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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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41.  ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 《ネタバレ》 
原作は日本語訳が待ちきれなくて『炎のゴブレット』以降は米語版で読んで、映画は『賢者の石』のカウントダウン上映から始まって全て初日に見て、舞台挨拶も3回行った状態な私が、冷静にこれだけを一本の映画として語る、ってのは無理っす。『ハリー・ポッター』の映画が完結するまでは死ねないね、って思ってましたが、遂に完結しちゃいました。10年、早いものです。さて、今回の映画は死人が沢山出る事もあって、シリーズ最暗。前編と違ってそんなにあちこち移動せず舞台はホグワーツに集約してゆき、全編の7割がクライマックス、みたいな状態ですが、まとまりには欠けている気がしました。何がどうしてそうなるのか、っていう流れがちゃんとできていなくて、とにかく原作の要素を繋ぎ合わせてみました、っていう。原作があまり上手でない構成なのを、映画も倣っちゃったみたい。シリーズ最短な上映時間、情感とか関係なしに、とにかくエピソードを描けるだけ描いておこうという感じで、これまでのシリーズで愛着の湧いていたキャラの最期をサラリと流し過ぎ!みたいな状態が頻発。ヴォルデモートとの最終対決に至るまでも、対決自体も、ヤケにアッサリとしたものに感じられ、最後の最後で随分と淡白な印象を受けてしまいました。それでも、よくぞ最後まで完走してくれました、と。ほぼ同一のキャストによって10年かけて7作の原作を8本の大作として完結させる、それは映画史に残る偉業とすら言えます。映画を見ている間、ずっと1作目からリンクする様々なエピソードやアイテムに、感慨深くシリーズを思い返しておりました。ラストシーンは映像と音楽が1作目にリンクしていて、大きな物語の幕を見事に下ろして。ここまで漕ぎつけてみせたのもまた、映画の持つチカラとして評価していいんじゃないかと。10年間の夢に感謝。
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-15 21:43:33)(良:3票)
42.  ミュンヘン
深夜、どっかの歌好きな監督が「こんな映画作るな!見せるな!」とキレて場を凍りつかせ、冬季オリンピックの開会式では殺された歌手がかつて作った、平和を謳う歌の詞を妻が朗読してみせ、一夜明けて私はこの映画を見ました。残念ながら、スピルバーグも私も、そして多くの人も『歌には世界を平和にする力なんてない』事を知っています。現実には甘いファンタジーなオチなんて訪れない事を。スピルバーグの基本は孤独。スピルバーグ作品において人は個であり、組織や脅威に翻弄される立場にある者。そして今回は映画作家として、人としての立ち位置そのものまでも、遂に個に置いてしまったのですね。ユダヤもパレスチナもイスラエルもアメリカも、全てスピルバーグは突き放してしまった。すっごい無謀と言うか勇気があると言うか。紛争の背景には国家があり、民族があり、思想がある、しかし殺しあうのは個々の人。本当の敵、個人を苦しめる存在がどこにいるのか、スピルバーグ映画で一貫して描かれてきた組織対個人の、これは一つの到達点なのでしょう。この映画の終わりはそのまま今の現実に地続きに繋がっています。テロに対する意識を、国家や思想や民族やメディアで語るのではなく、個のレベルにまで突き詰め、一人一人に突きつける映画、ゆえにあちこちの団体の映画に対する怒りもごもっともでしょうが、この映画を受け止めた個人が他の意見に惑わされる事なく何を考えるかが重要なのだと思うのです。スピルバーグの映画を見ると、彼は人を信じていない、人に絶望しているフシが感じられる時が少なからずあるのですが、だからこそギリギリのところでなんとか信じたいと渇望しているのではないかなぁ。若手からいつの間にか巨匠となったスピルバーグが、あらゆる面で残された時間はもうそう長くはない事を自覚して本気出してきてる映画、ゆえに受け手としてもマジに真正面から受け止めるべきだと思うのでした。
[映画館(字幕)] 8点(2006-02-11 20:03:22)(良:3票)
43.  モンスター・ホテル 《ネタバレ》 
 メイヴィスが本当に可愛いのね。だからとーちゃんの気苦労もよーく判ります。   話の殆どはホテルの中だけで展開する、娘をホテルの外に出したくない、ずっと傍に置いておきたいヴァンパイアの話で、そこにはかつて妻を人間に殺された過去があり、モンスターという個性は世界から隔絶・秘匿された存在でなければならない、っていう背景があって。  作品には娘の自立心を尊重しなければならないという主張が存在していて。『アナと雪の女王』より先行して同じネタを扱ってますね。   でも、その肝心のメイヴィスが惚れてしまう人間の男がどうにもこうにもただのバカで、アレに惚れちゃうあたりのセンスに甚だ疑問を抱いてしまった訳で、メイヴィスって人格(ヴァンパイア格?)そのものの評価が下がってしまうレベルなんですが、これは後に英語版をブルーレイで見た時点で理解できたっていうか、英語版はそんなにバカじゃないです。日本語吹替版のオリラジ藤森、アイツがあの芸風そのまんまの喋りで吹き替えやがるから途轍もなくバカなわけで。  それと正直なところ、芸達者な山寺宏一の声も洋モノアニメで聴き過ぎて(『アラジン』のジーニーとか『シュレック』のドンキーとか『アイス・エイジ』のマニーとか)オリジナルな個性が消えてしまっています。  なので英語版ならば9点です。英語版はメイヴィスのキモチがきちんと見えてきますから。   現代の人間達が過去と違ってモンスターに対してとても好意的です、っていう設定は都合が良過ぎる感じがしますが、差別の無い世界への希望を描いていると解釈したいと思います。子供達に、その無限の可能性を指し示している映画なわけですから。
[映画館(吹替)] 7点(2014-08-14 23:05:28)(良:3票)
44.  学校の怪談4 《ネタバレ》 
賑やかなドタバタを繰り広げた前3作とはガラリと趣向を変えて、日本の風景の中に展開する幽霊話となった今作は、『2』でチラリと感じさせた郷愁が前面に押し出されています。時を隔てて津波で死んだ子供達が救済される物語は、深い味わいを持って描かれ、良質な和風ファンタジーへと昇華されていると思います。これは本当に、「日本の映画」ですね。
[映画館(邦画)] 8点(2003-11-24 15:39:16)(良:3票)
45.  グリズリー
クマちゃん「ごふごふ~」→人間「きゃー」→クマちゃん「ごふごふ~」→作りものの熊の手ぶ~ん→ちぎれた腕飛ぶ→クマちゃん「ごふごふ~」→血まみれ人間ごろん。全編この調子。クマちゃんが「角砂糖ちょうだい!」としか言ってなさそうな映像ばっかりで、なかなかに楽しい映画です。真剣に見ようとさえしなければ。あ、映画自体は「ジョーズ」のパクリですが、メインタイトル部分だけは「タワーリング・インフェルノ」のパクリです。音楽だけは威勢いいです。
[映画館(字幕)] 2点(2003-11-23 01:18:20)(笑:3票)
46.  感染列島 《ネタバレ》 
多くの人が頑張って、苦労して作ったであろう事が画面に表れていて、だけどそういう人々には申し訳ないのですが、酷い映画です。あまりに酷いので文句だけで本一冊書けてしまいそうですけど、スペースは限られているのでポイントだけ。映画製作の核になる方の中に「観客はとてつもなく馬鹿」って思ってる人がいるようで。映画の殆どが「説明」で作られてます。説明のための映像、説明のための台詞、説明のためのキャプション。「本当の事を言うと」って台詞に、あなたは最初から最後まで本当の事しか言ってないですよ、気持ち全部台詞にしてますよ、って。説明的な要素1つは見ている人の心を数センチ映画から遠ざけます。一体この映画、最終的に何十メートル遠ざけたやら。鳥インフルエンザを意味あり気に出しながら実は単なるミスリードの道具、余分なキャラが多すぎ(存在する意味が薄かった脇キャラにまでキャプション付ける意味がどこにあったの?)、全編説明ばっかりなのにキャラの行動は突飛で理解不能、本質はただの悪趣味な娯楽エンターテイメントだった映画は、最後、まるでデキの悪い韓国映画みたいに単なる男女の悲劇へと矮小化し収束しちゃう・・・。本題が最後には蛇足みたいになっていて、一体どういう感性がこういうモノを作り出しちゃうんだろ?と頭をヒネるばかりなのでした。ところで、ごく一部の「キレイに死ぬ人」は他の多くの「血まみれで死ぬ人」と一体ナニが違うのぉ?
[映画館(邦画)] 2点(2009-01-25 18:21:31)(良:3票)
47.  ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 《ネタバレ》 
 アタシはゲーム好きではあるけれど贔屓がセガ~マイクロソフトというイバラの道を歩んでいるので京都のヒゲ親父はメガドライブ版『テトリス』発売中止事件以来の宿敵だと一方的に思っているわ。  とは言え任天堂ハードもファミコン以降全て(バーチャルボーイまで含めて)購入している程度にはハードオタクでもあるのでマリオもメインのシリーズは大体プレイしてるのね。『2』は1-1で100人マリオやったってクリア無理って状態だけど初代、『3』『ワールド』くらいはクリアしてるわ。『64』以降、途中で飽きちゃうのだけど。  ってコトで宿敵マリオの映画、わざわざ10日間限定のスーパーマリオシアターで見てきたわ(あくまでファンではないわよ、ワクワクでかけました、とかじゃないからね!)。   さっさと結論から言っちゃえばマリオでこその映画。  ハッキリ言ってアメリカ産CGアニメーション映画としてのデキは平凡。ここ数年の諸作品と比較してもクオリティはそんなに高くない方ね。毎回そんなに予算かけないイルミネーション作品としても『ミニオンズ・フィーバー』や『SING2』よりも野暮ったいデキよ。  物語やエピソード、映像に特に新鮮な、そして刺激的な要素は感じられない、保守的な作りってイメージで、それはゲームとしての『マリオ』の現在の保守的なカンジが反映されてるのかしら?って気もするわ。発売当時革新的だった初代、挑発的でマニアックに走った『2』に比べると『3』以降は広い世代にアピールして間口の広い可愛らしい(媚び媚びな)ゲームへとなっていったわ。そのニオイが映画からも感じられて、ヌルいわね、って印象。  ちょっと現代的な感覚があったのはピーチ姫が動きまくって活躍する点ね。ヘタするとマリオなんかより主役よ。助けなくっちゃならない昔のピーチ姫ポジションはルイージで、ピーチ姫は国を背負って立ち上がるわ。   『マリオカート』や『ドンキーコング』『ルイージマンション』なんかの要素を盛り込みつつ展開する世界はマリオや任天堂のゲームに触れてきていれば楽しいし(『パルテナの鏡』懐かしかったわね)、そうでなければ短尺ながらダルめ。もっともマリオ知らずにこの映画見に行く人なんていないでしょうから、これで正解なんでしょうけど。   ベタな既成曲を何曲も使ってしまったり、ブルックリンの配管工としての生身な人間としてのマリオ兄弟を長めに描いたり、ピーチ姫の出自を匂わせつつも全く何も解決させないあたりに疑問を抱きつつ、まあこんなモンでしょう、って納得しちゃったりするのはイルミネーションと任天堂の成せるワザってところかしらね。クッパの人間(?)性に特殊なアクセントがあったあたりでまあまあ、少しはアレだわね。  もう少し弾けてても良かったんじゃない?とは思うのだけど。
[映画館(吹替)] 5点(2023-04-29 15:44:02)(良:3票)
48.  クラウド アトラス 《ネタバレ》 
 個人、集落、組織、コミュニティ、そんな「個」と他の「個」とを隔てるもの、繋ぐもの。   隔てるものの象徴として繰り返し描かれるのはドアや窓、壁、部屋、門。それを破って侵入してこようとするものの存在や、逆にそれを破る事で事態を打破しようとする行為、隔てるものは「個」を守るものであり、孤独や無知の象徴であり。   一方、繋ぐものの象徴は橋やロープ、そして船や車、飛行機等の様々な乗り物。外に広がって他者との繋がりを志向する意識。自由や正義を獲得しようとする意志。更に橋からの落下のイメージや事故の描写が、その意志を妨げるものとして時代をまたいで反復されて。   めまぐるしく変わりながら点描されてゆく時代と人。「個」としての無数の点はやがて枝を伸ばして広がり、他の点との繋がりを示し、円を構成し、他に形成された円と交わり、やがてその全体が世界を構成してゆく・・・。6つの時代の6つの円が時を超えて交わり『クラウド アトラス』という作品を(そして曲を)作り上げている訳ですね。   1つ1つのエピソードや美術的なイメージはどうも凡庸な感じが無きにしもあらずではあります。エピソードの繋がりも必ずしも必然を感じさせるものではなかったりしますし。また、特殊メイクは無理矢理過ぎて「それはないわ」と思ってしまうものも多数。  ですが反復されるイメージによって段々と世界が形を成してゆく感じはとても面白く、興味深く楽しめる映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2013-04-06 14:52:08)(良:3票)
49.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
飛行機の運航に関わる人々のエピソードが盛り沢山なものの、あまりに網羅しようとし過ぎて薄くなってます。『大空港』的なるものを目指した感じがありますが、『エアポート'75』あたりの薄さになったような。どのドラマも半端になってしまって。そして、気になったのが矢口キャラに染まった人々が、このプロフェッショナルの物語に不向きな事。ハンパなんですよ、プロの仕事をガン!って見せたいのか、コメディにしたいのか。ANAとのタイアップのせいもあってか、一大航空パニックものにできないゆえ、サスペンスとしては不発で、かと言ってPR映画としても登場人物の矢口的いい加減さで問題アリで(更にはバッドタイミングでANAの大々的な検査漏れが報道されたりして)「これ見てANA、乗りたいか?」という大変アレな状態になってしまっています。あと、伏線投げて広げるとこまでやるけど回収はしない、っていうの、矢口監督の悪いクセだと思います(新婚夫婦とか正露丸とか)。もっとミニチュア丸出しでいいので(昔の矢口監督のインチキ丸出しミニチュアに比べて特撮マトモ過ぎ)、タイアップなし、架空の航空会社を舞台に笑いもパニックもガンガン来るようなシロモノであった方が良かったのではないかと思いますが、今の日本映画の実情じゃムリですか。機上のドラマは使い古されたものばかりだったので、むしろ地上の人々に絞った方が良かったかな。
[映画館(邦画)] 6点(2008-11-15 18:29:29)(良:3票)
50.  G.I.ジョー バック2リベンジ 《ネタバレ》 
 物語は前作から続いているものの、前作の主役を早々に殺して主役交代、前作に登場したキャラの多くが行方知れずで前作には居なかったキャラが平然と中心に存在、G.I.ジョーの設定変更(前作はアメリカ政府直属の機関じゃなかったでしょ?)、前作ラストで伏線を張った悪役の一人を廃棄、子供っぽいガジェット関係を殆ど排除、笑いの要素も排除。   で、そこまで前作を完全否定して、じゃあ何かこの作品として新たな価値を獲得したのか?っていうと、これがもう全然。   新たな主役となるドウェイン・ジョンソンと、サポートに回るブルース・ウィリス。別に他の映画で幾らでも見られるような役で特に『G.I.ジョー』である事の必然は全くありません。単に銃をぶっ放したり(登場するのはほぼ普通の銃火器)殴り合いしたり、そんなモンはこの人達自身の映像としてそこら辺にごろごろと転がっている訳でしょ? 前作で確立したものを捨ててまで、それらに擦り寄らなければならなかった理由というのがよく判りません。単に作品の個性を殺しただけ。    見応えがあったのは前作のキャラを引っ張ってきた断崖絶壁でのアクションシーンくらい。あそこはこれまでに見た事がないような特異な場所でのバトルとスピードのアクション、奥行きのある構図で3Dも効果的(他のシーンは大した事がありません)でワクワク。  だけどその肝心な前作キャラの忍者二人は今回の物語からは明らかに浮きまくった存在。その上、ビョンホンがいとも簡単に正義になっちゃったりして、とにかく前作を壊したくて仕方ないんだなぁ、って印象。   シリアスなアクションにしては物語は粗だらけで真面目に見ていられるものでもありませんし。核廃絶の交渉から新兵器での脅迫までの流れが全く納得も理解もできない馬鹿馬鹿しさで、そんなところだけ前作のバカっぷりを残してどうする?みたいな。   物語だけは繋がっていても、作品のタッチも空気も世界も一切断ち切れて別物になった今作、前作のオモチャっぽいガジェット満載、子供っぽい暴走バカっぷりが大好きだった私にとっては、最悪の続編でした。
[映画館(字幕)] 3点(2013-06-08 14:43:11)(良:3票)
51.  ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
昔から変わらぬフィンチャー映画の、タイトル部分はカッコ良く(しかし撮ってるのは今回もフィンチャーとは別の存在だ)、本編はちょっとクドくて、テンポ良い編集なワリに展開は鈍重ってパターンを踏襲してはおります。もうちょっとシャープに切れないかね? 長いよ。冒頭からしばらくはシンドいシンドい。事件に関わる人の名前をだーっと羅列して、ミステリーなんだからここで人物関係を覚えましょう、って状態に辟易。しかも実は大してその人物関係が重要じゃないんだ、これが。別にここをちゃんと覚えておく必要はなかったりするんです。だけど映画が進むに従って、どんどん面白くなってゆくという。並行して描かれるミカエルとリスベットのエピソードが、一体どこでどういう形で交わっていくのか、まるで見当も付かない状態から、どんどんと相互が有機的に作用してゆくようになる状態にワクワク(一方でミステリーとしては別に何か新しいトリックがある訳でもなく、ちっとも面白くなかったりするのですが)。ゆえにラストでリスベットがそれまで殺していた人間的な側面を見せる切なさが迫ってきます。リスベットはしたたかに生き、レイプすらも予測して計画を練る訳ですが、じゃあ、あれに対してリスベットが痛みを抱いていなかった、作戦にまんまと引っかかった事への成功を喜べたのか、と言えば、決してそうじゃない事は、あの夜、リスベットが一人帰路につく後姿に悲しいくらいにこびりついている訳で。ただ、そういうリスベットの痛みにもう少しだけちゃんと寄れなかったかな、っていう感じはします。最後まで見て、事件の真相部分も含めて、やっぱり『男が作った映画』ってニオイが漂っている感じで。素材に対して大切に描いているつもりで無神経な扱いをしてしまっている感が無きにしもあらず。その部分をあまりにあからさまに扱ってしまっていて、さりとてセカンドレイプについて言及している映画って訳ではないですからねぇ。娯楽映画という名の様式が、その部分の問題を逆に浮き彫りにしてしまった感もあって、見終わって面白かったけれど、でもちょっと心にひっかかってしまう、って映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-03-26 21:15:34)(良:3票)
52.  渇き。(2014) 《ネタバレ》 
 今回もまた中島監督らしい映像の洪水っぷりなんですけど、でもこれまでと違ってちっとも面白くありません。   暴力とか悪とか、そこに魅力を感じないの。「そういうのが嫌いです!」とかっていうんでなくて、この映画のソレが類型的で表面的な感じ。暴力団絡みとか警察も含めた陰謀とか大物とかいう話になると、ああ、そっちね、って。そのウンザリする感じを決して越えてはゆきません。   加奈子って魅力的じゃなきゃダメなワケですよね。それで初めて成立する話で。ところが、そんなに魅力的なキャラに見えないんです。周囲がみんな魅了されちゃう、振り回されちゃう、そして破滅してゆく、その流れに説得力を与えるのは、少なくともあの異様にダサいダンスシーンではないハズで。  「彼女は幻影のような存在でもある」という事か、揺れ動くフレームの中、光の中、逆光の中に存在してたりする画が多いのですが、その曖昧さは決して魅力を醸すのに効果を生んではいないと思います。   シネスコ画面いっぱいに顔のアップの連続だったり情報で埋め尽くしたり、だけどなんかそれが空疎。中身が無いのにゴテゴテ飾ってるようで、それはこの映画のテーマにも繋がっているようにも思えますが、でも、その平板化した状態はシネスコの使い方が下手なんじゃない?って。   原作からしてつまんないのかもしれませんが(少なくともこの物語ではねぇ)、にしても独自の魅力でガーン!ってクるもののない、既成のイメージの寄せ集めコラージュに終始した感じで、これまでの中島作品が好きだった私としては今回、失望が大きかったです。
[映画館(邦画)] 4点(2014-06-29 00:26:48)(良:3票)
53.  巨神兵東京に現わる 劇場版 《ネタバレ》 
 ネットでの不評っぷり(要らない、ジャマ、その分ヱヴァに回せ、あの犬はないわ、アレのせいでもう一度見にいくのがツラい)が、業界が危惧するよりも早く既にその時が来ていたという残酷な現実を示しているようで。   3.11後の黙示録的な映画とも言えますが、むしろコレってミニチュア特撮の終焉を危惧している映画だと思うのですね。特番でこのままだとミニチュア特撮は終わってしまうという事が語られていましたし。  そこで「でも今、我々のウデをもってすればこれだけのモノができるんだよ」っていうのを示せていたのかっていうと、うーん・・・むしろ随分後ろ向きなモノを感じてしまって。  『のぼうの城』もこれも、樋口監督の中にある昭和版『日本沈没』への信奉ばかりが画面から迸っているようで、マンション倒壊を執拗に捉えた画などはひたすら過去の再現への拘りという感じ。   ミニチュア特撮における見立てや伝統や様式美やノスタルジーが今も通用する人というのはほんのひと握り。「メイキングを見なければこの素晴らしさは伝わらない」なんて後ろ向きまっしぐらな擁護意見まであって(映画は出来上がった作品が全てです)、この作品がその意志に反して逆効果と言うかハッキリと浮き彫りにしてしまった「ミニチュア特撮はもはや博物館行きな世界」という現実。  私自身は幼い頃に怪獣映画の洗礼を受けているのでミニチュア特撮が大好きで(『大地震』や『タワーリング・インフェルノ』『スター・ウォーズ』『未知との遭遇』といった洋モノに走りましたが)、今回は『ゴジラ』『ガメラ』無き時代にあって久しぶりの特撮を楽しめました(だけどあの中二病クサいナレーションと文字は全く要らないと思います)。でも、その映像を見ていてやはり苦しいというか切ないというか「ああ、時代は移ったんだなぁ」という感傷が大きくて。   ハリウッドではミニチュア特撮とデジタルの融合が当然のように行われていて、日本のミニチュア特撮もそこへと至るのだ思うのですが(CGの方がよっぽどお金かかる場合も多い訳で)、邦画界は意外と応用力や柔軟性に欠ける嫌いがあるのは何故なのでしょう?  過去への拘りの一編でなくデジタル技術を加味した今日的『巨神兵』ならば、もう少しアピールできたような気もしますが。どうもその意地は『ヱヴァ』を見に来た層には通用しなかったように思えるのですよ。うーん。
[映画館(邦画)] 6点(2012-11-22 17:31:26)(良:3票)
54.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 
 亜流がいっぱい出た『エイリアン』ですが、ここまで来ると本家もまたその亜流たちとさして印象変わらないようなモンで『ライフ』と比べたってどっちもどっち、くらいなモンで。相変わらずプロフェッショナルにしてはお粗末、お馬鹿な方々が出てきてはエイリアンが出たー、ギャー、ってのを繰り返すばかり。   ヒロインには決定的な何かが足らないし(映画背負って立つほどの存在感の欠如とでも申しましょうか)、各人意味もなく勝手気まま、バラバラに行動してるようにしか見えないエピソードのブツ切れっぷりだし、結構引っ張るけどオチは丸見えだし(いやもうアッチだって判ってるしYOU早くバラしちゃいなよ)。   アンドロイド同士で創造主について語ってる時点でレプリカントやりたいんか、『ブレードランナー』に繋げたいんか、って思いましたが、そこ、この映画の中でも特に面白くないところで。ダレまして。でも、そういう起源からの変遷を語るのならば、その先、人類が進化してアンドロイドとエイリアンを克服してゆくか、或いはアンドロイドかエイリアンが人類を凌駕して宇宙を支配してゆくか、そういうところまで描いてこそなワケで。広げた大風呂敷の結果が『エイリアン』~『エイリアン4』だと、それはそれで小さくまとまって終わる事になるんだなぁ、と。今考えてみれば『4』のリプリーにはその予兆みたいなモノはあった訳ですが。   エイリアンの基本設定はもう変えようがありませんから手詰まり感たっぷり。ジェリー・ゴールドスミスにオマージュ、な音楽も1作目に対する回帰志向を強調しているように感じられて後ろ向きな印象。  もっと変化したエイリアンをやるには歴史を先に進めるしかないんじゃないかと思います。大風呂敷をしっかとたたんでみて欲しいところで。
[映画館(字幕)] 5点(2017-09-25 21:47:19)(良:3票)
55.  アイアンマン 《ネタバレ》 
アイアンマンのデザインがかっちょええですなぁ。細部まできっちりデザインされていて、細かなギミックが組み込まれてて。いらん贅肉パーツをゴテゴテ詰め込んだ、デザインもへったくれもないようなどっかのロボ映画とはエラい違いです。これがガキガキと動いて戦う様は、オモチャ心を刺激してとてもワクワクさせてくれます。だから、単純にそんなメカが悪い奴らをメタメタにやっつける物語だったらば良いのですが、戦争が云々、兵器が云々ってハナシになると、いやいや、そういう事を言い出すと色々と臭ってきちゃうし、矛盾も生じてきちゃうでしょ、と。戦争は悪いんだから、戦争するヤツなんて大量殺戮だ!みたいなね。だったら米軍の兵器も破壊しときましょうよ、って。それに本題は一企業内のゴタゴタ、権力闘争をボコりあいで行いました、ってスケール小さくなっちゃうし。社長のキャラは面白いですし、グウィネス(仕事選ばない)嬢はステキだし、だからこれでもっとシンプルに悪いヤツをがしがしと倒す物語だったら最高なんですけどねぇ。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-03-10 00:43:22)(良:3票)
56.  ランボー/ラスト・ブラッド 《ネタバレ》 
 スタローンじいさん版『ホーム・アローン』ね。以上。   ってワケにもいかないのでアレコレと書いておくと、予告編見た限りでは『ランボー』が『コマンドー』みたいになっちゃった?ってカンジがしたのだけど、実際にはもっと斜め下っていうか、なんともパッとしない映画で。   まずハナシが本筋に入るまでに30分くらいかかるの。つまり物語が動き出すための事件が起こるまでに、ね。結構ダレるわ。で、さすがにそこからどんどんと展開してゆくと思ったら、ランボーへろへろ。なーんの策もなく囲まれちゃって、そこからランボー無双にでも至るのかと思ったらフルボッコよ。助けて貰って寝込んじゃって、その間にさらわれたコは酷いメに遭って・・・ねぇ。なーんの救いもない展開から最終的にランボー起動!ってなるのは映画が始まって1時間10分くらい過ぎたあたりから。残り時間あと30分よ?そのうち10分近くエンドロールよ?ってコトで、ランボーが暴れます、ってのは実はほんの20分かそこら。それまでずーっと鬱々とした展開につきあうハメになるのね。  そしてその肝心のクライマックスも、残酷虐殺装置の描写が連なってるだけね。どういう流れで相手を倒してゆきます、っていうのは無くて、ただ仕掛けにハマって「ぎゃあ」ってなってる悪人達の姿が羅列されてゆくだけ。  俺にあるのは復讐心だけだー、俺は憎い相手が苦痛にもがきながら死んでゆく姿が見たいんだー、って、これまでのランボーちゃんは一体何を学んできたのかしら?という元も子もない展開を経て、やっぱり俺は独りぼっちなんだー、みたいな。結局ランボーってば戦争のトラウマから抜け出すコトはできないのでした、みたいな。前作のラストシーン台無し。  ランボー自己完結しちゃうモンだから色々とほっぽりっ放しになっちゃって。助けてくれた人(登場からしばし男だと思ったわ)はどうなったの? 組織に拉致された女の子達はどうなったの? 冒頭の組織の商売相手ってアレだけの存在? っていうかメキシコ国境ってめちゃくちゃザルで、あれだと武器も麻薬も素通り天国でトランプ顔真っ赤じゃない?という数々の「?」を残して映画はランボーの過去の雄姿と共に幕を閉じるのであった~。なにそれ。
[映画館(字幕)] 4点(2020-06-30 19:53:36)(良:3票)
57.  ザ・フィースト
モンスターパニックもので、コメディで、閉ざされた空間で戦う物語、という事で『トレマーズ』の再来を期待した訳ですが、あれほどには面白くなかったというのが正直なところ。ノリとしてはむしろ『フロム・ダスク ティル・ドーン』や『プラネット・テラー』的な感じの、ヘンな人達が巻き込まれてぐちょぐちょ~、って世界。汚~い汁っ気はやたらに多いんですけど、楽しさ怖さは少な目。このテの映画の定石を崩して意外性で展開してゆくというのが売りになってるんですが、それとて想定の範囲内なんですよね。映画として徹底的に破壊と再構成をしているって訳ではなくて、単なる変化球に収まってる感じ。一方でモンスターホラーとして真面目に見ようとしても怪物としてのディティール描写に乏しく(モンスターのシーンになると途端にカメラが動き過ぎて何が起こってるのか肝心なところがちゃんと見えません。ワザとなんでしょうけれど)、登場人物は記号化されていて、あんまり面白くない、と。字幕でいちいち解説してくれる人物のイメージに頼る事で、映画としてキャラを面白くする努力を放棄しちゃってる気がして、それって本末転倒だなぁ、って。何が起こるか、誰が生き残るか判らない意外性ではマジメに作ってるハズの『ディープ・ブルー』や『ポセイドン』の方がよっぽど上だったりして。結果的には普通にB級でした。ベン&マットは「ボク達ってばタランティーノ&ロドリゲス的な面もあるのよ」みたいなのを誇示したかったのかしら? 劇場で周囲に誇示するかのように妙に大声で笑ってたマニアな人達が、その実、お寒い感じにしか思えなかったのが印象的な映画でした。
[映画館(字幕)] 5点(2008-04-01 22:00:31)(良:3票)
58.  アフタースクール 《ネタバレ》 
人のココロのウラオモテ。そんなモノに弄ばれ続けて、だけど見終わって心地よく騙されたぁ!といい気分。いや、正直なところ、激しく騙されてはいないんですよね。自分の中で「この人、そんなに悪くない、あれって絶対○してない」みたいなのがいちいち働いてるんで、どういう動機から動いてるのだろう?ってパズルを、見えて来るそばからアタマの中にどんどん組み立ててゆくようなカンジで、そう来たか!だけどやっぱりそうか!みたいな・・・判りづらいレビューだな、どうも。かなり巧妙に組み立ててあって、インチキくさい、そりゃないでしょ!ってミスリードもなく、だから各キャラクターの辿る道も筋が通っていて、終わってみれば「ああ、ステキな物語だねぇ」ってじんわり感動すらできちゃう。なかなか気持ちいい騙され方ってないのですが、これは秀逸。「なぜにスクール? 学校あんまり物語に絡んでこないじゃん?」ってカンジですが、先生が探偵に投げかけた言葉を思うと、実は学校は小さな社会であるように、社会は大きな学校なのかもしれませんね。
[映画館(邦画)] 10点(2008-06-13 15:47:25)(良:3票)
59.  チャーリーズ・エンジェル(2000)
おバカがボンクラの魂をひっ下げて怒涛の勢いで突進してくる映画に、私がナンの不満を持つでしょう? これはおバカが巻き起こした奇跡の映画です。おバカの神様が降臨なされたのです! さあ、みなさん、この映画を教典として崇め奉りましょう。おバカはあなたと共に!!って誰もついてこなさそ~。
[映画館(字幕)] 10点(2003-12-10 23:30:02)(笑:3票)
60.  ジュラシック・パーク 《ネタバレ》 
映画の感想の「人間が描けていない」という言葉にはウンザリだ~!という事で、この映画の事を書きますと、この映画の観客は、ジュラシック・パークツアーの参加者なのです。それはゲートをくぐるショットや、登場人物よりひと足お先に高圧線を越えるショットなどの一人称視点な映像に現れてますね。登場人物達は、ツアーのお仲間(誰かの人間性に強く寄った描き方、つまり過度の感情移入を与えてしまうと、この図式が壊れてしまいます)。お仲間達の話を聞き、面白い体験や恐い思いをした上で、ツアー終了、さて、あなたはこの体験を通してどう思いましたか?と。原作は営利を目的とした科学への批判の側面が強かったのですが、映画は自然と科学とが、どう共存していったらいいのだろう?という事を投げかけてきます。ラストシーン、鳥とヘリコプターの対比は秀逸でした。
[映画館(字幕)] 9点(2003-11-26 14:31:00)(良:3票)

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