1. イングロリアス・バスターズ
《ネタバレ》 どこをどう楽しめばいいのか、いまいちよくわからなかった。監督がここを楽しんでくれ、という感じで出してきていて、それを楽しめるのが一番気持ちいいのだけど... 冒頭の緊張感あふれる二人の俳優の芝居もおもしろかったし、とにかくブラピとバスターズ以外の俳優さんたちの演技がなんかすごくよかった。最初から最後まで、いろんな素晴らしい俳優のショーケースみたいな映画。 でもやっぱり映画はもう少し、ストーリーとかメッセージで魅せてほしいと思う。多分タランティーノ監督はストーリーよりもストーリーテリング、語り方とか語りそのものに凝る人だ。映画全体に流れる勢いみたいなものがあれば、そこに偏りぎみの映画でもいいけど、今回はちょっと血液ドロドロというか、動脈硬化というか....なんか映画のラストに突き進む勢いがなくて、なんかもう現役を引退した変態ジイサンがネチネチ攻めてくるという感じだった。それぞれ、芝居の時間が長過ぎなのかな...タランティーノ監督はトゥルー・ロマンス、レザボア・ドッグス、パルプ・フィクション、フロム・ダスク・ティル・ドーン、が好きな作品で昔のばっかりだなあ。キル・ビルもヒットしたのかもしれないけど、最近はなんか...どうなってんのかなって感じです。 [映画館(字幕)] 6点(2009-11-26 18:04:59)(良:2票) |
2. ブロークバック・マウンテン
《ネタバレ》 自分でもなぜ10点ではないんだろうと思うのですが、やはり悲しすぎる映画だからですかね。救いはないです。それだけ現実的な話です。 興味を持てない映画でしたが、ダークナイトを見たあとに、あのヒース・レジャーが出演している作品ということで鑑賞しました。 平たすぎる表現ですが「素晴らしい」映画でした。フィクションにすぎないはずなのに、現実の事件に衝撃を受けたかのように、鑑賞してしばらくしてからも映画のことが頭から離れなかったです。特にヒースが演じたイニスのことが気の毒でたまらなかったですね。幼稚な表現ですが、でも素直にそう感じました。なんとも言えないラストシーンに描写されているイニスの気持ちを必死に検証して何か希望を持ちたいと思うのですが、難しかった。どうすれば二人で幸せになれたのか?答えがないんです。イニスと一緒になって、いつまでも悲しい気持ちを引きずってしまいました。 ワイオミング在住の作家、アニー・プルーがこの物語に「気づいた」きっかけは、地元のバーに行った際にふと目にした初老の男性だったそうです。にぎやかにビリヤードをやる男の子たちにじっと目をやっていた、その孤独感漂う男性を見た時、「何か」を感じたらしいのですね。つまり、その男性がイニスのモデルです。 「愛はいつだって純粋で完璧なのに、いつも社会や、外部の何かが邪魔をしてくる」サンドラ・ブロックが何かのインタビューで言っていましたが、この映画の二人もまさにそう。イニスとジャックの愛は完璧だったけど、その完璧さゆえに逆に、周囲を巻き込んでさらに不幸になっていく。 「愛ってスバラシイ、」ではなく「人間て。。。。」って感じてしまうから、音楽、脚本、撮影、演技、すべて素晴らしい映画だと思うけど、やっぱり10点はつけられないかな。 [DVD(字幕)] 9点(2009-05-04 19:33:03)(良:2票) |
3. しあわせの隠れ場所
《ネタバレ》 サンドラ・ブロックのアメリカ版「肝っ玉母さん」ぶりが素晴らしかった。気が強く、self-determined、元気で働き者の、プチセレブ母さん。今までで一番ハマっている役ではないだろうか。実は本人には全然似ていない、マイケル役のキャスティングもかえって良かったと思う。 ファミリー物にありがちな、「子供が活躍するシーン」がいかにもな感じでちょっと白けたけど、まぁ、いいか。。 監督としては、アメリカの抱える貧困や黒人スラムの問題に踏み込みたいところかとは思うが、それでは映画のトーンが重くなり、観客が限られてしまう。 この作品は、そういったことを軽んじて描いてはいないと思うが、ストーリー上の背景として描き、多くを語らないレベルで留めている。まず楽しんで見られ、素直に感動できる作品。 アメリカを旅したことがある人なら、アメリカは国土だけじゃなく、ハートもビッグだなと感じたことがあると思う。 私もロスにホームステイした時、他人を信じて受け入れるアメリカ人の心の広さ、鷹揚さを身をもって感じた。 他人を家にあげ、泊まらせて、家族同然に一緒に暮らす。気楽にしていてね(make yourself at home)。ステイ中、この言葉を何度も聞いた。 他者を助けるという、人として当たり前の精神が、キリスト教を通じて最も基本の宗教観として、根本的に尊ばれている国なのかもしれない。 どこの国にもチャリティーという形で他者を援助しているスターは多いだろうが、血のつながらない子供を自分の家庭に受け入れているスターが多い国はダントツでアメリカだろうと思う。他人を家族とわけへだてなく助け受け入れようとするのは、やはりアメリカ独特の文化性で、日本にはないものだ。 なので今回のこの映画のストーリーは、アメリカでは、別にそれほど珍しい美談の類ではないと思う。GWに公開予定だという「プレシャス」しかり、なぜ今、こういう映画なのか... 白人優位社会だったアメリカは、本当に幸せな国になるために何をすべきかようやく見出し、やっと隣人に目を向け始めたのだろうか? それにしても、原題の「ブラインドサイド」という観客に問いかけてくるようなキリッとした感じを、もうちょっと邦題に活かせなかったのだろうか....。 [映画館(字幕)] 7点(2010-03-03 17:33:55)(良:2票) |
4. タイタニック(1997)
《ネタバレ》 娯楽映画の傑作です。史実であり、実際、人が大量に死んでいるのに娯楽映画とは不謹慎な気もしますが... 恋愛映画にはほとんど興味がないのですが、ディカプリオとケイト・ウィンスレットの演技がリアルで、軸となる若い二人の物語にすんなり共感できました。 普通に演じたらケイトの添え物にしか見えないだろう役を、ディカプリオが自分で肉付けして、すごく素敵な青年(死語)に作りあげていて感動します。ケイト・ウィンスレットも、今ものすごく株が上がっていますが、やっぱり当時から抜きんでていたんですね。今の若い女優にはなかなかない、あの線の太さがとてもいい。可憐でもセクシーでもない魅力。貴重な存在ではないかな。 いろいろツッコミどころはありますが(例えば、二人が船内のクルマの中で結ばれるシーン。私にはギャグとしか思えない演出がありました)、タイトル通りのスケールの大きさに爽快感を感じます。 文字にしてみると単なるメロドラマのようですが、ケイト演じるローズは、貴族の名を捨てても自分の信じる生き方を貫こうとする清廉な女性。無名で無一文の画家とつきあい、相手の才能に惚れこんで、あの時代にヌードにまでなる。若さゆえのハジケ方とも言えますが、なんだか気持いい。 ディカプリオ演じるジャックは、浮浪児のようでいながら、出自など気にせず、借り物のタキシードで貴族のディナーに堂々と乗り込み、楽しんで帰ってくる。 二人ともマンガや偉人伝に登場するような大物系キャラクター。 この若い二人が劇中、最初から最後まで一生懸命生きている感じがして、とても魅力的です。 [DVD(字幕)] 9点(2009-03-10 02:53:44)(良:1票) |
5. ハート・ロッカー
《ネタバレ》 それなりにまとまっていて楽しめた、というのが当初の感想。 それで6点にしていたんですが、映画の舞台は実際のイラクなのに、リアルな諸問題とは一切関係なく撮ってるってどうなの?と後になって考えさせられ、結果この評価に。考えれば考えるほど、やっぱりこの映画、根本的におかしい...現在進行形の問題を置き去りにしての映画作りは、監督の感性や人間性を疑われてもしょうがないかも。 世界中の劇場で上映される作品を作る、映画人としての良心どーのこーのなんて関係ない。アタシはこういうのが好き!みたいな感じがするところは、女性の怖さかも。 地味な内容ながら、映画としてはうまくまとまっていて、私は8点とか9点の映画並みにおおむねテンションを保って見ることができました。 ?なシーンや、妙に長く感じるシーンもあったと思うけど、あまり気にならない。映画製作のテクニックは、高いレベルに達しているからなんだと思います。 ビグロー監督の昔の映画、ハートブルーの時もそうだったと思うけど、映像がこぎれい。人物や色彩など、戦争映画にも関わらず心地よい絵作りで見ていて安心感がある気がします。女性監督ならでは? 監督が描きたかったのは命を危険にさらしてまでプロに徹する男、それにつきるのだと思います。プロフェッショナルXとか、そういう視野、視点を感じました。描く世界が極端に小さいのはそのせいでしょう。 アカデミー賞をざくざく取るような映画ではない筈ですが、アメリカ軍の登場する映画で、ひさびさに軍や米国が正面から悪として描かれてないから取れたのではないでしょうか。競合作品もなく、タナボタ。 しかし今、現在進行中のアメリカ軍の今を描いといて、反省とか批判精神を色濃くしないで作品を完成させられるって、やっぱり男性監督ではできないのでは。戦争という最大のインパクトをもたらすシチュエーションを単なる小道具として使う大胆さ…映画によってはそれがOKな場合もあるかもだけど、この場合はやはりNGでしょう。イラク側が米軍に感謝して撮った映画とかならまだしも。女性ならではの感性が悪い方向に出てしまったようでなんだか悲しい。 ジェームズ役のジェレミー・レナーがよかったけど、この映画の場合は冒頭に書いた理由で後味がどんどん悪くなってきてしまいました。 ザンネンです! [映画館(字幕)] 0点(2010-04-14 17:16:18)(良:1票) |
6. ワンダとダイヤと優しい奴ら
《ネタバレ》 私にはツボです...マヌケの全てを知りつくした人が書いて、演じてるハイセンスな映画。うすっぺらいパンに、シンプルな具材を分厚くサンドしたイギリス風のサンドイッチを思い出すような作品。 うすっぺらいパン、というのはタイトルにもなってる、ワンダと名付けた魚をこよなく愛するオッサン(ケン)のエピソード。これがきちんと冒頭と結末に来て、物語をサンドさせてるところが、何とも言えず好きです。 タイトルが出る時、おサカナがクローズアップするところで爆笑。 原題「ワンダと呼ばれた魚」から見れば、この映画の真の主役は、実はこのおサカナなんですからカメラ目線のワンダ(魚)のクローズアップを投入するのは道理ですよね。 たまりません(笑 その際流れる音楽も、ソープオペラ&メロドラマ調で最高です。 この映画はこんなにも下らないんですよ~と暗に華々しく発表されてる感じでときめきます。 私が最もツボなのはアーチーの奥さんのキャラ(ウェンディ)。 彼女とケヴィン・クライン演じるオットーとの掛け合い、最高。 オットーが口ごもりながらテキトウに言ったおかしな偽名を、しばらく経ってから完璧な再現で呼び掛けるところとか! 残忍な目をしたアメリカ人の単純バカ男を演じているケヴィン・クラインも出色だったし、アーチー役のジョン・クリーズには言うことないし、ケン役のマイケル・ペイリンもうますぎるなぁと。 人を嘲笑するのじゃなく自分を笑う類の笑いのセンスがベースだから安心して笑ってみていられました。 ジェイミー・リー・カーチスのいかにもアメリカ美人を強調したダサ系なファッション、面白いです。ほしのあきみたいなスレンダーに爆乳なグラマーぶり、すごかった。 トゥルー・ライズもまぁまぁだけど、やっぱり彼女はこの作品が一番輝いてますね。 [地上波(字幕)] 9点(2010-03-30 01:32:09)(良:1票) |
7. マイケル・ジャクソン/THIS IS IT
《ネタバレ》 映画制作というのは時間がかかるのが普通ですが、本作は映画らしくないタイムリーな作品である点がとにかく良いです。みんなが知りたいと思っている情報を、大スクリーンで伝えてくれる作品というのはもっとあっていいと思います。あまり例のない、特殊なジャンルの映画として10点にしました。 本物の音楽ライブの魅力を愛する人には、こういう作品はテンションが下がるのかもしれませんが、ライブに行ける人は限られています。もしMJが日本にコンサートしに来てくれても、私が観に行けたかどうか...また、コンサート形式だったらMJがみんなに伝えたかったことが果たして世界中のこれだけ多くの人に、深く伝わっただろうかと思いました。 地球破壊、環境破壊に関して、時間がない、とはよく言われていることです。あと4年以内に、とMJは言ってましたが、彼が最高の唄とダンスを何に捧げているかを感じとってもらうことがMJの望みなんじゃないかなと思います。MJの人柄、唄とダンス、そこに目が奪われますが、彼が伝えたかったメッセージの大きさを思うと、そのために犠牲になったんじゃないかという気さえしてしまいました。 [映画館(字幕)] 10点(2009-11-26 17:48:04)(良:1票) |
8. 少年メリケンサック
《ネタバレ》 クドカン作品ということ以外、大して予備知識なく観に行きました。 館内は若い人の方が多かったです。 上映中は、ところどころクスッとウケつつ、宮崎あおいちゃんの可愛さに感心。ラストは、え?そんな終わり???とかなり拍子ぬけ。なんか急いで店じまいされた感じ。 正直、こんな映画(失礼...を映画館の大スクリーンで観る自分てどうよ??と思いつつ、映画館をあとにしました。 しかし、意外なことに翌日、劇中のいろんなギャグやオモシロ人間のオモシロ発言や行動が効いてきて...アンドロメダ...とか、GOAとか。かんなの彼氏のしょーもない唄、その他。仕事中に思い出し笑い&きのう映画観たけど、こんなヒトが出てきたの...と周囲に教えずにはいられませんでした。 クドカン作品、映画は初めてだったのですが、面白さはテレビ以上かな。むしろ、TVよりスクリーンで観た方が、ギャグを全身に浴びられていいですね。脳への浸透度が違います。 そういう人、いるよね~、そういうとこ(人)私も着目してた!と、笑える人間観察、たくみなキャスティング、笑える会話、とにかく抜きん出ていると思います。作品中にそうやって突出している部分、何か一つ完璧な部分があると、多少のほつれなんかどうでもよくなる。 でも、ユーモア感覚のツボが違う人には、本当にどうでもいい、つまらない映画かな。 一般的な映画の定石である、ストーリーのリアルさがどう、主人公の心情がどう、というからは 全く離れている(あまり重視されてないと思う)ので。 私的には、官藤監督には これからもユニークな作品をスクリーンからどんどん発信して、みんなをむやみに、そして無意味に洗脳してもらいたい、という心境になりました。 宮崎あおいさん、あれが彼女の地かと思ってしまうほどでしたが、やったことのない演技に挑戦した作品だそうで。この若さでここまで演じられる人っていたでしょうか?凄い。 ちなみに怪役を当てられることが多いピエール瀧さん。 変な役やると、普段かもしている胡散臭さや怪しさが消えてしまうんですよね。不思議ですが...。 普通の役、あるいは普通のことをやってる時の怪しさは出ないので、怪しさ全開を目当てにピエールさんを使わないでほしいなと思います。 [映画館(邦画)] 7点(2009-03-05 21:17:45)(良:1票) |