1. 灼熱の魂
《ネタバレ》 元々、小説でも『人間の証明』は大好きで、で映画でも『飢餓海峡』とか『砂の器』とかってやっぱ凄く面白く観れるのですよね。こーいうのってとにかく「動機」の部分に対する体重の乗り方が(娯楽サスペンスとは)比較にならないってゆーか、だからこそ最後まで=この謎は解かずば今日は眠れない!みたいに成れるのだと思うのですよ。その意味では今作も、まず起こった「事象」そのモノってのが既にド級に(歴史的・政治的に)衝撃的!てヤツだとは思うのです、が、前述のその部分の勘所もまた決して外していない、これ以上無い程にソコにも体重の乗ったヒューマン・サスペンスだったとは思うのですよね⇒即ち、母は何故、あの様な奇妙な遺言を残して、あの様に奇妙に死んでいったのか、という。正直、途中からは完全に観入ってしまってましたよね。 だから、私にとっては(まずは)今作はサスペンスである…のですケドも(⇒それをワザワザ明言したのは、一方で今作って十二分に優れた社会派もの・歴史ものだとも思えるからなのですケドね)そーするとどーしたって、結末も含めて全体的に余りにも「無理筋」ではないかな…と思われてしまったってのが、結論的には少~し、ワタシ的に(再び明確に)許容範囲外だったという痛恨事なのですね。。観る前から、戯曲の映画化だとは把握しては居たのですケド、なんつーか然も在りなん…としか言えない…ですし、すると更には、それに依って(今度は)サスペンスのみならず、前述の社会派的な映画の価値すら少なからず毀損されてしまってる気すらするのですよ。もう少し、もう少しダケ、ソコって何とかならんかったんか…と。。(⇒個人的には特に、ニハドが「洗脳された」ってナンやねん!と。。) 結論、個人的には、非常に評価の難しい作品…だとしか言い様が無いのですが、それでも最初に述べたとおり、この手のサスペンスとしての「ヒトの中にある謎」の部分の展開&結末の部分に関しては非常にしっかりと「筋が通っていた」と思えたコト、加えて、重ね重ね事象は衝撃的ながら、全編で非常に落ち着いた抑制的でハイソな演出+それが醸し出す雰囲気と、また映像のハイソぶりも実に見事だったと思えたコトを踏まえて、かなり迷いつつもこれ位の評価にしておこうかと思います。サスペンスとして、端的なラストの「衝撃度」みたいなモノに関しては、確かに最高レベルで高度だって映画だとは思いますね。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-06-08 22:46:04) |
2. クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
《ネタバレ》 まずとにかくは何よりも、この監督一流の「奇天烈な発想」とゆーのは今作でも健在すぎるホドに健在だったのですよ。ただ、ソコでその発想⇒それは今作では一種の「世界観」として結実してるモノかとは思いますが、それを映画に描くのに(今回は)細かい整合性の方は選択的に捨ててしまって⇒映像的にも展開的にもワリとやりたいコトをやりたいママにやってる・詰め込んでる…ってのが結局、前述の発想の奇天烈さ+描写自体のユニークさ(=懐かしさ)、かつそれが非常に強烈にビンビンに伝わって来るコトの理由になってたのではねーかなって思いますかね。最初はなんかSFかな?と思ったのですが、観終わるとむしろ全然そーいうのじゃなくって意外に高度なアート系?みたいなヤツだった…のですケド、逆に、それに依って作品として「研ぎ澄まされて居た・削ぎ落されて居た」みたいなごくテクニカルな方の感覚も覚えられましたよね。 また、かなり高度に整合性が取れてない(そもそも放棄してる)⇒何をやってるのかが詳細にはならない、というコトがまた結局、描かれる諸々の「異形な」事象が一体ナニを意味しているのか…て部分に非常なる「奥行き」を産んでいたとゆーか、この映画がメタファーとしてナニを描いているかってトコロに関してゆーなら、個人的にはモ~「文明批判」だとか「芸術批判」だとか後はそれこそ人間の本能的な「エロ(グロ)」に関するごく美的なテーマ(=批判ではない方のシンプルな芸術・美的感覚)を語りたかったのではねーか、とか幾らでも心地好く深く思索に落込んでゆけるとゆーか、なんか今作、アート系だとしても(ジャンル内での比較としても)フツーにメッチャ面白く観れちゃったと思ったのですね。やっぱ、根っこのトコロでごく芸術家だって言うべき監督だったんだな~と思ってしまいましたよね。 [DVD(字幕)] 8点(2024-06-08 12:02:11) |
3. チェンジリング(1980)
《ネタバレ》 さっき観たバーヴァの『呪いの館』で、似た様なシーンが在ったから(また)ちょっと思い出して再見しちゃったのですが、この映画ってやっぱシンプルにかなり「怖い」のですよね。ごく終盤のクライマックスまでは非常にサイレントなホラーで、ソレこそ製作年である1980年以降はめっきり減っていった系統のヤツ…だとも思うのですが、今今に観直しても(逆に)何故こーいうコトになっていってしまったのだろう…と思わざるを得ない、ソコにこそ、今作の(ホラーとしての)技術の高さ・真似の出来なさが凝縮されて居る…とも思うのですよね。何とゆーか、ウギャア!と驚く・慄く・慌てふためく、なんてコトとは真逆の方向性、正にあのジョージ・C・スコットをもが(例のボールの跳ねて来るのを見て)壁まで後ずさったかの如くに一瞬「身動き出来なくなる」という様な重くて冷たい恐怖の一撃が其処彼処に…て感じなのですね。うーん…ホラーを志す者ならば絶対に最初に観ておくべき、と言って好いレベルの傑作だと思います。未見の方は是非。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-02-07 21:31:52) |
4. グリーン・ナイト
《ネタバレ》 中世イングランドの物語詩『ガウェイン卿と緑の騎士』を映像化した作品です。そもそもソレ何?てハナシをするなら「アーサー王伝説」のスピンオフみたいな感じでしょうか、主人公の騎士ガウェインはアーサー王の甥、という設定ですかね。そのお話の内容自体は、かなり高度に寓話的な…とゆーか随所に教訓めいたモノが散りばめられた物語にはなってまして、全体の構造自体はそれでもシンプルですが⇒細かいトコロは(現代的な感覚からは)ちょっと辻褄が分り難い…みたいな感じでもありますね。でも正直、そのお話の内容そのものとゆーよりは、どっちかちゅーと映像や音楽の方にこだわり抜いてるごく本格的な方の雰囲気映画…てのが表現としてはよりしっくり来る感じです(たぶんもう、アート系に片足突っ込んでる…と言っても全然好い方のヤツかと)。それでも、テンポはまたワリとまったりしてるのですがソレも相まって描き出される荘厳で重厚な空気感(世界観)とゆーのは、率直に中々のモノだったと思いますね(ある種、非常にA24ぽい…とも)。なのでそーいうのがお好みな方になら是非、という感じです⇒私自身は、かなり好きな方のヤツでした。 [DVD(字幕)] 7点(2023-12-24 17:34:41) |
5. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
《ネタバレ》 個人的には、冒頭からワリとシンプルに(=メタファーでシニカルな部分とか・現実と虚構が入り混じるコトとか、をあまり気にせずに単なる)コメディとして観ていってしまったのですが、まずはその意味にしてもワリと結構面白かった・笑えたと思うのですよね。その「虚構=非現実が混ざり込む」という観点からは、少なくとも近年の欧米の主流な方のコメディと比較してもだいぶエキセントリックな方のヤツだったとは思うのですが、ソッチの方がむしろ日本の現在の大衆的なお笑いの質感には近いかな~とも思いましたし、そもそもその欧米のコメディの「現実と地続きでシニカルでなければならない」みたいなのって本当に必須?とだって(個人的には)常々考えているトコロなのでしてね。でもまあ、中盤までは確かにそーいう「如何にも実在してそーな=真実味を帯びた方の」クセの強い業界人⇒主人公リーガンはモチのロン、親友だァ何だって結局カネのコトしか頭に無いパートナーにせよ、コレもやっぱ観る前からナニ書くか決めてる(何千回地獄に落としても事足りない様な)クソ評論家だとか、後は何より(誰とは言わず全員)劇中劇の肝心の芝居の中では総じてカスみたいな演技をしてるのに・翻って舞台裏でトチ狂って感情迸らせる様子自体は(逆に)実に見事な演技になってたり、とか、そーいう在りそーなトコロが(前述どおり)コメディとしてかなり面白かったなって感覚でしたケドね。 しかし、最後まで観終わるとある種、その隅々まで行き渡って「多面的な見方」が出来るコトとゆーのがそもそも、中々に含蓄深くってかつ真に(コメディとして)面白いポイントだったな…とも思うのですよね。件の撮り方にしても、コレが結構意味的に多面的で面白くって、それはつまりコメディってやっぱ比較的舞台劇的・固定視点的に「つくりもの」の映像として観るコトが多いんじゃねーか…と思ってるトコに、このハンディカムのドキュメンタリチック・POV的な撮り方ってのは(どーしたって必然的に真実性を帯びるコトになるって意味では)コメディとして異質・風変わりだったとも思うのです、が一方で、今作ではそれを妙なワンカット風に全部繋げてるってのはまた(前者に大いに反して)実に虚構的だ…とも思ったのですよね。他にもあとは結論の部分にしたって(結局は)そーいうコトにも見えていて、例えばとどのつまり今作でリーガンが成し遂げたコトって実は彼が目指した「芸術」でもナンでもなくって⇒所謂単なる(ネットを利用しての)「バズり=彼が理解すらしてないコト」でしかなかった様にも見えますし、それに依ってエマ・ストーンとの関係性が(最後には確かに)変わったのだとしても⇒それがあるべき姿のモノに為ったとは到底思えなかったりもしちゃったり、とかですかね。 前述どおり重ねて、そーいった多面的な視点で観れるコト自体をポイントに据えた&実際に内容的に実に多面的で含蓄深い作品、だったとは思うのですが、個人的には結局、その中で「コメディとゆーのが如何に虚構であるか」というトコロこそが、今作から最大に存分に思い知らされたモノだったって感覚がありますね。あくまで個人的には、人生の本質=人生で唯一つ確実に自分にとって真実だと言えるモノは、自身の認識するトコロの苦悩・苦痛以外のナニモノでもない、と思ってますからね。何故なら、人間の感じるコトのできるトコロの微笑ましさ(或いは幸福)とゆーのは、本質的には全て自分ではない他者におけるその感情(或いは他者のその感情を共有するという意味での自分のその感情)でしかない、と思ってるからですね。だからして、それこそそーいったモノが(事も有ろうに)映画に描かれている…なんてのは、本来のその必然的構成要素たる自分&他者の間に、もっともっとナニモノかを媒介に媒介しまくってやっと伝わって来てるモノ、でしかなくって、だから当然「虚構」でしかないんだ、と思ってるってコトでありますかね。 [インターネット(字幕)] 9点(2023-12-24 17:28:23) |
6. ゲーム・オブ・デス(2017)
《ネタバレ》 うーん…好きくない映画ですね…結局コレって「人間を辞める」コト抜きには生存不可能な気がしてしまって…でも、そもそも「人間を辞めてる」時点でど~足掻いてもシンプルに「負け」だと思うのですよね。だからコレって、実は(勝負が付けられる・競えるという意味での)「ゲーム」でもナンでもなくって、ただ単なる「地獄」と、ソコに堕ちた「人間だったナニか」を描いたダケの映画だ…と思ったのですよ。かつ、その鬼畜どもがソレでもナニか「中途半端に」人間に見える…とゆーのが更に、個人的には実に強烈にまた不愉快でした。緩和ケア施設を標的にしたのは、ごく高度な極限状況に於ける彼らなりの浅薄な「配慮」ではあるのでしょーが、コレも個人的には「逆に」脳血管が沸騰しそーにもなりましたですね(正直、ココまでで止めとこうかな…と超絶に久し振りにちょっと思案に暮れたりもしましたね)。 ソレでも=終盤は多少その意味で撚れていく「きらい」も在るものの、これ見よがしにまた「人間ぶって」終わっていく…というコトでもなかった「潔さ」にはある種の敬意を表して、この評価までで留めておきます。ココまで人間性を疑われる様な作品を発表できるのも、ある種の「勇気」なのかな…とは思ったのでして(ソレは多分「蛮勇」と言われる方のモノ、だとしても)。 [インターネット(字幕)] 3点(2023-05-25 00:23:27) |
7. デモニック
《ネタバレ》 うーん……コレだと、監督の名前で「逆に」ちょっと損をしている様にも思えてしまいましたが、もしコレを、ソレこそ聞いたコトも無い名前の監督が撮ったB級ホラーだと思って観るのならば、別にお値段相応の作品かな~とも思えそう…な気もします(たぶんコレ、かなり小規模予算の映画でしたね)。コンセプトはSFとホラー(オカルト)の融合とゆーか、その部分には少し日本の漫画とかなんかのサブカル風な雰囲気も感じられますかね(そして、その思いがけないホラー要素こそが一種のアクセント=意外性だと言うべきなのでしょーね)。 しかし、如何せん何もかもが相当に安っぽい映画でして、特に映像面は極度にチープすね。結局、ホラーとしてもSFスリラーとしても(+アクション的にもやろーと思えば出来た筈なのに)映像的には全くと言って好いホドに見ドコロ・面白みがねーのですよ。んで重ねて、お話の内容的にもやはりごくチープ(=そもそも大筋としては何時でも何処ででも聞いたコト有るよーなお話なのですし、んでソコにナニやら仕掛けは在りそーなんだケド実は別に大したレベルのが無い)となると、少なくとも「ドッチか」はねーと困りますよ旦那!としか言えなくてですね…ムムムム…… 重ね重ね、根本的には予算が少ないのが最大の問題、というコトには見えるのですケド、正直ちょっと「誰も得をしていない」作品にも(また)見えてしまいましたかね。残念。。 [DVD(字幕)] 4点(2023-04-03 19:44:02) |
8. ポゼッサー
《ネタバレ》 う~ん……最初10分を観終わっての時点では、確実にもっと「コレ超面白くなりそーじゃね⁉」とテンション跳ね上がってたんですケドも…… SFスリラーとしてはゆーて、コンセプト的にも画的にも結構観たコト有る方のヤツ…だとは思うのですね(ソレこそ『マトリックス』でも『攻殻機動隊』でも、あと『エヴァンゲリオン』とかでも似た様なシーンはしこたま観たコト有る…的な)。ただ、中々見事にスタイリッシュ&シリアスで寒々しい空気感といい、不穏で不可解で観る側の不安を実に巧みに煽り立てる洒落た映像といい、そして父親譲り?のキレ・惨たらしさを高度に兼ね備えた血ミドロ・ヴァイオレンス・シーンの凄みなんかからしても、前述どおりスリラーとしてはそーいう「ルックス(or 物理的)」な面は全体を通してもかなり上質だった…と思うのですよね(⇒とにかく最初のシーンが実にイイ感じで、かつソコも含めて「見た目」に関しては観終わってもその評価は変わらなかったですね)。 でも、同時に(やっぱ最後まで観ると)率直に話の内容…とゆーよりは展開運びの方がちょっとイマイチかな~と思いますね。まず、ド初っ端のショックシーンから次のショックシーンまでがあまりにも長くて冗長・平坦で、全体としてもテンポを大いに損なっていると思うのですよね。このお話をゆったりと緩慢に語りたい…てのが(今作における)監督のポリシーだったのかも知れないのですケド、少なくとも娯楽系のスリラーだったら(同じ尺で)間にもう一個(ショックな)エピソードを挟む位で丁度好いんじゃね?とすら思いました。あと、結局ソコまでややっこしい内容でもないワリに、また全体的に説明が不足+稚拙ぎみで単純にかなり分かり難かったな…とも。ソコら辺は、監督自身の今後の更なる向上に期待…という感じかも知れないですかね。 一点、アンドレア・ライズボローは気付けば最近好く見かけるのですケド、殊にホラー・スリラーに関してはその何処か乾いて荒んだ様なルックスがシンプルに実に効果的ですね。彼女のコンディションがこの良好なうちに他の作品でもガンガン観てみたいトコロです。 [DVD(字幕)] 5点(2023-01-29 23:02:11) |
9. キラーカブトガニ
《ネタバレ》 諸々と、どー見てもB級コメディ・ホラーにしか見えませんし、実際にも確実にそーいう類いの作品だとは思うのです。ただ、更に細かいトコロまでよ~く見てゆくと、意外に結構丁寧につくられた映画だ、とも感じるのですね(⇒肝心なキラーカブトガニの造形とか、主要人物たちのキャラ設定&関係性のつくり込みとか、中でもオーラスの巨大怪獣バトル!とかなんか特に悪くない出来だったりで)。しかし、そんな風にだいぶん丁寧に(=手を抜かずにこだわって)つくっているにも関わらず、率直なその観た感じとゆーのは全編通しても実にまろやかとゆーかキレが無いとゆーか、ま~た不思議な位に盛り上がらんのですよね。そして、実はその敢えての「緊張感がイマイチ感じられない質感」こそが、今作において最も「B級」な要素だった…とも(私には)思われたのです。 個人的な結論、今作は「B級映画をB級映画として最も美味しく食べるには」という或る一つの試みだったのではないか…と。例えるなら、ペヤングをご自宅にフツーにある追加の調味料・器材のみで「ペヤングがペヤングであるコト自体は決して否定せずに」どーしたら最高に楽しめるのか…という(趣味人の高貴なる)遊び、とでも言いましょーか。私としては、その意味での本作の「完成度」は実はワリと高い方だったのではねーか、とも思います。やはりどこまでもオフビートではあるものの、ナンだカンだ肝心なマニアック映画としての「芯」を外していないこの感じは、正直ワタシまあまあ好きな方のヤツなのですよね(オマケでこの評価としておきます)。 [映画館(字幕)] 6点(2023-01-29 23:01:20) |
10. ウィッチ
《ネタバレ》 再見なのですが、初見時はあまり好い印象ではなかった記憶があり…で実際今回の2回目も、ごくラス前までは疑問の方が大きかったのですよね。正直、前半はあまりホラー色が強い方の作品ではない様に見えてまして(少なくともソレが明確・明瞭ではない)どちらかとゆーとヒューマン・サスペンスの方…とゆーか隔離されたストレス状況における人間の狂気、みたいなモノがメインディッシュぽく感じられて、でもまずはソコの出来自体は中々かな~ともやっぱ思うのですよね(ソレ自体は初見でも再見でも変わらず)。しかし後半はまた、まず超常の存在の介在がほぼほぼ確実になってゆく一方で、でも翻ってホラー的な展開運び自体はやや不可解系の方に倒れてゆくとゆーか(特にその「敵」がナニをしたくてどーいう攻撃を仕掛けているのかが明確でないから)要するにごく生々しく・実際的に始めたお話が突然フワフワ終わってゆくな…という感じが強くて、結果どーにも(前半と後半が)ミスマッチに思えていたのですよね(⇒重ねて、ラスト10分まで)。 でも今回観直したら、ソコら辺ってオチで全部明快になってるジャン!とフツーに思い直しました(アレ?初見時は観誤ったかな?)。結論、個人的には文句無しに良作以上かと思いました。『ライトハウス』も楽しみです。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-01-21 23:12:00) |
11. 真夜中の処刑ゲーム
《ネタバレ》 アクション・スリラーと言うべき作品かと思うのですが、全編通してもごく非常にホラー的なつくりを擁しておるのですよ。ところが、その敵チームとゆーのがとにかく極め付きのド外道+そいつらから逃げてやっとこさアパートに駆け込んだと思ったらトンデモない重武装で再び攻め込んで来るので、ソレがシンプルにとてつもなく恐ろしく+おぞましくて率直に恐怖なのですよね(コレは確実に観てる方も冷や汗ダラダラものだ、と)。そして中盤の手に汗握る攻防とソコからの『ホーム・アローン』的な中オチまでは、ま~確かに極めて高度な「お値段以上」感を持って爽快・痛快に観てゆくコトが出来たと言えます(ちょっと驚きました)。 多少残念な点があるとしたら、その秀逸な中オチでいったん流れが切れて、そっからジワジワとまたごくホラー的に怖がらせる重い流れをリスタートしてるのです…がちょっとココが盛り上り切らずに最後まで行っちゃったかな…と。結局、その時点で敵は(実質)ボス一人になっちゃってて、でそのボスってのがイマイチ「超・強キャラ」という感じでもなかったモンで…というコトかな、と思います(結構隙とかもあって)。とは言え、その後の大オチ(+α)にもシンプルながらキレ味ありましたし、重ねて確実に「お値段以上」に面白い掘り出し物の佳作かと。お暇なら是非。 [DVD(字幕)] 7点(2023-01-12 23:39:04) |
12. ブラックアダム
《ネタバレ》 事前にアンチヒーローだと刷り込まれては居たモノの、結論的にはロック様はフツーにイイ方のヤツだったのでして、そーすると(途中から)たぶんこんな感じになんのかな~と思ってたとおりに(最終的には)成って終わってゆくのですね。ただ、結局そーいうごくシンプルでオーソドックスな筋のワリには途中の展開は結構ゴチャゴチャしてたな…という印象もありまして、ソコは個人的にはあまり効果的ではなかったかな…とも思いましたかね。カーンダックとやらがどーいう国・地域なのかも(説明が雑なので)最後までよー分かりませんでしたし、ソコの住民達が5000年も昔のお話を未だに引き摺って暮らしてる…とかだって正直イマイチ入って来ませんでしたし。 でも、本作もまた(今やモ~当たり前な)ヒーロー集結ものでその点のゴージャス感や彩りの好さはコレもフツーに楽しめるモノでしたし、その上で主役のロック様をはじめ個々の役者の仕事・キャラの魅力も十二分なクオリティだったかと思います。ロック様の力感とか「強さの説得力」とかはやっぱ現時点唯一無二だとも(改めて)思いましたし、ブロスナンの品格も好かったかと。あと、サイクロン役のクインテッサ・スウィンデルちゃんも可愛かったですよね(私は実は、ずっとテッサ・トンプソンかな?⇒にしちゃ若いな…と思って観てましたケド)。アクションも手堅く迫力がありましたし、このジャンルとしてもまた手堅い良品かなと(悪い作品ではないと思いますね)。 [映画館(字幕)] 7点(2022-12-11 12:01:56) |
13. クライモリ(2021)
《ネタバレ》 うーん…往年の良作シリーズ待望!のリブートなのですが、結論的にはシンプルにかな~り違うお話になってしまってまして、正直コレだったら別作品としてやった方が…てのは私も大いにそー思うトコですね。何つーか、森に潜む「奇形」の殺人一家…てのが結局、20年前ならイザ知らずキョウビはも~コンプラ的に若干アレな…というコトかな、なんて思ったりもね(結局その部分=敵集団の属性の変化ってのが本リブートのいちばん大きなポイントだったかな、とも)。 ただ、この「変化(変更)」てのがまた結局、自ら意図したポジティブな・前向きなモノだったよーには到底見えないとでもゆーか、やっぱり随所で効果的には働いてない(むしろ逆効果だ)とも思えてしまってますのよね。重ねて、敵がやや大袈裟な集団になったコトで(コレも随所で)粗が出てリアリティを欠く場面が目立っている様にまずは思いますし、お話の方とて畢竟大袈裟にならざるを得なかったケド⇒かと言って大した捻りも無い⇒ので無駄に冗長・ローテンポになってしまってる様にも思いますし、んでナニより全編通しても(物理的にも設定的にも)「凄み・過激さ」とゆーのが増せているなんてコトもなく比較的マイルドな質感にチンマリと纏まっちゃってるとも思いますし………あとは個人的なハナシですが、私が期待していたのはコンセプト不変でも時代相応の映像的アップデートが成されてる…というごくシンプルなコトだったのですケド、ソレも正直微妙でして………結果的には過去作の安直な「名義借り」にしか見えなかった…とゆーコトでも~一点引いちゃおうかと思います。無念。。 主演のシャルロッテ・ベガちゃんは(名前の通りに)メッチャ可愛いのでワリと今作も期待していたのですが、残念ながら作中の役柄的にただ可愛い…という女のコではなかったのでして、なのでか正直あまりルックスにも際立つモノは感じられずソレも残念でしたかね。個人的にはむしろもう一人の方のエマ・デュモンちゃんが(見た目的には)可愛かった様な気もします。まあ、結構序盤でアッサリ惨たらしく死んじゃうのでソレも若干残念ではあったのですケド… [DVD(字幕)] 4点(2022-09-29 22:19:45) |
14. ザ・ブルード/怒りのメタファー
《ネタバレ》 結論、最後まで観たらワリと面白かった…とも感じられたのですが、大いに盛り上り始めるのは殆ど最終盤に近い頃からで、中盤の1時間過ぎくらいまでは率直にやや淡泊な感じだな…とも思われて居たのですね。70年代と言えば「子供ホラー」てのは正に全盛期とも言える時期でしょーが、積極的に攻撃してくる「物理的」に怖い子供(ないし子供っぽいモノ)という意味では後発の『チャイルド・プレイ』なんかにも(最初、ブルードが単独で出没してる辺りは)似てる気もしましたかね。ただし、年代的な技術力の見劣りもあってかそのブルードの襲撃シーン(の子役のアクション)てのがちょっとキレ・パワー不足かとも感じられたのですよ(=だからショックシーンの迫力に頼っての序盤・中盤の場繋ぎってのが巧くいってない…てなコトかなと)。でも前述どおり、特にSFホラーチックなお話のコア部分は全体としても好く出来ていたと思いますし、重ねてラストまで観たトコロでは「お~、面白かったな…」と観終わるコトが出来ました。良作・佳作と言って好いのではないでしょーか。 もう一点褒めておきたいのは今作のラスボス・ノーラ(母親)役のサマンサ・エッガーさんですね。初めてお見掛けした方でしたが、中々どーしてその怖さ・恐ろしさとゆーのはまま優れた表現になっていたと思えてまして(特に狂気を垣間見せる眼が怖い)ラスボスたる資格はモ~十分だったかと思います(また、フツーに結構美人でもありますし)。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-04-23 17:35:42) |
15. ニューヨーク 親切なロシア料理店
《ネタバレ》 タイミング的に若干「誤解」を生じる恐れがあるかも知れないですが、お話的にも「ロシア」料理店であるコトに本質的な意味は無く、そもそも実はロシア人も(多分ひとりも)出て来ないのです。悪しからず… 人生に「ワケ」の在る種々の人々が、ともすれば更に更に苦境に落ち込んでゆきそーなトコロにおいて、ささやかな善意を寄せ集めて助け合って結果として皆が人生を好転させてゆく…という非常に共感し易くハートフルな映画です。全体的にもそこそこシリアスなお話の集合体だとは思いますが、描写自体はそこまでハードでもなく身構えて観る必要までは無いですかね。ゾーイ・カザンが魅力的でしたね。決してただ善人というワケでもなく多少おバカで少なからず小狡い面も有りつつ、そーいうネガティブさを補って余り有るポジティブな人間性をも醸し出す奥行き豊かな表現が素晴らしく役にハマってましたですね。まあ、そこまで特筆すべきポイントが在るという作品ではないかとも思いますが、全体的にはまずまずかと。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-04-22 21:04:28)(良:1票) |
16. パワー・オブ・ザ・ドッグ
《ネタバレ》 西部劇ってのは、やり方次第であらゆるジャンルになり得る…とは思いますが、今作は最初はどーいう話なのかな~♪と思って観てたら最終的にはかなり純然たるサスペンスだった…というコトで、最初のうちは確かに少しもったりしてるな~とも感じたのですが最後までチャンと観てみると、その寂寥たる雰囲気や重いテンポも含めてこのジャンルの作品として非常に好く纏まった良作だったな…と率直に感じました。いや~西部劇+サスペンスって、中々どーして隅に置けないですね~どーしたって閉鎖コミュニティですから、登場人物たちのサスペンスな緊迫感ある関係性もより危険度高めに感じられますし、その面では特にまずカンバーバッチ、そして終盤にかけてのコディ・スミット=マクフィーのその「危険人物」感も中々に絶妙なモノだったと思います。私は最初(=水辺の件の後)カンバーバッチの方がマクフィーを狙う動機が出来たのかな…と思って観てましたが、よく考えるとマクフィーにだって「逆に」動機がアリアリだ…と気付いて以降は、特にメチャクチャ面白く観れてましたですね。オーラスのそこはかとない不穏さもとても好みです。 各種レビューサイト(当サイト含む)ではソコまでの高評価ではなかった様に見えてましたが、アカデミー賞の結果を受けて劇場に足を運んだ甲斐がありました(実はヴェネチアでも賞を受けてるのですから、然もありなん…なコトかも知れませんケド)。オススメですね。 [映画館(字幕)] 8点(2022-03-29 19:55:05)(良:1票) |
17. ポーキーズ2
《ネタバレ》 前作より更に、いや遥かに取り留めの無い話になってもーてますね(もはや「ポーキーズ」とかナンの関係も無いし)。かつ、おバカ下ネタ部分はともかく、全体的なコメディの質が個人的にあまり好みの感じではありませんでした。ピーウィが仲間に充てがう女を(セクハラ紛いで)探してゆくくだりとか、後半も差別ネタやらゲロやらが大目立ちで…特に、ゲロはマジで勘弁して欲しいっす(欧米のコメディってマジでゲロ塗れだな~とか常々感じてるので、回避用に誰かそーいう検索タグとかつくってくれたりしないかな…) [DVD(字幕)] 4点(2022-03-24 21:45:06) |
18. ポーキーズ
《ネタバレ》 『アメリカン・パイ』とかって個人的には結構好きだったりするのですケド、確かにその原型とゆーかごくおバカ下ネタをメインコンテンツとしている映画に見えます。そのおバカ下ネタのバカさ加減は決してアメパイにも負けず劣らずなレベルに見えました(=まずまず笑える)。酒でも飲みながら観る分には、男性ならワリと世代問わず楽しく観れるのではないでしょーかね。 ただ一つ残念なのは、アメパイに比べてもやや青春映画としての要素は薄いし、ゆーて全体的にもお話としてはかなり取り留めの無いヤツだったという気がします。普遍的な脱童貞物語かと思いきや、中盤からはストリップ小屋のチンケな小悪党との対決が主になってゆき、クライマックスもその仕返しがメインという…結論、やっぱ酒でも飲みながらボンヤリ眺める…くらいが丁度好い作品かと思えますね(好い大人なら特に)。 [DVD(字幕)] 5点(2022-03-24 21:43:48) |
19. ガール・イン・ザ・ボックス
《ネタバレ》 実話ベースと言うか、実際に起きたキャメロン・フッカー事件の内容・経過を比較的事実に則ってごく淡々と辿ってゆくという作品で、劇映画とも言い切れないドキュメンタリ的な(=実録再現ドラマ的な)質感だとも感じられます(確認したらTV映画なのですがソコには「やっぱりな」という感じも少し覚えましたね)。見かけに反してホラーやスリラーとかっていう娯楽系統のジャンル映画では確実にないので、ソコは勘違いして鑑賞するとあまりイイ結果にはならないと思われます。ご注意ください。 ただし、その事件自体は極めて深刻で陰惨なモノであるので、まずはそういう事件がかつて実際に発生した、という事実を知るコトのみにでも確実に価値が在るものだと思いますし、本作の真の意図も実はソコに在る…とも十二分に感じ取れるトコロです。その意味では、暴力やレイプの描写はおそらく実際のソレよりも総じて穏便に描かれているものと思われ(少なくとも作中で何度も何度もそのシーンが描かれるワケではない)、むしろ描写としての主眼は被害者がどのような洗脳の状態にあったのか、というトコロにあるものかと感じます。その反面(とゆーか)まずは単純に被害者が受けた暴力・レイプの「酷さ」というのが(量的にも質的にも)鑑賞者に十分に伝わり切ったのか、という面にはやや疑問も残りますし、あとは加害者側の人物像(そもそもの犯行動機や、加害者と被害者・または加害者2人の関係性が変化していく様子など)の描き出しもやや浅かった、とも(少しだけ)感じました。 とは言え重ねて、衝撃度はナチュラルに非常に高度な映画です。個人的には観て損は全くしなかったですね。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-03-05 20:13:00) |
20. コーダ あいのうた
《ネタバレ》 とにかく、主人公の女のコにかかる「負荷」とゆーのがのっけから非常に高いのですよね。邦画で言えば3,40年以上前くらいの作品だと、こーいう全方位から頼られまくって辛そうな女のコ(女性)とゆーのは実はワリとよく見た様な気もするのですが、近年の作品において仮にこーいう状況があり得るとしたら、それはもう親(家族)の側に大きな「問題」があるに違いない…だからソレはその時点で非常に「暗い」社会派作品になってきちゃうとも思うのですね。ただ、今作の彼女の親には「問題」がある…と言ってしまうとソレはおそらく表現として適切でないと思いますし、ただ一方でその「ままならなさ」が確実にかなり深刻であるのもまた事実で、だからお話自体はそこまで超暗い雰囲気には決してなってないのですが、一方で尚更この主人公に対する(ごく暖かい)共感・感情移入とゆーのは更に更に深くなってゆく…という様にも感じましたね。まずは誰もがハートフルに心動かされるだろう優れた映画だと思いますし、またこの部分はそれこそ「CODA」と言われる方々の現実をまま的確に映し出している…という意味でも(この時点でも)非常に価値の高い映画だと言えるのではないでしょーか。 ごく大まかなお話の流れのソレ自体は、ゆーてワリとオーソドックス・よくあるモノだと言ってしまっても好いかと思うのです。ただ、ソレを彩る細かい演出は総じてかなり優れたものであったかと感じます。特に、主人公とそのろう者の家族3人(父・母・兄)との中盤以降の対話は、家族でありながらその関係性の中に存在する一種の(互いの互いに対する)疎外感と、それを各々がどう乗り越えていったのか、が丁寧に描かれていてどれもとても見応えのあるものでした。また、主演のエミリア・ジョーンズちゃんの歌唱力を最大限に活かした歌唱シーンも、選曲の良さ&的確さも相まってどれも非常に効果的だったと思います。 もう一点、前述の家族3名はいずれも実際に聴覚障害のある俳優の方が演じておられる(と後から知った)のですが、その「利点」とゆーか、作中の家族の手話での会話シーンがコレまたどれも非常に優れた演技として出来上がっていたと感じました(実に感情の込もったパワフルなボディランゲージで、コレは一朝一夕に出来るよーなモンじゃなさそう…とは思ったのですケドも)。そしてその意味では、エミリアちゃんに関してはこの部分はソレこそ死ぬホド訓練して撮影に臨んだのだろうとも思われまして、そしてそういった部分もまた彼女の役柄における健気さ・逞しさ(そしてソレが醸し出す爽やかな魅力)という側面に確実に滲み出ていたのではないか…とも思われるのですね。 [映画館(字幕)] 8点(2022-02-03 22:48:14) |