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プロフィール
コメント数 1693
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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1.  殺しが静かにやって来る 《ネタバレ》 
モリコーネ氏の例のドキュメンタリを観てコッチも観たくなっちゃった第一弾!なのですが、内容自体は典型的なるマカロニ・ウエスタンで、かつ件の氏の音楽も(多くの部分では)オーソドックスな氏のマカロニ系だとも思います…が、まずはそのお話が全編通して白銀世界の中で繰り広げられるというコト、マカロニの中でも相っ当なハードボイルドって方であるコト、加えて、肝心なシーンでは氏の手になる音楽もまた実に高尚なっちゅーか本格的なっちゅう風情に溢れまくっていて(クラシック=純粋音楽ぽい曲も方々に多々あったりで)トランティニャンが主役だからってダケなワケではねーものの⇒その高度な芸術性&風格を鑑みるならごくハイレベルな方のフレンチ・ノワール的だった…みたいな質感すらも感じられてしまいましたよね。個人的にはその辺はズバリ、ドンピシャに好みだったと言えます。  しかし………確かに、このラストは、衝撃的とゆーか驚愕とゆーか、でも驚愕とゆーても「え、こんな終い方してもーて好いと思てんの?」みたいな悪い意味での意外性だとゆーか…(殊に前述どおり、内容そのものは結構オーソドックスな方なんだから…)百歩譲って、トランティニャン以下があーなるのは(私としても)涙を呑んで善しとした…しても、それでもどーしたって(あのレベルで極悪!って)クラウス・キンスキーがああ為って(=ああも為らずに)終わるとゆーのは、コレは私としてもちょっとどーにも腑には落ち切らないのですよね。その点を考慮して、この評価としておきます(⇒ハッピーエンド版も流布してるってコトみたいですが、どーでも好いって出来なよーなので観ずにおこうと思います)。
[インターネット(字幕)] 5点(2024-10-05 23:52:47)
2.  モリコーネ 映画が恋した音楽家 《ネタバレ》 
編年体的と言うか、モリコーネ氏の長大なキャリアを最初から最後まで辿ってゆく形式で、かつ(当然の如くに)語るべきコトが膨大なのでこのボリュームになっている様です。序盤、やや「事実の羅列」的である様にも(再び当然に)思われたとも言えますが、最後まで観ると個人的にはごく適切な語り口だったのではないか…とゆーか、諸々の困難に対して最後まで試行錯誤・挑戦をし続けた=型に嵌らずにアイデアを出し続けた、とゆーのが、氏の偉大さの本質ではないかと思うまでには至ったのですよね。映画音楽とゆーのも、高度に専門的な分野だけに監督に依っても音楽担当との関わり方・アプローチも様々だとは思われますが、この映画を観る限り、モリコーネ氏に関してはソコはある種全て実力で「捻じ伏せた」とゆーか有無を言わさなかった…というコトにも見えました。がそれ故に、氏の関わった映画に関して言えば間違い無く、その音楽的な部分のアイデアとゆーのは全て氏の手に因るモノなのだろうと⇒それはつまり、氏がどういう映画に対して如何なるアプローチ・バリエーションで挑んだのか、というコトそのモノが、映画を志す者にとっては須らく探求の対象となるべき貴重な「遺産」と言えるのではないか…と思わされた=実感させられましたとも言えますね。その意味で、真に稀有な映画人だったのではないかと思いますし、同時に、今作もまた非常に観る価値の高いドキュメンタリである…とも、やはり思われてしまいますよね。   ※余談:映画(+氏の音楽)というシーンもふんだんなのですが、これまた全てが「名シーン」にしか見えず、観たコト有る映画もまたみたくなるし、観たコト無いのも観たくなるし…で(非常に個人的な事情ですが)ワリと大変でしたよね。。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-09-24 00:25:29)
3.  神の道化師、フランチェスコ 《ネタバレ》 
個人的に、ネオレアリズモの映像的質感とゆーのにどこまでもシンパシーしか感じられない体質なのでして、また個人的にはその辺の質感って未だに邦画のドラマ映画の一部(⇒所謂ライト層から「(諸々と)暗くてボソボソ聴取り難くて嫌い」みたいに言われちゃうヤツ)の根底にも脈々と引き継がれ続けている様にも思われていて、ソコにも再びシンパシー=もはや「同志」と言って好い様な感覚まで覚えてしまうと同時に、だからコレは「経緯」を理解してないと中々分り合えないコト…だとも思ったり、ソレってまたどーしたって半ばは幼少時・若年期の映像的体験によってのみ培われるモノであろう⇒半ば越えられぬジェネレーションギャップなのかも知れない…と思ったりはしておりますね。  今作、そのネオレアリズモとしては確かに、更に非常にプリミティブと言いますかエッセンシャルだと言いますか、ちょっと既存の映画とは(=当時でも現時点でも)かなり異質な質感に仕上がっている様にも思われました。内容も内容とて、ただただ聖フランチェスコ&その弟子達の様子を淡々と事実のままにフィルムに写し取ってゆくダケ…とでも言いますか、作為的なモノが殆ど感じられないのですよね。ある種、本来「映画」に人為的につくり込むべき「内容」そのモノに関しては、ただキリスト教の歴史と価値観の側に丸投げしている…という様なコトにも見えました。しかし、ソレは当然事実ではなくて、その様に「見せている」と言う方が正しいのも確かだと思われて、その意味ではやはりコレって極めて高度な技術だとも思うのですよね。  私には、おそらく、前述の「キリスト教的内容」の本質に辿り着く術が備わって居ないので、本作の技術の真の意味についても理解するトコロまでには至らなかった…というコトで、評価としてはこの位が妥当かと思うのです、が、今なお観ておくべき価値の在る作品だとまでは容易に思うコトが出来ます。興味の在る方は、このタイミングで是非。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-09-22 13:21:12)
4.  ボーンズ アンド オール
言ってみれば「人喰い」という、実に悍ましきモノ達がひたすらに主役なのですケドも、本作はその彼らに思いっ切り感情移入を促し続けているとゆーか、悪い意味でのキーパーソンである老醜なるあのサリーに対してすらも、必ずしも悪感情のみが沸き上るコトを狙っているワケでもない様な、一見では理解しがたい様なヒトの感情の励起というモノに果敢に挑戦している…という作品に見えるのですね(あくまで、私の個人的な感覚としては)。その、私の(ちょっと異様な)感覚の根源としては、コレがある種の「比喩」に見えたとゆーか、ヒトは誰しも周囲の他のヒトを傷つけずには生きられないとゆーか、本作はシンプルにその「誇張」であるとも感じられたとゆーか、またシンプルにソコに感情移入の取っ掛かりが確実に存在した、と思われたのですよね⇒その意味では、非常に分り易い「映画的」な映画だった、と思ったりもします。  ラストが秀逸でしたね。「俺を喰え」。そもそも、ド初っ端から例の『東京喰種』だとか、或いはこのシーンに限れば『HELLSING』だとか、何か何処かで私ですらも出逢ったコトの有る(一種)在り来りな場面にも思われましたが、上で述べた文脈からすればコレは(コレも)一つの究極の愛のカタチ=ヒトが他者に与えられる完全なる肯定、であるとも思われたのですよね⇒その呪われた運命をも、全て愛する=受容するのだ、と。似た様な側面を孕んで居る…(一見は全くそうは見えなくとも…)と、ず~っと思いながら観ておりましたケドも、私は確実に今作の方が(監督作としては)『君の名前で僕を呼んで』より、二回り位は好みでありますね⇒勿論、その見かけホラー的な諸々のキレ味の好さを鑑みたのだとして。
[DVD(字幕)] 8点(2024-09-18 21:05:11)
5.  フランチェスコ 《ネタバレ》 
映画大国イタリアを代表する聖人(⇒イタリア自体の守護聖人だそーで)とのコトで、ちょこちょこ他にも映画の題材ともなっている様ですがそれらは未見です。ただ今作は、伝記映画としての側面に重きを置いた「通し」みたいな感じかとは思えていて、聖フランチェスコの改悛のきっかけから、教団の成立と発展、対立と苦悩、そしてその果てに訪れた奇跡…といったトコロを比較的淡々と(+静謐かつ荘厳に)描いてゆく…という作品ですね。とは言えまず、そのボリューミーなお話をかなりゆったりと語ってゆくので大作級の長尺ながら時間が有り余ってる・足りてると言うよりは寧ろ逆の方だって印象もある位で、かつ、また全然娯楽寄りな作品でもねーので説明描写の量も(言い方を選ばすに言えば)かなり不親切で関連知識は前提として持ってて当たり前でしょ?みたいな質感だとも思われます。プラスその意味では、たぶん国際版と言われる尺の短いバージョンとゆーのは、その辺が更に際立つ様な感じだったのではねーか…と思われてしまいますね(⇒なので、この157分尺のノーカット完全版を観た方が好いのではねーかと強く思われます)。  まとめると、中世のキリスト教に対するシンパシーと知識が無いとややキツそう…みたいな作品だとは思うのですが、私は(別にソコまでそーいう素養があるワケでもねーですケド)かなり面白く観入ってゆけたという気もします。全方位にごく真摯で、何より根本的にフランチェスコの言ってるコトそのもの=半ば彼独自の「教義」というモノにも相当に共感を覚えるコトが出来たからだと言いますか、映画って言うよりはソコにこそ思いっ切り感動までしてしまったと言いますかね⇒モチロン、それを可能にしているのは適切な解釈と優れた演出が在ってこそだとも思います。さりげない終わり方なんかも、コレかなり好きなヤツですね。皆さんも機会が在れば是非。
[DVD(字幕)] 8点(2024-09-16 22:21:05)
6.  そして、神はカインに語った 《ネタバレ》 
監督のアントニオ・マルゲリティって御仁は、あの『地獄の謝肉祭』の監督アンソニー・ドーソンその人なのですね。全体的にテンポがまろやかでソコが少しダケ眠気を誘う…みたいなトコロも有ったかとは思うのですが、嵐の一夜の暗い画づくりの中で姿無き復讐者=クラウス・キンスキーにバッタバッタと皆殺しにされてゆく悪党ども…とゆーのには、カタルシスとゆーよりはホラー風味の方がより高度に感じられたので(後から聞いたら)然も在りなん…みたいなコトではありましたね。タイトルにもなっている締めの台詞も含めて、ハードボイルドで陰惨で、だからホラー的でも在りつつも(言い様に依っては)詩情的…みたいな雰囲気重視のマカロニ・ウエスタンかも知れませぬ⇒そしてその意味では、主役のクラウス・キンスキーはとにかくソコにメチャクチャに嵌ってたな~と思いますね。佳作。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-07-15 13:01:01)
7.  悪い子バビー 《ネタバレ》 
かなり強烈な映画で、冒頭から30分位のグロテスクさ(⇒中身も外身も)には何となくあの『ネクロマンティック』的なヤバさをすらも思い出してしまって居たのですが、根本的には今作は、昨今だと『哀れなるものたち』とドンピシャで同様なテーマを擁している…という作品だったかと思うのですね。その上で今作は、その『哀れなるものたち』と比較して、完成度とか表現の洗練度とかって面では確かに敵わないか…とも思うモノの、逆にその最も描くべきエッセンシャルなナニものかの「熱量」とか或いはソレが「観た人々の心をどれだけ抉れるか・傷つけられるか(⇒ソレこそが今作の最大の目的だとして)」という面においては、全く引けを取らないとゆーか端的に勝っている・優っているとも思えたのですよね。先に、評価としては彼の作品と前後関係を付けずに、この点数としておこうかと思います。  中盤、バビーが元の家に戻って来るシーンが好きですね。「ママの言っていたコトの意味が分かった」私も思うに、世の中は須く「表裏一体」の構造を擁するモノなのであって、そのコトを(嫌と言うホドに)実感させられるとゆーのが、ある一つの重要なステップアップ⇒むしろ「スタートラインに立つ」コトにも近いのかな、と思ったりしてます。今作は、地獄の様な世界ダケしか知らない主人公のバビーが、却ってその「裏表の意味」を知るに至る中盤までの展開には意外なホドのテンポの好さと、そして脚本上の緻密さもが存在していた様にも思えていて、だからこそ後半でその「後」までをチャンと描き切っているコトも含め、全く以て志の高い=人間性のごくエッセンシャルな部分を描き抜くコトに果敢に挑戦している、という意味における素晴らしい作品だと思ったのですよね。  重ね重ね、序盤の描写の衝撃度・尖り具合に比べれば、拍子抜けするホドに平和で平穏なる今作のこの終い方自体とゆーのは、ある種の「尻窄み」「整合性の無さ」や「終わらせ方に対する迷い」というモノに見える様な気も(一瞬)してしまうのがまた確かかとも思います。ただ、私は実はその感覚って『哀れなるものたち』を観終わった時にも何となく感じられたモノだったと思い出したりもしたのですし、その上でソッチと今作と2つ並べて観てみるとゆーと、それってそもそも実に「難しい問い」であったのだな…というコトにも、何となく気付けたと今回思ったのですね。今作(或いは『哀れなるものたち』)のラストに描かれるべきモノとゆーのは、真に「人間性は何処に辿り着くべきか」という、それこそ「神のみぞ知る」という答えにしかなり得ない…と思わされたのです。その意味では最後に、今回の今作のこの終い方とゆーのは、今現在(或いは有史以来で)比較的に最も「妥当なる」この映画のラストシーン=その答えだったのではないかと、私自身は結構納得していたりもするのですよね。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-07-14 15:48:55)
8.  carmen.カルメン 《ネタバレ》 
ビゼーのオペラ版『カルメン』には(ソレこそ)親しみまくって居るのですケド、原作の小説の方には正直お付き合いがねーのでして、その上で(小説準拠の)今作を観てみるってーとマ~、かな~りジト~っと暗~いお話なのですよね……ただ、それ故にその深刻で深遠で不条理極まるって「人間の感情」のそのモノ自体は、より真に迫って我が心をも抉って来るとも思われたとゆーか、個人的には(オペラをあんだけ観てるってなら)コッチを観てみても全然好かったな…とは思えましたよ。中々に面白かったと思いましたのでこの評価としておきます。  で正直、中でナニが一番…とゆーなら、やっぱ主演のパス・ヴェガが筆頭な感じではあるのかとは思いますケドも、彼女のクオリティはフツーにやっぱ中々って以上だったかな、とは思いますよね。美人ですし、その上で(カルメンだ!てなら尚更に)非常に肝要なる「アバズレ」感+(間違い無く)アバズレで在りながらの魔性の魅力…とゆーのも十二分に醸せてたと思いますし、加えてナニより素晴らしい脱ぎっぷりの爆乳っぷり!てなモンで御座いまして。あと、流石著名なる名作小説…とゆーか、随所でお洒落な「地の語り」がイイ~雰囲気でしたよね。「女と猫は、呼んでも来ないが、呼んでも居ない時に限って来るものだ」とか、オーラスもまた「愛と苦しみこそが人生の支配者⇒貴方は、生れ変わってもまたこの人生を望みますか?」に対する主人公のシンプルな答え。ああ、このドロドロとした物語を、こんなシンプルな言葉とショットでこんなにアッサリと終わってゆく…な~んて、ナンとも洒落てんな~~~と思わざるには居られませんでした。もう一点加えるか悩んだ挙句、いったん変えずにおきます。
[DVD(字幕)] 6点(2024-06-29 00:28:35)
9.  夜ごとの美女 《ネタバレ》 
小品だとは思いますが、全編思いのほかヒジョーに心地好いのですよね。ジェラール・フィリップが作曲家・音楽家(⇒実際はしがない音楽教師)であるコトを踏まえて、そこかしこに何かしら「歌う」シーンが入ってて、その上でお気楽・お気軽なコメディであるのでソレこそオペレッタみたいな風情が高度に感じられるのです。がしかし、歌はともかくジェラール・フィリップ自身はこーいう軽~いコメディにも全然順応してるな…とゆーか、かなりノリノリで楽しそうに演ってくれてるって感じでソレがイチバン好かったと思うのですね。女優陣も相変わらずかなりの美形揃いですし、暇潰しにせよ何にせよ今なお全然有用な作品だと思いますよね。時間が余ってれば是非。  一点、暢気なコメディ&音楽に包まれた夢のシーンがこの通り心地好く微笑ましいのは、ソレと対比される主人公の侭ならない喧しい現実の生活が(観てるダケのコッチとしても)ごく高度に忌々しく思えるモノだからだ、と感じるのですよね。なんつーか、ソコの忌々しさってまた中々にリアルだったな…とゆーか、この頃のパリってたぶん実際に騒音公害とか酷かったんだろーな…と思ってはしまいましたよね(こないだ、ピエール・エテックスのこーいうヤツを観てた時も思ったコトではありますケド)。まあ、ソレ自体は世界中ドコでも別に変わらないコトだった⇒なんなら昨今の東京だって大して変わらん、てなコトなのだとも思うのですケドね。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-06-11 17:45:14)
10.  離愁(1973) 《ネタバレ》 
ロミー・シュナイダーって、実はシモーヌ・シニョレにソックリなんですね。華やかなイメージとゆーか、勝手に明るい髪型の印象を持っちゃってたので気付きませんでした。しかし、やっぱ色気も昼より夜とゆーか、今作ではひっつめた髪型に黒い服で、かつ終始静かな表情…だからこそ、ココぞの場面のソレと来たら、最近結構エロティック系の映画を観まくってる私でも「おおお…」と思わず呻いてしまうかの様な鮮烈な匂立つ様な妖艶な、と言いましょーか。中盤、夜も走り続ける汽車の中で、音も無く抱き合って、また一つの言葉も漏らさずに幾度か唯々仰け反るシーン、なんて、私も流石にアレはもう堪らなかったですよね。  映画全体のつくりとしたって、諸々と「今後はもうこんなん無理だな…」とゆーか、最近の戦争映画じゃあ既に許されないだろ!みたいな勢いで、シリアス最高潮な状況で(それそっちのけで)全力全開で恋愛(不倫)映画やってくれてるのですよね。でも、だからこそソレこそが人間の性であって、なので(ある意味)より一層真実に近いソレだとも思うのですし、それ故にそのオーラスだって、逆にコレはもうそーいう次元を疾うに越えてしまったソレなんだ…と心底から納得できたのですよね。映画を沢山観ていると偶に、逆にこーいうのを現代の価値観・倫理観(主に製作者としての)でどーやって越えてゆくんだ…みたいな感覚に陥るコトがあるのですが、今作は正にそーいう作品だったのですし、だからこそまた紛うコト無き傑作だ、と思うのですね。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-03-13 12:51:23)
11.  呪いの館(1966) 《ネタバレ》 
この作品も、前々からバーヴァの代表作だ…とは聞くダケ聞いては居たのですケド、探しても観る手段が無さそ~かな~と思ってたら⇒なんかサブスクでタダで観れる様になってました。好い時代になりましたよね。  今作は、コテコテなるオカルト・ホラー、かつ時代相応?にかなりオドロオドロしい雰囲気を擁するコトを含めると、まずは60年代当時の(ハマーフィルムに代表される)怪奇映画的質感の正統なる継承…とか、或いはこの後70年代に流行するオカルト映画の萌芽…みたいなモノだとかがヒシヒシと感じ取れるってヤツに思えます。そして流石にバーヴァ最高傑作と称されるダケはあり、雰囲気がのっけから実に好いのですよね~~ロケ地・建物の感じとか、質感自体は前述どおりハマーが(チャンと)つくったこの頃の作品準拠のレベルかとも思いますが、部分的な建物の装飾のゴージャスさなんかはそれ等を少し上回ってたかと思います。お話自体はかなりシンプルで、但しショックシーン自体は(後のイタリアン・ホラーをまた彷彿とさせる様な)鮮やかで凄惨な良クオリティに仕上がってましたですね。且つは何より、最も肝心なるホラー的ポイントゲッター・メリッサちゃんのブキミな有様の凄さ!美少女感は確かにまたビンビンなのですケド、ドコかナンだか不自然でブキミ…と思ったら実は男のコに演らせてるんだそーで⇒な~るほど、だから当然に違和感が在りまくるワケですよね!(実にシンプルで簡単で、かつ効果的なアイデアだな…と感心してしまいましたよね)  一点、冒頭で横死する女性を含めれば、メリッサちゃん以外に大人の女性が計4、5人は登場するってのはちょっと多くない?と思ったりもしますケド、各々比較的演技に凄み・キレも在ったので全然好しと出来ますよね⇒特に、ヒロイン?のモニカちゃんの終盤の狂乱ぶりや、案の定のラスボス・グラプス夫人の(コレもオーラスの)深淵なる狂気、とかも好かったかと。結論としては今なお全然フツーに楽しめるクラシックホラーかと思いますので、この機会に是非。追伸、メリッサ・グラプスって、あの『サイレントヒル』のアレッサ・ギレスピーに字ヅラがソックリじゃねーですか?(まさかの元ネタ?)
[インターネット(字幕)] 6点(2024-02-12 10:13:53)
12.  カビリアの夜 《ネタバレ》 
『道』はマイベストと言って好い作品なのですが、主演のジュリエッタ・マシーナの魅力の引き出し方、とゆーか彼女の本来のキャラに合っているという感じ自体は、今作の方が上回るかな、という気もします。元々が小柄なので、やはり若くも見えるものの、演者の実年齢として30台中盤~後半…というコトも含め、今作中の役柄としても20代後半~30凸凹という感じでありましょーかね。娼婦役として多少「酸いも甘いも」といった世慣れた感じ(だいぶまろやかな言い方をしてる気もしますが)も踏まえて、やはり役柄としては今作の方が、名優ジュリエッタの「本来の魅力」とゆーのをより大いに感じ取るに十分だったとも思うのです。改めて観直すと、驚くほどに・稀代のコメディエンヌだと言っても好いほどに、優れた喜劇俳優だったのだな…と思いましたよね。口調や表情、所作に至るまでどれも実にコミカルで、本当にどこを切り取ってもホッコリとクスクスと微笑ましく眺めてゆける作品でありました。それで居て、今作は(同時に)高度なネオレアリズモ作品であって、その微笑ましさを取り巻く環境・境遇というのはごく「悲惨」だと言っても好いモノでもある、でもそれ等をまた、このレベルまでの正統なる「コメディ」に仕上げられる・引き上げられるというのが(それこそ)フェリーニの技術と、そして重ねてジュリエッタの素晴らしさだと再認識できたのですね。やはり、紛うコト無き傑作だと思いますね。  時世がら、或いは時代の流れに依るトコロもあるかも知れませんが、ジャンル作品のみならず、最近はこーいう「社会を映す鏡」としてのドラマ作品なんかですら、特にネガティブな状況における描写の「ネガティブさ・過激さ」とゆーのは唯々エスカレートしてゆく一方だ…という気もしたりしてます。それはそれで大いに意味の有るコトではあるのでしょーが、こと劇映画に限るなら、私はやはり今作の方が(質感として)単純に好みですし、何より本質的にアプローチとしてもポジティブである、と思って已まないトコロではありますね。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-02-10 10:00:58)
13.  ラビッド・ドッグズ 《ネタバレ》 
バーヴァ御大作のクライム・アクション・ロードムービー…みたいな異色作なのですが、製作当時にプロデューサーが破産して⇒権利関係がややこしくなって20年以上お蔵入りしてたって代物らしーのですね。また後に各国でビデオとして発売されたらしーのですが、本邦に入って来たのはつい最近…らしく、でも観てビックリ!スゴく好く出来てるんですよね~~~まるで御大の作品じゃねーみたいに!更に後にはどっかでリメイクもされてるみたいですし、某・他所のレビューサイトで調べても寧ろ御大の作品中で最高評価!になってたりもして(⇒まァ、流石に『モデル連続殺人!』とか『血ぬられた墓標』よりも多少上…て位ですケドね)。ぶっちゃけ、何かの拍子に劇場公開しても(宣伝次第では)ワリと話題になったんじゃねーか?てな気ィすらしてますですよ。今なら各所でロハで観れるので、お暇なら是非。  大枠としては比較的シンプルなクライム・ロードムービー(⇒人質を連れて犯人が逃げる逃げる!)ではあるのですが、その同乗者の人選+人数設定とかはまた好く出来てる・絶妙だったと思うのですよね。全員揃ってキャラも段々と見えてゆきますし(⇒だから行動に説得力・納得感も出て来る)結構続けザマにハプニングが起こり捲るのですケド、その部分にもヴァリエーション・彩りまでがチャンと在る様に思われたのですね。犯人連中は(3人揃って)極悪・下劣極まりなくて、だから凄惨なシーンが(また其処彼処に)在るのも+そいつ等にキレ味がしっかり在るのも、コレは御大らしくて再び好かったと思います。オチも最高ですね。サクッと観れて十二分に楽しめると思いますので、重ね重ね是非々々。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-02-07 00:57:23)
14.  ミス・マルクス 《ネタバレ》 
カール・マルクスの末娘エリノアが、父の死後その志を継いで政治活動に邁進し業績を残すも、後に43歳の若さで非業の死を遂げた…なんてコトを知ってるハズもなくって、だから伝記映画としては(その時点で)そこそこ興味深く観るコトが出来たとも思いますし+シンプルに政治運動的にはごく非常に立派な女性だったのだな…とゆーのも全然しっかり伝わってくるトコロかとも思いました。しかし、またシンプルに映画としてはあまり面白く観れなかったとゆーか、ちょっと???となってしまう様な箇所も大いに散見されたとゆーか………何よりもまず、他でも散々に言い尽くされているコトだとは思いますが、オーラスのこの描き方(解釈)てのは、流石にちょっと無理があり過ぎる…という気が第一にはしてしまいますかね。彼女は社会主義的な政治活動家であると同時に、主に周りの男どもが(親父も含めて)ドクズだらけであったというコトが原因ともなって、本作ってたぶん政治ものとゆーよりはフェミニズム映画の方により近くなってると思うのですよね(⇒製作の根本的なモチベーションも、たぶんソッチの方に在ったのではねーかな~とさえ)。だから尚更、この非業の結末をこ~んな感じでポジティブなモノに唯々見せかけようとする…てのは、個人的にはやっぱ無理筋としか言えないかな~と。。  他、シンプルにあと説明が足りてるか足りてないか(=観てるダケで何が起こってるか全部分かるか)と問われたらソレも無理!と言うしか無い様な予習前提みたいな感じでもあり、んでその原因の一つだとも思えてるのが所ドコロにドエラくスローモーな無音無言の芝居のシーンがちょこちょこ入ってくる…コトに依る(部分的に)ちょっとマロ過ぎるテンポ、ですかね(⇒とゆーか、中々こんなん観たコト無かったカモ?とでも言いたくなる様な、ある種「異様な」リズム感を擁する映画だったかな…とすら思えてますね)。お決まりのインターナショナル高歌放吟!がやっぱチラホラ挿入されんのと、最初と最後はフツーに思い切りロックンロール絶唱!だったりだとかも含め、何やら演出の一つのキモとして「歌」を活用したったろう!て映画だったぽいのでソコの効果を狙ってのコト……だったのかどーかは、私にはやや確信持てないトコロではあります。
[DVD(字幕)] 4点(2024-01-20 16:18:08)
15.  ワーテルロー 《ネタバレ》 
ラウレンティスが当時のソ連(モスフィルム)を口車に乗せて製作したトンデモ物量映画!とのコトで、だからでしょーケド片や、ウェリントン公爵が(ちょいイケメン過ぎるホドに)眉目秀麗な全盛期のクリストファー・プラマー…なのにも関わらず、片やのナポレオンのルックスのドイヒーなコト!(チビデブハゲの三重苦)まあ、イタリアはともかくソ連=ロシアがナポレオンをカッコ好く描くコトなど在り得ないだろう…とは言うモノの、案の定イギリスではヒットしたケド他では当たらず(当然)製作費も回収できなかった…とのコトです。まあソレも、共産主義国家の数少ない実際上の利点のひとつ…かとは思いますケドね⇒一たびやろうと決めたなら、経済的な妥当性を度外視してもやってのけるコトが可能という…芸術分野においては時として実に頼りになると言わざるを得ない(+原理主義的には芸術ってそう在るべきですよね、とも)。  しかし、私自身は正直、この様な映画が世に産み落とされ・そして今今に鑑賞可能であるコト自体には、唯々深く深く感謝するしかないのでありますね。予想はしてましたがやっぱ、シンプルにトンデモない!ですよね~万余のエキストラ(しかもプロの軍人)&数千頭の馬!っすか。確かに、全編通してもドラマにはなってなくて、前置き⇒そして「その日」一日の戦闘描写の通し、という構成だとしか言えませんケドも、だから前半が退屈…とは言え、「本編」に当たる後半と前半がピッタリ同じ尺なんだからギリセーフ…かとも思いますし、戦闘描写もごく史実に忠実で何処で何がポイントだったのかもチャンと分かりますし+その辺も含めて全部がリアルですし、でしかもラスト、一夜の(悪)夢が去った後…かの様にごく悲壮に終わってくのがまた素晴らしいじゃねーですか。”Next to a battle lost, the saddest thing is a battle won”(負け戦の次に悲惨なのは、勝ち戦である)実際のウェリントン公の言葉だそーですね。至言だと思います。  結論、そんなトコロも含めて、何故かバカっぽく終わっていった今般の『ナポレオン』よりは、終わり方の正しさも含めて(確かに)ちょっと上かな…と思うのですよね。そもそも、技術的な進歩を鑑みれば(実は比較するのがバカらしい位に)土台から「格」が違う映画だったかな…とすら思ったりもします。機会が在れば是非々々。
[DVD(字幕)] 7点(2023-12-13 00:43:47)
16.  呪われた修道院 《ネタバレ》 
ナンスプロイテーションというジャンル自体は、70年代を通して流行して⇒で80年代に入って急速に衰退した…てコトだと思うので、ワリとそのジャンル終盤に於ける作品…というコトになるのかと思います。で、監督があの(節操の無い・恥知らずな・The 劣化コピー機&B級ホラー界の面汚し、な~んて)ブルーノ・マッティ a.k.a ヴィンセント・ドーン(他)なんで今作もやっぱ当時の流行りホラーのパッチワーク的なコトにも(また)なってもーてますね(+その上でのナンスプロイテーションだと)。大まかに言うと、舞台が修道院な『サスペリア』すね。殊に、ショックシーンの画ヅラに赤を多用してるトコなんかと、あといちおう全編通して謎・トリックが仕込まれていて⇒でソレが部分的にはやや不可解なトコロも、でしょーか(⇒コレは、イタリア製宜しくジャーロ風…と言っても好いヤツかも)。んで他方、ショック描写の部分的なトコロは例えばフルチだったりロメロだったり、あと話のキモ or トリックの部分は少し『オーメン』ぽかったりもします。まあ、全体としては別に全然面白くはない平凡な作品だとは思います(⇒ケド、確かに大いに時代相応+時代っぽさ・時代の風ってのを感じられる作品だ、とも)。  しかし乍ら一点、極めて意外で失望だったのが、今作て(こんな感じなのに)エロがほぼ入ってないのですよ。で、こちとらソレを多少は期待して観てるんで(⇒ナンスプロイテーションてそーいうヤツでしょ!)だから裏切られてとてもとても哀しいので更に一点引いておきます。やれやれ…
[ビデオ(字幕)] 2点(2023-08-30 09:40:52)
17.  ソドムの市(1975) 《ネタバレ》 
直近、所謂「ナチスプロイテーション」に該当する作品を幾つか観てまして、でその参考として+必要に迫られて『愛の嵐』とコレを観直してみた…ってコトなのですね(実はバリバリに同時代モノなんでして)。んで、まずはやっぱりエログロのエロって(こないだも書きましたが)映画のコンセプトとしては陳腐化し易いねんなァ…とゆーコトでして、正直どーしたって「変態地獄」と「血の地獄」は(今観ると)ちょっとかなりショボいんですよね…と。加えてコレもそこいら中で言われてるよーに、一方で「糞尿地獄」だけは再現度が比較的高いから結果的に画的なバランスが極めて悪い、クソみたいな⇒否クソそのモノって映画になってしまってる…と(私も)思ってしまいますね。だからまた、コレだと確かに何か言いたいコトがあったとしても、チャンと伝わるかどーかについては甚だ怪しい…としか(私も)言い様がねーのです⇒多分、みんなソコに目が行かない。  とは言え、今作に関しては、そもそもナニか具体的な「言いたいコト」なんて無かった…とゆーのが最大の問題だとも(+久し振りに再見しても)思われますケドね。。パゾリーニ自身はやはり、他の作品を少~し観ただけでも超・コテコテの共産主義者=筋金入りのアナーキーなキャラなのだと思いますし(+それは映画人としての彼にだって確実に根付いて居る程度に深いモノでもあるでしょーし)⇒だから、この世界の・人間性の何もかもに「反逆する」かの様な今作にさえ、寧ろ「だからこそ」と言って好い様な彼なりの意義とゆーのはきっとあるので御座いましょう⇒尤もソレは私含む大半の一般人にとっては、ちょっと共感可能なモノではない…とゆーだけのコトだと。。でもしかし、観直すとまた流石のパゾリーニだけあって演技や台詞回し・或いは美術その他なんかも含めて(+エログロも時代的には)映画自体のクオリティは決して低くない(⇒かなり高い)とも思われてまして、ソコは逆にちょっと残念ですらありますかね。。  ※ナチスプロイテーションの諸作品については、ポルノの側面がごく強力なヤツばっかなのでこちらのサイトでは登録・レビューが不可なのです。悪しからず。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-27 21:08:05)
18.  群盗荒野を裂く 《ネタバレ》 
第一には、ごく初期のマカロニ・ウエスタンの一作…かと思うのですが、しかし既に中々に過激!とゆーのが、主役の「群盗」とかいう連中がのっけからトンデモなく極悪・残虐非道なのですね(も~『ワイルドバンチ』が尻尾巻いて逃げ出す…みたいな勢いで)。メキシコ革命が舞台の作品なのですケド、調べるとそもそもメキシコ革命自体が(日本でゆーたら)戦国時代のお話?みたいなハチャメチャな代物にも確かに見えるので、今作が部分的に(コレも日本でゆーたら)『羅生門』みたいな高度に荒んだ空気感に包まれているのは(時代は全然違うんだケド)ある意味当然のコトなのかも知れません。同時に、中盤~終盤にかけてややテンションが下がってゆく辺りには、またごく高度にアメリカン・ニューシネマ的なナニかをも感じ取れたのですが、ところがどーしてオーラスは全っ然暢気にヒャッハー!な終わり方をしていったりもするのですよ。やっぱ、ちょっと面喰らってしまいましたよね⇒メキシコ?イタリア?ラテン系?…恐るべし…と言いましょーか。。  要するに、ちょっと危うい表現かとは思いますが、ラテン系が共産主義なんぞに染まっちゃうと⇒こーいう支離滅裂な有様が出来上がる…てコトかな~と。とにかく今作、最後まで観ると、根本的にこのジャン・マリア・ヴォロンテの支離滅裂なキャラってのはマジで相当に映画表現的にもユニークな(ちょっと到底真似できない=てか真似なんかしたくもない…と言う様な)トンデモ野郎だったと思うのですね。でも、ソレでも尚このキャラにはまた、実に強力な説得力もが在るな…と思われたのも確実なのです。だから、またこのかなり意味不明ぎみなオーラスにおいても、私自身は実に爽やかに大爆笑してしまったのですよ。流石ヴォロンテ…その懐の深さ、恐るべし…と言いましょーか。。  ただし、単純に映画としては、前述どおりヴォロンテはヴォロンテでごく完成度高いと思うのですケド、他のキャラ…は実はそーでもなかったか?つーのがまた正直なトコロでもあるのです。第二主役的なルー・カステルは、途中まではともかくオーラスは単に油断が高じているダケにも見えてしまってるのがチョイとイケてないと思いましたし、クラウス・キンスキーはイマイチ存在感自体が在りませんですし、個人的にはもう一人アデリータもシンプルに途中退場してしまうダケなのはやっぱ勿体無かったかな…と思います。その辺も含めて、一点下げてのこの評価としてます。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-07-15 14:00:58)
19.  いつかの君にもわかること 《ネタバレ》 
主人公の置かれた状況は確かにやや特殊かと思いますが、作品のテーマ自体はごく非常に普遍的なモノだと思いました。彼が唐突に・緊急に向き合うコトになったのは、子どもをどう育てたらよいのか・どう育てたら子どもは幸せに為れるのか(⇒そもそも子どもの幸せとは何か)という、ソレこそ人の親の誰しもが生涯を懸けて追い求めるけれど、答えは結局神のみが知る…という問いかけだと思うのですね。父と子の2人のシーンも(当然)多いのですが、養親を探す上でのその問いに関わる親同士の対話シーン(=子育てに対する種々の価値観が示される場面)が思ったより多くて、でも主人公と同様に観ているコッチだってナニが・誰が正しいのか(⇒この場面における「正解」は誰なのか)なんて全然ピンと来ない…というトコロに、実に非常に共感できましたですね(若干香ばしい方も居ましたケド、大半は基本、比較的真っ当なコトを言ってる真っ当な大人だったよな…とも思うのですケドも)。  演技にせよ演出にせよ、意図的にかなり抑制してゆく方のアイデアを採用しているらしく、全編非常に静かな(静謐な)作品だと思います。がソレが一層、この問いに答えを出すコトの難しさと、そして主人公の悩みの深さ(=端的には「愛」の深さ)をも好く表現している様に思われました。良作以上かと。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-09 13:12:47)
20.  警視の告白 《ネタバレ》 
タイトルにある「警視」てのはマーティン・バルサムのコトで、んで若きフランコ・ネロが検事の役なんだからシンプルにバディものだったらもっと分り易いのでしょーケドも、本作はソレよりは多少捻りが効いた方のクライム作品なので筋書き自体はもう少し複雑で、かつまあまあ尺もコンパクトな方なので(特に序盤は)台詞がメッチャ多かったり=イタリア語の洪水状態だったり、もするのですよね。随所で他の方のレビューも読む限り、やや「難解」と言える域の作品…なのかと思います。その分り難さ自体は、私自身にも確かに感じ取れる程度のモノではあったのですし、特にサスペンス的な完成度…という観点では少し「粗削り」と言った方が好い程度のモノ…かとも思うのですよね。  しかしコレ、その辺を差っ引いても相当に面白い方の社会派サスペンスだと思いますよ。この時代のイタリアって本当に腐敗も不正もナニもかもが凄まじかった…てのは他作品に依っても知るトコロではありましたし(『シチリアーノ 裏切りの美学』とか)だからこそ、この複雑な筋自体にも・或いはバルサムとネロの二人の「正義VS正義の闘い」にも十二分なる説得力&半ば強制的なる感情移入をひしひしと感じて観てゆけたトコロなのです。オーラスは、結構コレも鳥肌モノでしたですね⇒私が思ったのは、映画と(ある種の)実世界が繋がる瞬間を、こんなにシンプルにやってのけるか…!というコトでした。監督はこの分野の(半ばドキュメンタリ的な)映画をこの前後でも多く世に送り出したらしく、他の作品も観たい…  追伸:マーティン・バルサムがこの頃、イタリア映画に結構出てたとゆーのは(恥ずかしながら)知らなかったのですが、流石の名優の面目躍如!たる(コレも)実に説得力満載な上々の出来でした。マカロニ・ウエスタンとかにも出てるらしいので、ソッチもちょっと観てみたいトコロすね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2023-07-08 09:07:59)
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