1. 祈りの幕が下りる時
《ネタバレ》 原作は読了。そもそも加賀恭一郎役が阿部寛と言うのが適役ではないと思っていたのですが、東野作品は好きなので見てしまいました。 マイナス点:とにかく阿部寛の滑舌が悪く、セリフが満足に聞き取れない。母親が伊藤蘭。なぜ?あの母親からあの息子が産まれる?と言うくらい顔面DNAに無理がある。無理があると言えば、若いはずの山崎努が若くない、老けているはずのミッチーが老けてない。この辺りが映像化の課題かと思います。それと、なぜ映像作品の加賀はあんなに軽いのでしょう?加賀さんは美女を見ても「超美人」とか言いません(笑) 松島菜々子は演技を頑張っていたと思いますが、ボトックスの打ちすぎでしょうか?常に能面のように表情が変わらずショービジネスの世界で生きている人には見えないんですよね。そもそも逃げ回った過去がある人が、人に注目される職業に就くのだろうか?? あのダメ母が夫の実印を使っていくら借金したのかわかりませんが、あの頃にはとうにサラ金規制法が成立しており、あのような取り立てはできないはずですし、お父さんも自己破産すればよかったのに。「白夜行」でも思ったのですが、東野作品はこの辺の詰めが甘い。よって「火車」のような身に迫る危機感を感じることができませんでした。 プラス点:14歳の博美役の女優さんがとても巧く「お父ちゃん!」だけでもらい泣きしそうになりました。泣かせようとするBGMがあざとかったけど。綜合すると2時間ドラマ枠で十分な作品かと思いました。 [インターネット(邦画)] 4点(2019-03-25 01:16:11)(良:2票) |
2. 新聞記者
《ネタバレ》 久しぶりに映画として作られた作品をみた満足感。 松坂桃李のファンではあるけれど、ここは更なる高みを目指して欲しく演技ではもう少し頑張って欲しいところ。 例えば苦悩する、窮地に追い込まれる時の表情はいいものがあるけれど、一転妻子に対しての演技が硬い。とにかく硬い。本田翼のアイドル演技の影響もあるかも知れないけれど、夫婦には到底見えず高校の演劇部のようなぎこちなさ。こなれていない。 蛇足だけど、生まれたての赤ちゃんの髪がふさふさで笑ってしまった。新生児はあんなにふさふさしてません。 ついでに言うと、妻が入院中にポストを一度も見なかった描写があったけれどあれも不自然。政府機関に勤めている人間が新聞を取っていないの??後から先輩の遺書めいた手紙を読むことに意味を持たせるため?? 内閣情報調査室の田中哲司はなかなか不気味な存在感。TV[キントリ」とは訳が違う。味のある俳優として今後上がって行けるか。もう仲間由紀恵のダンナとは呼ばれない存在になって欲しい。 吉岡役のシム・ウギョンは日本語は無理があったものの迫真に迫った演技でした。NY生まれ、母は韓国人と言う設定。なぜここまでして韓国人を起用したか?と思ったけれど、考えてみればこの役をできるような女優が日本にはいない、否少ない。お人形のようにかわいいアイドルちゃんではだめなのだ。日本の女優さん、今一度考えて欲しい。ここで日本人が起用されなかったその訳を。(ネットによると数人候補に挙がったものの、反政府の色が付くことを懸念した事務所側のNGが出たとのこと。なるほど) あの映画で描かれたことは実際にあることなのだろう。 政府にとって、政治に興味のない国民が多ければ多いほどやりやすいのだ。好きなことで生きていく動画の人達や、タピオカに並ぶおねーちゃんたちを謗る訳ではないが「政治なんて難しいし、わかんないし、興味ないしー」と言っている時ではないよ。本当にこれから、こんな映画が作れない時代になるかもしれない。 破防法や秘密保護法、なにやら真意の伝わらない法律がどんどんできている。一般人すら例外ではないのだ。 そんなことを考えさせてくれる映画だった。 「この国の民主主義は形だけでいい」納得のセリフだ。 [映画館(邦画)] 7点(2019-07-08 21:57:48)(良:2票) |
3. 花まんま
《ネタバレ》 これでもか、と言うほどバラエティ番組で宣伝していた本作品。鈴木亮平さん目当てでいそいそと観に行きました。原作未読。直木賞受賞作とのことですが、原作は短編らしいですね。短編小説として読むなら面白い作品だと思いますが、このストーリーを映画にするとなんとな~~く、つまらない。キャストは全員関西出身で固めたということで「ホンマもんの関西弁」が飛び交う。こちらは関東出身なので「兵庫と大阪では微妙に違うんですわ」と言われても「そんなん知らんがな」とひとりツッコミ。 肝心なお話はフミ子と言う美人さんと、和樹ちゅう背ぇの高いイケメンの兄がおりまして、つつましく暮らしているんですわ。両親を事故で亡くし、兄やんは高校を中退して鉄工所で働きながら妹を大学まで行かせ、その可愛い妹が結婚することになりましてん。で、その妹には幼い時から別の女性の記憶があるっちゅうから、ホンマ驚きやで。兄やんに内緒で、その亡くなった女性の家族と交流していたフミ子は、ぜひ自分の結婚式にその家族を招待したい言い出します。「ほな、そうしいや」とスムーズに事が運ぶこともなく兄やんは大反対。せやけど、その思いを汲み取った兄やんは結婚式当日に…ちゅうお話。 なんやろな。有村架純さんの表現力の問題か、演出だったのかわからんけど、主人公のわりに印象に残らない感じやねんな。別の家族への思いや婚約者への愛情が感じられず、ただ兄やん一人が怒って、泣いて、走り回って、結婚式当日に遅刻してまで別の家族を式へ連れて来る。ここでや、台本を変えて鈴木亮平さんの「泣けるスピーチ」が始まるねんけど。 自分には別に感動もなく、他のレビューで読むほど心震える感動はなかったです。やはり設定が自分には荒唐無稽すぎて合わへんねん。亡くなった女性の記憶を持つって人がいきなり訪ねて来て、それを受け入れる人っています??? フミ子が生まれると同時に、ある女性が亡くなって、その魂がってこと?なんだかその設定も安直だなぁ。 亡くなった両親が「フミ子のこと頼むで、兄ちゃんやろ」みたいなシーンのCGだか、アニメには興ざめ。 妹が生まれたシーンで父親が「別嬪や、この子が嫁に行くときにはどーたらこーたら」言うシーンもな~んだかね。人にもよるだろうけど、父性って生まれたばかりの子にすぐに芽生えるものですか?いや、可愛いいに違いない、しかし「嫁にはやらん!」なんてすぐに思わないでしょ。しかも病院の外で「ばんざーい!!」って、あほか。フミ子の婚約者もなんだか中途半端。カラスの研究?してんねんけど「カラス語」しゃべるて。あほか。しかも、若すぎて研究者には見えへん。学生ちゃうの?有村さんとのリアルな年齢差もあってなんかピンと来ない。鈴鹿央士を使わなきゃいけない理由でもあったんかいな。お目当ての鈴木亮平さんは自然体だったし、今回はちゃんと服も着ていて安心感はあったけど、どこか「普通の人を演じよう」と言うのが見え隠れ。今まで特殊な役が多かったから、普通の人を演じるのは楽しかったと思うねんけど。柄本明さんくらい枯れてくると、見ているこちらも普通の人って思えるんかなぁ。 良かったのはファーストサマーウイカさん。飲み屋の娘で、兄やんの幼なじみ。ちょっと兄やんのことが好きなんやろな。せやけど、ここでも関西マインドを前面に出そうとするあまり、衣装がコテコテやねん。韓国のアジュンマみたいに柄on柄のファッションセンス。今時、関西だってシンプルな服を好むと思うねんけど、どやろ? ちゅうことで、自分には深みのない人間ドラマで物足りない2時間でありました。似非関西弁、堪忍な~。ほな、また! [映画館(邦画)] 3点(2025-05-03 13:12:21)(笑:1票) |
4. 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編
映画館に20回足を運んだのは初めてのこと。おそらくこれからもないと思う。 いいものを見せてもらいました。 400億の男とか、そんなことはどうでもいいです。煉獄さんが、本当にかっこよかったから。 [映画館(邦画)] 10点(2021-09-15 22:41:17)(良:1票) |
5. 海街diary
《ネタバレ》 かなり前に地上波で放送され、最近やっと録画を観ての感想です。映画館で観たらもっとよかったのかも知れませんが、このこじんまりした世界感はTVでも充分伝わりました。 綾瀬はるか、長澤まさみ。残念ながら今まで彼女たちの演技をうまいと思ったことはありませんでしたが、今回は違いました。 母親代わりの真面目で堅い長女と、恋愛依存で呑兵衛の次女、そんな二人を一歩離れたところから平等にみている三女。それぞれしっくりくる配役で、演技も自然でした。脚本の為せる業か。 それでも長澤まさみは長くて綺麗な脚を惜しげもなく出し、逆に綾瀬はるかはみごとなボディラインを地味な衣装で包み込む。 実際に住んでおられる方のいる古民家が、あの四姉妹の家に見えてくる。あれだけ美女がいたなら、古民家もいい香りがしそうです。 広瀬すずはいわずもがなの存在感。サッカーのシーンは堂に入っていて、カワイイだけの女優ではないことを感じさせました。そんな絵に描いたような四姉妹の世界を現実のものにするのは、自然に、そこにいるように振る舞う樹木希林と大竹しのぶ、風吹ジュン。 「こう言う口うるさい親戚のおばさん、いるいる」「あー、こんなだらしないお母さん嫌だな」「近所にこんなおばちゃんがいるおいしい食堂があったらいいな」と自然に思わせる。 「蕎麦は茹でたてが一番」と蕎麦を茹でてんぷらを揚げる。鍋もざるも使い込まれていて嘘がない。 お昼にちくわカレーを作り、季節に合わせて梅酒を仕込み。今時こんな若い子たちいないだろうと思っても、そこに自分が忘れていた季節感や丁寧さを思い出し、美しくさえ見えた。しらす丼をほおばるすずが何とも可愛い。 何度も何度も繰り返し観たい作品となりました。 ps:改めて読み返したら誤字だらけ。訂正しました。レビューは酔ってる時は書いちゃダメ。 [地上波(邦画)] 8点(2018-08-15 17:49:25)(良:1票) |
6. 青天の霹靂
《ネタバレ》 密林を何気なく見ていたら目に留まったので鑑賞。 大泉洋の映画を見るのは初めてでした。もちろん劇団ひとりも。密林のレビューほど感動はしませんでしたが、それでも板の上のマジックショーのやり取りは普通に笑っちゃったし、そういえば子供の頃は日曜日と言えば演芸番組があって、毎回同じネタなのに面白かったなぁ、と思い出したり。 たぶんだけど、劇団ひとりが描きたいものを詰め込んだらこういうお話になったのだろうと思います。例えば、母親が子供を産んだことで亡くなったと伝えたら子供がかわいそう、だから自分が女を作って愛想をつかされた…こっちの方が可哀そうじゃないですか?普通に「病気で」亡くなったんだよ、でいいと思う。小学校の頃に父親に教えてもらった手品でクラスの人気者になったと言うなら、父子の関係は良いものだったと思うし、そもそも父親と同じ道を選ばないと思うんですよね。だけど大人になった晴夫は「ダメ親父」と思っている。あんな親だから、こんな俺、みたいな。なんか整合性が取れていない気がするんです。悦子が子供を産んだら死んでしまうかも知れないってわかって、本番でブチ切れ。これもあり得ない。プロなんだから。ひとりだってリアルならちゃんと舞台は務めると思うの。(悦子の病名もわからないけど、これも安易だなぁ) あと、晴夫が産まれる日はオーディションの最終選考日。最終日のネタが今までとあまりに違いすぎる。ぺぺの世界観やどこへ?(でも、いつも思うの。あの鳩はどうやって仕込んでるの?)まぁオーディションなので選考ごとにタイプの異なるマジックを見せなきゃいけないと言う規定があるのかも知れないけど。最後のバラはもはや超能力?手品ではないよね。ただ、今回の大泉洋を見て思った。役ごとにいろんなことを体験出来て、役者って3日やったら辞められないと言うけど確かにねーって。 どなたかも書いていたけど、久しぶりの風間さんは「銀ちゃん」みたいで良かったです。大泉洋もあれくらい抑えてくれると演技は見やすいです。(水どうは別物)次の監督作に期待の5点です。 [インターネット(邦画)] 5点(2022-05-28 15:15:06)(良:1票) |
7. PLAN 75
《ネタバレ》 倍賞千恵子さんが、自らの老いを隠さず自然な演技で引き込まれました。高齢者が長生きし、少子化で子供が増えず医療費が財政を圧迫するような社会を作ったのが政府なら、それならお年寄りには自ら〇を選べる法律を作りましょうと決めるのも政府。 慎ましく暮らして来た人々がただ流されて淘汰されていく姿は、なんだか近い将来現実になりそうで私は観ていて少し苦しくなった。 近未来のお話だと思っていたけれど、「プラン75」以外はリアルタイムのお話なんですね。そこがまたリアル。 例えば子供の医療費のために日本で介護の仕事をする外国人女性。これだって日本人の若者がこの職業には就かないから。労力と賃金があまりに釣り合わない。これも政府の悪政ゆえ。 ミチさんがボウリングでストライクを出した時、周りの若者がハイタッチして来るシーンでは、ミチさんが楽しそうで涙が出て来た。 人は孤独なんだけれど(たとえ家族がいたとしても)、孤独を認識してしまった途端脆くなるし、弱くなる。プラン75を申請し、いよいよその時にカーテンの隙間から同じように〇を迎える人を見てしまい、逃げ出すミチさん。人の最期なんだからもっと気を利かせた設備にするべきだけど、それもやっぱりお役所仕事的で現実味がありました。あれはヒロムのおじさんだったのかな。 まだ頑張れる、生活保護は人様に迷惑がかかる。そんな常識を持った人が苦しむ世の中ではいけない。 若い人に見て欲しい。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-02-19 00:17:52)(良:1票) |