1. ピンク・クラウド
《ネタバレ》 シチュエーションとしてはSF的な作品ですが、ハッキリ言ってコレはSFではないような。SFにしてはあまりに非科学的と言うか都合良過ぎと言うか、十分な根拠を示すこともないままにグイグイ進んでいきます。雑と言うか適当と言うか細部の詰めはほぼ見受けられません。始めのうちこそ自分なりのコダワリを持ってSFとして観ていましたが、中盤辺りからは「これはSFテイストのヒューマンドラマだ」と受け止め直した上での鑑賞にチェンジ。 もしSFであるならば、研究者たちが雲の正体を調査・分析していくとか、政府による物資補給のシステムを微に入り細に入り解説していくとかの展開が必要でしょう。それとも人知を超えた存在による予測不能な未来をほのめかすとか?結局宇宙人による攻撃だったとか? ところが本作では、肝心要のピンクの雲について殆ど何も説明されないし、数年もの間続いていく人間たちの生き残りに向けたライフラインの礎となる科学技術等についてもほぼ触れられることはありません。この際詳細は考えないようにね、ということなのでしょうか?呆れるほどに雲のことは触れられない。ピンクの雲は概念とでも言うのでしょうか?否、もしかしてそうなのかも。 それとも、そもそもがファンタジーなのかも知れません。ファンタジーテイストの世界観で語られる人間の愛と苦悩、そして生と死。究極に追い詰められた(あまりそういう雰囲気でもありませんが)環境で、人は他者を愛せるのか?更には自らを愛せるのか?希望を失わずにいられるのか?悲観的にも楽観的にも寄せることなく生きていけるのか?そんなテーマが語られているように感じました。 ラスト。死を覚悟した彼女を10秒後に出迎えたのは生だったのか死だったのか?彼女の立ち姿や表情を見ていると、そのまま頽れるようにも見えるし、思いもしていなかった結果に唖然としているようにも見え、そこについては観客に投げて来たのかなと思えた次第です。個人的には、曖昧のようでいて曖昧ではないこのラストは好きです。「生」だったとすれば相当な無理筋。けれども全編無理筋な非SF的展開からすればそれもありとも思え、「死」だったとすればそれはそれで想定内の結末に留まるばかりで少々拍子抜け。結局自分なりの答えは見つけられずといったところです。 総じて言えば、捉え方次第で佳作とも駄作とも言えてしまえそうな作品でした。個人的にはいろいろ考えさせられたという点でやや佳作寄りの1本です。 [インターネット(字幕)] 6点(2025-02-21 00:53:27) |
2. バクラウ 地図から消された村
《ネタバレ》 なんとも取っ付きにくいと言うか、何を言いたいのか解らずじまいの作品でした。 バクラウというのは架空の村なんですね?どうも脳内では馬喰と変換してしまう。(すいません、オヤジギャグは思いつくと言わずにいられなくなるもんでして) その小さな村が何で水資源の利権を持っている?民兵組織は近隣市の市長と結託して水資源を狙っている?違法行為あるあるの民兵組織なのに何で襲撃はして来ない?村人は市長を受け入れないのに寄付は貰うし娼婦を提供するのは何故?市長が個人的に武装グループを雇ってるということは民兵組織を出し抜いて水の利権を手にしようとしているから?なにもかもが良く解らないままに進んでいく感じ。 よくよく考えたら登場人物も何だかよく解らない。冒頭帰村するテレサはヒロインかと思いきや思いっきり脇役だし、ギャングのルンガの立ち位置もシンプルなようでいてよく解らないワケアリ感に満ちているし。挿入意味不明な全裸シーンとかセックスシーンとか、貧しい村の印象なのにスマホやタブレットや大型テレビの普及率が高かったりとか、全裸夫妻が自動翻訳機使ったりUFO型ドローンが自由に飛び回ったり…あぁ何もかもやっぱり解らんです。 結局、この村は昔から自分たちの身は自分たちで守るんだという高い自立意識のもとに存在していて、守り切る度に記念品を博物館に飾って来たのです。村人にいろんな職業の者がいるけれど善人ばかりです。これからも頑張ります。みたいな物語だったのか…。 何やら1960年代とか70年代の作品的なオープニングからキャスト紹介し始める時代錯誤感と、予告編から受け取れるSFホラー感と言うか不思議感に期待したものの、妙に後味の悪い作品でした。もうちょっと短い尺なら印象変ったかも知れません。 [インターネット(字幕)] 4点(2025-02-04 10:04:43) |
3. シー・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 兎に角汚い!ドロドロのぐちゃぐちゃといった画面。そのくせ何故か目を背けたくなるような残虐性はいま一つ感じないという不思議な世界。ただ単に汚な過ぎるからか?全編通じて清潔感皆無なので潔癖症の方は要注意です。あ、唯一生き残った少女だけは可憐です。 物語は極めてシンプル。少々コミカルな会話を交わしつつ二人の漁師が網を巻き上げているとお約束通りに怪物が登場。死んだようにぐったりしているかと思いきや、これまたお約束通りに襲い掛かりガブリ。サメ映画なら船だけ残して二人とも食べられちゃうところですが、ここは生きて帰って村中に感染拡大させないと物語は始まらない。すべてがお約束通り。 その後の展開もまた然り。その夜は奇しくも村で初めてのクラブ開店日。どうみても男のマダムが経営するクラブでは、お約束通りにサービスカットが満載。ギャグ?も満載。ドロドロ画面で半分ぐらいは良く見えないまでもサービスカットは多め。でもドロドロだからエロティック感はほぼ無いというサービスにならずじまいな状況。 序盤は意外性とかワクワク感はないものの、適度にスピーディかつある意味興味深く展開していくのですが、最初の感染者が愛息に食いついちゃったあたりからは殆どカオス。しまいには逃げ惑う少女をゾンビ鯨がゾンビ人間を蹴散らしながら追いかけるものの、鯨は岩を登れないからセーフという理に適っているようで適っていないような力業的展開。更には同じく力業的に挿し込まれている謎のオカルト風味で締めくくり。 これはゾンビ映画?強いて言うならそうなんでしょうね。一応何かに感染していることは間違いなさそうですし、一度は死んでからゾンビ化しているようですし。それにしても汚い1本でした。 (追記)結局主役的に生き残る青年は、後で見てみたら「アルビノ」という役名ですね。だから顔を白く(かなりてムラだらけですが)していたのですね。顔を適当に白く塗って役名がアルビノって、ブラジル的には大丈夫なんでしょうか?何か特別な意味があるのかな?本邦的にはダメなんじゃないかなぁなどと思った次第です。 [インターネット(字幕)] 3点(2024-08-25 22:30:52) |
4. アド・アストラ
《ネタバレ》 テーマそのものは決して批判すべきものではないと思うのですが、何せ宇宙での様々な事柄が非現実的過ぎ。宇宙工学等々に関しては全くの門外漢ですが、いくらなんでもやり過ぎなのでは?寧ろアニメだったら良かったかも知れないです。もっと受け止めやすい表現が可能だったのではと思えてしまいます。実写だからこその「んな訳ないだろ!」感がハンパない。詳細は皆さんが既に書いてらっしゃる通りです。 そのことがあるので、本来のテーマがすんなり入って来ない感じがします。主人公の行動についつい否定的になってしまう。つまりは感情移入出来ないのです。説明不足ということも言えるかもしれません。 キャスティングが違って予算もうんと少なかったら、どうにもならないB級以下作品になっていたでしょう。でも、ある意味その方が割り切れて楽しめたかもしれません。 名優を揃え予算も潤沢だからこそ、よろしくない部分ばかりが浮き立ってしまったのかなと思えてしまう、何とも勿体ない作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-09-26 00:34:28) |
5. ブラインドネス
《ネタバレ》 ヒロインの行動、人々の行動、そして人間の性の描き方…どれを取っても感情移入出来ず不満爆発、後味悪いことこの上ない。 ただ、制作者は敢えてこの表現、この展開を選択したことは間違いなく、この作品を良く評価するか否かは、全てその選択に共感するかしないかに尽きるといった感じです。確信犯的とでも言えばいいのでしょうかね? いずれにせよ、非常に宗教的感覚に溢れた作品。SFエンターテイメントとか単純なホラーとして観てしまうと制作者の意図が霞んでしまいますね。 [DVD(字幕)] 7点(2009-10-04 02:48:42) |