1. アイアンマン
《ネタバレ》 主人公が「死の商人」という認識は間違いでしょう。 彼は武器会社の2代目のボンボンで、実質は大番頭さんや秘書が仕切っている。普段は発明に高じたり「呑む・打つ・買う」で遊びまくっているので、分かっているようで会社の実態は知らない愛国バカ。いくら遊んでも大天才なので、彼が開発した兵器は優秀で大繁盛・・・だから女やマスコミ、株主までモテモテ。彼の自宅には秘密の研究室があり、クラッシクカーからスーパーカー、人工知能付きのロボットハンドや最新の馬鹿でかい3Dディスプレーなんかまで配置されて、いわゆる「オタクの城」だ。そう、主人公は軍事産業の中核にいながら、その実態は分かっていない「明るいオタク」という設定。だから、命からがら帰ってきたらいきなり「軍事産業やめます」な迷惑発言も平気なのだ。 ロボメカ物オタクの私としては、この点がとても気に入っている。発明をするのはどこかマッド入っている奴とか対人関係に問題のある奴とかが割合多かったハリウッド映画に、やっとマトモな技術者像が認知された形。だから、前半から中盤にかけてパワードスーツを作ってゆく過程が、娯楽映画にしてはとても丁寧に描いている。脚本家か監督か知らないが、技術の部分をクローズアップした功績はストーリー上にも反映し、見事に共鳴している。この点が他のヒーローものと違って、地に足がついた印象があり、こちらとしては嬉しかった。 エンドロール直前の最後の一言も「ヒーローものの掟」をあっさりと破っていて大爆笑!このセリフで+1点、9点献上。 [映画館(字幕)] 9点(2008-10-01 00:04:39)(良:6票) |
2. シン・仮面ライダー
《ネタバレ》 「シン・ウルトラマン」でも感じた事だが、なぜ2時間の作品にこんなに沢山の内容を盛り込む必要があるのだろう。これでは物語自体は薄っぺらくなり、過去のリスペクトをてんこ盛りにしただけの、ただただダラダラ長い作品になってしまう。この監督の実写映画で大人の鑑賞に耐えられたのは「シン・ゴジラ」だけだと感じたのは、元々が2時間の作品をリメークしたから、この愚を犯さなかっただけなんだと納得した。 さて、「シン・仮面ライダー」である。エンディングで掛かっていた「ロンリー仮面ライダー」が象徴するように、昭和の1号仮面ライダーの最大の売りは「一匹狼」の活躍にある。ショッカーは民衆を洗脳し自由を奪う悪であり、仮面ライダーは「平和と自由」を標榜するヒーローであった。組織を嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い・・・と言うのが市川森一の目指したコンセプトだと聞いている。小学3年生で初めて見た仮面ライダーは「地球防衛軍」も「科学特捜隊」もバックに居ない西部劇のヒーローを彷彿させる「孤高のヒーロー」・・・そこがカッコよかった。赤いマフラーはそんな象徴だったはずだ。 ところが、そこがごっそり抜けている。 仮面ライダーはいきなり政府機関と手を結び、政府の犬と化してしまう。理不尽な政府の殺人行為を指を咥えて見ているだけの存在に成り下がる。自分が弱かったから、武器を使わなかったから、父親が死んだと真剣に考え、その背景を知ろうともしない。自由も平和も全く背負っていない。何となく「真昼の決闘」を感じさせる「ロンリー仮面ライダー」の精神は受け継がれず、外見とBGMだけを似せてしまった似非1号ライダーを延々と見させられた感じであった。赤マフラーをつけていないニセライダーが集団でワラワラと現れた時「何人かかってこようが所詮ニセモノはニセモノ」昭和の本郷猛はそう言って一刀両断に切り捨てた。一匹狼の強さを見せつけた。「政府の犬が赤マフラーを付けるなど100年早いわ」藤岡弘の声でそう言ってやりたい。 [映画館(邦画)] 3点(2023-04-09 04:09:47)(良:6票) |
3. ゴジラ-1.0
《ネタバレ》 本作をゴジラ過去作やジョーズ、ジュラシックパークに例えるレビューが多くみられるが、技術系の自分にとっては「プロジェクトX」だった。 元整備兵の橘、元技術士官の野田の存在は言うに及ばず、「海神作戦」に参加した民間企業の面々はまさに戦後「技術立国日本」を支えてきた人達だ。彼らの多くは戦争体験を強く引きずっており、それをバネに戦後の日本を技術大国に押し上げて来た・・・そこには政府の主導も軍事的背景も関係なかった・・・その象徴なのだ。 特に橘は特攻機「桜花」を設計した三木忠直(三木は新幹線の車体設計にその技術を昇華させた)を髣髴させる。橘は自分が特攻機を整備し、兵士を死地に追いやったことを技術者として悔いている「戦争を引きずっている」もう一人の主人公だ。秋津や野田も詳しくは描かれないが、同じ思いだろうことは容易に推測できる。 脱出装置の存在を誰にも気づく形で示していく演出はその為だ。 それはオチではなく必然でなければならないからだ。 ゴジラを殺せたかどうかよりも「敷島が無事脱出できたかどうか」をまず問い合わせる橘・・・ 「俺の戦争は終わった」 彼がこういった時、不覚にも思わず涙をこぼしてしまっていた。 本作を非凡に感じるのはその為だ。 [映画館(邦画)] 10点(2023-11-26 15:16:35)(良:3票) |
4. SPACE BATTLESHIP ヤマト
《ネタバレ》 わしもレビュー1番乗りの「あにやん」さんに1票。 まず、ヤマト発進シーンのスケール感には思わず感動。 評価低めの方は「ヤマト」を知らない、というかハマってなかった世代かな? 「さらば・・・」で涙した私にゃ懐かしい台詞や宮川サウンドが、重要なシーンで 臆面もなく使われていて、それだけで感慨深いものがありました。 この映画は「ヤマト」以上ではないけど「ヤマト」以下にもなっていなくて、 アニメの世界を実写化するに際して取捨選択を間違わずにやってくれた、と思う。 惜しいのは、ヤマト原作にないギャラクティカ「エクソダス」の回のパクリを やってた事かな。ここで-1点。万感の思いを込めて9点。 [映画館(邦画)] 9点(2010-12-04 21:27:33)(良:1票) |
5. スター・ウォーズ/最後のジェダイ
《ネタバレ》 さよならスターウォーズ・・・ 見終わった時、私は思わずそう呟いていました(もちろん心の中で)。それはいい意味でも悪い意味でもこの回で「スターウォーズ」(=Ep.4)がすべて回収された回だと感じたからです。「二つの夕日」「レイアのホログラム」から始まった1大叙事詩はやはり「二つの夕日」「レイアのホログラム」を出して見事に回収されていきました。特に「二つの夕日」のシーンに思い入れの強かった私にはルークが夕陽を見ながら昇天されるシーンで涙が抑えられませんでした。 つまり今回「最後のジェダイ」が私にとっては「スターウォーズ」の最終回。あの少年が新たなルークなんだよ、新たな冒険がまた無限に繰り返されていくんだよ・・・ちゃんちゃん・・・でいいのかなぁと。あとはテキトーにディズニーさんたちがうまくやってくれる。まあ今後はお付き合い程度に見ては行くけど、今までとは同じじゃないし、「スターウォーズ」はこれで卒業・・・という思い、をひしひしと感じました。 そんな訳で採点は不能なのですが、今までの全エピソードを含めてこの作品に10点満点を献上します・・・万感の思いを込めて [映画館(字幕)] 10点(2017-12-31 22:31:16)(良:1票) |