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1.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
ひとつの仮想空間がクラックされただけで世界危機に陥る設定、簡単に解けるパスワード、米軍が関わるお決まりのパターンというのはマイナスではあるが、個人的にさしたる問題ではない。問題はキャラクター。侘助のプログラムによって愛する祖母が死んだ事に関して、寿命で死んだとか実行したのは米軍だとか言ってたがフォローになってない。死ぬほど後悔し、あまりの狼狽ぶりに「アンタのせいじゃないよ」と周りの人間から同情され、一生かけて償うと決心してやっと許されるレベル。それからスーパーコンピュータの暴走を引き起こした翔太に関して。祖母のためとは言え一生懸命準備していた人間の努力を無駄にし、世界危機に陥れた代償がグーパンチひとつで反省もしていない。これにはストレスを感じた。他にもウジウジした主人公に終始イライラしっぱなしだったし、主人公に当たり前のように荷物を持たせて侘助が来たら主人公をほっぽり出すヒロインは好きになれない。負けるとメソメソ泣く佳主馬。ウザいだけで可愛くない子供たち。花札前まで役に立たない女たち。キーとなるバアちゃんも感動の最終兵器たる死をもってしても心を動かされるようなものがなかった。キャラデザも個性がなくて薄っぺらく、人物を描写する気がない。リア充的雰囲気もカンに障る。 「キャラクターの行動に納得できない」「キャラが好きになれない」 というのは時かけの時にも言われていたはずだ。細田守の致命的な弱点はキャラクターだ。これを意識し改善しない限り次世代を担うアニメ監督にはなれないだろう。
[DVD(邦画)] 4点(2011-07-03 11:29:04)(良:2票)
2.  海がきこえる<TVM> 《ネタバレ》 
観てる間ずっと里伽子にイライラしっぱなしだった。方言を馬鹿にするわ、松野に酷い振り方するわ、協調性はないわ、ビンタはするわ…。通常のアニメ視点で見るなら最低のヒロインであり、それに主人公が惚れる理由もちゃんと説明されてない。せいぜい複雑な家庭環境に同情するくらいである。 あまりの内容に最初原作だか脚本だか書いた人間の人格を疑ったが、同窓会で「狭い世界に生きてたね」と当時を振り返り、わだかまりが解けるシーンにすごく共感できた。その気持ちはよくわかる。そしてこのシーンによって、この理不尽とも思える内容を作中のキャラと同じように許せるような気がしたのだ。 性格が良くない異性になぜか惚れてしまう事は現実の恋愛にはよくあることだ。思春期の子が「狭い世界」の価値観で理不尽な行動をしてしまう事も往々にしてある。一転してすごくリアリティのある世界に感じられてきた。まさに甘酸っぱい青春だ。逆に、今まで自分が見てきたアニメがいかに都合のいい、作られた世界だったかを思い知らされた気がした。が、同監督の劇場版きまぐれオレンジロードの評判を聴く限り、単純に空気が読めない人なのかもしれない(笑)いずれにせよ自分の青春時代と重なるものが多くあり、ギリギリ不快のラインを超えないあたりで青春というものが描けていたのではないかと思う。(もちろん、不快のラインを超えてしまう人が多いであろうことも容易に想像できる)
[地上波(邦画)] 7点(2011-07-16 01:08:05)(良:2票)
3.  秒速5センチメートル(2007)
ネタバレとは言えない程度に最初のシーンを紹介すると、ヒロインが突然主人公を誘うように走り出し、踏切ごしにブリッ子的ポーズをとりながらブリッ子的声でこう言う。 「来年も一緒に桜…みれるといいね」  …ウゲー、と思った。このクッサいシーンを白けた顔で見ながら私はこの映画のすべてが分かったような気がした。そして我慢しつつ視聴して、この予感が当たっていた事を確信した。例えるなら自作の黒歴史ポエムをウットリしながら朗読してる人を見たような気分。顔を背けたくなるような恥ずかしいシーンとセリフのオンパレード。加えて背景見せたげに無意味にポンポン切り替わるカメラ、死んだ魚のような目をしたキャラクター達、気持ち悪い声優の演技にうんざり。思い出語り的進行とはいえ心情を口で説明しすぎてるのも☓。見所として挙げられる背景も確かに綺麗なのだが、配色と光を誇張してリアリティがなく、綺麗に描きすぎていると思った。正直シネマレビューで酷評する気マンマンで見ていた。 が。観終わった後に妙な感情が湧いてきた。学生時代の事を思い出しながら自分もあんなだったなあと、ちょっとした感傷に浸った。綺麗なだけに見えた背景も、そういや思い出の中の風景ってあんなだよなあと評価が変わった。内容にしろ風景にしろ、自分の思い出とリンクして、何かいいものを観たような気がするのである。不思議だなと思った。 が、やはり観てる間苦痛だったのは間違いないので、この点数にした。大変惜しい映画だと思う。どっかで見聞きしたような表面的で薄っぺらい「カッコイイ」「キレイ」「感動的」な表現を捨て、真正面からモノを捉えて映画を撮って欲しい。
[DVD(邦画)] 5点(2011-07-06 10:01:15)(良:1票)

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