Menu
 > レビュワー
 > Nbu2 さん
Nbu2さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 348
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順123456
>> 通常表示
21.  プラトーン
何というのかなぁ、良い食材と性能の良い道具を使用しているのにもかかわらずシェフの腕が悪いから不味かった、そんな感じの映画だな。(悲しい音楽とスローモーションを使用してというのはある意味映画人としては芸がないと思うのだがいかがなものか。役者が頑張っている分逆に力量のなさが目立つ)しかもこのシェフ、「店内は私語厳禁」位の押し付けを平気でかましてる分だけ逆に腹が立ってくる。ある意味アカデミー賞を取ったんだから、宣伝は一流なんだろうけど。
[映画館(字幕)] 2点(2007-01-11 23:59:00)(良:2票)
22.  ゴジラ(1954)
邦画史上最高の、人類愛と平和を訴えた究極の到達点。映画というメディアが存在し続ける限り、1954年は「ゴジラの誕生した年」として記憶されるだろう。ゴジラ、そしてオキシジェン・デストロイヤーと一緒に海中に消えた芹沢博士の涙は永遠に人類への警鐘となる。
[映画館(邦画)] 10点(2008-01-30 23:22:46)(良:2票)
23.  カリフォルニア・ドールス 《ネタバレ》 
映画史において「遺作」というのは基本がっかりな物が多い中、これは数少ない「観て損はない遺作」に入れても良いアルドリッチの一作。「漢」の映画を撮り続けた彼にしては扱った素材が女子プロレスというのは?であり、御都合主義でありきたりなストーリーではあるけど最後は胸熱く心躍るいつもの「アルドリッチっぷり(根性あふれるどつきあいを自分はこう呼んでいる)」に楽しくて仕方がなかった。殴られ蹴られ泥だらけでポロリもありの根性入れまくりの主演女優、ドールズ2人もさることながら2人のマネージャーを演じたフォークの演技が素晴らしい。そしてアルドリッチの演出もちゃんと彼彼女らの侘びしさや苦しみを丹念に描写しているので(個人的にはリノの超豪華なホテルでのカジノでドールズ2人がスロットに興じるシーンがつぼ)、ラストのタイトルマッチへの盛り上がり=勝って成功をつかむ、という展開に説得力がついてくると思う。あと日本の女子プロレスリングテクニックは世界一で有ることを知らしめた(最後にこれが効いてくる)ミミ萩原+ジャンボ堀コンビにプラス1点。2015年初ソフト化は、めでたい。ウィ!ウォン!ドールズ!
[映画館(字幕)] 8点(2012-11-28 15:12:47)(良:2票)
24.  お早よう
その映画人生でひたすら「家族」の来し方行く末を描いてきた監督小津。当時の関係者内からはその作風に批判的な風潮があった、と聞いていますが約50年経った今でも支持されるのは彼の描写した風景の本質そのものは時代が変わっても不変だからでしょう。でこの作品。大人の理解を超えた、子供ならではの行動を見せつけられて可笑しさが増す。オナラ遊びに気を入れすぎて「み」が出てしまった時の子供の凹みっぷり、面白すぎる。話の面白さだけではなく近所付き合いの様子(人の出入り)を捕らえたショット、流れのテンポに関しては実はものすごく工夫されたもので注目すべき点。あとこの映画の久我美子。あいらぶゆうー!
[映画館(邦画)] 8点(2008-01-13 23:58:19)(良:2票)
25.  ひろしま(1953) 《ネタバレ》 
世の中には「総合芸術たる映画」とは違った、作家監督が「自分達の主張を何とかして伝えたい・伝わって欲しい」という側面で作られた作品がある。 同年の「原爆の子(新藤兼人)」は鑑賞済であったが、恥ずかしながらこの作品は最近まで知らなかった。戦後8年経った広島。「原爆について学んでなかった・忘れようとしていた」風潮の中で人々はあの日の悪夢を思い浮かべる。この作品のポイントはやっぱり原爆の惨劇をとことん映し出した前半の群衆シーン、そこに尽きるのだと思う。正直このシーンだけで疲労感は極限に達した。...映画において「イデオロギーを声高に主張する」という方法は作家の押し付けがましさが過度に出がちな感があり、個人的な感想としては「原爆の子」「ゴジラ(’54)」には及ばない。そしてこの点(「ドイツではなく日本に原爆が落とされたのは、日本人が有色人種だからだ」台詞=松竹は「反米的」と判断)が全国上映の扉を閉じ、幻の映画となってしまったのだろう...   以上が初見時の感想(2017年)。 がこの度リマスター化したフィルムを劇場で見る機会があり、私は映画としての良し悪しとは別にこの作品に携わった関係者キャストの想い、特に「絶対に戦争を起こさない+この悲劇を風化させない」という気持ちをなんとか皆様に伝えたく、点を+2にすることにした。被爆者が語る「一番自分が経験した事を身近に感じさせるフィルム」「(実際にエキストラとして映画に参加した被爆者の証言)現実から比べたらとてもじゃないが、あんなものではない、と私たちから言えば思いますけどその体験をした人がどんどん少なくなっている現在だからこそ、何かの形で伝えていく事は絶対に必要な事なのではないかと」(ETV特集×NHK1.5chより)
[DVD(邦画)] 8点(2019-08-07 13:06:02)(良:2票)
26.  鴛鴦歌合戦
日本のミュージカル映画史上、最高の名作。こういう映画を見た時の感激はひとしお、映画ファンで本当に良かった。邦画にもこういった夢のある、明るく楽しいエンターテイメントがあったのだ!皆様機会があればぜひ。♪掘り出しもの~だよ~♪
[映画館(邦画)] 9点(2006-04-18 01:59:29)(良:2票)
27.  燃えよドラゴン
購入遍歴=セルビデオ(当時1万7000円した×2=VHSとベータもあったっけ?)、セルビデオ(3980円になった)、またセルビデオ(ワイドスクリーンになった)、LD(テレビサイズ)、LD(またワイドになった)、DVD(両面でひっくり返すのが大変)、DVD(死亡的遊戯のそれね)これが俺の「ドラゴンへの道」。でブルーレイディスクとかHD-DVDなんかででた日にゃどうすりゃいいのよって、ふう。
[DVD(字幕)] 7点(2006-04-14 23:10:05)(笑:2票)
28.  華岡青洲の妻 《ネタバレ》 
世界初の全身麻酔手術の成功を支えた嫁姑の物語=それは女としての確執から生まれた偽りの「美談」であった。監督増村・脚本新藤なので高峰秀子と若尾文子(様)のバトルはもちろん凄まじい。ただそれ以上に私には華岡青洲を演じた市川雷蔵が印象に残り、極私的彼の演技ベストファイブに入れても良いと思う。『夫に尽くすという事・理想的な妻/母であるという事は時として夫の「我が侭/エゴイズム」に女性がしたがっているだけであって、そこには女性としての幸せや生きる意味はない=女性に隷属を強いる男の狡賢さ』という(私Nbu2が考える)有吉佐和子原作小説の主題を見事に体現している演技だから。リメイクにおける竹脇無我や三浦友和、最近の谷原章介は単に「麻酔研究に情熱を燃やす医学者」華岡青洲であって、そこに雷蔵が示した「理想や成功の為に妻や母を犠牲にしたエゴイスト(しかもそういった嫁姑の協力に甘えている?という感を出すのがまた凄い)」華岡青洲は、見えない。母親於継の死がナレーション(補足:杉村春子は文芸座でこの於継役をもち役としてます。)のみで片づけられたのも青洲の名声にとっては小事でしかない+女主人の座を得た様に見える加恵も最終的にはそんな小さな扱いで終わってしまう、という意図を込めてるのでしょう。うだうだと書いてしまいましたが少なくとも最近のリメイクよりはこっちの方が迫力等上。機会があればぜひ堪能してほしいのし!
[映画館(邦画)] 8点(2013-06-13 21:39:33)(良:2票)
29.  ある日どこかで 《ネタバレ》 
「主人公が余命幾ばくもない事/偶然見かけた美人女優のポートレートに惹かれ調べてゆく内に実は過去に...」という設定にした原作の方が話の流れとしては自然なのではないかな、と思うのだが「映像化」という意味ではとても上手く出来ていると思いますよこれ。ジョン・バリー+ラフマニノフの音楽・俳優の演技(役者リーブはこの映画で100年後の映画ファンに名を残す演技をした。断じてクラーク・ケントの人では無い)、主人公が惹かれたポートレートの裏話。そしてそしてラストシーン。もちろん原作も彼女との結びつきを暗示して主人公はあの世へ向かうのだが、「絶対このようにして彼らは再会している!そうに決まっている!!」とばかりに映像として具現化されちゃうと、「時を越えて二人は永遠に結ばれたんだ」という思いが湧き出てたまらないんですよね。初見は大学生。ヌーベルバーグだなんちゃらと言ってた頃には甘っちょろい話だと蛇蝎の如く嫌っていたくらいだが、今なら言えよう。新しい波、どっか行け~! 愛しい皆様と観賞下さい。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-08-14 11:23:36)(良:2票)
30.  東京物語 《ネタバレ》 
ラスト紀子(原節子)は周吉(笠智衆)に対して告白する。東京へ出てきた老夫婦を親身になって世話した事や葬式での心遣いは単に夫を亡くした寂しさからその埋め合わせとして行ったに過ぎない、結局のところ老夫婦を邪険に扱った息子娘と変わらない存在であって偽善を振りまいている分、自分は「ずるい」のだと。これは妻を失った周吉にとって見たらある意味残酷な宣告と思う。にも関わらず周吉はそんな紀子に(邦画史上最高級の)笑顔でこう言うのだ。「あんたはやっぱり、ええ人じゃよ」と。家族=結婚し子供が出来一人前の大人に育てる為の責任+背負う物が増えてくることで、親よりも妻や子供達に比重が行ってしまう。でもそれは世代を超えた家族としての有るべき姿。周吉だって自分の親を邪険に扱いながら家族を守ってきたのだから、寂しさもあるが子供達が立派になってくれればそれでいいのだ。思いは複雑だが仕方がないと東京に出てきた老夫婦は思ったろう。そしてたとえ偽善であったとしてもそんな気持ちを恥じていて申し訳ないと素直に告白してくれた義娘に対して合わせて最大限の感謝を持っているに違いない。家族のあり方をここまで完璧に描いたこの映画、あまりにも完璧過ぎるので小津映画としては「晩春」「麦秋」等の方が好みなんだけど年を経て見るたびに胸にくる感動が強くなっていくのがわかる。笠智衆の笑顔。原節子の憂い。東山千栄子の背中。杉村春子の所作。そして何より尾道の風景。あと笠智衆の背中とため息を撮らえたラストショットは世界映画史史上屈指の名場面と思う。長年見てなかった人、もう一度見てみ!
[映画館(邦画)] 10点(2012-12-31 10:46:10)(良:2票)
31.  血槍富士 《ネタバレ》 
私も少々戸惑った一人です。「東映映画チャンバラ」のルーティンを内田吐夢は壊してしまったと感じました。つまり勧善懲悪、公明正大、清廉潔白な雰囲気を売りとした東映時代劇の進行を突然主人とその家来の死で断ち切り、ラストの十分間は妙にリアルな殺陣を繰り広げるという展開はその当時の「時流」から離れたものだったのではないでしょうか。そしてそれは満州を理想郷として追い求めた彼の挫折感の投影であると同時に、「明るく希望に満ちた旅」とはまるっきり逆の状況で死んでいった兵士や犠牲者への鎮魂歌(ラストの「海ゆかば」に私はそう解釈しました)であったのではないか、と思いました。
[ビデオ(邦画)] 8点(2006-04-16 03:09:36)(良:2票)
32.  ガルシアの首 《ネタバレ》 
初めてみた大学生の時はその良さがまったくわからなかった、という事を素直に告白しておく。が年を経て少しは人生経験を積むにつれ、このピアノ弾きの行動に痛いほど気持ちを込めてしまうのだ。一攫千金を求め何とかこの機会に這い上がりたいという想いや、どうしようも無い情婦=彼女であるけれど、支え合ってこれからの人生を築き上げたい、と考えた小さな夢とその破綻に対する悲しみ。彼女を守れなかった悔しさ。同じ女を愛していた賞金首への贖罪の気持ち。これら感情を一身に背負い演技するオーツ、最高。全(男性)映画ファンにとっての「漢の映画・必修科目」の一本。
[映画館(字幕)] 9点(2009-04-19 23:10:12)(良:2票)
33.  0課の女 赤い手錠 《ネタバレ》 
私にとって杉本美樹はまさに青(性?)春の女優であった。友達は皆、「夕ニャン」を見て「毎度お騒がせします」で中山美穂にときめいていた時に、自分は年を偽りエッチ映画館に入って一所懸命に東映ピンキー・バイオレンスを堪能していたのだった。(今にして思うとすごいおけべ野郎である。)彼女よりも美しい、グラマーな女優はたくさんいた。だか自分が彼女に惹かれたのは全身全霊で(裸つき)役に取り込む真の「ど根性」。それはどんな漢よりもたくましく、かっこよかったのだ。そんな彼女にどこまでも、ついて行きます!だったわけだ。で彼女の最高傑作は間違いなくこの一本。ある意味周りのキャストにも助けられた感はあるが、本来は可愛いキャラクターの彼女が「女番長」シリーズで築き上げた「日本のクール・ビューティ」路線はここに行き着いた。たしかに彼女は大根だったかもしれない。だがここまで上手い大根はない!とめちゃくちゃ矛盾している文章を書いてこのレビューを終わりにしよう。ここまでお付き合い下さいまして、有り難うございました。  
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-18 23:09:42)(良:2票)
34.  フィツカラルド 《ネタバレ》 
今ならCGや特撮でチャチャッと片付けてしまってハイおしまい、という事を本当に行ってしまった「山登り」のシーン。映像で見るとこの撮影当時、製作スタッフも役者も皆気が触れていたとしか思えないほどの「映画バカ一代」ぶりです。(逆にアマゾンを離れたスタジオでの撮影と思われるミニチュアを使用した激流下りのシオシオ感がまた可笑しい)ラストシーンも「もっともっとでかい花火上げたるぞ~」みたいな吹っ切れ方が好き。(監督曰く、作っていた時期が辛かったからせめて最後はハッピーに行きたかったと、DVDコメンタリーから)とは言え実際関わる人達からすればこんなはた迷惑な監督・役者はいないわけで、ある意味奇跡的なコンビだったのではないでしょうか。「キンスキー・我が最愛の敵」も一緒にどうぞ。
[映画館(字幕)] 8点(2006-05-20 14:11:47)(良:1票)
35.  ファニーとアレクサンデル 《ネタバレ》 
「サラバンド」を後年撮っているとは言え、この作品でベルイマン自身の「大河ドラマ」はここに完結した、と言ってもいいでしょう。教会関係者の子供として生まれた彼は幼い頃からキリスト教の厳格な定義に向き合った生活を余儀なくされた事で「絶対的な神」の存在に対して疑問を常に抱き続け、その存在意義を模索し続けた映画人生でありました。ある意味亡霊の見える少年アレクサンデルは下の方が述べておられるようにベルイマン自身の投影に他なりません。ラストシーンでアレクサンデルは自分を苦しめてきた養父の亡霊に生涯付きまとわれる事を感じます。これは彼自身が妥協という意味ではなく、キリスト教徒として生まれた人生に対する悟りのようなものを体感したからではないかと私は思ったわけです、ハイ。5時間版DVDがでたこともあるし、ぜひ皆様にも堪能していただきたい。小難しい話ではなく下手なサスペンス映画よりも断然面白い。特にオープニングの映像表現と養父との生活が始まる三部からの流れは圧巻!文句なし。
[ビデオ(字幕)] 10点(2007-09-14 11:39:40)(良:1票)
36.  ラヴソング
このサイトには無いが、同じレオン・ライを主演にした「都市情縁」も含めて香港映画界でも珍しく「切なさとか儚さ」を感じる彼の映画が好きだ。この映画のツボはなんといってもテレサ・テンの歌。中国からの独立を掲げ、民主自由化を公言していた台湾人である彼女の歌は当時の中国では発禁もので、中国の人々は海賊版テープを聴きながら自由への憧れを感じていた、というバックボーンがあるという事がわかるとこの映画、より一層楽しめるのではないかと。この映画で香港アカデミー賞助演男優賞をとったエリック・ツァン(映画プロデューサー、コメディアンとしても有名)、実は代役であったというのは意外な話。あとマギー・チャンのマックの制服姿、あれは微妙だなコリャ。
[映画館(字幕)] 7点(2006-05-21 11:13:34)(良:1票)
37.  月夜の願い/新難兄難弟 《ネタバレ》 
長いが昔の自分語りをさせていただく。仕事で中国深圳に滞在していた約4年間、楽しみは香港まで出てきて日系デパートの書籍店で本を買い、茶餐廳(香港式喫茶店)でミルクティーを飲み映画館で映画を見て帰る月に一度の休日であった。携帯がようやく普及、ネットはもちろん無く「冷房の効いた(涼しすぎる)映画館で暑気を乗り切る」文化がギリギリで残っていた時代。ジャッキーかMr.Booか霊幻道士くらいしか知らなかった自分が香港映画好きになったのはこの経験が大きい。現地で見る香港映画は(地元民対象というのもあったろうけど)10本中9本はこのサイトでいうなら4点とか3点くらいのものばっか。作品というより映画館の雰囲気を楽しんでた感もある。そんな自分の香港映画ライフにインパクトを与えてくれたのがピーター・チャン(あとドニー・イェン)。90年代の彼の描いた作品群「都市情縁」「君さえいれば/金枝玉葉」「ラブソング」はドンパチ/カンフーとはまた違った切なさはかなさ、暖かさという点で香港映画の新たな魅力を世界中に発信させてたと思う。でようやくレビュー。この作品、ベタベタすぎるほどのベタな人情もの/ロマンチック・コメディなんだけど監督の手腕=ドタバタ/人情劇の緩急使った演出力があるからこそ、この荒唐無稽なタイムスリップ・ファンタジーが成り立っているのだと思う。「ラブソング」が好きな方、これもおすすめ。- そして最後に照れくさいけど、かっこつけた述懐で終わらせて欲しい。トニー・レオンが彷徨いついた若き日の父親が居たあの世界は、まさしく自分Nbu2にとっての20年以上前の香港映画の映画館と同類=ノスタルジアであった、という事を。つらい事もたくさんあったけど笑って過ごしていた日々、映画館で映画を見た体験・あの時代は戻ってこないが、素敵な記憶は残る。ちょっと高めの点数なのはそういう事ですので、ご容赦ください。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2021-01-18 17:52:21)(良:1票)
38.  人生劇場 飛車角と吉良常
三島由紀夫も著書で述べているが役者鶴田浩二の最高傑作は多分「博打打ち・総長賭博」かこれ。彼は邦画史上最高の「全身耐え忍ぶ役者・男」であった。そして情念・愛情・義理・人情等人間の胸に秘めた「思い」を描き出すのに長けた名監督・内田吐夢との作品なんだからそのエネルギーが観客に響かないわけがない。出演者の豪華さもある意味「お決まりの」東映仁侠映画には珍しい。そして殺陣の凄まじさ。任侠映画初心者には私もこの映画か「緋牡丹博徒・花札勝負/お竜参上」を進めています。
[映画館(邦画)] 8点(2008-01-05 00:17:46)(良:1票)
39.  紀ノ川 《ネタバレ》 
神田神保町シアターにおける「生誕110年記念 - 中村登」特集で初劇場鑑賞。紀ノ川の流れと共に生きた(時代に)殉じた母/抗った娘/添ってゆく孫娘の三代記。なんだけどテーマたる「不変と流転」を表現するのに字幕や多い台詞でいちいち情景を語らせたり、大仰な音楽を流す事で示唆してる:「こうすりゃ観客は理解・感動するでしょ」みたいな大袈裟文藝大作、苦手なんですよね。個人的には中村監督は女性の信念/情念を描き出す事に長けた「松竹版成瀬己喜男」と勝手に思ってたので、彼の作歴中一番の知名度を誇る作品ではあるものの、身の丈合わない感を感じちゃったんですよ。但今回レビューを記載させていただくのは主演司葉子の名演ぶりに対して。昔彼女のトークショーを聞く僥倖にあずかったのですが、によると『・男性主体の企画が多い東宝映画内での自身の立ち位置・10年間女優業を続けマンネリ感・お母さまを亡くされた といった事が重なり、演技者としての自信を無くされた時期にあたっていた。それが成瀬作品「ひき逃げ(’66)」出演後、改めて演技への自信が芽生えた時にいただいたのがこの作品』『夫を早くに亡くし、未亡人として戦後を乗り越えた司さんの母親を表現したのがあの役柄』そりゃぁ名演になるわな、という説得力です。でこの後が成瀬の名作「乱れ雲(’67)」。レビュアー皆様が「作品に恵まれたならば名女優になれた」というのも納得ですよ。(司さんご自身も「小津安二郎/成瀬己喜男の若すぎた逝去は自分にとって大きすぎる位の影響があった」とひたすら残念がってたのが印象的でした) そんな訳で機会があれば。
[映画館(邦画)] 6点(2023-08-20 08:44:33)(良:1票)
40.  破れ太鼓 《ネタバレ》 
まさに古典落語の「かんしゃく」(何にでも口を出さずにはいられない怒りっぽい旦那様が巻き起こす騒動を描いた噺)の換骨奪胎版。ところがこの映画で一番印象深いのは家族にそっぽを向かれ一人になった主人公が寂しく食事を取りながら昔を思い出し涙を流すシーン。まさに哀愁を見せる事にかけては天下一品、彼に並ぶ者はいないだろう演技です。(彼の域まで達したのは渥美清くらいなモンでしょう)田村三兄弟はこの映画を見て「家にいる親父そのもの」という感想を述べたそうですから、重厚な時代劇、若しくは人情劇での印象強かった阪妻を喜劇にキャスティングした監督木下の勝利、ってとこですかね。共演者の豪華さも特筆すべき一本。
[映画館(邦画)] 7点(2008-04-21 12:48:52)(良:1票)

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS