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1.  ゴーン・ベイビー・ゴーン 《ネタバレ》 
原作は未読なのでこの作品から受けた印象のみになってしまうのですが、あそこまでの大芝居が打てるなら福祉局に裏から手を回すとか、母親本人を逮捕するのが忍びないなら薬物中毒を更正する病院へ無理やり送り込むとか、友人や恋人崩れを片っ端から逮捕して引き離すとか、違法覚悟で小さな女の子を最悪の環境から救い出す方法は他にいくらでもあったはず。関わった人々全てが子供のためだったと懸命に訴えるのだけれど、どこかが、何かが違う。それは結局、大人の事情というか余計な欲や救いようのない過去が絡んで来るからなのでしょう。そして大ドンデン返しを前提に練られたプロットのせいでもあるのかな。 この複雑さが原作ではもう少し深く描写されているのでしょうか?どうしようもない母親の存在や生活環境のリアルさが、逆に後半で展開される真相の不自然さを強調しているようにも思えました。  ただ、どれだけ話の強引さを分析してみても、苦くて辛い。アマンダがあれぐらいの大きさだったら自分の身に何が起こったのか少なからず覚えているだろうし、もっと成長すれば事件のことを知ってしまう。寝る前にお話を聞かせてくれたライオネル伯父さんが刑務所へ行った理由も、サンドイッチを作ってくれたドイルさんが刑務所へ行った理由も、自分のせいではないとは言え事件に関わったレミー刑事が死んだということも知ってしまう。その時、あの母親は支えてくれるのでしょうか。つまり真剣にアマンダの未来を心配してしまうくらい、入れ込んで観てしまったということです。これで初監督作品なんて本当に凄いなー。大人達の選択の重さがいつまでも胸に圧し掛かります。 あまりの言動に呆然とさせられた母親役エイミー・ライアンの演技も凄まじいの一言です。リアルにいそうな感じが怖かった。 
[DVD(字幕)] 6点(2009-09-15 09:21:41)(良:3票)
2.  アルバート氏の人生 《ネタバレ》 
P-12。残酷なシーンがあったら嫌だな、と思いつつ観に行きました。主人公のアルバート氏がどうして男として働く道を選んだのかは、大体予想がついたので。  舞台から映画への変換が、ちょっと上手く行ってない感じも…。カットが悪いのか繋ぎ方が不味いのか、話の展開の仕方に間の悪さを感じるのが残念。話自体も駆け足な印象はあります。113分だからもう少し尺を取れなかったのかな…。 ただ、淡々としたロドリゴ・ガルシアの撮り方は良かったように思います。  誰かが死ぬとどうしても悲しい気分が続いてしまう人には、お勧め出来ない作品かも知れません。  男装するグレン・クローズは、メイクや髪型、演技は素晴らしいけれど、目の優しさ、頬や声の柔らかさが、やっぱり男性には見えない。それが残念なのではなくて「ああ、やっぱり女性なんだな…」という不思議な実感でした。 もう一人の男性として生きるジャネット・マクティアも身長は立派で、体格も立派に装っているのですが、やっぱり目や声が女性。 男性っぽい仕草は、ジャネット・マクティアの方が上手かったように思いました。  暴力によって人生が変わり、暴力によって人生が終わる主人公アルバート氏の人生を、どう受け止めるかは個人によって違って来るかも知れません。 恋愛に対してひどく真面目なんだけどアルバート氏のちょっと、かなり的外れなやり方に腹立たしく感じる人もいるだろうし、それも理解出来るのです。  ただ、美しい娘であるヘレンの心が(同性とは知らなかったけれど)アルバート氏に動いたあの扉のシーン、そして最後の「この子はそうならないようにしよう」と微笑んで言ったヒューバートの台詞が、厳しい時代を懸命に生きたアルバート氏の人生にも意味はあったのだと、確信出来るラストでした。  パンフレットのインタビューを読む限り、主役のグレン・クローズもそう願って製作されたみたいなので。 最後に少しだけ、アルバート氏に「良かったね、無駄じゃなかったよ」と言いたくなる作品です。
[映画館(字幕)] 6点(2013-04-27 00:22:00)(良:1票)

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