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1.  千と千尋の神隠し 《ネタバレ》 
「4駆だから大丈夫」と静かな森を外車で暴走したり、「クレジットカードがあるから大丈夫」と勝手に上がりこんだ店で食い散らかす父親。そして、所詮はどこかから借りてきた知識の詰め合わせでしかないカオナシ(最期は吐き出してまた無口になる)。滑稽なキャラクターたちが、自分にそういう部分がなかったか、こうはなりたくないなぁ、と“社会人”の自分らに考えさせてくれる。それだけでもスゴイ。そして、最後トンネルを振り返る千尋。現実だったのか夢だったのかはわからないが、少女があんなに変わった、本当の意味で大人になった・・・。(トンネルに入ってから)時間が経過したのかどうかもわからないが、そのわずかな時間に人間が変わる―――――。オーソドックスだけれども、すごくいいですね。ちなみに、長いこと日本に帰っていないのですが、この映画ほど日本の美しさを感じさせてくれる映像と音楽の組み合わせ、ほかにありません。観るたびに涙ぐんでしまいます。日本がもっと世界に誇るべき映画だと思います。
10点(2003-12-25 23:48:17)(良:6票)
2.  フォレスト・ガンプ/一期一会 《ネタバレ》 
社会的なサクセスばかりで、自分の一番望んだものは失った不幸な主人公。時代に翻弄されても、走り続け、そのときを一生懸命生きることの大切さ。それぞれが独自に設定したゴールに向かって走る中、ぶつかり合ったときにどこまで相手を認められるか。あえて邦題を借りるなら、ダン中尉の「(あのとき助けてくれて)ありがとう」が真の一期一会の瞬間だ。目的地(生き方)に正解はないし、残酷な現実の前では意味が無いこともある。でもそこに向かって走り続ける尊さを、それとなく教えてくれる映画だった。
[DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2010-06-27 23:01:03)(良:3票)
3.  バトル・ロワイアル
監督にどんな高尚なメッセージがあったのかは知らないが、やはり小中学生の殺人衝動を刺激してしまったのなら、大問題作だと思う。本当に、「中高生にこそ見てほしい」と思っていたなら、わかりやすく、メッセージが伝わるように作るべきだ。実際は、大人の観客に、答えを考えることを要求するB級映画にしかなっていない。事件のきっかけとなったからといって、映画を批判するのは良くない、という意見も理解できる。しかし個人的には、映画はそういう存在であってほしくない。この映画は、少年には、悪影響しか残さない映画、という気がして非常に残念。
6点(2004-06-26 02:44:42)(良:3票)
4.  もののけ姫 《ネタバレ》 
はじめて映画館で観たとき、あのラストに感動し、しばらく席を立てなかった。なるほど、どっちが悪いとも言えないんだ―――――アシタカと、サンの関係がそれを表していた。最後、緑深き丘の上で二人が別れるシーンは、その象徴だと思った。「風の谷のナウシカ」の、人間が一方的に悪い、という単純な論理から一歩踏み込んだような気がする。そしてあの、コダマが一匹だけ頼りなさげに現われる最後のシーン。あれを、生かすも殺すも人間次第ということなのか?それともあれは亡霊で、もう二度と戻ってこないことの象徴なのか?人によって意見が割れるので、おもしろかった。だいいち、始まりからして鬼気迫るものがあった。首が吹っ飛び、映画館内の子どもたちがビービー泣く。「これは子ども向けの映画じゃねぇ!」と言っているようにみえた。トトロのあとに、そりゃ酷でしょう・・・。実際、善悪の区別をはっきりさせない映画だから、テーマも大人向けだったと思う。
10点(2004-12-31 15:45:23)(良:2票)
5.  ノーカントリー 《ネタバレ》 
セリフがすべて比喩的なので、大人向けの渋い映画。運命は何十年もかけて旅し、ある日とつぜん、その人に訪れる。その人が納得しようとしまいと、それはその人が知らなかっただけ。そう考えないと納得できない事件が、世の中には多い。逆にいえば、生きるということは、偶然の連続によるもの。しかし人は、その幸運のコインをわざわざ気に留めず、ポケットにいれてしまうので気付かないだけだ。シガーという存在は、その哲学そのもの。これを(悪い意味で)実践してまわっている。だからこそ、青信号でいきなり横から追突されても、淡々としている。―――――いつからこんな世の中に・・・?これは「時代の変化」、だと信じていた。ベル保安官も、観客である自分も。「昔は良かった」、と信じたい自分がいた。しかしよくよく考えると、いつの時代もそうだったはず。最後、ベル保安官が語った父が出てくる夢に、そんな気づきを感じた。そこではじめて、主人公も観客も、“目が覚める”のだ。
[映画館(字幕)] 10点(2008-05-03 17:07:05)(良:2票)
6.  ラスト サムライ
特攻を美化したり、責任をとって切腹したり・・・と、外人はこれを観て、日本人の本質的な部分を理解できるはず。現代でも、神風特攻隊の事実が美化されて世界中でテロを巻き起こし、日本では、「死んでお詫びするしかない」の風潮が当たり前のように存在している。この映画は、淡々と「うん。日本人ってこういうのを美化するよな」と納得しながら観るべきだと思う。もっとも、それは日本人が“誇る”べきものではないと思うが。死を「無駄死に」と認めたがらない国民性がよく出ている点で、死ななくて済んだ人が大勢死ぬ不条理を強調した『プライベートライアン』と対極をなしている気もする。ちなみに、ストーリーはパッとしないが、日本人をほんとカッコよく描いてくれている。19世紀年以前の日本なんて、いまでも西洋諸国から見れば“サルの惑星”としか思われていなかっただろうから、この映画のおかげで、根本的に国際的地位が上がった気もするし、それだけで嬉しい。ただし、外人には勧められない。『インデペンデンスデイ』をしきりにすすめてくるアメリカ人みたいなもの。アホだと思われる。こういう映画をハリウッドが替わりに製作してくれたということを、ただ静かに喜んでいたい。それだけ。
7点(2004-01-21 17:06:24)(良:1票)
7.  八仙飯店之人肉饅頭
こんなにうまく中国人を表現したモノはない。セリフのひとつひとつから、中国独特の文化が香り立ってくる。警察署内でのやりとりから、刑務所内でのやりとりまで、中国を知る人が見たら、笑いが止まらない。なんてリアルな映画だろう。この映画を観ずして中国は語れない、そう言われた意味がよくわかった。ちなみに中国では、死体は1週間煮込んでトイレに流す、というのが正しい証拠隠滅法とされる。その現実に比べれば、食べた、という話のほうがまだマシだ。
7点(2004-10-28 23:55:40)(良:1票)
8.  ジュラシック・パーク 《ネタバレ》 
自分の中では『E.T』を初めて超えたスピルバーグ作品。音楽・音響・映像は、これ以上ない、っていうぐらい凄かった。ラストシーンは2つのシーンが特に印象に残った。じいさんがステッキの頭についた琥珀をもの哀しげに見つめるシーン。科学の行き過ぎや、ロマンのあり方に対する私見をああして表現できるってスゴイ!あと、ティラノサウルスが博物館ロビーで暴れるシーン。やっぱりティラノサウルスは最強だった、という少年時代からの夢を視覚的に実現してくれた。どちらのシーンも、もう鳥肌モノ。子供でも観られるよう、ギリギリのところで作っている感じがちょっともったいなかったかな。いや、子供の幼心にこそ、このテーマがしっかり伝わってほしいから仕方ないんだけど。宇宙人と友達になったら、ぜひ勧めてあげたいSF映画。
10点(2004-01-23 23:10:17)(良:1票)
9.  ショーシャンクの空に
筋として多少おかしなところはあるし、善悪の区別が極端な気もする。しかしそれでも、10点以外はつけられないほどの価値がある。最後に味あわせてくれる感動は、ほかの映画では味わえない感動である。初めて観たのは2002年のこと。8年近くもこの映画を観なかった自分が悔しかった。この8年間は、失われたも同然である。
10点(2004-01-06 14:55:17)(良:1票)
10.  市民ケーン 《ネタバレ》 
すべてを手に入れ、そして失った新聞王が、(失ったことを)いちばん惜しんだものが最後でわかる展開。人間どう生きるべきか、をそれとなく教えてくれる作品。「謎が解けるのはいまか、いまか」とハラハラさせる展開もすごいけど、ジャーナリズムへの勇気ある批判も素晴らしい。(主人公の)最期の言葉をネタにしてセンセーショナルな記事を書こうとする記者に、「人間の人生はジグソーパズル。最期の一言だけで彼の一生を表現するなんてムリだ」と諭すシーン・・・。イェロージャーナリズム批判と、独自の人生論を同時に展開してのけるという、オーソンウェルズの技量の高さがわかる。好きになるかはともかく、傑作であることは間違いない。
[映画館(字幕)] 10点(2003-12-25 23:16:41)(良:1票)
11.  プライベート・ライアン 《ネタバレ》 
救出後、ライアンが送った平凡な人生。それがいかに、この世に生まれた人間一人一人に当たり前の権利であるか、ラストの墓地シーンから、それがよく伝わってくる。だからこそ、大勢の命と引き換えに救われたライアンの、「私は本当にそれだけの価値があったのか」と激しく自問いする眼差しから、星条旗へとゆっくり切り替わるシーンは、非常に印象に残った。こういった切り口で反戦を訴えるのは、とても斬新だと思う。
9点(2004-05-21 23:41:46)(良:1票)

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