1. コクリコ坂から
「思ひで」「耳すま」とこの映画を同類と捉える人が多いようですが、僕は全然違うと思う。あっちは薄口なんですが、このコクリコは薄っぺらい。ただただ薄っぺらく大した事件や演出も無く終わっていく。見終わったあとに主人公の名前すら思い出せないのはアニメとして落第点。 [映画館(邦画)] 3点(2011-07-27 22:34:16)(良:3票) |
2. インビクタス/負けざる者たち
《ネタバレ》 どうやらイーストウッドは映画というジャンルで悟りの境地を開いたようですね。ここ数年、傑作ばかり作り続けてる気がします。きっと彼はもう、どう撮れば伝えたい事を一番表現できるのか、手に取るように分かってるんでしょう。この映画でも南アの人々、黒人白人が一つになっていく様を見事なまでに上手く描いてます。自分を殺そうとした白人を赦し国を一つにしようとするマンデラ、彼の期待(ワールドカップ優勝)に応えようとするピナール。彼らが心の内で持ってたもの、それはインビクタス。決して屈しない彼らの行動によって徐々にまとまり始める国。このまとまって行く速度が丁度いい。実際はもっと色んないざこざがあったんでしょうが、そこに脱線してしてしまうとテンポが悪くなってしまいます。そして最後の決勝戦、ラグビーの知識が無い自分でもよく分かるように複雑な展開は省いてくれたようです。こういう配慮がベテラン・イーストウッド。決して余計な知識を必要としない映像を見せてくれます(まぁラグビーファンには不満があるかもしれませんが)。徐々に高まっていた感情が観客の大喝采と共に爆発。多分この涙はイーストウッドの思惑通りなんだろうな。そう感じながらエンドロールを眺めていました。 [映画館(邦画)] 9点(2010-02-11 17:30:20)(良:3票) |
3. トイ・ストーリー3
愛情、友情、別れ、出逢い。生きていく上で大切なものが全て詰まった作品。現代の子供たちに見て欲しい映画。そして現代の大人たちが見なければならない映画。素晴らしい。 [映画館(吹替)] 10点(2010-11-20 13:49:50)(良:2票) |
4. ヒックとドラゴン
急に予定が無くなったので、空いた時間に近所の劇場に足を運んだ。上映しているのは見た事あるものばかりで、この映画しか未見のものはなかった。アニメだし適当にボーっと鑑賞しようとしてたら、予想もしなかった。グイグイグイグイ引き込まれる。ドラゴン達の個性の書き分けに製作側の愛情を感じ、アバターにも引けを取らない迫力の映像に技術を見た。ドラゴンとの友情、父親との和解。至ってシンプルなストーリーではあるが、その感動は他の名作アニメと肩を並べるほど。鑑賞前にこの映画をナメてた自分が恥ずかしくなった。何と素直な映画なんだ。こういう出逢いがあるから映画はやめられない。 [映画館(吹替)] 9点(2010-12-13 15:40:46)(良:2票) |
5. ブラック・スワン
《ネタバレ》 鑑賞中は妄想と現実が織り交ざってややこしいかなと感じましたが、終わってみると単純な話なのかなと。映像と音楽はバレエを扱っているだけあって素晴らしかったですね。バレエに関する知識が皆無に等しい僕には頭の天辺から脚のつま先までその動き一つ一つが美しく感じました。感想としてはトップに立つ人間には嫉妬やプレッシャーなど色んな障害があるんだなと。特に印象的なのは母親の嫉妬。あらすじには娘に期待する母とありますが、僕はそうは思いません。娘の為に夢を諦めたこの母は確実にその事を後悔し、恨んでいるだろうと思います。娘の写真を置いて全く違った歪んだ絵を何枚も描いているのはその象徴だろうし、他にも大きなケーキを食べさせたり、主役は無理と率直に言ったり、家に閉じ込め束縛している。とてもプリマになる娘を愛しているとは思えません。この母の行動が後の漆黒の狂気を招く原因になったのではないかと。クライマックスの本番シーンはまさに圧巻でした。黒鳥の翼とあの恐ろしい目。見ているこっちの身体に鳥肌が出てきました。主演のナタリーポートマンはこのニーナ役でやっとレオンの呪縛から解き放たれましたね。この役は彼女の生い立ちと合致する部分が多かったでしょう。きっと役をするにあたって思い入れは尋常じゃなかったと思います。そういう意味ではニーナ役は彼女にしかできなかったと言っても過言ではないのかもしれませんね。 [映画館(字幕)] 8点(2011-05-11 17:47:02)(良:2票) |
6. パピヨン(1973)
この映画のメッセージ、それは「自由への挑戦」だと思った。人は「生きる」ために生きてない。「自由」になるために生きている。どんな困難にも屈せず、友情を守り、自由を目指すパピヨンのひたむきな姿が社会に雁字搦めに囚われた僕の心に深く突き刺さる。 [映画館(字幕)] 10点(2010-09-17 01:57:04)(良:2票) |
7. ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
《ネタバレ》 本当にご苦労様。これだけの大作をほぼ同一キャストで成し遂げた偉業には拍手を送らざるを得ません。確かにシリーズ中には面白くないと思ってしまうパートもありました。しかしシリーズを通し、一本の作品と考えるとこれほどの名作は少ないと思います。今回特筆すべき部分はやはりスネイプ先生の存在。パート1から常にハリーを目の敵にしていたその意味があんな儚い想いにあったとは・・・。ホグワーツでの戦闘シーンではあんな小さかった子供たちがたくましく育ち、果敢に闇の魔法使い達に立ち向う姿に感動してしまいましたね。原作を読んでないので、ところどころ良く分からない部分があったのは、「読めよ」という製作側の意図でしょうか。分かりました読みます。あと可笑しかったのはダニエルラドクリフは学生の役をしてるより、ラストの十数年後の役をしてる時のほうがしっくりきてましたねw [映画館(字幕)] 9点(2011-08-02 14:28:42)(良:2票) |
8. 荒野の用心棒
《ネタバレ》 いや、もうねセルジオレオーネとイーストウッドは完全にアホなんですよ。西部劇が好きすぎてアホになってます。敵が心臓しか狙わないと勝手に決めつけ胸に鉄板を仕込み、そこに一発だけでなく何発も撃たせるアホ。頭のいい日本人なら、んなもん1,2発撃った時点で気付くと想定し、そない何発も撃たせないでしょう。そして敵をやっつけるためにジジイからもらうダイナマイトを主人公の登場の演出のために使うアホ。頭のいい日本人ならそんな非現実的な登場の仕方はさせません。これらのアホっぷりによってこの映画はアホほどカッコいい西部劇に仕上がってます。 [DVD(吹替)] 9点(2010-03-07 04:13:49)(笑:2票) |
9. 狼の死刑宣告
《ネタバレ》 期待せずに見てたらまさかの出来にビックリ。テーマは「復讐」。主人公が息子を殺した犯人を殺し、またその犯人の身内が主人公の家族を・・・と負の連鎖を描いてます。ギャングのボスが主人公に対して放った一言「お前も俺達みたいだ」、これがこの映画のすべてであり、「復讐」という言葉が辿り着く先だと思います。実に深い台詞でした。この一言が作品に重みを与えてるように感じました。アクションシーンのカメラワークも秀逸で緊張感と躍動感を余すことなく見てる側が感じ取れるようになってます。そしてなんといってもケヴィン・ベーコンの演技力。さすがです。家族思いの父親から復讐鬼になるまでの表情の変化が演技派を物語ってます。いやぁ、見ごたえのある映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-03-24 02:23:14)(良:1票) |
10. イップ・マン 葉問
《ネタバレ》 なぜここまで評価が高いのかが不思議ですね。 確かにそこそこ見れるんだけど、ストーリーは21世紀に作られたものとは思えないくらい単純だし、皆さん仰る通りラストはロッキーを丸パクリ。最後にブルース・リーが出てくるのも取ってつけたような陳腐な演出だと思いました。ではなぜそこそこ見れるのかというとやはりアクションですかね。ドニーイェンのキレのいい詠春拳。サモハンの老体に鞭打ったワイヤーアクションなどいい感じに散りばめられていて退屈する事はありませんでした。注意してもらいたいのは宣伝文句で実話みたいな事を言ってますが、完全にフィクションですね。いくらなんでも日本人や白人があの時代に中国人相手にして空手やボクシングの試合をするわけがない。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2011-06-25 17:07:59)(良:1票) |
11. インセプション
ここまで凝られた設定、ストーリーなのに、説明が少ない。これぞノーラン映画。 人は物事に対して発見や解析をし喜びを感じる生き物。ノーランはこの人間の習性を良く分かってるんだろう。1から100まで説明して見せるのではなく、1から60まで見せて残りの40を見てる側に見つけさせたり、解釈させたり、または想像させて楽しませてくれる。ボーっと表面的な面白さを見てるだけじゃダメだ。集中し考えながら内面的な面白さを見ないと映画の本質は分からない。エンドロール、興奮覚めあらぬ状態の我々に彼は言う、「さぁ起きろ。現実がはじまるぞ」。そこに響き渡る「目覚めの合図」 [映画館(字幕)] 10点(2010-09-23 02:14:53)(良:1票) |
12. ノルウェイの森
原作未読。ただの官能映画にしか見えなかったというのが率直な感想。まぁ官能映画に分類するとそれはそれで物足りないんだけど。原作を読んでないので分からないんですが、恐らく登場人物の心理描写を画にできてない、もしくは原作から抜粋するシーンを間違えたか。時々??になるシーンがありました。きっと小説では著者の巧みな文章で上手く表現出来てて、スッと理解できるんでしょう。正直この映画だけを見ると小説「ノルウェイの森」はつまらない読み物なんだろうなと思ってしまいました。 [映画館(邦画)] 2点(2010-12-15 00:35:35)(良:1票) |
13. 忍たま乱太郎(2011)
《ネタバレ》 こういう映画は「映画を見よう」と思って見ちゃ駄目ね。「楽しもう」と思って見なきゃ。そりゃ子供向け映画なんだから細かい事いいだしたら粗は見えますよ。でもね。違うんです。この映画は違うんです。まずこの映画の良い所はとにかく役者達が楽しんでいるという事。子役から大御所までがとにかくはしゃいでいます。あの平幹二郎が!あの松方弘樹が!あの鹿賀丈史が!アホな格好でアホな事言ってアホな動きばっかしています。もうね,その姿を見ているだけで自然とニヤけてしまいますよ。基本的は子供に分かりやすいギャグで攻めてくるんですが、そのギャグをやってるのが平幹二郎や松方の兄貴ですからね。大人からすれば「ガキの使いの笑ってはいけないシリーズ」を見ているような感覚に陥りました。まぁ松ちゃん流に言えば「あんなもん誰が見ても笑うやろ」という卑怯な手でもありますがw [映画館(邦画)] 7点(2011-08-06 14:41:40)(良:1票) |
14. 第9地区
《ネタバレ》 差別の対象を人間以外の「人」、すなわち宇宙人に向けた設定が斬新で面白かった。主人公の人物像もリアルでいい。変に正義感を前に出さずあくまでエビを忌み嫌う一人の一般人を貫き倒していた。そのおかげで「ダメ男」が「漢」になる瞬間の興奮をクライマックスに持ってこれたんじゃないかなと思う。あんな気持ちの悪い、得体の知れない宇宙人の子供を「可愛い」と思ってしまった自分は製作側に完全に負かされた人間の一人だったんだろうとしみじみ感じます。 [映画館(字幕)] 9点(2010-04-12 21:42:02)(良:1票) |
15. キャタピラー
危ねぇ。演者の力量に騙されて10点付けるところだったぜ・・・。 [映画館(邦画)] 5点(2010-09-24 15:41:42)(笑:1票) |
16. BECK
《ネタバレ》 「良いアイデアないかなぁ→あ!そうだ、漫画を原作に作れば楽じゃないか!→BECKみ~っけ!→皆に絶賛される良い歌声ないかなぁ→探すのめんどくせぇ~→ま、でも声無しでゴリ押しするかw→観客ポカーン」という映画として致命的な欠陥があるので良い評価はできない。製作側に言おう、適当な素材が見つからないなら映画化しないでください。 [映画館(邦画)] 2点(2010-09-28 15:20:09)(良:1票) |
17. 許されざる者(1992)
イーストウッドの前半の老化と後半の覚醒、このシンメトリーな感じが良かったです。この映画で伝えたかったものは人を殺す事の罪深さ。数々の西部劇に出演し、さんざん人に向けて引き金を引きまくったイーストウッド流のケジメのつけ方だったんでしょう。この後からの彼の作品にはどこか崇高さが見える。きっとこの映画を製作した事で悟りの境地を開いたんでしょう。 [DVD(字幕)] 9点(2010-02-07 14:10:56)(良:1票) |
18. ショウタイム
悪くはない。エディ・マーフィーらしい映画です。デ・ニーロ目的で見ると少しがっかりするかも?ドキュメンタリー番組を通して事件を追うという斬新さはあったものの、その事件の内容があまりにも単純であっさり終わり過ぎなような気がします。でもまぁ日曜の夜9時に家族で見る娯楽映画としたらそこそこ楽しめるでしょうね。 [DVD(字幕)] 6点(2009-07-29 18:22:18)(良:1票) |
19. ヒア アフター
《ネタバレ》 相変わらずの安定ぶりで傑作を生み続けるイーストウッド監督。今回もその匠っぷりを思う存分発揮している。まず、この映画の主軸である「霊の世界」。一見するとリアリティのかけらもない、ただのファンタジーの様だ。しかし、物語はその主軸であるはずの「霊の世界」を最小限の表現に抑え、あくまで主人公ジョージ・ロネガンの言葉を通してでしか霊の言葉は語られない。こういった「霊の世界」との「距離感」が素晴らしいのである。現実離れした世界というのは近づきすぎても、遠すぎてもリアリティを失う。そしてそれらを売りとする映画がホラーやSFに分類されるのだろうけども、この映画は違う。あくまでリアリティを感じさせ、そんな世界があるような錯覚さえも起こす演出になっている。こういった繊細な映画作りができるというのが大巨匠の余裕なんだろう。ストーリーに関しても文句のつけようがない。ジョージとマーカスとマリー、この3人が徐々に近づき、出会う。このスピードが丁度いい。イーストウッドはこういう何かを交わせる時の速度というかタイミングのセンスが凄い。そして終盤、マーカスの前で交信を行うシーン、いわばクライマックスだ。薄暗い部屋で少年と霊能者が向かい合い、あの世にいるジェイソンの言葉を伝える。今思い出しても、特筆すべき程の素晴らしい台詞はなく、どちらかというと地味なシーンだと思う。なのに涙が出そうになる。周りからはすすり泣く声がいくつも聞こえた。イーストウッドマジックの一つだろう。鑑賞した人には分かると思うが、あのシーン、画面にはマーカスとジョージの二人しか映ってなかった。しかし、どうだろう、見てる人には早口で元気に話すジェイソンの顔も見えていたのではないだろうか?少なくとも自分にははっきりと見えていた。それが先に話したリアリティの具現化なんだと思う。こういった繊細な技術がクライマックスに収束する素晴らしい映画を作れるこの巨匠には感服するばかり。次回作も期待してます! [映画館(字幕)] 10点(2011-02-19 21:35:13)(良:1票) |
20. ボーン・アルティメイタム
《ネタバレ》 巧みに見せ場を盛り込んでいる構成が素晴らしい。最初の見せ場は緻密に練られた駅構内での逃走シーン。前回に増してボーンの知的な工作員っぷりが発揮されてます。カメラに映った彼を見たCIA職員達のリアクション。ボーンが彼らにとってどれだけ厄介で危険な人物かこのシーンで表現されます。次にデッシュに追いかけられるニッキーを助け出すタンジールでの追跡シーン。建物の屋上から屋上へ、部屋から部屋に忍者のごとく俊敏さで移動し、デッシュとのタイマンの末、ニッキーを助け出す事に成功。初見の時はここからニッキーとの恋が始まるのかと思ったけど、さすがジェイソン・ボーン。あの程度の女には魅かれる事はありませんでした。感心できるのは次の見せ場カーチェイス。このシーンの短さが良かったんです。駅やタンジールでのシーンはこれまでの2作品にはなかった手法だったんですが、カーチェイスシーンはその全てに存在しており、ちょっと飽きられてる感というか新鮮味がないと思います。だからあえて引っ張らず、すぐボーン誕生秘話に移動させたんでしょうね。この映画のバランスの良さはここにあると思います。そしてラスト。どこかで働くニッキーが一連の事件をニュースで見て、ニヤリ。見ている誰もが音楽とともに体を震わせたんじゃないでしょうか。 [映画館(字幕)] 9点(2010-07-02 01:12:51)(良:1票) |