1. コーリャ 愛のプラハ
特に奇をてらった演出やエピソードを挟むでもないのに、徐々に和んでいく老人と子供の変化が、実に自然に描かれていました。最後のシーンでの演奏も、割り切って現実を受け入れた老人の、本音の部分での寂しさを表しているようで、とても印象的です。シンプルながら、しっとりとした余韻のある秀作と思いました。 8点(2002-07-04 21:05:47)(良:1票) |
2. 子供たちの王様
《ネタバレ》 個人的にチェン・カイコー監督作の中で最も好きな作品。黄色い大地とは趣が少し異なる寓話性の強いムードがツボ。子供達と主人公の間に横たわる戸惑いと好奇心、それが少しずつ自分や周囲を見つめ直すきっかけなって、押しつけ感の無いゆるやかな交流となる流れは、ほんと好きです。全編通して幽かに漂うような違和感は、最後のシーンで手品を観るように結びつき、それまでのシーンには強く描かれていないある種の空虚さと切なさを新たに提示してくれると思います。当時の国の背景と教育を軸にした様々な問題や矛盾・不安を、観念的ながらしっかりと表していると思いました。大好き。 10点(2003-10-14 10:29:00)(良:1票) |
3. バルタザールどこへ行く
乾いてると思えるほど何の感情も感じさせない淡々とした撮影が、最後に捉えたロバ(僕の事ではありません)のバルタザールの瞳をとても情感深く映していたように思えたとき、清々しいほどの突き抜けた虚無感を感じました。功罪や愛憎なんてものですら、人間のちんけな部分のエゴにすぎないのかもしれません。観終わった後しばらくは爽やかに鬱生活を送れる方が多いと思います。 8点(2002-10-16 21:11:33)(良:1票) |
4. ヒート
僕とマイケル=マン監督の作品は、もうどうしようもないほど相性が悪いということを証明してくれた作品。まるでカッコ良いマネキン達に囲まれて工場の跡地に放置されてるような違和感。同監督の他の作品が駄目だとしても、好きな俳優さんテンコ盛りのこれならば大丈夫! と思ってはみたんですが見事撃沈。この監督さんのカラーが前面に押し出された時に見え隠れする人間観や社会・家族観に、少なからず抵抗を感じる。しかし、役者の皆さんへの演出なんかはわりと良く、個別にみればそれぞれにおいしく場面を作っているところをみると、本当に優れた監督さんなのだと思います。実際に出演者それぞれのファンの方に、カッコ良い役柄がある作品は? と聞いたときに本作を挙げる人はわりと多いと思う(僕自身もそうです。デ・ニーロさんやサイズモアの兄ジャなど、けっこーイイ感じ)。本作に限って言えば、個々は良くてもカラミが駄目すぎだという印象(特にコンフリクトの解決及びその周辺のところ)。 4点(2003-07-08 19:37:40)(良:1票) |
5. 黄色い大地(1984)
初めて観せていただいた邦画以外のアジア作品です。悠々と画面を占める中国の大地の迫力と、そこに住まう人々の営みが、この作品の持つ雰囲気にとてもよく合ってると思いました。時代背景を絡めて表された命題に対し、個人の心情(信条)に焦点を当て続けて描かれる作風は、大上段に振りかざされたお看板や思想性などよりも、的確に鋭くその時代が抱え込んでしまった問題を浮き彫りにしているように思えます。とっても良い作品。 9点(2003-10-14 10:45:54)(良:1票) |
6. 月のひつじ
実にゆったりとして、そしてほのぼのと和める作品でした。アポロ着陸に関する事はリアルタイムで体験してはいませんが、作中で街全体が包まれる一体感みたいなものは、昔別の事でたしかに感じたことを思い出しました。いったこともない街の、あったこともない人たちにとても親近感を持てただけで、僕にとっては素晴らしい時間でした。もぅ、すごく満足。 9点(2002-10-16 20:59:56)(良:1票) |
7. ズーランダー
良い意味で、とても豪華なコントを観ているような作品だと思いました。出演者の皆さん一人一人のノリにとても勢いがあって、最後まで笑いっぱなし。カメオ出演メンバーの豪華さもご立派です。それにしてもベン・スティラーさんとオーウェン・ウィルソンさんのコンビはほんと息が合っていて、観ていて安心っていつも思います。人類はマッキントッシュにさえモノリスの神秘を感じ取れるということを示唆する、実はとても意義深い作品(ウソ) 7点(2003-06-03 15:42:15)(笑:1票) |