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41.  悪名一番勝負 《ネタバレ》 
このシリーズの最終作品となる今作は監督がマキノ雅弘監督というだけあって、まるで同じマキノ雅弘監督の撮った別のシリーズ、高倉健主演の「昭和残侠伝」や「日本侠客伝」や「日本残侠伝」シリーズぽい雰囲気が最初からして漂う。マキノ雅弘監督らしいテンポの良さで見せてくれる反面、やはり「悪名」シリーズと言えば欠かせない田宮二郎の不在は物足りないし、勝新演じる朝吉が自分の頭を突き出して、どつけ!とやる所は確かにかっこ良いがラスト、殺された政吉(田村高廣)の敵討ちとばかりに乗り込む場面、あれって、まんま高倉健主演の任侠ものを勝新に置き換えて見せてるだけだと感じてしまう。そんな中にあって、津川雅彦のキャラ、あのしゃべり方は「次郎長三国志」シリーズの石松みたいで、森繁久彌ファンとしては監督からの石松への愛情みたいなものが感じられて嬉しい。 私も津川雅彦をもう少し見たかった気がする。マキノ雅弘監督以外の監督ならば7点、いや、8点付けてもとは思うけど、やはりマキノ雅弘監督作品としては物足りないので6点という低い点数になってしまう。最後に勝新主演によるこれとは別のマキノ雅弘映画ももっともっと撮って欲しかったし、見たい。
[DVD(邦画)] 6点(2010-01-10 18:15:37)
42.  ある日どこかで 《ネタバレ》 
たった一枚の写真、そこに映っている魅力的な女性に心惹かれ、彼女に会いたい。その願いが叶ったけど、最後は・・・というまあ、いくらでも考えられそうな設定と、あんな簡単にタイムドラベル出来るものか?という疑問も残る。しかし、それでも最後は泣けたし、素直に楽しめた。その要因にあの美しい音楽がまずは挙げられる。美しいと言えば音楽だけでなく、映像美もとても美しい。またクリストファー・リーブの眼差しも、それに対して次第に惹かれていく女性、ジェーン・シーモアも美しい。マッケナ(ジェーン・シーモア)が演劇の場面でコリアー(クリストファー・リーブ)を前にして、劇にはない台詞(コリアーへの愛を言う台詞)を言う時の表情には女としての気持ちの全てが見えた。写真の中の彼女も実際の彼女も美しいが故に元に戻ってしまった後のクリストファー・リーブの姿が悲しく、それほどこのラストは惨酷であり、悲しい結末である。それにしてもこの映画を見ているとやはりクリストファー・リーブって実際の生活があまりにも悲劇的だったのと同じく思えてきてしまい泣けてくる。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-01-01 21:38:49)(良:2票)
43.  あの頃ペニー・レインと 《ネタバレ》 
1970年代のロック(洋楽)の個人的には最も好きな時代の洋楽が色んな所で流れてきたり、洋楽好き、しかも、ロック好きにはたまらない魅力がある。親の反対に逆らい家を出て、旅をしながら同じ音楽好きな女性と知り合いながら、一歩ずつ大人へと成長していく少年の眼から見た世界はけして、楽しいだけでなく、辛いこともある。そういうものがきちんと描かれている点についてはまずは評価出来るし、また、ペニー・レイント演じるケイト・ハドソンも可愛い。ただ所々に出てくるドラッグやら何人かの女が少年を誘うようにして、服を脱いで騒ぐ場面ははっきり言って要らない。音楽を通して音楽が好きな人達同士のドラマとしての見応えは感じることが出来たし、楽しむことも出来たので7点ぐらいは付けても良い。個人的にはもう少し上手く撮れれば、凄い傑作になっていたようにも感じてしまう。そう言う意味でちょっと惜しい。傑作になりかけて、なれなかった作品でもある。あの時代に興味がある人なら間違いなく楽しめるはずの作品です。
[DVD(字幕)] 7点(2009-12-23 13:30:38)
44.  あんなに愛しあったのに 《ネタバレ》 
映画愛、ずばりこれに尽きる。イタリア人監督による祖国イタリアへの思い、尊敬するイタリア人監督への愛、そんな愛に満ちた映画である。一人の女性に対して同じ思い、愛を抱きながらも全く違う道を歩む。時には本気になって殴りあいの喧嘩をするも、最後はみんな、仲良くと、喧嘩するほど仲が良いとはよく言ったもんで、この映画のあの三人の男達を見ていると解る気がする。解ると言えば自分が大好きで大好きでたまらない映画、ここで言うならクイズ番組でのニコラの姿なんて同じ映画ファンとして解りすぎるほどよく解る。間違ってない。絶対に正解だと自身満々に答えたのに駄目だとされ、納得いかずにテレビ局に五回も抗議し、全て拒否されるあのニコラのキャラクターが私は好きで好きでたまらない。映画の中に幾つもの映画のシーン、それもモノクロやセピア色などとこれまた昔の映画が好きな私にはストーリーよりもそういうシーンを見ているだけでも楽しかった。同じ映画を同じ場所で見ているイタリア人の顔付きの良さ、映画ってやはり良いもんですよね。て、今は亡き水野晴郎さんの真似をしたくなりました。ラストにあのクイズに出された「自転車泥棒」を撮ったヴィットリオ・デ・シーカにこの映画を捧げる。とあるのを見て、同じ映画監督として、これほど嬉しい言葉はないのではないでしょうか!デ・シーカ監督もきっと喜んでくれたに違いない。ここ一ヶ月の間にこのエットーレ・スコラ監督作品を3本見たことになるけど、この監督さんの映画、好きです。他のイタリア人監督に比べてどの作品もコメント数少ないけど、もっと多くの人に見て欲しい。心からそう思う。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-11-16 21:20:59)(良:1票)
45.  穴(1960)
一切音楽を使わない。音楽を省くことによって生まれる緊張感が凄い。ひたすら脱走の為に穴を掘る。その為に大きな音を立てる。この大きな音があれば余計な音楽なんか不要だとばかり言ってるようである。映画を盛り上げるのは何も音楽だけじゃないことがこの映画を見ると思わずにはいられなくなる。バレるかバレないかの緊張感を味わう為の映画でもあると言えよう。  
[DVD(字幕)] 8点(2009-11-14 21:56:33)
46.  赤い風車 《ネタバレ》 
名門貴族の家に生まれ、画家としての生涯を全うしたロートレックの生涯を描いている。足の病に冒され、少年時代に足を折るという惨酷な運命の元、初めて出逢った女には嫌われ、コンプレックスの塊となってしまったそんなローレックだが、やがて自分の元に別の女性が現れ、幸せな日々を過ごすものの、最後も酒に溺れ、絵描きとしての苦悩の元に亡くなってしまうという人生の惨酷さ、あの最初の方の優雅で躍動感溢れるカンカンの踊り、それを最後ベッドの中、夢のようにして現れるというあの場面、作品全体の色彩の美しさとはまるで反比例するような人生のはかなさ、何かフェリーニの映画を見ているような錯覚に陥るのは、サーカスの場面など出てくるからかもしれない。カンカンの踊りのような楽しいだけが人生ではないと言っているような作品というのが見終わった後の感想でして、とにかくこの映画の映像美は凄い。映画としての美しさと人生における刹那さの中に何か人間本来の感情を見せ付けられた気がする。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-09-30 21:16:41)
47.  網走番外地 南国の対決 《ネタバレ》 
凄いタイトルだ!タイトルに網走とあるのに、なんで南国?このタイトルが一番、可笑しい。タイトルで笑わせて中身は意外としんみりしている。一人の少年と母親の再会というロードムービー的要素を絡めたり、その再会シーンでの健さん、真面目な顔して笑える台詞を放つ。三原葉子のあのけばい母に対し、逃げる息子、流石イチローだけあって足は速い。そして、健さん、逃げられたまま何も出来ないでいる母に対して、「でももストライキもねえよ」だっけ?あまりにも真面目な顔して言うもんだから笑ってしまう。作品全体の作りとしてはもう、滅茶苦茶で、結局のところ、最後まで網走なんて回想シーンに出てくるきりでほとんど出てこないし、対決シーンもあまりにもあっけなく勝負が済んでしまって物足りないし、まあ、そんな中、高倉健というこの俳優のかっこ良さ、やっぱり健さんにはピストルなんて似合いません。健さんが敵に乗り込む時の姿などどこか「昭和残侠伝」シリーズの花田秀次郎みたいでかっこ良く、他の男達がみんな、弱くて情けなく感じてしまう。(健さん以外で唯一かっこ良かったのがアラカンこと嵐寛寿郎)そうそう、この作品でも大原麗子、可愛いし、なんですか?あの胸をやたらと強調した服装は?思わず眼がそっちに行ってしまいました。ごめんさない。
[DVD(邦画)] 6点(2009-09-16 20:05:54)
48.  安城家の舞踏会 《ネタバレ》 
何だかヨーロッパ映画を見ているような錯覚を起こすのは、チェーホフの「櫻の園」をモチーフとしているせいか?日本映画を見ながらヨーロッパ的な香り、雰囲気が漂う。没落華族におけるその中で最もしっかりしている原節子と終始、マイペースでいる森雅之、この二人の存在なくしてこの映画は語れない。華族制度の崩壊によってそれまで築いて来たプライドを引き裂かれる家族達、自分達の弱みに付け込む新川一家の大黒柱である父とその娘、他にも様々に人間が入り乱れて凄まじいドロドロした雰囲気を醸し出している。人の弱みに付け込む者と付け込まれる者、人間ってやはりお金が無ければ生きて行くことは出来ないし、一人では生きていけない弱い生き物であるということがこの映画を観ると余計、思わずにはいらなくなる。それにしても原節子が父親が死のうとする所を止めに入る場面のあの凄まじいほどの体当たりを是非、今の日本のラクビー選手全員に見習って頂きたい。人の命がかかっていると人間は物凄い力を発揮すると原節子のあの体当たりを見て感じました。そうそう、それと、昨今の言葉の汚さ、何を言っているのか全く解らないような品の無い、落ち着きのない言葉を連発する若者、特に若い女にはこの映画を見て少しでも原節子の発する言葉の美しさを見習って欲しいと思う。もっともそんなこと書いたところで今の若い人達がこの映画を観るかどうか解らないし、まあ、見ないだろうなあ!
[ビデオ(邦画)] 7点(2009-09-06 11:02:10)
49.  雨あがる
これは公開当時、映画館で観ました。それ以来、一度も観てない。内容もかなり度忘れしてしまっている。ただ黒沢明監督の晩年の作品に感じられた説教臭さが抜け、良い意味で如何にも日本映画的、しかし、悪く言えばあまりにも黒沢組ばかり集め、時代劇にさほど興味も無いような人にまでただ黒沢明という名前だけで観客を惹きつけようという嫌らしさが感じられてならない。タイトル通りの雨上がりの後の晴々とした雰囲気は感じることが出来た。それにしても昨今の日本映画関係者はどうして、黒沢明監督の雰囲気ばかり追いかけるのか?と言いたい。黒沢映画の真似せずにもっとオリジナルとしての映画作りというものを大事にして頂きたい。良い映画だとは思うけど、色んな意味で引っ掛ってしまいこれよりは高い点数は付けられません。
[映画館(邦画)] 6点(2009-08-30 20:24:54)
50.  網走番外地 北海篇 《ネタバレ》 
高倉健は文句なくかっこいい。大原麗子の可愛いさも抜群!刑務所内でのオカマのやりとりやら、刑務所から出た後の展開など見所もあるが、如何せんB級映画ならではの臭い演出、それはあの音楽にしてもそうである。ロードムービーなのか?アクションものなのか?結局はどっちに重点を起きたいのか今一つな感じがしてしまいます。高倉健が小沢栄太郎の所へと乗り込んで行く時の高倉健が昭和残侠伝シリーズの花田秀次を思わせる。それはそうと刑務所ってあんなにもホモが多い所なのか?それと田中邦衛はいつ見ても、何を見ても「北の国から」の五郎さんみたいな口調だなあ! 
[DVD(邦画)] 6点(2009-08-20 21:02:46)
51.  藍色夏恋 《ネタバレ》 
何と言うべきか?妙な感じのする作品だなあ!というのが見ての感想でして、韓国ものとは違うし、かといって日本映画的でもないような?非常に微妙な感じが良かったり、またあの水泳部の男が妙に爽やかであったり、主役の女の子よりもその親友の子のが可愛かったりと文句を付けたくなるが自転車をこいでるシーン、ラストの後ろからの見送りなど、良い所も予想していたよりも多くある。それでもこれより高い点数付けられないのは主役の二人がどうにも煮え切らない態度を見せていたりと、ところで、あの主役の男の着ていたTシャツに書かれていた「魚」の一文字が気になって仕方なく、それとラストの壁の文字も何だか下手くそな字だなあ!
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-08-15 20:30:08)
52.  雨のしのび逢い
作品全体に付きまとう気だるさ、いかにもフランス映画ぽいハリウッド映画とは違う雰囲気、サスペンスとしてというよりも恋愛ものとして見る方が良いのかもしれない。ジャンヌ・モローは相変わらず上手い。表情の一つ一つ、心の変化みたいなものの表し方の上手さには毎度ながら感心させられる一方で相手の男、ジャン=ポール・ベルモンドに関してはどうしても相手が上手い女優だけに劣って見えてしまうというのがマイナスであるし、盛り上がりそうな所で盛り上がらないのもマイナスである。ところで、気になるのはタイトルが「雨のしのび逢い」とあるけど、えっ?雨なんか降ってたっけ?最後まで雨のシーンなんてなかったぞ!
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-08-09 10:56:13)
53.  網走番外地(1965) 《ネタバレ》 
高倉健さんの裸踊り、いやはや、こんなお茶目な健さん、なかなか見れません。自分、不器用ですからと言ってる健さんの姿からは想像出来ない姿が新鮮であり、微笑ましい。監督が石井輝男監督てことからなのかな?他の作品、特に私にとっての健さん、高倉健という俳優は任侠映画での口数の少なく物静かな健さんてイメージからしたらあの裸踊りはあれが本当に健さんなのか?と思ってしまいます。作品としての出来や素晴らしさ、高倉健という男が惚れる男の中の男ぷりなどではもっともっと素晴らしい作品があると思うが色んな意味でこれまた違った俳優高倉健という1人の男を見せて貰えたという意味では見て良かったそう思える作品です。 
[ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-02 22:46:27)
54.  暗殺のオペラ
確かにこれはストーリーがいまひとつ解りずらいし、サスペンス映画としての緊張感、盛り上がりもいまひとつであるが、映像の美しさは一度、見たたげで脳裏から離れなくなりそうなほどとにかく美しい。ストーリーを楽しむというより映像美を堪能すると言った方が良い映画だと思います。アリダ・ヴァリの影のある女ぷり、この女優のこういう雰囲気はいかにもヨーロッパ人らしさを感じさせる。作品的には特に面白い映画ではないが、映像が美しい映画には低い点数は付けられないという私の考えに当てはまるそういう意味を込めてのこの点数です。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-07-31 22:02:03)(良:1票)
55.  あこがれ (1958) 《ネタバレ》 
「あこがれ」とは何か?少年達にとっては絶対に手の届かない存在である年上の美しい女性、彼女が最初に白のブラースにスカート姿で颯爽と自転車をこいでくるスタート、それを影から見ていた少年達、奴らが彼女が自転車から離れた間に乗っていた自転車の椅子に顔を埋める。それは男の願望であり、大人になってしまったらしたくても出来ない。子供だから許される行為であり、それは木曜日が来る度にテニスを楽しむあこがれの彼女の姿を見ている。男と付き合っている彼女に対しあこがれから、また相手の男への嫉妬心から悪戯してばかりいる。少年達にとってのあこがれである存在の年上の女性に男がいると知ればその相手に対して嫉妬するというのは何も男だけでなく、女も同じであると思う。この映画は嫉妬する相手の男の突然の死によって最後はあこがれの女性が喪服姿で歩く所で終わる。あの自転車の匂い、喪服の彼女の匂い、一体、どんな匂いなのだろうか?という妄想を描かせずにはいられなくなる。男の妄想を解り易く見せているという意味ではやっぱり大人より子供の方が良いよなあ!というそんな映画ではないでしょうか?
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-07-25 17:52:04)
56.  アントワーヌとコレット 《ネタバレ》 
アントワーヌとコレットの二人が同じ空間で同じ音楽を聞き、同じ映画を見たりしている場面でお互いがお互いを意識していないように我慢していても意識している姿が微笑ましい。ただ、二人が成長する過程があまりにも急で解り難くて物足りなさが残る。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-07-25 17:38:29)
57.  アンリエットの巴里祭 《ネタバレ》 
なるほどね。オープニングと終わりが何とも洒落ていて良い。共同で一つの映画を書こうとする二人の男、この二人がまるで性格が違う上に互いが相手の描く理想とするシナリオに対して文句ばかり言ってる。そんな二人のやりとり、あの床屋さんでの会話とそれを見ていた二人の女が喧嘩に発展と何から何まで滅茶苦茶である。その滅茶苦茶さが面白い。アンリエットの巴里祭というタイトル、上手いですなあ!アンリエットの怪しげな女の魅力も感じられ、そうそう、みんなで夜空に打ち上げられた花火を眺めるシーンなども良い。話そのものは特に凄い面白さを感じる作品ではないが、良きフランス映画の香りが漂う映画作りを感じることが出来るという意味でなかなかの作品!
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-06-23 20:44:24)
58.  逢びき 《ネタバレ》 
不倫を扱った映画は今も昔も山ほどあるが、今の映画だと不倫をしている当事者である男と女が自分達さえ幸せならそれで良し、周りの人達に迷惑かけようがお構いなしで、その結果、死者が出ようが自分達の責任ではない。死ぬ方が悪い。そういうような何ともドロドロした内容のものになりがちであるが、この映画はそういうドロドロした部分が全くなく、だから見ていてもけして、嫌な気持ちにはならない。その事をデビット・リーンというこの監督はよく解っている。たった一度の過ちである不倫、しかし、この映画の二人の主人公はどうしようもないほど好きである気持ちを隠さない一方でお互いの家庭を壊すことだけはしたくない。だから絶対にお互いの夫や妻に対しても、普段のままであり続けようとする。けして、不倫の現場というものを互いのパートナーには見せない。こういう演出でさえ、やはりこのデビット・リーン監督は品の良さを感じるし、そういう労わりを持って描ける。だから一流の監督であると言われているのではないかと私は思います。今時のハリウッド映画や邦画だと直ぐに抱合い、ベッドに入り、挙句の果てにはお互いの家庭を壊し、そして、二人だけが幸せになろうとする。そういった品の無い不倫ものばかりが存在する中でお互いが別れを決断し、共に自分達の家庭へと戻って行くラスト、ローラの辛そうな顔を見てそっと声をかけるローラの夫の男らしい姿にこの映画全体の温かさ、優しさを感じると共にそして、いつまでもしつこく描かずにここでという所で終わらせるというのも上手い。昔の映画と今の映画の一番の違いはこのいつまでもしつこく描かない昔の映画としつこいほど描く今の映画、余韻を残したまま終わるからこそ映画は素晴らしいのであって、そういう所を今の監督には見習って欲しい。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-06-06 16:53:58)
59.  あの手この手(1952) 《ネタバレ》 
おう!これは思わぬ拾い物!流石は市川昆監督です。何を捕らせても、どんなジャンルにおいても標準以上の少なくとも今の日本映画、いやいや、アメリカ映画よりレベルの高い作品を撮る。この作品は川島雄三監督の「女であること」に雰囲気からして本当に似ている。あちらに比べてこっちのがコミカルで楽しめる。久我美子がまずは何と言っても可愛い。可愛いて意味においては黒澤明監督の「酔いどれ天使」に匹敵するぐらいとにかく可愛い。そんな可愛い久我美子に振り回されぱなしの森雅之、こんなコメディアンぶりを見せてくれるあたりはやはり名優間違いない。女に振り回される男の弱さと女の強さ、これを見ると男って生き者は女に振り回されるのが嫌いと言いながらも結構好きなのかもしれない。えっ?お前はどうかって?ご想像にお任せします。相手が久我美子みたいに可愛い子なら大抵の男は振り回されてみたいと思うような気がします。 最後にこれ、違うキャスティングでも見てみたい気がする。例えば、若尾文子に振り回される市川雷蔵、左幸子に振り回される小沢昭一じゃ「品川心中」だよなあ!司葉子に振り回される小林桂樹じゃ「社長」シリーズか?まあ、色んなキャスティングでも十分楽しめると思います。 
[ビデオ(邦画)] 8点(2009-03-22 11:17:56)(良:2票)
60.  杏っ子 《ネタバレ》 
これまた何ともドロドロした夫婦の関係だなあ!前半はかなりのほのぼのした空気に心地良さを感じるものの、香川京子が木村功演じる売れない小説家と結婚してからのあまりの冷えきった空気、ドロドロとした空気、香川京子が耐えに耐え、とこんと嫌なめにあう。何もここまで酷くしなくてもと思えてしまうぐらいのいたぶり方です。そんな中でも常に志しを高く持ち、けして、くじけることなく、それどころか前向きに生きようとする香川京子の娘を温かい眼差しで常に見守る山村聡、この父親と娘の関係は親子でありながらもどこか友達みたいな関係、それは山村聡の香川京子への言葉使いから何から感じ取れる。暴力的な言葉や自分の父の庭へ唾を吐いたり、銅像を壊したりと見ていて腹の立つ木村功に別れを告げる決心をやっとの思いで成し遂げた娘の香川京子に対して父親である山村聡の「喧嘩に勝ったのか?」の一言!それに対する香川京子の返事、雨の中、二人だけで傘を差しながらの会話、この映画は全編通して二人だけの会話のシーンが幾つも出てくる。父と娘の関係とは何か?て答えのようなものを成瀬巳喜男監督はこの作品を通して日本人全員に伝えようとしているのではないかと思いました。それにしても香川京子のあれだけ嫌なことされながらも耐える姿には女の強さ、やはり人間て男よりも女の方が強い生きものであるようにこれを見ると益々、感じてしまうと共に男のだらしなさ、それを徹底して容赦なしに見せつけるこの成瀬巳喜男という監督さんの演出の凄さ、改めて成瀬巳喜男監督は凄い監督だと思いました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-03-15 10:17:56)
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