1. さらば恋の日
「青い体験」を真面目に作ったような雰囲気の映画で、エッチなシーンはあまりないです。 十代少年の鬱屈とした心情や、自分のことしか考えられない未熟さはよく表現されていると思うけど、 全編に亘ってそればかりなので、かなり重苦しく、青春映画特有の切なさは感じませんでした。 ラストはタイトルどおりなんだけど、ちょっと唐突すぎかな。 ジーナの妖艶な魅力と、主人公の暗い目つきが印象的な映画でした。 [DVD(字幕)] 4点(2015-06-07 05:13:15) |
2. 軽蔑(1963)
互いに理解し合えない男と女。 永遠のテーマとも言える題材を、卓抜な演出で描いたゴダール作品。 夫婦間の心の内の変化を軸に、ギリシャ神話「オデュッセイア」のオデュッセウス、ペネロピ夫妻のエピソードを絡め、アンニュイな雰囲気、美しい映像、独特の色彩感覚で仕上げています。 安直なラストだけは「?」だったけど、その他の見所は、妻役を演じるブリジット・バルドーの魅力。それ以外では、「メトロポリス」(1926)の映画監督、フリッツ・ラングが本人役で出演していたことに驚きました。 ドラマチックな展開はいっさいなし、絵画的、芸術的、前衛的な作品なので、この手の映画が苦手な方はご注意を。 [DVD(字幕)] 8点(2015-04-15 11:59:04) |
3. 昼顔(1967)
女の性をテーマに、淫らな妄想に苛まれる若妻の姿を描いた作品。 一見下世話で終わりそうな内容を、美しい映像と演出で文芸的な色合いを濃く押し出し、フランス映画らしい作品に仕上がってます。 現実なのか夢うつつなのか、心象風景での描写など、全体の雰囲気やストーリーはぼんやりと霧がかかったかのよう。ラストも、ちょっとわかりづらかった。 それでも、カトリーヌ・ドヌーヴの魅力は十分堪能できる作品かと。 [DVD(字幕)] 5点(2013-06-09 14:18:51) |
4. ロミオとジュリエット(1968)
ストーリーはもう誰もが知っている、シェークスピア原作の悲恋もの。 古典戯曲として映画化や舞台化も幾度かされているようだけど、「ロミオとジュリエット」と言われて思い出すのはやはりこの作品。 衣装、美術背景など、当時の雰囲気がよく伝わってきて、映像や音楽もきれいだったという記憶もあるが、何と言ってもヒロインのオリビアが愛くるしい。 凝った演出を排除したクラシックな作りが、名画という印象を与えてくれます。 [地上波(字幕)] 5点(2013-03-17 05:50:13) |
5. ホテル・ルワンダ
人種差別と争いごとの醜さ愚かさとともに、人間の本来あるべき姿を問うドラマ。 どこらあたりに脚色が施されているのかはよくわからないけど、実話ものはやはり安定感がある。複雑なストーリーではないので、物語にも入っていきやすい。 主役男優さんのヒューマニズム溢れた顔つきが、一番印象的な作品だった。 [DVD(字幕)] 6点(2013-03-15 03:59:33) |
6. フレディVSジェイソン
フレディ・シリーズのお話の続きにジェイソンを絡めているので、何だかよくわからないけど、お祭り映画なのでストーリーはどうでもいいのかなと。 夢の激突としては、ちょっと遅かりし感あり。スリルや恐怖感はほとんどなく、ただポーッと観ているだけで終わってしまった。 恐怖に震える若者たちと、もはやギャグに近い二匹のモンスターの戦いが見所。 [ビデオ(吹替)] 3点(2013-02-15 01:08:44) |
7. マレーナ
映像と音楽がとてもきれいな映画。 前半は「青い体験」をちょっと品よくさせた青春映画という感じだが、少年視点でお話が展開されることもあり、同じような妄想シーンが続いてちょっと飽きた。 余計なシーンをカットすれば、一時間でも十分通る。 終盤からラストにかけては、切なさが表現できていてよかった。 ヒロインも魅力的だったが、少年の大きな瞳も印象的。 [DVD(字幕)] 5点(2012-10-16 10:27:22) |
8. カビリアの夜
「プリティ・ウーマン」とは真逆のストーリーで、辛辣な展開ながらも、 救いのあるメッセージが用意されているので、後味は決して悪くはない。 前半はヒロインの日常生活を淡々と描くシーンが多いが、 ジュリエッタの表情豊かな演技と、コミカルな姿を見ているだけで飽きなかった。 ラストのカットは秀逸で、映画らしい表現と映像演出には素直に脱帽。 知らない間にヒロインに感情移入していたのだと、このとき初めて気づかされた。 同監督の「道」よりインパクトは弱いが、フェリーニの才能を改めて認識させてくれる作品。 [DVD(字幕)] 7点(2012-09-30 14:27:27) |
9. グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版
主演二人の友情がメイン・テーマで、ロマンス色も含まれているが、 タイトルどおりに透明感溢れる映像演出で、ベタや暑苦しさは感じさせない作り。 エンゾ役のジャン・レノは存在感抜群も、あまりにもインパクトがありすぎたせいか、 もう一人の友人役とその恋人役の俳優さんは印象が薄かった。 ストーリーのほうは今ひとつ、かなりの長尺と、欠点もそれなりにはあるけど、 この作りなら総体的にバランスは取れているのではないかと。 とにかく演出と映像が特出している作品だった。 [DVD(字幕)] 7点(2012-09-23 15:04:29) |
10. ひまわり(1970)
いわゆるメロドラマ系の作品だが、昼メロのように低俗で軽薄ではなく、 説得力のある状況設定がしっかりと用意されてます。ストーリーはありきたりで単純なれど、 人物のディテールもしっかりと描かれているため、ヒロイン、主人公、サブヒロインに 感情移入がしやすい。ヒロインの義母だけは、存在の意味をなしていないのが惜しいくらい。 反戦のメッセージをさりげなく織り込みつつ、風景描写で映し出される「ひまわり」で、 本作のテーマを表現したセンスのある演出。日本人好みの哀愁感たっぷりな音楽もいい。 総体的に完成度の高い作品だが、シナリオ、演出、音楽が特出している名画。 [DVD(字幕)] 8点(2012-09-02 13:58:35) |
11. ブーベの恋人
40年代のイタリアを舞台にした青春ロマンス映画。と言っても終戦直後という 時代背景もあるせいか、それほど甘い雰囲気は感じさせない。セリフや感情表現を極力省き、 モノクロの映像と淡々とした流れの中で、ヒロインの心の微妙な変化を描写してます。 ドラマチックな演出もないが、目力のあるヒロインの凛とした表情とテーマ曲が印象的。 色男の男性側は感情移入しづらい役回りだけど、主役はあくまでヒロインなので・・・。 作りはやや大人向けの恋愛映画。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-22 02:01:37) |
12. ニュー・シネマ・パラダイス
シナリオ、配役、映像、演出、音楽と、それぞれが高レベルの至高の逸品。 ただノスタルジーを満足させるばかりではなく、現在と過去が一つの流れになっていて、 物語としても、また"映画"そのものを小道具にした設定ともにシナリオの完成度が高い。 中盤過ぎにちょっとバタつく展開があったのは残念だが、終盤からラストにかけての演出は、 制作者側の抜群のセンスの良さに脱帽。ちなみに完全オリジナル版のほうで、 首を捻った終盤の展開があったのだが、2時間版ではバッサリとカットされていた。 こちらのほうが自然な流れでいい。音楽は文句なく最高。名作でもあり、秀作でもある作品。 [ビデオ(字幕)] 10点(2012-08-12 03:43:35) |
13. 去年マリエンバートで
開始早々、五分で深い眠りへと誘ってくれる睡眠薬のような映画。 絵画的、幻想的、抽象的、前衛的、幾何学的、無機質、怠惰、ミステリアス、サスペンス・・・。 男と女の心理ドラマを卓抜な演出で描いており、まるで難解なパズルを解いているよう。 過去と現在の時系列さえバラバラという手の込みようだが、服と背景で判別できるように、 取っ掛かりはちゃんと用意されてます。知恵を絞っても、真相は霧の向こうにあるがごとく。 脳みそを嫌というほど刺激してくれる作品だが、睡眠をたっぷり取ってからの鑑賞は必須。 [ビデオ(字幕)] 8点(2012-08-05 01:49:02) |
14. 青い経験
魅力的な家庭教師のお姉さん、彼女に恋焦がれる高校生と、 イタリア映画でよく見られるエロチック青春コメディー。主人公の少年がやたらセコくて、 ストーリーは評価をつけられないほどつまらないし、映像も演出も昔のポルノ映画並だけど、 子供の頃はドキドキしながら見ていた記憶が・・・。久しぶりに再視聴したら、 お姉さん役の女優さんは確かにきれいな人だった。見所ははっきりそこだけ。 [ビデオ(字幕)] 1点(2012-07-12 05:36:36) |
15. 穴(1960)
まさに「脱獄ものに外れなし」、実話をベースにしているそうだが、素直に面白い。 脱獄方法は地味ながらも、リアルさとともに心理サスペンス的な要素が随所に織り込まれており、 大きな緊張感を途切れることなく与えてくれる。そして迎える衝撃のラスト。欲を言えば、 最後にもう少し余韻を残してくれると良かったんだけど、ストイックかつ繊細な描写に大満足。 [ビデオ(字幕)] 7点(2012-06-27 01:23:02) |
16. 新・課外教授
キャロル・ベイカー主演。不能の夫に悶々とする妻。義理の息子に・・・と、 まるで官能小説のようなシチュエーションだが、思ったより真面目な作りの映画で、 コメディー色はほとんどない。面白いかと言われると微妙だけど、キャロルはがんばってます。 ラストはこれでいいのかな? 映像は昔のポルノ映画を観ているような感じ。 [DVD(字幕)] 2点(2012-06-19 04:19:32) |
17. 女は女である
単なる男と女の痴話喧嘩を描いた内容なれど、カラフルな色彩にポップな映像演出と、 遊び感覚を目一杯詰め込んだ娯楽性の高い作品に仕上がってます。 明るく楽しいコメディーということで、ゴダール作品の中では比較的取っつき易いのかな? フランス映画が好きな人、特にヌーベルバーグ好きには十分満足できる映画かと。 [DVD(字幕)] 5点(2012-05-24 08:57:21) |
18. アパートメント(1996)
主人公を中心に、三人の女性との人間模様が複雑に絡み合うラブ・サスペンス。 内容は即ネタバレになるので詳しくは書けないが、シナリオや演出が変わっていて面白かった。 モニカ・ベルッチという女優さんは、透明感があってとてもきれい。強い印象として残っている。 鑑賞後はちょっと釈然としない部分も残るんだけど、娯楽映画として鑑賞すれば、 こういう展開結末もまたありなのかなと。 [ビデオ(字幕)] 7点(2012-04-20 02:44:00) |
19. 欲望(1966)
人間の欲に対する執着時における盲点を、スタイリッシュな感覚で表現した作品。 序盤は主人公の性格描写を中心に、中盤はサスペンス調へと展開、 終盤は抽象的な映像演出でテーマをまとめてます。とても変わった構成で想像力も使うけど、 すべて一本の線で繋がっているので、そこを見失わなければ、理解はできるかと。 TVドラマなどでは、まずお目にかかれない作りの映画。面白い。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-07 07:58:17) |
20. 8 1/2
本作が世界中に認められたことで、フェリーニが完全にあさってのほうにいっちゃった、 記念すべき作品。フェリーニ自身を投影している内容のようだが、天才監督の頭を切り開き、 苦悩と葛藤を幻想的に描きましたと言われても、そんなもん理解できるはずがない。 凡人にわかるのは、せいぜい映像演出音楽がA級レベルだということぐらい。 何か一つテーマを持たせて、取っ掛かりぐらい残してくれないとさすがにキツい。 ひと言でいえば、ピカソのような映画。ピカソは普通の絵を描かせても第一人者だったらしいが、 フェリーニも「道」や「カビリアの夜」など、しっかりした作品を作っているところをみると、 本作も何か奥深いものがあるんだろうな。要するに、完敗の映画だったということ。 [ビデオ(字幕)] 5点(2012-03-16 08:20:27) |