1. ハードネス
みなさん言う通り、女版『ダイ・ハード』……まんまです。そして、本家でベトナム戦争自慢をしていたあのR・ダヴィも出ています。まぁ、それも大したウリにはならないのだが^^;。 3点(2004-05-06 16:35:19) |
2. ラビッド
事故に遭い皮膚移植を受けたヒロインの腋の下から生えてくる男性器のような器官。そこからヒロインの中に眠る何かが目覚めてくる。自身の望まぬ変身、というクローネンバーグが描き続けている題材を、クローネンバーグには珍しく女性を中心に描いている本作。ヒロイン役のポルノ女優マリリン・チェンバースの演技も素晴らしく、見応えのある悲劇に仕上がっている。 8点(2003-12-14 02:56:06) |
3. ファイヤーボール(1978)
無類のカーキチであるクローネンバーグが撮った念願のカーレース企画。といっても、全くスピード感がなく、描かれる人物達も今ひとつ活き活きとしていない。平凡なレース青春映画の域を全くはみだしていないため、クローネンバーグ好きとしては肩すかしをくらう。後に『トップガン』の監督をオファーされたらしいが、制作者は本作を観ているのだろうか? T・スコットに決まってよかったと心から思う。 2点(2003-12-14 02:42:54) |
4. デビッド・クローネンバーグのシーバース
クローネンバーグ版ゾンビだが、非常にチープな映像。にも関わらず、画面に恐怖が漂っている。それは、クローネンバーグが人間の本質を描いているからだろう。そのため、口から口へと寄生していくものが男性器を連想させる造型となっているのだが・・・。 『裸のランチ』でも性器そのもののクリーチャーを出しているが、ここがクローネンバーグが巨匠になりきれない原因か?! 俺は好きなんだけどね(笑)。 6点(2003-12-14 02:36:21) |
5. デッドゾーン
《ネタバレ》 キング×クローネンバーグ。この夢の組み合わせの割に地味な仕上がりで、どちらも苦手の方にもすすめられる一本。超能力を授かった故に孤独な戦いを強いられる主人公をウォーケンが好演している。カナダの寒々しい光景も本作の哀愁を深める役割を果たしていてよい。個人的に気に入ったのはヒロインのチョイス。とびっきりの美人ではないB・アダムスの起用で、主人公が心からヒロインを愛していることが痛切に伝わってくる。 9点(2003-12-13 23:09:10) |
6. 冷たい月を抱く女
N・キッドマンの冷たい眼差し。いつもながらのB・プルマンのいい人ぶり。中盤まではそれなりにスリリングに観られる。しかし、やはりラストまで見終えると、近年のハリウッド産サスペンスの薄さを感じずにはいられない。そして、日本の一部の2時間ドラマのレベル高さを感じる。主婦が片手間でも観られるよう経緯を適宜丁寧におさらいしていくため、じっくりと鑑賞するにはやや中だるみするが、本作よりも「情」を描けていている。 5点(2003-12-11 18:36:43) |
7. スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする
《ネタバレ》 スパイダーの視点で語られる物語は、そこかしこに矛盾を孕んでいる。それに困惑しながら、観客はスクリーンを見つめ続け、最後には自分の都合の良いように記憶が改竄されていることに気づき、おののく。これがクローネンバーグの狙いだったのだろう。しかし、残念ながらその試みはうまくいかなかった。記憶の改竄という興味深い題材だけに、観客を誘導する道標を冒頭に用意しなかった点が惜しまれる。 6点(2003-12-01 18:06:04) |
8. スキャナーズ
《ネタバレ》 比較的大衆受けしやすいクローネンバーグ作品。有名な頭爆発はもちろんのこと、ラストのバトルもテンションが高い。しかし、それ以上にプロットに潜むテーマも深く、是非味わってほしい。ラストカットの男は誰か? ここにもクローネンバーグらしい融合・再生が描かれている。ちなみに本作の主人公を演じたスティーブン・ラックは『戦慄の絆』にも美術家役で出演している。ファンの方は是非チェックを!・・・っていないか(笑)。 8点(2003-11-30 20:40:38) |
9. スウィート ヒアアフター
《ネタバレ》 静かで美しい街並みの映像にどことなく陰があり、これから始まる物語に期待をさせられる。そして現れる弁護士の正義感にもどことなく監督の冷たい視点が感じられる。当然物語は弁護士の活躍で解決などということにはならず、胸にひっかかりを残して幕を閉じる。映像作家としてのエゴヤンの力は感じるもののどうも消化できない。結局、人間の営みなんて全て「エゴやん!」ってことなのだろうか。 6点(2003-11-30 19:59:02)(笑:2票) |
10. JM
バル・キルマーは降板して正解。巧みな心理を表現できるキルマーは本作にはもったいなく、演技は下手だが娯楽作ではスクリーン映えするキアヌが主演となったのは、ビジュアルだけで押す本作には結果オーライ。とはいえ、平板なプロットゆえ何も面白みが感じられなかった。確か、ラングレンも誰かが降板して急遽キャスティングされたはず。役の向き不向きなど関係なく、予定通り撮り終えるために、手当たり次第に交渉した結果なのだろう。 2点(2003-11-28 13:32:56) |
11. シー・オブ・ラブ
俺が初めてA・パチーノを観た作品。しわがれた声にやつれはてた顔。これが名優と呼ばれている俳優なのかと少々拍子抜けして劇場を出た記憶がある。まぁ、今思えばアル中からの復帰作で、肩慣らしというところだったのだろうが。作品としては、サスペンスの張り方が下手で、定番の疑心暗鬼の緊迫感すらあまり感じられない。しかし、主題歌の良さゆえそれなりにまとまってみえるのも事実。 5点(2003-11-28 13:00:17) |
12. ザ・ブルード/怒りのメタファー
《ネタバレ》 息苦しいほどの閉塞感が全編を通して画面を覆う。女性が観たら生理的に受け付けず、激怒すること必至の内容。しかし、本作は女性の心理がわからぬ男の愚かさを無意識に描き続けるクローネンバーグ作品であり、逆に言えば、それだけ女性が男性などが理解できないほどの存在であることを示している。ちなみに、本作は妻とのどろ沼の離婚劇で精神が摩耗した状態での作品である。 8点(2003-11-28 09:39:37) |
13. 誘う女(1995・米)
《ネタバレ》 コメディとサスペンスのブレンド感はなかなかだが、見終えた時にニコールが消されたことをどう受けとるかで評価が別れるだろう。俺はブラックコメディとして観ていたので、ラストは驚きとともに、これでよかったんだなと納得ができ、後味は悪くなかった。ちなみに、例の殺し屋は愛しのクロネンちゃん(『ザ・フライ』『クラッシュ』監督)で~す。以後、お見知りおきを! 6点(2003-11-28 08:04:25) |
14. CUBE
《ネタバレ》 低予算を逆手にとった設定。独特の映像感覚。人間の本性を丸裸にしていくプロット。緊張感が持続し、最後にはどっと疲れてしまった。これほど完璧に近く仕上がっている作品の唯一の不満は、生存者の設定。人間の愚かさ・醜さがテーマであることはわかった上であえて言いたい。いつまでも知的障害者=無垢という視点でいいのだろうか? 彼らは「白痴」ではない。真っ白ではないのだ。図らずも監督の差別意識までもが露呈してしまった。 6点(2003-11-24 12:06:08) |
15. エンゼル・ハート
《ネタバレ》 アラン・パーカーだからこそなしえた濃密な世界観。ロークもノッていてとてもはまっている。衝撃の真相が明かされ世界が一変するスリル。謎解き部分に若干の破綻が見られるのが残念だが、自己について考えざるをえなくなる恐怖の一本。 7点(2003-11-22 05:44:18) |
16. X-ファイル ザ・ムービー
TVシリーズを数本しか観ていない俺には元々この作品を語る資格はないのかもしれない。しかし、言わせていただくとやっぱりあまり意図がわからなかった。せっかく映画を作るのだから、もう少し間口の広い作品にしてくれてもよかったのではないか。でも、独特の雰囲気は伝わってきたので、4点ぐらいにしておこう。 4点(2003-11-22 04:34:25) |
17. イグジステンズ
『裸のランチ』に続く、傑作『ヴィデオドローム』のセルフ焼き直し第2弾。随所にクローネンバーグらしい味わいはあるのだが、如何せん消化不良。近未来の悪夢を見せ続けていたクローネンバーグにしては、ゲームという題材に着手するのに遅すぎたのか? おそらくゲーム先進国日本だからこそ今更という感があるのだろう。 5点(2003-11-21 15:25:56) |
18. アポロ13
八尾の朝吉さんが指摘されているように、確かにわざわざ映画化する点はあざとさを感じる。にも関わらず、この作品には無視できない魅力があったのも事実である。熟練したR・ハワードの演出手腕、キャスト陣の好演、ともに見応えがあり、ドキュメンタリーの持つ真実の力に虚構作りのプロの意地が対抗している様にスリルを感じずにはいられない。 8点(2003-11-21 13:05:30)(良:1票) |
19. クラッシュ(1996)
「疲れマラ」という言葉もあるように、男という生き物は死を予期すると理性をなくし本能が露呈してくる。本作品では、「死」と「性」は非常に近しい関係であることを冷たい映像で描ききった佳作である。感情移入を一切拒んだ作りによって、無意識に我々は自分に潜む本能に畏れを抱かずにはいられない。 8点(2003-11-20 03:23:17)(良:1票) |
20. 戦慄の絆
とかく外面的変貌ばかりクローズアップされるクローネンバーグ作品。しかし、彼の本質は未成熟な精神を持つ男性のもろさではないか。死と隣り合わせである麻薬・SEXに溺れ、全く対照的であったはずの双子が徐々に同一化していくさま。J・アイアンズの名演も手伝い、観る者の心を静かに揺さぶっていく・・・。 8点(2003-11-20 03:11:36) |