少々とってつけたような感じになるのもやむをえないか。母と娘の確執の本質究明がほぼ放置され、結局は父親の視点・了解の領域で打ち止めとなるのもそれはそれでリアルなのである。
[ビデオ(字幕)] 6点(2013-01-02 10:53:53)
8.  麦の穂をゆらす風 《ネタバレ》 
なんだか殺し合いばかりだ。大義名分で人を殺しても、殺すあり方がもう間違っているので、要するに、殺しちゃだめだってこと、どんなに立派な理由があるかのようでも。ともかくアイルランドと英国のことを調べようという気にはならせる映画。
[DVD(字幕)] 5点(2012-09-13 22:32:22)
9.  隠された記憶 《ネタバレ》 
ストーリー語りにおいてあえて「非経済的な」語りをめざした挑戦的な映画である。「非経済的な」語りだから退屈なシーンも挑発的に長いし、観るにはキツイ衝撃シーンも二つ挟まっているが、これらの衝撃も「非経済的」だ(ふつうに「楽しみ」を求める観客存在にとって)。この映画が主人公の側に視点を寄せているために、妨害する主人公の脇から(いわば主人公の思惑の彼岸に)観客が真相を看取する(これがいまいち不明なのは惜しい)という、興味深い例となっている。
[DVD(字幕)] 7点(2012-07-16 13:05:15)
10.  素肌の涙 《ネタバレ》 
性的虐待を行う父は二重人格のなかに罪意識を隠していたことがやがて判明し、被害者たる娘の主体性は隠れてしまっており、この犯罪を追及する弟の探偵的な自律性もなんともひ弱である。各人の主体性のこのような隠然たるありようは、あくまで暗く美しい画面とともに、たいへん映画向きなのである(演劇的ではないという意味で)。  
[DVD(字幕)] 5点(2012-05-05 23:35:33)
11.  青春群像 《ネタバレ》 
模索中の若者(劇作家志望、「師匠」の後についていくうちになにやら「ぞっとして」身を引く)に強い風が吹いているシーンの風がいい。フェリーニと風といえば『81/2』の記者会見のシーンの強い風、あれも良かったな。
[DVD(字幕)] 6点(2011-10-17 13:59:52)
12.  ニュー・シネマ・パラダイス
映画館で観たときからべたついてくる映画だなという感じがあった。映画を好きになるはずの映画、ということを押し付けるような感じと言おうか。子供をあしらっているが、子供にとって映画はむしろ怖いものである。この映画の否定派の感想をいろいろ聞きたい気がする(ここまで2011年のレビューで評点が4)。いま見直すとフェリーニ感もあるし切ない味も良くて、評点の変更(2024年)。
[映画館(字幕)] 7点(2011-03-25 11:46:46)(良:1票)
13.  気狂いピエロ 《ネタバレ》 
この映画を二度目観た映画館は、京都の『松竹座』で、この映画館も今はもう無い(というか、シネマコンプレックスに建て替えられた)。サミュエル・フラーも出ていること、海はシネスコの横の広がりに合っていること、ワンシーン・ワンショットを執拗に追求しラストは溝口健二へのオマージュのパンで終わること、ランボー絡みのアナーキーな内容が映画の快楽の炸裂であること、等々、いい気持ちになれた映画だが、もっといい気持ちになってもいいはずの映画である。だがそうならない、なぜだろう。ゴダールはエクスタシー向きのシネアストではない。
[映画館(字幕)] 7点(2011-03-24 22:46:24)
14.  審判(1963) 《ネタバレ》 
原作に忠実な「映画化」の部分もあるのだが、基本的には大胆に映画の側からカフカ世界を作っていて、それが成功している。
[映画館(字幕)] 8点(2011-03-24 22:13:38)
15.  太陽がいっぱい 《ネタバレ》 
こういう犯罪者に身を寄せて行動を共にすることになる観客存在とは何なのだろう。観客は、一線を越えないだけの、想像上の犯罪者なのであるが、やっと、ラストシーンのアイロニーとともに映画の外へと押し出され、目が覚める。
[映画館(字幕)] 8点(2011-03-23 21:23:09)
16.  熊座の淡き星影 《ネタバレ》 
ヒロインのカルディナーレが親の屋敷に帰る。ざわめく庭園、地下空間での弟との絡み、それだけで絵になる。エレクトラ系の物語への仄めかしもあるが、決定的な次元には至らない(踏みとどまっている)。こういう堂々たる美しさの映画はぼーっと映画館で眺めているだけで(正直一回目は居眠りをしたが、その後映画館で二回観た)満足できる。
[映画館(字幕)] 8点(2011-03-14 17:12:18)
17.  フェリーニのアマルコルド 《ネタバレ》 
こういう映画は映画館の中で居眠りしたとしても、意義ある居眠りというか、スクリーンとの楽しい同調ということになろう。充実した足し算の回想。
[映画館(字幕)] 8点(2011-03-13 15:15:55)
18.  欲望(1966) 《ネタバレ》 
緑の公園の木々のざわめきのなかでシャッターをきりまくる。写真の中に映り込む殺人事件。引き伸ばし(Blow Up)作業だけで見せる映画は、いうまでもなく、コギト主義的な認識のあり方に対する根本的な反抗(こういうナイーヴな表現も似合う時代の映画)である。
[映画館(字幕)] 8点(2011-03-11 22:59:37)
19.  8 1/2 《ネタバレ》 
映画館で数回観た。なんという美しい黒白映画。なんという豊饒さ。映画監督役マストロヤンニにもはや映画は作れないとなり、セットが壊され始めて地面に落ちる鉄パイプの無粋な音、それさえも映画の夢の側に加担する。風が強いなか、マストロヤンニが記者会見の席でテーブルの下に逃げるのがなぜか無性にいい。そして「人生は祭りだ」は万感胸に迫る。この映画は「映画の映画」の社会学的なスタイルをとっておりその分だけフェリーニ・ワールド噴出に程よく歯止めが掛かっていて、最高の味となっている。
[映画館(字幕)] 10点(2011-03-10 19:01:26)(良:1票)
20.  トスカーナの贋作
観客に向かってのメイク直しは、観客を鏡役割にしているのであるが、通常の関係を逆転している。通常は、スクリーンが観客の同一化のための鏡であり、そんなふうに例えば『トリコロール、青の愛』に引きつけられたのだった。いまや人としての厚みの方で勝負していそうなビノシェのカメラ目線すれすれの眼差しを、観客が受け止める番なのである。
[映画館(字幕)] 6点(2011-03-06 00:34:46)
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