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1.  ミスティック・リバー
最初、観終わった後「あれ?何か大事な伏線を見落としたかな?」とまず思った。その位このラスト・シーンは映画の約束事(観客に何らかの結末、結論、ある種の満足感を与えること)を破っているからだ。自分が見落としただけで、本当はジミーの妻がケイティー殺しの真犯人なのでは?と思ったくらいだ。しかしその視点で再度見直しても、そうではないようだ。通報電話の不自然さを見逃していたショーンにデイヴへの殺意があったと思える描写も無い。とするとこの不可解なラスト・シーンで監督は一体何が言いたかったのだろうか。唯一考えられるのは、現実の世界はこの様に不条理がまかり通り、繊細で弱い者はどこまでも被害者であり続け、冷酷で、自己保身に長けた者が真実を忘却の彼方に追いやるのもまた彼等の弱さなのだ、という全く映画的でない「現実」を表現したかったということだろうか。しかしいくら屁理屈をこねたところで、1800円と引き替えに誰もが薄々知っているこの世の不条理を観客に見せつけただけのイーストウッドを支持することなど到底出来ない。この映画を観た後に一体どういった種類の感動や、感慨を得ろというのだろうか。ハッキリ言って私はこの映画は名優の演技力でコーティングされたタチの悪いクズ映画だと思う。
0点(2004-11-22 00:40:34)(良:4票)
2.  ブラッド・ダイヤモンド
これは素晴らしい映画だよ。ズウィック監督はハリウッドの商業的制約の中で、真実を描くことを完全に貫いたと感じた。キスシーンすら無いこの映画のロマンス部分ですら余計だと感じるなら、ドキュメンタリーを観ればいいだけのこと。これは映画なんだし、これほどの社会派映画は最近観たことがない。我々平和にどっぷり浸かった日本人は、このすさまじいまでの西アフリカの現実を目の当たりにし、どう反応すべきなんだろう?映画のラストで語られる「キンバリー・プロセス」以降、紛争ダイヤが世界市場に占める割合は0.1%まで下がったとダイヤモンド業界は主張するが、抜け道はいくらでもあり、例え0.1%だとしてもそれが貧困にあえぐアフリカの庶民を殺し合いに向かわせるには十分な量だと認識しなくてはならない。はたして自分の虚栄心を満たすために、あえてそのような危険を冒してダイヤを買うべきだろうか?化学的には本物と全く変わらない人造ダイヤを嫌うのはデビアス社(ヴァン・デ・カープのモデルだろう)の宣伝にのせられてるだけじゃないのか?先進国の消費者は結論はどうあれ、一度真剣に考えてみるべきだ。観客にこれほど問題意識を植え付けられたのだから、この映画は成功したんだろう。
[映画館(字幕)] 8点(2007-04-20 16:56:25)(良:3票)
3.  ロスト・イン・トランスレーション
悲しくなるほど薄っぺらい映画だ。ソフィア・コッポラは現代人にありがちな、過剰な自意識に振り回される、空虚で平凡な人間の代表のような人だ。もっとも、彼女が自分の平凡さを自覚してしまったら、失望のあまり死にたくなるかもしれない。だから彼女に言ってあげたい。「無理に特別になろうとしなくていいんだよ、平凡さが君の個性なんだから。でも残念ながらクリエイター向きじゃない。困っている人を助けるような仕事をしてみたらどうかな?」
[DVD(字幕)] 1点(2007-12-04 00:53:33)(良:2票)
4.  スターシップ・トゥルーパーズ
バーホーベンの突出した最高傑作であると同時に戦争映画の傑作のひとつだと思う。戦争の本質(殺戮の快感と、醜悪さ、滑稽さ)を表現している所は『地獄の黙示録』と同様だが、この映画のスゴさはそれが少しも説教くさくないところ。近未来で敵を虫にしてはいるが、これは現代のアメリカのメディアを駆使した軍事国家ぶりを暗に批判していると思われる。自分達の敵は、アメリカ的価値観が通じない点では虫と同じ、と言っているようにも見える。理屈込みでも、理屈抜きでも楽しめる唯一の戦争映画。
10点(2003-09-25 13:53:48)(良:2票)
5.  コンタクト
昔のSFにはこういう上品さがあったよな・・。斬新で驚異的な想像力と純粋な知的好奇心にあふれたこの映画は、スター・ウォーズ以降に失われてしまった「真のSF映画」を思い出させてくれた。SFは絵空事や子供のための娯楽でなく、大人の血をたぎらせる壮大な夢だったよね。
[映画館(字幕)] 8点(2005-01-29 03:59:13)(良:2票)
6.  地獄の黙示録
この映画は決して安易なカタルシスを与えてくれはしない。それ故にハリウッド映画の与える安易なカタルシスに慣れきってしまった人には到底受け容れられない映画だろう。しかし、私にとってはそれこそがこの映画を何度も繰り替えし見てしまう理由だ。他人に押しつけられる最大公約数的な結論(エンディング)なんてまっぴらだ。結論は自分の頭で考え出し、それに対して責任を持つものだ。だからこの映画がエンディングを放棄してしまっているのは制作者の誠意の表明なのだ。私はそれを支持したい。あと、この映画を傑作たらしめているのは各カットの構図の完璧さだ。しっかりとした絵になっている。いかにスタッフが時間と金と頭を使ったかの証拠だと思う。特にベトコン村を急襲するシーンの構図は神憑かり的な完璧さだ。この映画はあくまでベトナム戦争を題材にした、抽象的戦争映画なので、ベトナム戦争に関する表現上のリアリティの無さはあまり問題じゃ無いと思う。
10点(2004-11-04 16:47:03)(良:2票)
7.  スターシップ・トゥルーパーズ2
前作をかなり気に入っていた私は、かなりガッカリした。前作の魅力を大雑把に(1)爽快な特殊映像(2)脳天気な青春ドラマ(3)痛快な批評精神、だとすれば、この『2』にはそのどれも存在しない。低予算ゆえの暗い画面と開放感の無い密室劇、新鮮味の無いキャラクターとストーリー、前作のスタイルを踏襲しようとしているが単なるドタバタ・スリラーになってしまっているのが今作だ。外伝としての存在は許されるが、バーホーベンの傑作の続編でないのは明らか。ティペットが監督にチャレンジしたかったのは解るが、まさに“習作”という感じで、残念ながら前作の偉大さを薄める結果になってしまった感は否めない。エンド・クレジットでバーホーベンにSPECIAL THANKSを捧げていたが、VERY SORRYにすべきだったのでは?
[映画館(字幕)] 2点(2004-06-14 22:49:01)(良:1票)
8.  バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
これって一見脳天気で明るいコメディを装っているけど、かなり非建設的で暗~い動機から出来てるんじゃないか?だって自衛隊がタイムスリップして太平洋戦争で日本を勝たせちゃうような、歴史を妄想の中で書き換えて自分勝手なカタルシスを得ようとするだけの自慰映画じゃん、これ。バブル崩壊は“第二の敗戦”っていわれるくらいだから、当時浮かれてた人達にはスッキリするのかも知れないけどさ。でもこれって下らないし、薄っぺらだよ。いい年してこんな映画を金かけて作っちゃう人達は、きっともう一度歴史をやり直す機会を与えられたところで、きっとまた同じ過ちを犯すと思うな。
[地上波(邦画)] 1点(2008-01-15 15:51:17)(良:1票)
9.  ボウリング・フォー・コロンバイン
ドキュメンタリーとしてはあんまり点はあげられないけど、映画としては手堅い作りで好感が持てる。ムーア主演の「エリン・ブロコビッチ」ってところ? にしても悪役になりきるヘストンの演技力はスゴイ(えっ演技じゃない?)。
[映画館(字幕)] 5点(2003-12-08 15:56:50)(笑:1票)
10.  ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月
つ、つまらん!!!廉価版DVDを買ったけど、ソッコー売り飛ばす。ちなみに前作は大好きですよ。それだけに、この監督の作品への愛情と理解の無さにガックリ&ビックリ。何で前作がウケたのかはきちがえている気がするし、観客をバカにしすぎ。あとタイトルは“はちきれそうなわたしの12ヶ月”にするべきだったね。
[DVD(字幕)] 2点(2006-04-09 17:55:53)(笑:1票)
11.  グッドフェローズ
少しでも犯罪者心理を知る者なら、殺伐とした世界に生きる犯罪者が本当に求めるのは“ロマン”や“男気”ではなく“ユーモア”だと言うことが解るはずだ。そういう意味ではロマンチシズムに傾きすぎた『ゴッドファーザー』よりも、この『グッドフェローズ』のユーモアに満ちた淡々とした描写の方がリアルなギャングの姿だと言えるだろう。そもそもギャングとは「自分以外を信用しない」連中であり、そんな連中がやれ「兄弟愛」だの「仁義」だのと言うのは、単に自分が身を置く世界の緊張感に耐えられないから生み出す“虚構”に過ぎない。彼等はそんな自分たちの不幸を直視しようとはしないし、“幻想”だと解らずに“ギャングの美学”に陶酔してしまう愚か者さえいる。だが結局彼等の大半が行き着くのはこの映画でも描かれるように、かつて自分が軽蔑していた“普通の生活”よりも悲惨な場所なのだ。レイ・リオッタ演じる主人公が麻薬に溺れてにっちもさっちも行かなくなる姿はユーモラスで素晴らしくリアルな犯罪者の実像だ。
[映画館(字幕)] 9点(2005-03-11 16:05:11)(良:1票)
12.  アメリカン・ビューティー
ちょっと真剣に考えてみよう。マスターベーションと本当のセックス、一体どちらがより幸福だろうか?自己の内面世界を完全に満足させる可能性があるのは前者かも知れない、しかし他者と共有した経験というのは、それだけでかなり美しいことなのだ。レスターの死に顔、キャサリンの喪失感はその事実に改めて気付いたことの証のような気がする。
[DVD(字幕)] 8点(2006-04-10 14:34:30)(良:1票)
13.  ドッグヴィルの告白
この平凡で中途半端なメイキングを観て思ったのは、まさにこの撮影現場が“ドッグヴィル”そのものの様だということ。誰からも好かれない嫌われ者(トリアー)がその世界の最高権力者だという事実の前で、ある者は子供じみた反抗心で自らを慰め、ある者は偽善的な寛容さで権力者の心に取り入ろうとする。この映画製作の現場を舞台に同じテーマを撮ったら“ドッグヴィル”よりも面白くなったのでは?と思った。しかしその度量がこの監督にあるとは到底思えない。
[地上波(字幕)] 0点(2006-01-14 16:11:42)(良:1票)
14.  キル・ビル Vol.1(日本版)
私はこの映画を笑い飛ばして終わりにする程度のものだとは思わなかった。なので結構真剣に吟味する感じで観た。で、思ったのは「もったいないな~」ということ。映画自体のコンセプトはいいのに、活かしきれてない気がする。ツメの甘いところを監督の確信犯的演出だと思うのは映画ファンとしては監督に対し失礼だと思うがどうだろう。具体的に言えば二部構成とはいえ主人公の復讐のモティベーションが明確になっていないのは致命的な失敗だ。今作ではタランティーノの作風である時間軸の前後が仇になっている感もある。もっとシンプルでもよかった。あと千葉真一の場面だが、寿司屋のシーンが無駄に長い割に印象が薄いのは何故か。ここは師匠(千葉)が弟子(ウマ)を鍛える修行のシーンが絶対必要だと思った。こういうシーンはカンフー物の定番なはずだが、何故監督がカットしたのか理解に苦しむ。キャストで言えばウマや栗山やジュリーは正解だが、ルーシーは頑張ってはいるが失敗だと思う。やはり英語のできる日本人にした方がよかった。誰かスターが必要だったのはわかるが、凄絶な過去を背負った重みを出せていない。個人的には工藤夕貴あたりが意外性もあってよかったんじゃないかと思う。全体的にいえるのは編集がマズいということ。シーンの重要性の序列がはっきりしないせいで、全体の流れがスムースでない。あと従来のタランティーノ作品の特色だったセリフ回しやブラック・ユーモア、また音楽のマッチ度もイマイチだと言わざるを得ない。まぁ彼の新境地だと見ることもできるが・・。しかしこれだけけなしてはいても、私は後編を観たいと思わずにいられないし、この映画の存在価値を疑うことはできない。それだけに監督にはもっと完璧に作ってほしかった。DVD用にもっとましなバージョンがあるなら救われるんだが。
[映画館(字幕)] 6点(2003-11-02 15:31:50)(良:1票)
15.  地獄の黙示録 特別完全版 《ネタバレ》 
私はこの映画が“マイ・ベスト・ムービー”なので、いくら未公開シーンが加わって長くなっても基本的に大歓迎です。伝説の7時間バージョンも死ぬまでに是非観たいと思うくらいです。ですが、やはりここは冷静にこの“特別完全版”で追加されたシーンについて検証したいと思います。 【要らないシーン】キルゴアのサーフボードを巡る追加エピソード~終始深刻な顔で独白していたウイラード大尉が唐突にこんなイタズラをして子供のように笑っているのは不自然です。中途半端に大尉のキャラを掘り下げるのは全体の雰囲気を損ねる危険有り。同様の理由で燃料とプレイメイトを交換するくだりも不必要。 【良かったシーン】フランス人農園のエピソード~説明的ではあるが、ベトナム戦争という背景を理解するためには、カーツの苦悩を理解するには必要。同様の理由でカーツがベトナム戦争における米兵の任務期間の問題などを糾弾する書簡を大尉が読むシーンも理解を助けてくれる。
[DVD(字幕)] 10点(2003-09-25 14:45:54)(良:1票)
16.  ロード・オブ・ザ・リング
これって正に「映画のクオリティで、延々と続くドラマが観たい」っていう欲望を完璧に満たしてない?
[映画館(字幕)] 6点(2003-12-03 02:17:51)(良:1票)

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