1. ゾンビボーダーランド めざせ!アンデッドのいない国境地帯へ
《ネタバレ》 欧米や本邦とはひと味もふた味違ったゾンビ作品。さりとて、それは違和感というよりも何ともホンワカとした和やかさを感じさせてくれるもので、コメディ仕立てだからということもあるのですが、それだけではない魅力を感じます。 ソンビウィルスの蔓延が化学兵器的な人為的なもので、宇宙ステーションから地上に指示を出し、ひとつの国を滅ぼして飲料水の利権を獲得する特権階級の存在、というのはゾンビ映画としては結構斬新なアイディアですね。まぁ最終的には「人間爆弾」という恐ろしい兵器でゾンビもろとも未感染者まで滅ぼしてしまう訳で、ゾンビウィルスの恐怖は何処へやらの狂暴さですが。 そして、近未来のクロアチアが殆ど崩壊しながらも世界一の水「クロアチア水」で何とか経済を維持しているというのは何とも自虐的とでも言いましょうか。そして、セルビア人との掛け合いは、ここまで言っちゃっていいの?と心配になるぐらいで、でも合作だから良いのかな?最早対立を超えて超仲良しみたいな感じ。とは言え、現実の歴史や現状に疎い私としてはヒヤヒヤものでした。更には、セルビア人はゾンビウィルスに感染しない設定で、その血液と酒で作った特効薬によって今度は新セルビア人誕生でクロアチア人を滅ぼそうとするとか結構滅茶苦茶な展開ですね。 ラスト。命からがら生き残ったモティカとフランカは、セルビア人側の収容施設で知り合った少年とともに安住の地を目指す訳ですが、大量虐殺の後だというのになんともお気楽なハッピーエンド?それとも、エンドロール後のカットに意味があるとしたら生き残りの新セルビア人が居るという意味で、だとしたら苦難は続くということでしょうか?原題の「クロアチア最後のセルビア人」というのは、単に生き残ったモティカのことなのか、それとも…彼の地の人々にとっては解り易い回答があるのかも知れません。 ハチャメチャさの裏に強烈なブラックユーモアを感じる異色作に6点献上します。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-10-31 13:09:15) |