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1.  モーターサイクル・ダイアリーズ
1952年、ほとんど半世紀前という時代の空気は感じられなかったが、演出のせいなのか、そういう風土なのか。旅行者・ゆきずりの「見る人」だったものから、次第に「関わっていく人」に変わっていくのがポイントだろう。それもすぐに「怒り」にはならず、社会の不平等への戸惑いが順々に蓄積して高まっていくところを描いているわけだ。銅山のあたりから、船の後ろに繋がれた舟。そして閉ざされたハンセン病の島へ泳いで渡れることを身を持って証明する「行動する人」になっていく。偉大な革命家の誕生物語という型にはまった伝記ではなく、「見る青年」が「行動する青年」に変貌していく記録として描かれている。繰り返されるダンス。南米万歳と唱えた彼が、なぜキューバへ向かうのかは、それはまた別の話と言うことで。
[DVD(字幕)] 7点(2014-02-15 09:45:25)
2.  100人の子供たちが列車を待っている
教会の民主化運動の一環だとしても、こういう映画教育があるのはうらやましい。「映画で」ではなく「映画の」教育。映画を見ることは民主主義に向かうはずだ、という確信が根にあるのだろう。嘘の演技と本当の記録との違いもしっかりとおさえる。日本の子どもなら退屈するであろうような衛生映画のアニメを目を輝かせて見て、その場面場面を絵にとどめておくチリの子どもたち。絵が動くって、これだけ凄いことだったんだなあ。映画史から、カメラの位置とカットの関係といったことまで、具体的に教えていく。移動撮影をリヤカーでやる。とにかくここには、映画への尊敬がある。資本には屈伏し、政治家の横やりにはさらされ放題の日本では、映画に未来への希望を託すなんて考えが生まれてくる気配すらない。
[映画館(字幕)] 7点(2008-03-28 12:19:40)(良:1票)
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