21. 秋日和
「晩春」で父娘の結婚話だったのが、これは母娘で同じような娘の結婚話。亡くなった父親の友人たちが娘の結婚話のおせっかいをするのだが、残される憧れだった美人の母をそのうちの一人がもらっちゃおう、と都合よく画策する。時に小津作品には男性優位が覗くのを感じてしまう。女は男に都合のいい道具扱い程度の存在に描かれてたり、家庭で妻は夫が脱ぎ捨てた背広を拾って片付けてるなど、妻は召使のように世話を焼いていたりする。ユーモラスな会話といわれるおじさんたちの会話はセクハラまがいのいやらしさが覗いて気になる。 6点(2003-12-01 12:38:23) |
22. 安城家の舞踏会
戦後の没落貴族の最後の夜を舞台に、それぞれの立場も変わっていく時代の流れを描いている。貴族で家柄が良くても借金で家まで手放すことになる当主に滝沢修。長男の森雅之は新興成金の娘との婚約も取り消されてしまう。かつてのお抱え運転手は運送会社の社長になっていて、憧れだった令嬢とも今は対等に求愛できる。絶望した当主は自殺しようとして次女(原節子)に止められる。「困難でも生きて行きましょう、またいいこともあるわ」という彼女だけは運命を素直に受け止め、前向きな姿勢がある。時代が変わる時の人の立場の逆転を鮮やかに見せてくれる。 7点(2003-11-23 18:08:33)(良:1票) |
23. 紅いコーリャン
赤の色彩が強烈な印象。情熱的なその色は過酷な時代の、過酷な人生を生きた一人の女性の心のうちの強さ・たくましさを現しているかのようだった。コン・リーと野性的なチアン・ウエンの存在感が大きい。 7点(2003-11-19 16:32:57) |
24. 愛と青春の旅だち
恋愛ものというより、ハングリーな若者の軍隊根性ものと言ったところか。ラブストーリーは大体人間に惚れて、じゃなくて制服(その社会的地位)に憧れて、だからまるで真実味を感じない。制服を脱いだとたん振ってしまい、惚れてくれた男を自殺させた女なんて、ほんとヒドイ描き方!見所はギアの根性と鬼軍曹とのやりとりか、、、 5点(2003-10-13 22:13:47) |
25. 愛が微笑む時
メルヘンでよくあるゴーストもので下手するとクサくてしらけるのですが、これはこの世に思い残しのあるゴースト達のそれぞれのエピソードに素直に泣けました。タイムリミットのお迎えのバスに追われながらというのがうまい設定です。ロバート・D・Jは面白くて達者な演技だし、話が暖かいので後味よく楽しめます。 7点(2003-10-13 21:58:28) |
26. 赤ひげ
赤ひげ先生を通して青二才の医師の成長物語をメインに、左八とおなか、狂女と父親、おとよ、長次など江戸の庶民の生活や人情がオムニバスのように丁寧に描かれる。この人情はフランク・キャプラに通じるものがある。人間の善意に対する賛歌です。ただそれ一辺倒ではなく、多彩なエピソードは人間の持つ様々な面を描いてより現実的である。ちょい役でも豪華で達者な演技陣が配置され、それぞれが皆素晴らしい演技で見せてくれる。誰それといちいち言えないくらい皆素晴らしい。赤ひげ先生の人間像はもう理想の見本ですね。三船は見事なその人物像を十分に印象づけてくれた。やや説教臭く思うのは、山本周五郎がその傾向にあるので原作に忠実なのだと思います。 9点(2003-10-13 21:02:29) |
27. 愛の選択
純愛もので泣ける話だと思うんだけど泣けないし、なんか印象が薄い。心に響いてこないし・・・ 5点(2003-10-08 21:02:36) |
28. アルカトラズからの脱出
脱獄ものならショーシャンク・・やパピヨンのほうがずっと面白かった。人形の頭でだませるものかなぁ?ってちょっと疑問。でも抜け出してて、看守が頭に触ったところ、あ~~っと思ったら本人が戻ってる。随所にハラハラドキドキのシーンがあってスリルがある。脱獄に向けてまっしぐらの苦心の数々を、丁寧に描いて見せてくれる。 7点(2003-10-01 15:47:18) |
29. 雨に唄えば
ジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズ、いずれも素晴らしい芸人です。雨のシーンばかりが有名ですが、オコナーの壁を歩くような抜群の運動神経の入った一人踊り、3人でグッド・モーニングを歌い、踊るシーン、最初のオコナーとケリーのバイオリンの踊りのシーン、バレエで長いふわふわの白いリボン?をつけて風の効果で踊るシーンなど素晴らしい踊りの場面は数え切れない。映画シーンでの活劇はD・フェアバンクスの活劇を思わせ、トーキーに切り替わるときに悪声の俳優があっという間に落ち目になった事など、劇中劇のシーンも面白い。楽しくておかしくて素晴らしい芸が見られて、こんなに贅沢なミュージカルは今時見られないのが残念。(芸人がいない!)この頃のミュージカルは本当に今見ても全く色あせず再現不可能。30年代のバズレー・バークレー風の演出もあった。フェアバンクス風といい、懐かしいノスタルジーにも満ちている。 10点(2003-06-20 18:12:43) |
30. アバウト・シュミット
いつものニコルソンとはやや趣が違う雰囲気がある。すごく自然な動き、表情を見せる。これが本当の姿ですといった風に。でもやや前屈みの歩き方など「さりげなく見える演技」をしているんでしょうね。仕事ばかりで長年連れ添った妻のことも娘のことも実はよく知らなかった。空気のような存在だったのに突然死なれるとその存在感を初めて実感する。仕事、妻、結婚する娘・・・喪失感にとまどう男を実に巧みに見せてくれた。ニコルソンの独演に近い奮闘ぶりや脚本も良かった。 7点(2003-06-16 20:37:45) |
31. アンナと王様
56年のミュージカル「王様と私」のユル・ブリンナーとデボラ・カーの印象が強く、こちらはそれに比べてしまうと作品としての印象が薄い。マレーシアロケ、豪華な衣装、王宮のセットなど大作に大金をかけたという豪華さという見所はある。チョウ・ユンファの王様が優しすぎるのではないかと思っていたが、本当の王様は西洋事情にも通じ広い視野を持った教養人だったという。彼が進める改革にアンナの力も加わって、タイが他国からの侵略にも無事であったと思われる。そういう意味で見ると、こちらのほうが実際の王様とアンナの姿を描いているように思う。モンクット王は裸ではなく服を着るようにしたそうだし、拝謁の儀式の変革、古い掟を改め、自らの神格化を否定し近代化をすすめとというから、アンナが王様を変えたというのは事実ではない。教育熱心だった王様がアンナを呼び、皇太子の教育に影響力があったのは確かだろう。これは王様の偉大さを描くものではないので、アンナとの関係が脚色されていても仕方ないのだろう。しかしタイ国内では不評なのもこれで納得。モンクット王も次の国王もとても尊敬されてるそうですから。J・フォスターはきれいでした。 7点(2003-06-11 14:31:25) |
32. AIKI/アイキ
主人公はデンマークだか外国の方の実話だそうですね。合気道の「大東流」(?でしたか)も実在し、話は突然事故で障害者になった青年が合気道に出会って精神的に立ち直っていくという話。普通のサラリーマンをしながら、合気道の達人の先生という役の石橋稜がいい。武道の達人が一見こんな風にさりげなく謙虚で、人格者であるというのを十分納得させる素晴らしさだった。加藤晴彦も車いすでの合気道シーンを熱演している。ともさかりえの雰囲気もよかった。 7点(2003-05-31 15:42:24) |
33. アリスの恋
未亡人のE・バースティンと息子の新たな旅立ちのロードムービー。次々と移り住むはめになる息子が可哀想になるが、大胆な女の子と友達になる。若き日のJ・フォスターがすでに光っている。レストランで働くアリスと同僚の女性との掛け合いとか、客とのやりとりが「これがアメリカか~」と妙に納得。やや不器用に、臆病にすすむアリスの恋、ハッピーエンドで幸せな気分。強そうで弱い、可愛い中年女性をバースティンがうまく演じてます。 8点(2003-05-17 16:20:07) |
34. アラバマ物語
久しぶりに見たら、最初の子供たちのブーの家の探検とか二人が襲われるくだりなどサスペンスっぽいドキドキするような作りでした。手の影が忍び寄ったりしてヒッチコックっぽいような感じもします。レイプ犯を弁護する裁判シーンが印象に残ってたんですがこれも子供時代の思い出の一部でしかなかったんですね。子供の視点から日常やいろんな出来事を描きながら、正義や勇気や人種差別などが描かれます。「どんな理由があろうとケンかはいけない」と言う父親はリベラルな正義感で愛情深く理想的な人物として描かれています。レイプ犯の冤罪を着せられた黒人が有罪になるのはどう見てもおかしいと思うのですが、人種差別がひどい土地ならこんなこともあったんでしょうねぇ(今だってあるかも、、)。その上さらに救いのないような展開になおさらやりきれない思いもして、だからラストのブーの処置は法律的にはともかく心情的には納得できます。子供たちの思い出の父は頼もしくて誇らしい、尊敬する人物として残ったことでしょう。 8点(2003-05-17 16:04:50) |
35. アラジン(1992)
おもしろくないことはないんだけど、昔のディズニー作品のほうが好き、出来も良かったし。最近のはやたらスピードが速くて疲れる。 6点(2003-05-17 15:44:51) |
36. ア・フュー・グッドメン
今ではなかなか実現しそうにないほどの豪華キャスト。法廷で真実が暴かれていく過程は、スリリングで緊迫感がある。ニコルソン、おぬしはワルやのぅ・・デミは制服姿もキリリッっとしててきれい。色気のない話の中の紅一点。 6点(2003-05-17 14:51:27) |
37. アパートメント(1996)
作り方もなかなか凝ってるし、女心も複雑怪奇。ついつい引き込まれて見てしまう。それにしてもあの偽善女、いやな女!友達のふりしてだますなんて・・モニカが可哀想です。 7点(2003-05-17 14:33:54) |
38. アパートの鍵貸します
J・レモンのとぼけた表情やしぐさ、S・マクレーンの可愛くてきれいなこと!ダイアモンドの脚本の素晴らしさ、そしてB・ワイルダーの演出のうまさ!!全て一級品の要素がつまった傑作コメディです。あちこちにユーモアがちりばめられ、そのアイデアにびっくりさせられる。ラケットでのスパゲティの水切り、シャンパンの音そしておしゃれで気の利いたセリフなど。今これほどの映画を作れる監督も俳優もいないのは残念! 9点(2003-05-17 14:22:26)(良:1票) |
39. あの子を探して
出演者はほとんど素人をオーディションで選んだ。いかにも田舎っぽい人々がプロ顔負けの役者ぶりです。これには自然な演技を撮るために何台ものカメラを同時に回して、子供達が意識せずにやってるのを編集する、という監督のこだわりのたまものです。わずかなお金のために少女が先生になり行方不明になった男の子を一生懸命探しに行くのは、たくましくも涙ぐましい。撮影裏話を知るにつけ、主人公の彼女や子供達の演技以上の素晴らしさに感動する。カメラの前で泣きながら「帰ってきて」と訴えるシーンはもらい泣きしたが、彼女は本物のテレビ局に緊張してそれでホントに泣きそうになってんだとか。素朴な彼女に監督は女優を薦めず先生になるべく勉強中とか・・都市部の豊かさの影で、農村部では学校にも満足に行けない貧しさがあると、監督は中国の光と影を訴えているのだと思う。 8点(2003-05-16 19:25:22) |
40. アナライズ・ミー
デニーロのコメディっていうのが今ひとつだった。マフィアっていうには全然普通のヒトだし、、ビリーはまぁまぁ良かったんだけど、話もコメディとしては中途半端な気がする。 5点(2003-05-16 18:59:49) |