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1.  鍵泥棒のメソッド 《ネタバレ》 
内田けんじ作品ということで眉に唾をつけて見る。どうやって騙してくれるのか?こういうパターンか?それともこうか?なるほど、そう来たか。でももうひとひねりあるだろう…あれ?終わっちゃった。という感じ。 これはある意味で製作者に対して失礼な鑑賞姿勢である。何か仕掛けがあるだろうという先入観があるため、内容を鵜呑みにしなくなってしまうのである。別に何か約束されているわけではないのに、勝手に更なるギミックを期待し、それがなければ若干の失望をする。騙されたい症候群である。 個人的には、記憶が戻る前の方が面白かったかなあと感じた。すれ違いのまま続けていった方が好みである。その後は、多少のツイストはあるものの割と正直なサスペンス風味で、これはこれで悪くないけど香川がもう役者として突っ走っていった方がコメディ要素が強くなったか。別に強くならなくてもいいけど。 どちらかというと独特の台詞回しや交錯を楽しむ作品ではないかと思った。冒頭の結婚宣言とか、演技指導のシーンとか。部分部分に秀逸さを感じるところはあるものの、全体としてのインパクトは持つに至らなかった…というのが結論。次回作では思い切り騙して下さい。期待してます。
[映画館(邦画)] 6点(2014-07-19 20:35:47)(良:2票)
2.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 
だめだ、私は腐っている。 世評の高さと、すでに感動的なあらすじ等(パッケージに書いてあること)を見て、私はこうしたハートウォーミングな作品を見て励みにして明日から強く歩いてゆくのだ!と誓って鑑賞したが、全然乗れない。 要するに私は勝手に想像していたのだ。お金も家族も職も生き甲斐もないような人が、すごく苦労しているんだけれども、生来の優しさから他人に親切ばかりして、損ばかりして、時に騙されたりして、いよいよ追い込まれたときに天使が現れ、自分が存在しなかった場合の世界を見て、戻ってくると自分が無意識に助けてきた人たちが逆に自分に手を差し伸べてくれて…みたいな。こりゃ泣ける。さあ泣こう、と思っていたのだ。 そしたら、主人公は幸せそのものの家族に包まれ、それなりに経済力もあり、ルックスも良く(映画ですので)、問題ないでしょあなた、という気にさせられた。確かにトラブルに陥るけれども、金銭貸与業はもともと生き馬の目を抜くような世界だし、家族の励みを受けて歯を食いしばって頑張れよ、と。天使さんもこの人のところへ行くくらいなら他に行くところたくさんあるでしょ、と。 確かにラストにはカタルシスを感じるが、映画の盛り上がりに私一人置き去りにされているような気がして、だめだ、私は腐っている、と思いつつエンドマークを眺めたのであった。 
[DVD(字幕)] 5点(2014-09-13 21:39:15)(良:2票)
3.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版 《ネタバレ》 
十分に練り込まれ、十分に面白い。しかし、もっと面白く出来なかったか?というのが罰当たりな感想だった。ではどうすれば面白くなるかと聞かれると答えに窮して愛想笑いして逃げるしかないのだが。 過去におけるあるポイントに戻ってやり直し、しかし思い通りにいかず、あちらを立てればこちらが立たずを繰り返し、最終的に根本的解決を図るという展開は悪くない。ひとつひとつの未来が極端すぎるようにも思うが、それは都合上やむを得ない。俳優陣もそのたびに太ったり痩せたり汚れたりと努力し、それなりの水準を保っている。 はっきり言ってしまうと、改変前の人生の時点で主人公はケイリーとの約束も忘れ、その存在すらほぼ忘れ学生生活を楽しんでいたわけで、それで突然心を入れ替えて永遠の純愛とか悲しい決断とか言われても白けてしまう。この発端のところで乗れなかったのが私の最大のミスだった。無念だ。 なお、後に別エンディングが公開されたが、撮るのはいいとして、発表する必要があるのかどうかは疑問に思う。見比べても本編の方が断然いい…文句言っておいてキッチリ見てしまう弱き存在だ。
[映画館(邦画)] 7点(2014-05-05 16:57:48)(良:2票)
4.  ロッキー4/炎の友情 《ネタバレ》 
音楽多過ぎだと思います。政治的偏向もキツいです。主要キャラを死なせて盛り上げる手法も安易の一言です。もはやボクシングじゃないです。ストーリー短いです。ロッキーはこんな人じゃなかったです。 しかし8点をつけます…。要するに私はこのシリーズが好きなのであった。ごめんなさい。いや、ロッキー5は嫌いだけど。 結局、誰しもの心の奥底に大なり小なり潜む、闘争心とか英雄願望とか、高揚への期待とか、そうした単純な心理に右ストレートで打ち込んだ映画なんだろうな。私は弱い人間だ。だから乗せられやすいのかもしれない。音楽多いとか言っといて「NO EASY WAY OUT」を筆頭にサントラも聴き込んでる。「金曜ロードショー」のイメージが強いからか、吹き替えの方がむしろ好みだ。「お前はやれる、もっとやれる!」とか、そこら中の体育会が真似たんじゃないだろうか。機会があれば雪山を走り回りたいくらいだ。機会があればだが。 単純だなあとか空疎だなあとかシリーズのクオリティ落としてるなあとか、客観的には十分わかる意見だ。しかし人間たるもの最後は好き嫌いが物を言う。この映画が嫌いな人も多いだろう。じっくり話し合おうじゃないか。勝つ自信はないが。
[ビデオ(字幕)] 8点(2015-01-18 22:37:22)(良:1票)
5.  天国と地獄 《ネタバレ》 
どうしても「前半傑作」の感が残るのは、私が単なる娯楽好きミステリ好きな人間であり、主題を解するだけの思慮や感受性がないからであろう。映画が鑑賞者を選ぶのだとすれば、私は前半しか選ばれなかったということか。何てことだ。 誘拐事件が起こり、身代金受け渡しまでの展開はある種の密室劇にも似て、素晴らしい迫力である。演者たちの緊張感が伝わってきて、その先の展開を期待させる。しかし身代金受け渡しを終えると、一気にトーンが変わり、犯人はいきなり現れてミステリ的な興味は薄れる。もっとも黒澤監督にミステリ映画を撮っているという感覚はないだろうし、むしろここからが主題なのだが。漫然とした捜査会議をそのまま流すのもどうかと思うし、こんなのありかという捜査手法等々、引き込まれた前半からすると緊迫感の低下を感じた。 ラスト、若き山崎努氏の熱演と無機質なシャッター音の温度差が非常に印象的ではあるが、飽食の時代にダラダラ生きてきた私には主題の全ては飲み込めなかった。申し訳ありません。 
[DVD(邦画)] 7点(2014-05-04 21:13:18)(良:1票)
6.  薔薇の名前 《ネタバレ》 
原作を先に読んだ。歴史的名著とされているが、私には書いてあることの30%くらいしか分からなかった。しかし、あの「薔薇の名前」を読んだ男なのだ私は、というささやかな達成感は隠し切れないのだった。 それは置いといて、映画の方はそうした衒学的と言うか要するに難しいところはかなり削って、端正なサスペンスに仕上げている。とにかく中世修道院を再現した美術が素晴らしい。その世界観に触れるだけでも一見の価値ありである。DVDの特典映像はむしろ白けてしまうので見ないほうがいいかも。それで、肝心なストーリーだが、笑い云々のところがよく分からなかった(結局分からないんじゃないか)が、審問から迷宮の終盤に至るまできちんと盛上げてくれるのは悪くない。ただ、あの大人向けのシーンは必要だったのか…私は大喜びだったが、喜ばない人も多いだろうし、映画全体から浮いている感は否めない。私は激しく大喜びだったけど。
[ビデオ(字幕)] 7点(2014-07-19 21:37:14)(良:1票)
7.  踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 《ネタバレ》 
相変わらず組織上層部は腐り果て、現場最前線だけが正しい。こうした描き方はこのシリーズが流行らせ、警察だけではなく会社やら学校やら何やら、各映画ドラマ小説に於いてよく使われるようになった。それの是非をどうこういうつもりはないが、こういう内容で警察から抗議は来ないのか?と思ってしまった。派手な内部犯行…しかも動機不鮮明なシリアルテロリスト的な人たちが騒いでいて、上層部は抜群の無能ばかりで、私は警察関係者ではないが、そういう方々が見たら怒るかなあと感じた。 それはそうと内容だが、これまでのシリーズ要素を叩き込んで祭りに仕上げたのは悪くない。いつものようにストーリーは無茶苦茶だが(でも前作よりはだいぶマシ)、いちいち突っ込んでいては身が持たない。安心できるキャスト、訴求力のある音楽、上滑り気味のギャグ、大物俳優のチョイ出演などを楽しめればストーリーなんてどうでも…良くはないが、もういいやという気にさせられる。これがシリーズ初見の方は少ないだろうし、これまで支持してくれたファンの皆さんありがとう!あれもこれも出すよ!セットや撮影はお金かけましたよ!最後はバスが突っ込むよ!いいセリフもあるよ!だからストーリーは大目に見てね!というフェスティバル映画ということでもういいんじゃないでしょうか。 しかしファイナルという割りには人間関係を根本から動かすような大ネタはなかったので、興行収入さえ良ければまたやる気満々だったのではないかと思う。良くなかったようなのでどうなるか。
[映画館(邦画)] 6点(2014-09-28 17:49:14)(良:1票)
8.  タワーリング・インフェルノ 《ネタバレ》 
とにかく金と手間暇をかけて、二人のスターに気を使って、パニックアクションの決定版を作るべく全力が注がれた傑作。こういう豪華な映画は得てして見せ場が散漫になるものだが、長尺を飽かせない緊迫感を維持している。最近映画館で見て、やっぱりパニック映画は(何だってそうだけど)自室のしょぼいテレビではなく映画館で見た方がいいなと痛感した。 ドラマツルギー的に、社長とか市長は他人を押しのけて逃げようとするものだが今回は毅然としていたり、やっとのことで途中まで逃げ延びた婦人があっさり滑落したり、そういった意味でお約束にとどまらない脚本が良い。中盤までニューマン、それ以降はマックイーンの活躍になるのは配分的にやむを得ない。 どうしても今見ると、随時挿入されるビル全景の火災シーンが迫力不足だったり、もう火事が起こっているのに悠然と入場してくる消防隊長ってどうなのとか思ったり、突っ込みどころもある。けれど、ひとつの総決算として作られた意気込みは十分伝わる。当時の観客にもたらした衝撃は今の私達では計れない。そんなヒストリカルインパクトに敬意をこめて8点。
[DVD(字幕)] 8点(2014-05-04 21:41:29)(良:1票)

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